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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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白獅子会津予選、二日目。
今の中学三年生、ユウキ世代以来の二日目です。
あと、ひとつ勝てば県大会。
さらにもうひとつ勝てば会津の頂点に立つことができます。
このベスト4は強敵ぞろい。
限りなく遠い優勝。
しかし、やるからには最善を尽くします。
ベスト4の最初の激突は、猪苗代さん。
全国大会に行くときに作ったであろう、蛍光黄色の今風のユニフォームが目立ちます。
まさに威風堂々、がたいも良さも手伝って、強さを誇示しているようです。
今まで見てきた会津のチームのユニフォームっぽくないと思うのは私だけでしょうか?
猪苗代さんもいろんなスポ少を統合してきました。
合従連衡し、猪苗代というひとつのチームになるためには、ある種の変化が必要なのかもしれません。
かくいう高田イーグルスもユニフォームを決めるときは、それなりにぶつかったことを記憶しています。
が、しかし、一旦くっついてしまえば、ユニフォームのデザインよりも中身が大事だということに気づきます。
そんなストーリーがあったかどうかは知りませんが、猪苗代さんのユニフォームはここ近年の強さの象徴になってきています。
高田イーグルスは、準決勝で、その猪苗代さんとあたりました。

強いのは分かっています。
安定したバッテリー、堅い守備、破壊力抜群の打線、ここぞの機動力。
その背景には、監督を中心とした指導者の的確な指導と育成がきっちりかみ合っている、と私は見ています。
指導者の多いこと、そして保護者も熱心な方々が多い。
おそらく、町のバックアップもあると思います。
これで、強くならない訳がない。
それともうひとつ、雪の多い地域は冬場にスキーをやります。
そのスキーが体幹の鍛錬になっていると私はみています。
好条件がそろっている。
そんな中で、子供たちがソフトボールを思い切り、楽しんでいます。
猪苗代という土壌が、そういう土壌だと思うんですよね。
田島、南会津、只見なんかも似たような感じを受けます。
町を挙げて、スポーツを楽しめる環境がある。
かつての少年少女が今、保護者になり、自分の子どもたちと一緒にまたスポーツを楽しむ。
高田イーグルスもそうですが、猪苗代スポ少さんも、その一翼を担ってきたといっていい。
それは強くなるはずです。
しかし、相手を賞賛ばかりしてもいられません。
我が会津美里町もそれなりやってきています。
簡単に引き下がるわけにはいきません。


今の状況は、勝てば即県大会が決定。
負けても代表決定戦で勝てば3位で県大会。
勝っても負けても、県大会にいけるところまで、手が届いています。
問題は、この猪苗代戦の方針です。
選択肢はいくつかあります。

全力でぶつかる
それなりにぶつかる
控え選手をあてる

などなど挙げられますが、今回の戦いの目的地をどこにおくか?
これによって選択肢は絞られます。
優勝なのか?県大会出場をめざすのか?大きくはこの二つ。
当初は全力でぶつかる以外にないと考えていました。
最初からフルスロットル。
しかし、夜に風呂に入って、コーチの言葉を思い出します。
思い直しました。
冷静に分析します。
今の高田イーグルス、猪苗代さんに勝てる見込みは相当低いです。
10回に1回どころか、100回に1回、勝てるかどうか?
あるコーチに言わせれば、絶対に勝てないとのこと。
それだけ実力に開きがあります。それはわかっている。
であれば、猪苗代さんに負けたとして、その次の代表決定戦に標準をあてた戦い方をするべきだろうという段階にきます。
そうであれば、合理的に考えれば、レギュラーを温存して、控え選手をだして、猪苗代戦を戦う。早い段階でコールドで決着がつくだろうから、その次を温存したレギュラーチームで戦う、という選択肢が浮かんできます。代表決定戦に絞るのであれば、これが一番いい。
コンピューター相手のゲームであれば、この策をとります。
しかし、私は考えます。
頭ではわかっていても、なにかそうさせない私もいるんです。
私たちは、コンピューターや機械ではなく、人です。そんなに簡単に割り切れません。
どうすればいいか?
私は導き出した答えは、適度に本気でいく。
なんともあいまいで、中途半端、出たとこ勝負という、一見安易な作戦ですが、考えに考えました。
最初から控え選手を出せば、負けは100%。
はっきりいって、選手に「負けてこい!」というようなものです。
それでぼこぼこにされて、次の試合に、「さぁ、勝つぞ!」とはなかなかならないと思うんです。
戦うというモチベーションを維持しつつ、勝てないまでも善戦する、可能性は限りなく少ないけれどあわよくば勝ちに行くという、なんとも都合のいいどっちつかずの方針。
過去にあったかなぁ……おそらくない。
こういう難しい判断はありませんでした。
今回の目的は、県大会の出場権。
そのために、この猪苗代戦は勝てないまでも、戦力、体力を温存しつつ、戦意も落とさず、むしろあげて次にのぞむ、という形を取ります。
兵法でいえば、あまり上策とはいえない。
二方面作戦は兵力の分散、逐次投入を招くからです。
なぜ、そうするのか?
そこまでして県大会にこだわるのは、今の彼らにとって、県大会という結果にこだわり、それを勝ち取ることで、さらなる大きな自信を獲得させたいという思いからです。
県大会で、さらなる強敵と相まみえる姿を見てみたい。
県大会にいくことができたのなら、彼らは格段に上手くなろうとする、モチベーションアップが半端ではなくなる、選手はもちろん、保護者と指導者もより結束して、絶対に強くなるはずだという目論みがありました。
であれば、勝負に徹して、はなから控え組でいけばいいとなりますが、そこはそうではない。
勝負に徹すると言う意味で、5打席連絡敬遠を許した馬淵監督はすごいと思います。
体力、戦意も維持しつつという、クリア条件もある。
なので、エースを温存しつつあたるという今回の方針をきめました。


試合前に、高田イーグルスの方針を指導者で確認しました。
こういうのもいままでやったことはありません。
複数のコーチがいる以上、意思の統一は必要だと判断したのでやりました。
100%の正解なんて、誰も分かりません。
みんながみんな賛成ではないでしょう。
反対意見もあっていい。
たがらこそ、指導者の意思のすりあわせは必要だと思っています。
集団として戦う以上、方針の統一は必須です。
ソフトボールというものはやってみないと分かりませんね。
このどっちつかずの方針が、思いのほか功を奏することになります。

それは、次回。

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今日は子供たちの夏の甲子園、白獅子会津予選の1日目でした。
結果はと言うと、見事、盟友新鶴さんを破って1回戦突破!
終わってみれば、10:2の五回コールド勝ちという快勝でした。

相手のエラーにも助けられましたが、狙ってやったことが、ことごとく上手くいく、という会心の展開。
私たちの意図が伝わり、選手たちが実行し、上手くいくことで、自信をつける。
そして、さらに上手くいくことを狙うという、理想的な展開となりました。

まずは、たちあがり。
ここをいかに無難にたちあがるか?
これって大事です。
ここができなくて、負けていった多くのチームを見てきました。
「0(ゼロ)」抑えて、当たり前なんです。
ゼロに抑えることで、試合の流れを簡単に相手に渡すことはありません。

