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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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コンテナに満杯に入るソフトボールが、約40球、
そのコンテナが2つで、80球、それを4セットで、320球、その一連の流れが2セットで、640球。
1時間半、90分で投げました。90分は5400秒。約8秒に1球を投げ込んでいます。
土曜日は、約12人いたので、約60球の打撃練習ができたことになります。
そして、次の日は、美里親善大会を3試合戦った後、6年生選抜を相手に、約400球を投げる。
二日で1,000球。
高校球児だった時も、こんなに投げたことはありません。
自分でも思います。
なぜ、ここまでやるんだろうと、なぜここまでできるんだろうと。

さすがに疲れました。
全身が痛いという悲鳴。
軸足となる右足の裏も、まめができて、それが潰れて、痛い。
びっこをひいて歩いています。
久しぶりにこんなに投げました。
投げに投げた。
そして、打ちまくる選手たち。

今日の課題は速球対策、速球に負けないで、振り切る練習。
なにより、速球にびびらないで、トップを早く作って、タイミングを早めにとる練習です。
いわば、感覚を研ぎ澄ます練習です。
動体視力と精密機械のような正確なスウィング、これを鍛えていくには、打って打って打ちまくるのが1番いいと思います。

その練習の中、ひとりひとりの打ち方をつぶさに観察します。
この子にとって、どんな打ち方が1番いいのかをイメージしながら、私はいろんなコースをついていきます。
マシーンでは、ここまで考えながら効率よくはできません。
なので、自分で投げることで、確認していくしかない。
この前の試合で、打てなかったコースを重点的にいくタイプ。
そもそもの振りや待ちを直していくタイプ。
加えて、ストライクとボールの見極めも実戦していきます。

これは、私と選手たちとの会話です。
ソフトボールを通しての会話。

ん?お前はこのコースが打てないな?
そんじぁ、もっとここをこうしたらいいんじゃないか?
タイミングを早くとるということは、トップを早くとるということ、だから、ピッチャーとシンクロして、フォームに入ることを意識しろ!
打つ前から力がガチガチに入っている。
インパクトの瞬間だけ、力があればいいぞ!
迷うな、コースを決めて、振り切れ!
レベルも筋力も選球眼さえ、ひとりひとり違います。
毎日のコンディションさえ、変わってくる。
これが正解という答えなどないんです。
そんな中でも、その子のもつ、可能性の確率を少しでもあげるために練習しています。
積み上げてきています。
ただ、それがいい結果になるとは限りません。
どれだけ練習しても、どれだけ積み上げてきても、非情にも打てない時はある。
非情にもエラーをしてしまう時はあります。
そしてそれは、どれだけ後悔しても取り返しのつかないものとなる。
その子がベンチに戻ってくる時の、この世の終わりかのような、がっかりして、おちこんだ顔。
元気なくベンチに座り、周りも気を使って声もかけません。
仲間とベンチに一緒にいるのに感じてしまう孤独と後悔。中には泣き出してしまう子もいます。
私は、これまで何度もそういう光景を見てきました。
正面切ってみるのではなく、目線の切れ端で見つめてきました。
あえて声はかけません。
私だったら、声をかけて欲しくないからです。
まして、惜しかったぞ、なんても言って欲しくありません。
ミスはミス、ひとりにしてくれと思う。
俺は何をやってんだと、落ち込みます。
ただ、次の瞬間から、あの時はどうすれば良かったかを考えます。
いつまでも、落ち込んでられません。
そして、こんな思いは二度としたくないと思う。
そうだとすると、どうすれば、ミスをしなかったのかを考えます。
あの時、どうすれば良かったか?

それを克服していくのが毎回の練習です。
そして、今回の1000球の打撃練習に繋がります。
小学生相手に、小難しい打撃理論などかましても何人理解できるでしょうか?
大まかな打撃理論を教えたとしても、やはり最後は実戦形式で、打つのみ。
感覚で覚えていく。理論はそれを補強するものだと思います。理屈は後から、あぁこういうことかと分かってくれればいい。
最初はぜんぜん打てなかった子供たちが、少しずつ快音を操るようになります。
そして、少しずつ自信を持ち始めます。
よし、打てる!打てるぞ!と楽しささえ感じるようになる。

私たち指導者は、それが見たいんです。
少なくとも、私は見たい。
冒頭に、なぜ1000球も投げこむのか?と自分に問いましたが、答えはとっくに出てるんですよね。
彼らが、どこまでいくのか?を見届けたい。
彼が、どんな風に打つのか、どんな風に成長していくのかを見てみたい。
少年ジャンプで掲載していた『ルーキーズ』の川藤先生のように、「お前らは俺の夢だ!」なんてことは恥ずかしくて言えませんが、選手たちの成長を見届けたいという点では、保護者の次に、我々指導者がくるでしょう。
その意味では、選手たち、子供たち、私たちの到達点=夢なんだと思います。
夢は目標にも置き換えられます。
夢があるから、人はがんばることができる。夢とは、人が思い描く、いいイメージです。
キヒトが弾丸ライナーのホームランをかっ飛ばし、チヒロが左中間を切り裂き、カナトが右中間をつらぬく。
その姿を見て、飛び上がってガッツポーズをしたい。
それが我々の夢。私の夢。
美里親善大会でも、カナトのジャンピングキャッチのゲッツーがありましたね。
ああいうファインプレーを時折、野球の神様が見せくれる。
白獅子の三者連続ホームランもそうです。
人の想いがカタチになる瞬間に立ち会える。
それも一番近くで。
だから、私は1000球も投げることができるんです。
それは、他の指導者も、他のチームの指導者も同じでしょう。
みんな夢に、ほだされている。
そして、それを良しとしている。
大いなる、ただの自己満足。
そのせいで、三日たった今も体に痛さが残っています。
それを心地よい痛さとしていることに満足している自分に気づく。
こういう生き方があってもいいぜと、自分との会話。
そしてまた、今日も投げ続けます。
高田イーグルスの全ての子供たちに向けて、
「夢にときめけ、明日にきらめけ!」と、こころの中で叫びながら。
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センスは磨くもの、才能は開花させるもの。
青葉城西の及川君の名言です。
どうしても勝つことができない相手を前にして、可能性があるのに諦めるのかと問う、指導者。
彼は気づきます。
誰を相手にしても、一生センスは磨いていくものだし、その結果が上手くいった時に、センスの意味が後からついてくる。
迷いのない及川君は強い。
ハイキュー!!の言葉は、端的でわかりやすく、語呂もいいんですよね。

「センス」の話です。
ひとくくりに「センス」といってもいろいろあります。
だいたいは、たいしてやってないのに、いきなり上手いとか、難しい打球やコースに反応しているときに使います。 
生まれ持ってのものと理解していましたが、そうではありませんでした。
センスは、一生かかって磨いていくものなんです。
センスなんぞは、今からでも獲得できる!
まだまだ下手くそ軍団の高田イーグルスの面々を見ているとつくづくそう思います。
最近、特に上手くなってきているのが、ハルト。
特に守備に堅実性、センスを感じるようになってきました。

ゴロに入るタイミングが良くなってきた。 
←どのバウンドのどこの位置で捕るかを考えて、一番捕りやすいところへ動いています。考えるというか、自然