ゼロに抑えるためには、最初のワンナウト、
最初のワンナウトを取るためには、そのバッターに対する初球が大事になってきます。

今日の先発のミソラ、初球はボールでした。
その次もボール。
ん?どうした?このバッターを出すとやばいぞ。
3球目はストライク。
ファール。
決めに来たアウトコースはボール。
フルカウント。
まず、一等最初のヤマ場がやってきます。
ここを抑えるか!抑えないかで、今後の展開が変わる予感がします。
こういう小さいヤマ場をいかにしてとっていくか、ここにソフトボール、野球というチームスポーツの戦術的な面白さがあると私は思っています。
渾身の一球、空振りを誘いますが、キャッチャー、トウマもパスボール。
完全にセーフのタイミングですが、一塁にスロー。
投げてみるもんですね!ファースト、カナトがきっちり取ったときは、ランナーは飛び出しています。
すわ、ランダウンか?と思いましたが、カナトの選択はハンティング。1番バッターなので、足は速いと思いましたが、懸命に追いかけるカナト。
最後はダイビングタッチ、それでもファーストミットに収まったボールはこぼれませんでした。
私はちゃんとタッチしたところが見えませんでしたが、二塁審判がきっちり見ていて、タッチアウト。
この時のみんなの動きを見ていました。
ランダウンになりそうだとみるや、その体系が取れていました。
ランダウンになっても大丈夫だった。
しかし、この場面、先頭バッターを出しては駄目な場面で、カナトの懸命なタッチ。
その裏には、トウマの早いリカバリー、ミソラのスリーボールからの粘りがありました。
このワンナウトに、何人も絡んでいる。
これこそが、ソフトボールというチームスポーツ。
まずは、相手の出鼻をなんとか挫いた。
それも、キャプテンであるカナトの泥臭いプレーで!
決してかっこ良くありません。
しかし、カナトの一生懸命さが、みんなの笑顔を呼び込みます。
まぁ、一番の笑顔はカナトですが。
このプレー、立ち上がりに不安のあるミソラにとって、大きな援護となりました。
後続をきっちり切って、三人で新鶴さんをシャットアウトします、
当初の目的どおり、先頭バッターを討ちとって、ゼロに抑えた。しかも、三人で。
試合前の自分たちへの暗示として、「初回をゼロに抑えたら65%勝利に近づく!」と言っておきました。
ソウスケが、「よし、65%きたぞ!」みたいなニュアンスを声に出す。
しめしめ、これで自信と勢いに乗ってくれればいいなと私は顎をさすります。
達成可能な、少し難しい明確な目標をチームとして意識させ、クリアすることで、勢いに乗せる。
俺たちは、できる!と思わせることに成功しました。

その効果は、すぐ裏の攻撃に表れます。
今日のリードオフマンは、ユウシン。
負けん気の強さとクレバーさを買っての起用です。
相手エースのコントロールが定まりません。
ここは作戦、じっくりいこうぜ!
ボールに手を出さないユウシン、奴はわかっています。
ファーボール。

さぁ、初回にノーアウトのランナーが出ました。
ここはなんとしても先制したいところ。
ここでも、またヤマ場がきます。
ここで、先制すれば、65%が70%まであがります。
まずは、ユウシンをスコアリングポジションに置く作戦。
大事にバントを選択しますが、ファール。
んー、どうすんべ?
アオトは三振はしない、となるとリスクはあっても盗塁で仕掛けます。
ワイルドピッチもあって、ユウシンは二塁へ。
よし、スコアリングポジション!
守備位置をみて、仕掛けます。
そうすると、運良くエンドランの形になりました。サードへのゴロ。
ユウシンはサードコーチャーの指示で三塁を蹴ってバックホームへ。セーフ。
いい走塁!
貴重な先制点をもぎ取りました。しかも、たった二人で。
ノーヒットで1点、スモールベースボール。
練習してきた事が、活きています。
また、ヤマ場を取った。
ランナー無しになりますが、後続も続きます。
流れを切らない。
三振はしない、なんとかバットに当てるので、相手のエラーを誘います。
このあたりのしぶとさも、みんなでやってきた成果。
この序盤の1回で完全に高田イーグルスが主導権を握りました。
試合の流れを決める分岐点で、ことごとく上手くいっている。
その分岐点を抑えることが勝利に繋がります。
点差に余裕があるとこで、心理的な余裕も生まれます。
声もでる。
余裕があるので、準備もはかいく。
あぶないところでは、随所でいいプレーがでる。
この試合の流れを持ってきたのは、キャプテン、カナトです。
豪快なトンネルをしたものの、その後に三度もチームのピンチを救う逆シングル。
セオリーどおりの捕り方ではありません。
本来であれば正面に入って大事にいくところ、しかし、まだその域に達していないということですが、カナトも必死。
自分ができるかぎりのプレー、それが逆シングルという形になりました。
いつもであれば、捕れなくて抜けてしまって、泣きそうになるあの光景。
しかし今回は違いました。我々と一緒に準備をしてきました。
あのグローブなしの連続捕球練習。常に、突っ立つな、頭を低く、膝に余裕のアドバイスの滝、これが活きています。
カナトがいままで、捕れなかった大きな原因、上体の高さ、ここを改善する練習をしてきました。
捕れない要因はいくつかあるんですが、そのひとつに上体の高さがあります。
ほかにも、スタートが遅い=打力、スウイング、コースによって予測していない、正面に入らない、ゴロへのタイミングが合っていない、などです。得てしてこれは、ゴロが捕れない全ての選手たちに言えることです。
その中でもカナトは、捕球体勢が高い、膝に余裕がないの代表格でした。
これまでも試合で何回もやっています。
そして、泣く。いじける。泣く。
心のダムの浅さを露呈してきました。
しかし、今回は違う。対策を練ってきました。
そこにきて、この大事な場面で、そのプレーが炸裂する。
えっ?!逆シングルかい!と思いましたが、ゴロに入るタイミング、低い捕球姿勢、膝の余裕、これは絶対必要だというポイントを抑えていました。
だからこそのあの逆シングル。
あれが、抜けていれば、ファースト線なのでライトのキヒトが追いつけない可能性がありました。
となると、ホームランになったかもしれない。
そういう場面が3回あった。それを全てアウトにした。
いままで何回も失敗して、自信喪失してきたカナトにとって、大いなる自信を獲得したことでしょう。
満面の笑顔、まわりの仲間からも笑顔で讃えられます。
そう、これなんです。
自分がチームに貢献しているという自信。
それは、大人になっても、会社や組織、家族、社会や世界に貢献していると思えること、それが「自分の居場所」づくりに繋がっていきます。
自分が必要とされていると思えること。
自分の存在を認められること。
その練習をスポ少でしているんです。
良くやったとハイタッチしたり、褒め称えて背中を叩いたり、ハグをしたり、相手がいてくれてこそ、物理的に自分もいると分かります。
だからこそ、家族って大事なんですよね。
人は他人によってこそ、自分の存在に気づく。
最近、つくづく思います。
話が大きくなりました。

カナト、彼にとって大きな課題を乗り越えました。
人を育てるのは自信です。
できなかったことが、できるようになる。
俺は大丈夫だと思えること。
お前なら大丈夫だと、チームが思うこと。
これほど、人を強くすることがあるでしょうか?
笑顔でベンチに戻ってくるカナトの顔は、確かにたくましくなっていました。
私の涙腺を北斗百烈拳、うるうるきてしまいます。
試合中なのに、このヤロー、泣かせんじゃ……
ふと福田コーチをみると、彼も同じようにウルウルきてました。
彼らの成長にはいつも驚かされます。

そして、私は思います。
カナトの中で、「楽しさの質」が変わっているであろうことを。
彼が言っていた楽しさ。
リスクのない単なる「あ~楽しい」、から、
「努力してギリギリの窮地を克服していく楽しさ」に、
そして苦労して、やっとこさ、手に入れる成功、成長していると思えることが実は楽しい。
一歩上の楽しさに変わってくれることを、私は期待します。
それこそ、ソフトボールの、野球の、スポーツの真髄に近づくとこと。
それは、はじめてちゃんとしたインパクトでとらえたキヒトにも言えることです。
できなかったことが、できる。
これほど、彼らの世界が変わることはないでしょう。
そしてそれは、保護者にも指導者にも、その先の世界を見てみたいと思わせる。
だからこそ、チームとしてがんばれます!

高田イーグルス、白獅子会津予選、1回戦突破です!

夏は高校球児のものだけではありません。
我々スポ少にも、福島民報社主催の「白獅子」という大きな大会があります。

さて、今年の白獅子、またしても新鶴さんとの対戦となります。
ここ近年、よくあたります。
一番一緒に練習試合を戦ってきている相手。
だからこそ、この本番で負けるわけにはいきません。
新チームが始動してこの3か月。いろいろなことがありました。
コロナの影響はまだまだあります。呼ばれる大会数も減っています。
自分たちの実力を試す機会がありません。
なので、自分たちがやっていることが正しいのかを図るすべがない。
一生懸命に練習していることが、いい結果になることを望んでやってきているのに、それができない。
この過程が一番子供たちが育っていく王道なんですよね~。
もちろん、失敗もあります、ぼろ負けもある。
でも、もう一回だめなところを修正して、チャレンジを続けていくことで、子供たちは成長します。
保護者も指導者も成長します。チームとして成長します。
ここが、チームスポーツであるスポ少の面白いところ。
何年やっても、ここが面白いと思います。

ひるがえって、今年のカナト世代のチーム。
昨日、白獅子前の最後の練習を終えました。
まだまだ十分にやったとは言えません。
まぁ、これまでも十分にやったと思えた世代は一度もありませんでしたが・・・
最後にエース、ミソラを絞りすぎたかなぁ・・・と反省しますが、本番ではもっとピンチがくるでしょう。
このぐらいで、崩れるようでは先はありません。
本番では、このクソが!と思うくらいでいい。
憎まれるくらいで、ちょうどいいと、割り切ります。
もっと、打撃練習、守備練習も確認したかった・・・しかし、全部はできません。

その中でも、やれることはやった。
今、持っている武器で戦うしかありません。
まずは、当たり前のことを当たり前にやってのけること。
ここで安心しましょう。
普段の練習がここで、出てきます。

昨日はみなこコーチから、手作りのお守りをいただきました。
がんばって!全力をだして!緊張しないで!いろんな想いが込められてる「お守り」だと思います。
毎年のよなべ、ありがとうございます。

お守りをもらったとしても、試合は緊張します。
緊張していい。緊張していいんです。
緊張するなといっても、緊張はしてしまうものです。
そんな時は、頭が真っ白になる前に、普段の練習を思い出しましょう。
全部でなくていい。
一個でいい。
グローブで蓋をする。
捕る前に、ハイ!と声をかける。
バットを斜めにする。
ワンツーのタイミングでゴロに入る。
普段やっていた、小さい動作。
私たち指導者が君たちへ送る、もうひとつの「お守り」となることでしょう。
大丈夫!俺なら大丈夫!俺たちなら大丈夫!と思えるこころ。
泣きたくなるようなピンチもあるでしょう。
逃げたくなるような劣勢もあるでしょう。
反対に、みんなが飛び上がってガッツポーズをするようなヒット、
スキップしたくなるようなファインプレーもある。
どんな時も、「大丈夫!」と思えるこころを忘れないでください。
私たち指導者は、保護者は全力で君たちを応援します。

さぁ、元気をだしていこう!

明日、白獅子です!




次男坊の高校の夏が終わりました。
3年生は、即位引退。
ここから、また受験勉強という真剣勝負に挑みます。
次男は1年生なので、あと2年あります。
私が仕事から帰って、負けたチームをスタンドから見ていた次男坊と話します。
あれがどうとか、これがどうとか、終わったことを振り返る。

その中で次男坊が、あるお父さんのことを言いました。
そのお父さんは、負けた息子を大きな声で呼び止め、誰にもはばかることなく、全力で息子を褒めて、抱きしめたそうです。
良くやった!
3年間、よく頑張った!
このひと言に、お父さんも息子もお母さんも家族も救われたことでしょう。
想いを抱きしめるという行動で示した、このお父さん、格好いい!

次男坊が言うには、その3年生は最後の試合に出場機会を与えられず、1回も試合に出ないまま、3年間の高校野球を終えたそうです。

それを聞いていた私は、こらえきれなくなりました。
そのお父さんの気持ち、その息子の気持ち、両方が痛いほどわかる。


大人になると、変なプライドや恥ずかしい気持ちが勝って、なかなか行動に移せない。
しかし、息子の気持ちの区切りの大事な瞬間だとみるや、そのプライドをかなぐり捨てて、自分の気持ちを素直に行動に移せる。
狙っていたのではなく、今までの息子のがんばりに対して自然と出た行動だと思います。
かっこいいです。

おそらく、お父さんも息子も泣いていたことでしょう。
お互いによくがんばったと。
お互いの健闘をたたえながら。
これが高校野球。
これも高校野球。
そんな、お父さんが他にもたくさんいる。
毎回たくさんの写真をとって、保護者に回してくれるお父さん。
毎回、息子が守るセンターの近くでスコアブックをつけながら応援するお父さん。
いつも責任あるポジションにすすんで取り組み、保護者もチームとしてまとめるお父さん。
もちろん、お父さんばかりではなく、お母さんの存在も大きい。
今回はお父さんに注目させてもらいました。
子供と真剣にちゃんと向きあえるのがスポーツのいいことろ。
願わくば、自然とかっこいいオヤジ、私もなりたいものです!
福島県、夏の高校野球が昨日始まりました。
そして、今日、次男坊の高校も一回戦を迎えました。
私は所要で応援にいけませんでした。
しかし、いてもたってもいられず速報を見ていると、なんとヴァーチャル高校野球でライブでみれるではありませんか!
野球の神様ありがとうございます。
全国47都道府県の1回戦からライブで見れるとは・・・
いい時代になりました。

3年生には、高田中で長男坊と一緒に白球を追いかけた、タカヤとカオルがいます。
高校まで野球を選んだのは、この二人しかいません。
その彼らの夏、さっき終わりました。
4:13の7回コールド負け。
カゲロウのように短い夏となりました。

タカヤとカオルたち、保護者のみなさん、先生方のがんばりを見てきただけに悔しい結末となりました。
もっと長い夏にできただろうに、
もっと笑顔があふれる試合になっただろうに、
もっと、頑張ってきた自分たちを評価できる結果になっただろうに・・・

しかし、そうはならなかった。
どんなに祈ったり、願ったりしても、思いどおりにならないことがある。
どんなに一生懸命頑張っても報われない結果がある。
それが勝負という世界です。
だって、相手も同じくらい頑張っているんですから。


7回の表相手の猛攻を最後に好守備で止めたのはセンターのカオルでした。
難しい打球でした。後ろに下がりながらの好捕。
いままで、何回も何回も捕れなかった角度、強さの打球です。
それを最後の最後でファインプレー。
見事でした。

そして、タカヤ。
ケガから復帰してまだ本調子ではないでしょう。
最後の打席、相手のエースの前に追い込まれました。
そして決めにきた、アウトコース。
ヴァーチャル高校野球の中継はバックネット裏からのライブなので、審判のジャッジがよく見えます。
その審判の右手が途中まで上がりかけていました。
その手が挙がっていれば、見逃し三振。
タカヤは、今日のその前の打席でインコースを自信をもって見送りましたが、判定がストライクで見逃し三振に倒れた前例がありました。
タカヤは自分を信じて見送った。
審判もよくぞ、見ていてくれました。逡巡しながらも、手をあげなかった。
ボールの判定となり、ピッチャーは、よりゾーンでの勝負を余儀なくされます。
そして、タカヤ、おそらく自分でも高校野球の最後の打席になるであろうことをわかっていたはずです。
悔いの残らない打席にしてほしい。
完全に捕らえた当たりではありませんでしたが、センター前にはじき返してヒット。
やはり勝負強い!最後の打席をヒットで飾りました。
他の選手たちも随所にいいプレーはあった。
しかし、ゲームの流れは終始、相手チーム。
自分たちのペースに持ち込めず、自分たちの良さを発揮できなかった。
ここは悔いがのこるところでしょう。
そうはいっても、覆水盆に返らず。
そんな中でも懸命にプレーする姿に、いままでのがんばりが重なります。
心のダムはいろいろな思いであふれ、そして風景が、にじんできました。
だめだ、こられきれない・・・
私は、他の保護者のみなさんと一緒にスタンドではみることはできませんでしたが、同じ思いだったと思います。
選手たちの気持ちへのシンパシー。それを一番感じているのは保護者でしょう。

そして無情にもゲームセット。
彼らの夏、私たちの夏が終わりました・・・

ヴァーチャル高校野球のライブカメラが引き上げる選手たちをとらえます。
3年生よりも先に泣き崩れる2年生を支えるタカヤ。
これが、タカヤです。
自分も泣きたいのに・・・他者を配慮する。
ここに彼が最後まで高校野球を続けてきた意義、すべてが詰まっています。
やはりスポーツは、人を育てます。
チームスポーツである野球は、チームの中の人を育てる。
タカヤは、小中学生の時よりも、人を包み込むように大きな器になっていました。

先生は、こういいました。
「高校野球は、プロ野球のように足の速さや、打球の飛距離、上手なプレーを見るものではない。上手い下手はあれど、いままで、できなかったことができるようになる、そういう伸びしろを見るものだ。人の、チームとしての成長をみるものだ。」と。
その通りだと思います。スポ少も同じ。
これを聞いて、私はこうも思いました。
だからこそ、チームの悪いときも、見なくてはならない。どうしようもなく、弱くて、みじめで、かっこ悪い。
その現実こそ、見なくてはならない。
そうでなくては、どのように成長したかが見えない、と。
これはスポ少でも同じです。
何ができて、何ができないか?
そのできないを克服するためには、どうしたらいいか?
この繰り返しです。
しかし、高校野球はそうもいきません。
多くの球児の場合、この後がないかもしれない。
進学や就職で、最後の野球になるほうが多いでしょう。
挽回するチャンスがなくなってしまうんです。
克服して、次に試す機会がなくなってしまうんです。
そこが、小学生、中学生とは決定的に違うところ。
だからこそ、いままでのすべてを賭けて挑戦してきているんです。
だからこそ、終わった時のショックが大きい。
それは選手も保護者も、そして先生もでしょう。

私は、保護者としての視点もありながら、指導者としての視点でも見ています。
お互いに懸命にがんばった。
しかし、勝者と敗者はかならず出てくる。
何が良かったんだろうか?
何がいけなかったんだろうか?
どの作戦、どの動作が功を奏したのか?その意図は?
こうなる前にどのような手を打たなくてはいけなかったのか?
正解はありません。
しかし、考察はできます。
そして、わが高田イーグルスにどのようにして活かしていくかを考えます。
タカヤの真剣な表情、どっしり構えた隙のないスタンス、
カオルの韋駄天、笑顔のセンターへの全力疾走、
その他のメンバーのプレーも、もうグランドで見ることはありません。
もどれないからこそ、輝いていたプレー。
もう見ることができない。そう思うことが、たまらなく寂しい。
1年生の次男坊には、どう映ったことでしょう?
まずは、いったんゆっくり休んでほしい。何も考えず、ぼーっと。
そしたら、次が見えてくるはずです。
高田イーグルスの中からも、そういった高校球児がこの先も出てきてくれることでしょう。
私たちは、それを期待します。

高校野球は、いろいろなことを我々に教えてくれます。
お疲れ様、タカヤ、カオル!
前段で話して、そのままになってました。
田島から帰る道すがら、どうやったら子供たちの理解を得ることができるかを考えました。

なぜ、挨拶をするのか?
なぜ、キビキビ動かなければいけないのか?

大人となった今ではいろんな、理由、根拠が出てきます。
そして、それは人それぞれでいい、ということもわかっています。
子供たちも基本的には、人それぞれでいいと思います。
しかし、強制はできませんが、人としてのベースとなるところは同じであって欲しいと思います。

挨拶(あいさつ)。
人と人とのコミュニケーションの基本となるところです。
そして、いろんな人、モノ、事象、信仰の基本となる動作だと思います。

野球部的に言えば、まず先輩、指導者へのあいさつ。基本中の基本ですね。
これをやらなかったばかりに、反省会で先輩に絞られて、辞めてった野球人を何人も見ています。
あったんですよね、理不尽が。
それが、まかりとおっていた。
それが、スタンダードの時代だったといったらいいでしょうか。
それのおかげで、なんの抵抗もなく、挨拶は気持ち良くできるようになりました。
それなりに頭のいい高校なのに、最後に「し」をつける。
先輩が3人以上いたら、挨拶は3回するなど、へんなご当地ルールがあったことを今でも思い出します。
そして、地獄の「杉の木」という約400mのダッシュ。
しごきにはこれがつきものでした。
練習してヘトヘトなのに、長時間の説教。
なにをいっても全否定。口答え、論破はできません。そして、最後に校庭の端から端まで行って戻ってくる「杉の木」と呼ばれるダッシュ。
一本で終わればいいんですが、帰ってきた途端に、もう一本のおかわりもある。
残っていない体力の限界をこえていました。
これが、つらくて30人以上いた、1年生の仲間は半分になりました。
そういう時代だったんですよね~。
とにかく、挨拶をしなかったら、先輩にしばかれる。
なぜ、挨拶をするのかという根本的なことは後回しでした。
怒られたくない、しごかれたくない、仲間に迷惑をかけたくない、この点のみ。
挨拶の大切さなんて、じっくり考えたことはありませんでした。
なぜ挨拶するかを考える前に、私の中では、挨拶することは当たり前になっている。
しかし、今から学んでいく小学生にはそういう訳にはいきません。
なぜ、挨拶をするのか?
この意味、大切さを腑に落としてもらいましょう。

挨拶の意義はと考えて、まっ先に私はグランドへ入る時の挨拶を思い出しました。
どこのグランドにいっても、中を入る時は、必ず帽子をとって、「お願いします!」と挨拶をする習慣がついています。
これをやらないと、気持ち悪いんです。
そのグランドにいると思われるグランドの神様、整備していただいている選手はもちろん保護者、関係者の方々に対する、ありがとうございます、この気持ちですよね。
そういうのを全部ひっくるめて、グランドの神様と私は呼んでいます。
野球のあるところ、ソフトボールのあるところ、その神様は必ずいてくれます。
グランド整備を自分たちと同じように、同じ気持ちでやっている人達が必ずいるんです。
それを思えば、自然と帽子をとって、ありがとうございますのひと言が出てくる、私はそう思います。
高田イーグルスの子供たち、保護者の皆さんもそういう気持ちであって欲しいと切に思います。

そして、もうひとつ。
これは、最近思っていることです。
グランドに挨拶をすること、それは自分自身の「やる気スイッチ」を入れるためです。
自分自身のためでもあり、隣のいる仲間のためでもあり、チーム全体のためでもある。
自分が大きいやる気のある声で挨拶をすれば、隣にいる仲間もつられて大きい声で挨拶をしたくなります。
それが、連鎖すればチーム全体が大きな声で挨拶をするようになります。
こういうチームの中で、大きな声を出していると、自然と大きな声が出るようになってきます。
声の大きさは自信の大きさ。
自然と自分に対する自信も大きくなっていくと私は思っています。
自信がないなら、まず声を出せ!
声をおおきくだすことで、横隔膜の筋肉が鍛えられます。
肺活量が大きくなると、1回に呼吸できる量が大きくなる。
ということは、取り入れる酸素量が大きくなります。
これは、運動量、回復量、思考力の上昇を意味します。
声を大きくだすことには、きちんとした根拠、理由があることに気づきます。
この大きな挨拶というやる気スイッチ、これがいつもひとりひとりが、きちんとやれていれば練習の密度は確実に向上するはずです。
大きな声で、挨拶するのは、自分のため、隣にいる仲間のため、そしてチームのため。
これ以外にチームスポーツが目指す目標はあるでしょうか?
これができる子、この意味がわかる子はどこに行っても大丈夫だと太鼓判を押します。
挨拶は、ペイフォワード。
いいことの先送り。
必ずいつか自分のところに戻ってきます。 
全部できなくてもいい。
完璧にやらなくてもいい。
でも、ここだけはやる!ここは必ずやるという覚悟を時折もつだけでいい。
それが、選手全員で一致したときに無類の強さを発揮することでしょう。
私は、そういう瞬間を何回か見てきています。
前評判の強さなど無視した、現場の強さを。
その子たちを思い出す時、彼らは必ず大きな声で叫んでいます。
さぁ、こい!俺のところにこい!
大人になったら、絶対に出すことができない声です。
心の底から、仲間のため出す声。
自分のために出す声。
チームのために出す声。
そんな昔の選手たちに、今の選手たちが重なります。
ゼンジが、アオトが、
……
そこに選手全員が追随していく。
近い将来が見えます。
我々指導者は、それを続けていけるように支援をしていきましょう。
一時は誰でもできます。 
難しいのはこれを継続していくこと。
させるのではなく、自分たちでやろうと思わせること。
主役は俺たちだと思ってもらいましょう。
厳しさも必要です。
そして、それ以上のパッションも。
遅ればせながら、原点に立ち戻った高田イーグルス。
何回スタートしてもいい。
さぁ、ここからです。




田島夢カップで大敗を喫した高田イーグルス。
精神的な弱さを露呈し、自分たちの弱さを見つめ直すきっかけとなりました。

白獅子まで、わずか1週間。
しかし、人はやり直そうと思えば、遅いときなどないんです。
今この瞬間から、変わることができる。
白獅子に間に合わなくてもいいんです。
彼らが今の状況ではいけないと自覚し、変わろうとする覚悟が大事なんです。
星稜高校の山下監督の言葉。


心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

プレー云々よりも、彼らの普段のココロノモチカタ、取り組み方を変えていくことで、彼らの行動、習慣、人格、運命を変えていきます。
なぜなら、それがプレーに表れるからです。
そして、この考え方は生き方に通じる。
たかがこどものスポ少ですが、今後の生き方に大きく関わってくるはずです。
これは、必ず役に立つ。
試合後のミーティングで、私たち指導者の全員がそう思ってくれたはずです。
子供たちに教えるとはいいますが、実はこういうところで、我々自身のことを見つめ直すきっかけをもらっているんです。
指導者も保護者も、私たち大人も子供たちから学んでいるんです。
子供たちに教える以上、私たち大人もそうであらねばならない。
当たり前のことです。
大人が行動で示し、模範となり、背中で語る。
私もなかなかできていません。
むしろ、駄目な見本の方が多いでしょう。
しかし、せめて大事なところ、人としての部分は、そうありたいと思っています。
100%の聖人君子なんていないし、そんなのクソ面白くもない。
七、八割、もっと言えば、六割くらいでいい、私はそんなスタンスです。
ともかく、大人は、特に親は、子供たちにとって、それが1番わかりやすい、身近なモデルなんです。
子供たちに変われと言っておいて、大人も変わらないなら、説得力に欠けて、絵に描いた餅となるでしょう。
大人が変われば、地域が変わります。
地域が変われば、町が変わる。
たかがスポ少ですが、スポ少ってすごいと思います。
この方針でいけば、いつか、会津の地から、公立高校から甲子園、いけるんじゃないかと密かに思っています。
あのセンバツに言った只見町の只見高校のように。
願わくば、夏の大会、強豪私立をぶち倒して、勝ち上がるところを見てみたい。
ソフトボールが、野球が、町と地域を変えていく。
いいじゃないですか!
まぁ、それは私個人の野望なので、置いておきます。
個人ではとうてい敵わない野望です。個人では。

さて、戻ります。
1回戦で早々に負けたので、二本柳に戻って練習することにしました。
その帰りの道すがら。
ココロノモチカタ、取り組み方を変える。
行動を変える。
子供たちに、どういうふうに言えば、あいさつやキビキビ行動することの大切さがわかるかを運転しながら考えました。
子供たちに教えるからには、シンプルで説得力がなければなりません。
なるほど、そういうことか!とひとりひとりの腑に落ちなければいけない。
頭で納得できないものは、結局のところ、入ってこない、身になりません。
「できる」ということは、なぜそうなるのか?そうせるのか?を頭で考えて解って、
そのうち、考えなくても即座に行動に移せて、
最後はそれを他人に説明できること、
究極には他人に解らせること、指導できること、そしてその「できる、わかる」の仲間を増やしていくこと、そういうことだと思っています。

なぜ、ゴロの捕球の際に右手をグラブの脇に添えるのか?
なぜ、ステップをとりながら捕球するのか?
なぜ、正面で捕るのか?
ゴロの捕球1つとっても、いろんな「なぜ」が出てきます。

その「なぜ」の理由、そうするのかという根拠を知らずに、動くのもいいでしょう。
まず、動け!動いている内に理解しろ!
これも時と場合によって、ありだと思います。
むしろ達人の域に達すれば、こちらなんでしょう。
ブルースリーもそう言ってますから。
しかし、凡人の我々、入門仕立ての子供たちにとって、その理由を解って動くのと、解らずに動くのとでは、定着率に違いがでてきます。

体を動かすのは脳。
体の器官は、脳の電気信号によって動きます。
複雑な動きには、複雑な回路の構築が必要となります。
難しい動きは、いろんな道を通らなくてはいけない。
だから、難しいんです。
いろんなパターンがある。
人は生まれた時から、いろんな場面でそのパターンを学んでいきます。
言葉を話すこともそう、歩くこともそう、食べること、排泄することもそうでしょう。
ほぼ全てのことが、脳の電気信号による命令なんです。
それをいろんなパターンで自分なりに覚えていきます。
何回も何回も繰り返すことで、瞬時に取り出せるようになること。
この動きには、このパターンというショートカットを作ること。
これが、「解る」ということなんだと、私は理解しています。
ツーアウト三塁で、セカンドゴロ、ここは考えなくてもボールはファーストでいい。
その間には、サードランナーがいても、ツーアウトだから一塁でアウトを取れば、相手の得点にはならないという、根拠、理由があります。
最初は解らなくても、何回も何回も繰り返すことで、理屈をいちいち確認しなくても即座に行動に移すことができるようになってきます。

その近道が、まず、頭で理解すること。
これだと思います。
まず、動いてみようではなく、いったん頭で整理してみること、理解してみること。
そこには、法則性や特性があることに気づくでしょう。
これが後に応用力に繋がっていきます。
なぜ、そうなるのか?
なにが、そうさせるのか?
仕組みを知ろうとすること。
どうやったら、効率よく、楽にできるかを常に考える。
地頭の良さというものは、こういうところから育つと思います。脱線しました。

まず、頭でシミュレーションしてみる。
そして、理解したことを、実際に考えて、やってみること。
これを繰り返すうちに、頭が反応し、体が反応する。考えなくても対応できるようになります。
ここまできて、やっと「できる!」ということなんです。
我々が指示しなくても、いろんな状況をふまえて、自分たちで何を優先して動くべきかを考え、チームとして、どのように動くのか?
そして、実際にやってのける。
ここまできて、やっと、「できる!」なんです。

これをふまえて、この大敗を機に、我々が選手たちに解って欲しいこと。
それは、プレー以外の部分もちゃんとやること、これだとみんなが同意しました。
むしろ、これしかない、ここしかない。
こんなチームでも、この前の大会のように、上手くいく場合もある。
勝っているとき、上手くいっているときに、声を出したり、行動を律することができるのは当たり前なんです。 
しかし、今回のように試合の前から、暑さに負け、だらだらの行動、他のチームに挨拶もできない。
試合の前にすでに負けていました。いろんなところが。
そして、負けるべくして負けた。
エラーすべくして、エラーをした。
試合にエラーはつきものですが、私たちが許すのは、準備に準備を重ねた上でのエラーです。
一生懸命にやったエラーは、エラーとは言わず、チャレンジでしょう。
しかし、無策や準備無し、対策無し、不用意なエラーは許しません。
ここは、がっとばしていいところ。
このいろんな準備ができていなかったことを、今大会の最大の反省事項とします。 
まず、プレー云々の前に、選手として、人としてやるべきことをやろう!
その原点に戻ります

自分の道具の準備手入れから始まり、
グランドの入り方あいさつ、用具の出し方、
整列の仕方、綺麗さ、規律、
返事の仕方、集合の機敏さ、他のチームへのあいさつ配慮、話を聞く態度などなど
一見プレーには関係ありませんが、そうではありません。
強いチームは、できています。
これができているから、プレーが上手くなって、強いチームになっていくんです。

私も反省しなくてはいけません。
目先の技術にばかり走ってしまった。
この前の大会で、少しばかり上手くいったために調子に乗りました。
選手たちを増長させて、こんなもんでいいんだ~と思わせてしまった。
試合の負けのすべては監督が負うものです。
誰がなんといおうが、選手たちをそうさせた私の責任なんです。
ここはゆるがない。ゆるいではいけません。
いろんな方法、起用法、サインの種類とタイミング、試合もそうですが、その前のアップ、用具の出し方、片し方などすべては、そうさせた監督、それを許した指揮官である私の責任です。
責任は転換できませんし、してはいけない。
遅れてきて、選手たちを緩くさせたのは私の責任。
私がコーチであったなら、そう思うはずです。
若いコーチたちは、ここを言いたかったんでしょう。
あんたのやり方ではだめだよと。
ありがたい。
ここを言われなくなったら、終わりです。
裸の王様。
そういう指導者も見てきました。
ああはなりたくねぇと思ってやってきた。
私もまだまだ。
しかし、聞く耳と変える覚悟があれば、遅いということはありません。
こういうこと、何回も繰り返しています。
その都度、いい先輩や後輩、指導者、保護者に恵まれています。支えられてきました。 
完璧ではない。
完成されていないから、面白い。
80歳をこえてもまだまだ監督業から離れられない指導者の気持ちがよくわかります。
何度やっても、わからないことだらけ。
だから、面白い。
この次は、こうしよう、ああしようと、尽きない改善策がどんどん出てくる。
この子供たち、保護者、指導者と一緒に続きがみたくなってしまいます。

今回も、次から次へと言葉と考えがあふれてきます。
長い……
一旦切ります!

猛暑猛暑の今日は、田島さんの夢カップに参加させていただきました。
コロナ禍にあっての希少な大会、ありがたいです。しかも、白獅子前の最後の公式大会、あれもこれも試したいと意気込んでのぞみましたが、結果は、りんどうスポ少さんの前に1回戦敗退。
いろいろ試す余裕などなく、ミスにミスを重ねての自滅のオンパレード。
白獅子前に自信をつけるどころが、1:9の大敗で、全く自信をなくしてしまいました。
しかし、これが今の我々高田イーグルスの実力だということです。
弱い。
この前の伊佐須美神社あやめ祭り大会の優勝が夢だったんじゃないかいうくらい、ちぐはぐで、ダメダメ。
ミスを1個で止められない、ミスにミスを重ねる。
ひとりひとりが個人で戦っていて、チームとして機能していませんでした。
当たり前にやるべきことができない。
だから、少しずつ崩れていって修正がきかないところまでいってしまう。
ダムの崩壊を誰も止められず、仲間を、チームを見殺しにするように、指をくわえて見ていることしかできませんでした。

まずは、討ちとったあたり、落下点に入ったセンターが落球。
同じく討ちとったサードゴロが悪送球で回の先頭バッターを出してしまう。
ピッチャーが決めにいったコースをキャッチャーがポロポロ。
決めにかかっているのに捕球ができないので、波に乗りきれないピッチャー。
タッチアウトのタイミングなのに、グラブから落ちるボールが2回。両手でいけよと確認した3回目はアウトにしましたが、片手でした。
あれほど確認した、1,3塁のシフトにピッチャーがサインミス。
飛び出したランナーをランダウンにできず、得点アンド進塁。
ツーアウトからの場面、普通にやればスリーアウトでチェンジの場面なのに、当たり前のプレーができずにスコアリングポジションにランナーを進められる。
きわどいコースは、ボールのコールの連続。
決めにいった球はキャッチャーが捕れずにポロ、捕っていれば、フレーミングが活きて、審判のストライクを引き出せたかもしれない。

攻撃については、消極的な見逃しが多い。
確かに球威はありました。 
だからこそ、早いカウントで仕掛けなければならない。
追い込まれたら、三振覚悟で振りにいくしかないんです。
追い込まれた恐怖と不安で、いつもどおりのタイミングの取り方、スウイングができなくなっていました。
そこにきて、相手ピッチャーは追い込んでいるので気合いが入った球を投げ込んでくる。
そこにきて、余裕がない。
精神が未熟な小学生、特にバッティングに自信がない下位打線は、断然不利になる。
だからこそ、追い込まれる前なんです。
わかっているのに、手が出ない、出せない。
びびってるバッターなんぞ、カモネギです。
ただ突っ立っているマネキンよりも怖くない。
相手のピッチャーというよりは、まず自分の気持ちややるべきことを整理できずに、打席に入っています。
「どうしよ、どうしよ、やばい、やばい……」
こんな精神状態で、打てるわけがありません。

前の大会ではあんなに伸び伸びやっていたのに……
優勝した同じチームとは思えませんでした。
しかし、これも本質。
これが本来の姿。
コインの裏と表、マイナスもプラスもある。
この無様な姿も高田イーグルスなんです。
ここを認めなければなりません。
ここを認めなければ、次に進めません。
何ができて、何ができないか?
できない理由は何か?
足りない要素は何か?
それを克服していくためには、どうしたらいいか?
これがなくては進化はありません。
次に繋がらない。
やっている意味がない。

この敗戦の後、コーチ陣で話し合いました。
その中で、1番の課題は、選手ひとりひとりの自覚、これが見えてこないということ。
さっき言った、落球やエラー、見逃しなどプレー云々の前に、選手がチームの一員として動けていないという結論に達しました。
ソフトボールをやりたいという選手たちのチームではなく、親に言われているから,
このクソ暑い中、連れてこられたモルモットたち。
他のチームから挨拶をもらうのに、こちらからは挨拶を返せない。
整列は、たらたらで、列もそろわず、間隔はまばら、グランド挨拶にいたっては、声を出してるのか出していないのか、わからないぐらい小さく、声もまとまっていない。
道具の準備や後片付けは、言われないとできない。
そして一生懸命にやっているのはいつも同じ人。
何をやるにも、大人たちの指示がないと動けないモルモットたち。
中には自分で考えて動いている選手たちもいますが、ほかの選手に指示を出すところまで言っていない。
だから、毎回同じメンバーがグランド整備をしています。
正直者が馬鹿を見ている。
その正直者を見て見ぬ振りをしている。
仲間を見殺しにしているのと同じです。 
その兆候は、今大会の随所に見られます。
ピンチの時に、孤独になって落ち込んでいるピッチャーに誰も声をかけない。
エラーをして落ち込んでいる選手に誰も声をかけない。
打てなくて見逃し三振をしても、ため息しか出ない。
ベンチにいて、どんどん泥沼にハマっていくのがわかりました。
何とかして是正を試みますが、ひとりひとりを動かして、波に持って行くところまでいきません。
試合の大きな流れが相手チームに傾いています。
それを黙って指をくわえて見ている。
ため息連発、完全に敗北の大合唱をBGMにしています。
こうなると、打つ手がない。
気合いでどうにかなる、レベルではありません。
過去の経験から、こういう時は耐えるしかない。
耐えて耐えて必死に食らいついて、僅差を保って追いかけてるしかありません。
そうであっても、こうなると自分から崩れることの方が多いです。
劣勢の中、平静を保つというのは、やはり難しいものです。
ここをなんとか乗り越えると、再びチャンスの神様はこちらに舞い降りてくれる、時もありました。
しかし、そうはならなかった。
そうならなかった理由。
相手に主導権を渡してしまった最大の理由は、当たり前のことを当たり前にできなかったからです。
小さいことなんです。
その小さいことをおろそかにした。
おごり、慢心、なぁなぁ感、そういう小さなほころびを自分で修正できなかった。
いろんな意味で、お前たちはまだまだ、ヘタレのチームなんだということを思い知らされました。
身から出たさび。
だからといって座して待つつもりは毛等もありません。
これが、白獅子でなくて良かった。
それが不幸中の幸いでした。
この敗戦を糧としなければ、進化はありません。
高田イーグルスは変わらなければならない。
ここから、挽回しなければならない。

さて、我々に何が足りなかったのか?
ここからどうしていけばいいのか?

それは、次回。
この大会は、選手たちのいろんな成長を確認できることができました。
あぁ~、こいつら分かってきたな!
こいつら、うまくなったなぁ~と思える
こういうところなんですよね~。
指導者として感動するのは!

その最たる現象、まさに怪奇現象なんですが、見れました。
それが、キヒトの公式戦初ヒットです。
そして、初盗塁。
最後には、貴重な先制点のランナーとなって帰ってくる。
あの、なにをやっても、わけのわからなかった奴がですよ。
いまや、ベースの上て、私と指さしで会話ができるんてすから驚きです。

柳津さんのエースから鋭い打球をセンター前に放ち、全力で一塁に駆け抜ける。
少し差し込まれていましたが、思い切り振った分、負けませんでした。
完璧とはいわないまでも、キヒトのバットの感触は、芯で捉えたときの、あの感覚が残っていることでしょう。
あの感覚は、野球やソフトボールをやった人でなければわかりません。
あれは、気持ちいい。
モノをぶったたいた時、真芯に当たると軽いと言う感覚。
物理的な法則からしても、作用反作用がゼロに限りなく近い時に起こる現象だと思います。
あの感覚を自分の人生の一部にできること、それだけでも野球をやる価値があります。

キヒトの放ったボールはピッチャーとショートの間を抜いてセンターへのクリーンヒット。
これが、キヒトの試合という場面で、人生での初ヒットになります。
私たちはこういう場面に幾度となく接しています。
初打席、初ヒットに初ホームラン。
いいことばかりではなく、初エラー、初三振、初サヨナラ負け。
いろんな初ものに出くわしますが、本人にとっての大事な場面を一緒に経験できるのは、それを残像としてハードディスクに残すことができることは、指導者冥利に尽きるでしょう。
うれしい。
なぜなら、そうなることを狙って練習を積んできたからです。
ひとりひとり、フォームやタイミングの取り方、パワーやスウイングスピード、角度、いろんな要素が違ってくる中、1番伝わりやすい言葉を選んで、効果的にアドバイスを気の遠くなるほど続けてきた。
その効果がグランドで花開くのです。
そして選手の笑顔も花開く。
おそらくというか、絶対に保護者も笑顔になる。
そういう瞬間がスポ少なんです。
そこは自己満足でいい。
スポ少なんて自己満足の集合体なんですから!

キヒトはガッツポーズなんてするガラではありません。
塁上でも何が起きたか、まだ整理がつかない様子ですが、手に残る感覚、なんか喜んでいるベンチ、そしてアウトにならずにファーストにいる自分。
じわじわきたことでしょう。
しかし、すかさず私はサインを送ります。
キヒト動かず……
あの、タコスケが!
そうこうしているうちにバッターはツーストライクに追い込まれました。
そこで、人差し指をセカンドに私は向けます。
キヒト、走れ!と。
ようやくわかった様子。
走るという意味、盗塁という意味がわかったようです。
キヒトは見事なスライディングで、セカンドを陥れました。
おぉ~スライディングもできるようになったのか!
そして隙を見て、サードも陥れる。
おぉ~、そんなことまでできるようになったのか!
キヒトの成長を感じます。
あのヤロー、感動させやがって!
よくここまで成長したな……
また涙腺が……

その後、キヒトはパスボールの間に、抜群のスタートを切って、またまたスライディングでホームに滑り込み、セーフ。
これが大きな大きな先制点となりました。
キヒトをはじめ、選手ひとりひとりの小さな成長が、チームとしての高田イーグルスを少しずつ成長させています。
今、ここにきて、それを実感しています。

ホームベースに生還したキヒトは、みんなからの祝福を受けます。
「ナイスッ!」「良くやった!」「すげぇな~!」
キヒトも仲間も笑顔になる。
こういうところで、自己肯定感が育つんです。
私たち指導者たちも、間違ってなかったなと安心できます。
あのヒットをみて、ニヤつかなかったコーチはいないでしょう。
あのヤロー、やりやがったな!
罵声で褒める。

塁上のキヒト。
何より、俺はここでやっていける!
そういう自信が育つんです。
そして、認められる自分が楽しい。
いままでいろんな意味で家族や学校に守られてきた。
しかし、スポ少といえど、勝負の世界です。
スポ少という小さい世界ではありますが、子供たちにとっては、最初に触れる社会という大海であり、荒波だと私は思います。
その荒波を制した。
俺はやれる!
お前ならやれる!
自分にも仲間にも、そして家族以外の大人にもはじめて認められる。
彼らにとっての大きな一歩。
それが、生きるチカラ、ですね。
ひとりひとりのそのチカラが、高田イーグルスにも勢いをもたらします。成長をもたらします。
確かに、自分たちが強くなっていることを実感している。
相変わらず、キヒトはすっとぼけています。
人類史上、はじめて月面に降り立ったアームストロング船長風に言えば、
たった一本のヒット。
しかし、今回のキヒトのヒットは、高田イーグルスにとっても大きな一歩となりました。

この伊佐須美神社あやめ祭り大会、
いくつか課題を持ってのぞみました。

そのひとつが、バントです。
打線は水物と言われる中、このバントだけは訓練次第で一定の効果を発揮してくれます。
いままで幾度となく、強豪チームを見てきましたが、そういうチームは大事なところで一発でバントを決めてきます。
きっちり、のどもとに匕首(あいくち)をつきつけてきます。
スコアリングポジションにランナーを確実に送ってくるということです。

さらに言えば、絶対的な投球のエースを崩す手段としもバントを駆使してくる。
全国大会にいく前の年の、秋の新人戦県大会、あづま総合グランド。
釜子スポ少さんを相手に、高田イーグルスの前身である、美里イーグルスとして初出場した戦いでした。
この後、釜子さんは、この新人戦を制して全国大会にいくことになります。
この時、美里イーグルスには、のちに絶対的エースとなるコウダイが君臨していました。
互いに譲らず、均衡する展開。
試合は、スコアレスで終盤へ。
釜子さんは、コウダイを打てないと見ると、下位打線はバントに切り替えてきました。
そして、二死三塁の場面、ツーストライクスリーボールと追い込んだ場面で、まさかのスクイズ。
この攻撃、想定していませんでした。
会津では、まずない。
それに対応する練習もしていませんが、フィールディングがいいコウダイも反応しますが、どうしても半歩遅れる。
ファースト、セーフとなり待望の1点。
これが決勝点となり、美里イーグルスは敗れます。
二死三塁、ツーストライクスリーボールから、スクイズ。
こんな攻撃ってありかあ~と思わせますが、釜子さんは通常通りのサインプレーだったようです。
この練習をしてきている。
だからこそ、三塁ランナーも反応してスタートを切っている。
バッターも、あの低いコウダイの決め球をキッチリ、セーフティ気味に決めて、ファーストに全力疾走。
この場面、我々美里イーグルスの方が絶対的に有利だった。
釜子さんに唯一、有利だと言う点は、次がかなりの確率でストライクだという一点のみ。
いいピッチャーだというコウダイの強みを逆に突いてくる攻撃。
これを見たとき、私たちは「世の中の蛙、大海を知らず」だと思いました。
そして、このたった一点で負けた。
最少得点だけれども、限りなく遠い一点。この一点に泣きました。
(しかし、この世代は、もう一回そういう場面に全国大会で遭遇します。それは、またいつか。)

私がここでいいたいのは、バントという作戦の安定性と確実性です。
どんなに球が速くても次にストライクがくるとわかっていれば、成功する確率は高くなります。
そして成功率は練習すればするほど上がる。
バントだけでは勝てないでしょうが、バントができれば、攻撃の幅は格段に広がります。
守る側も、対応する選択肢が増える分、エラーの確率が上がります。
そして強いチームほど、きっちりバントを決めてくる。
バントは練習すればするほどと言いましたが、センスも必要だと思います。
そして、1番必要なのは、必ず決めるという覚悟と準備、これだと思います。
センスがあるということは、覚悟と準備が整っていることだと私は思っています。
びびってないんですよ。
速く強い球にもアジャストして、きっちり勢いも殺す。
いとも簡単にやってるように見えるんですよねえ、上手い奴にかかると。
そしてセンスの原料、覚悟と準備は、ふだんのココロノモチカタで変えられると思っています。
生まれ持っての才能ではありません。
後付けできる才能、それがバントだと思っています。
凡人が努力とココロノモチカタ次第で踏み入れることができる神の領域。
それは努力次第で達することができる不可能ではない才能。
あのコウダイを擁した美里イーグルスでさえ、あのバントの前にやぶれました。
ちなみにコウダイはこの後、その年の総体県大会の予選から全国大会で敗れるまで、自身のパスボールの1点しか取られていません。
そんだけすごいやつでも、バントの前に敗れることがある。
あの夏も蒸し暑い夏でした。
そんな強大な竜を倒す、1個の剣、ドラゴンスレヤーのごとく、バントは強者も打ち破る武器となり得るのです。

現代にもどります。
そのバントのチカラを試すべく、今回の大会はバントを出し続けました。
本番でも、バントのサインが想定されるメンバーに対してです。 
アユキ、チヒロ、ユウシン、カナト、そしてアオト。アユキ、チヒロ、ユウシンあたりは、自分に与えられた役割をわかっているようです。
アユキは、スリーバントのサインの時でさえ、冷静に対処していました。
失敗はしましたが、自分が生きるようサード線を狙っていました。右ひじがあがるのが気になります。
チヒロもギリギリまで引きつけていた。
ユウシンも生きるバント。
カナトは……ノリノリなんですが、できる気がしない・・・1から頑張りましょう。

そしてアオト。
二塁にアユキをおいて、ツーアウトの場面。
普通なら打たせる場面です。
しかし、私は次の白獅子を見すえて、あえてバントのサイン。
こういう場面が来るかもしれません。
そのシミュレーションをしておこうと思いました。
よし!バントだ!
アオト本人は、目を大きく見開いて、3回くらい確認しました。
以下アオトは身振りで話します。
アオトの言葉は私の想像です。
「この場面で俺にバントをだすの?(打たせてよ~)」
私は黙って、サインを送ります。
「ほんと?(俺に打たせてよ~)」
黙って、再度サインを出します。
「まじで?」
黙って、何回もサインを出しまくります。
「えー↓」
ため息が見えました。
ようやく、覚悟を決めたらしく、アオトはサードとピッチャーの間にバントを決めます。
抜群のスタートをきっていたアユキ。
サードコーチャーの指示が良かったんでしょうね。
アオトもセーフになり、アユキはホームに突入してセーフ。
図らずも近江高校を破った金足農業のツーランスクイズのような形になりました。
これが、相手を崩す一手、終盤の貴重な追加点となり、新鶴さんを破っての優勝となりました。

不本意ながらも、きっちりバントを決めてくるアオト。
たいした奴だと感心していましたが、なんか様子がおかしい。
試合後本人は泣いていました。
うれし涙ではないようです。
コーチがフォローしていました。
私は、バントをさせられた不満の涙だと捉えました。
なんで俺に打たせないんだ~。ウタセテッテ言ったのに~。
打たせなかった、悔しさからの涙。
不本意。敬遠を指示された、ジャイアンツ時代の上原を思い出しました。
スポ少にもこういうガッツのある、昭和の子どもみたいな子もいるんですねぇ~。
だから、スポ少は面白い。
打たせろと泣いた選手は初めてです。
私に対する当てつけもあったでしょう。
しかし、フォローする気はありません。
ここは、恨まれてもいい。
チームが優勝した。それを喜べない。
そのぐらいで泣いているようであれば、アオトの心のダムは、その浅さしかないということ。
それまでのことです。
私も経験ありますが、男の子は、そういう時は放っておいた方が良いんです。
逆にフォローすると、かえって荒れたりしてめんどくさい。放置の一点です。
自分でもどうしていいかわからない涙なんですから。

しかし、私はわかっていました。
アオトが、また全力の笑顔でグランドに戻ってくることを。
時と場合によりますが、泣きたいときは泣いたらいいんです。
次の練習の際に、「あん時はアオトは逆ギレして泣いてたもんなぁ?」といじると、アオトはキッパリ言いました。
「あれは、打てなかった自分に悔しくて泣いた!」
まったく引きずっていない。
ちゃんと気持ちを整理してきた。
こういう竹を割ったような奴なんです。
つまづいた瞬間、ちょっと悔しがりますが、すぐに立ち上がって次を見すえる目は真っ直ぐ前を見る。
高田イーグルスは、彼の真っ直ぐな声を道しるべ
に進むことでしょう。
だからこそ、私は彼に1番を任せます!





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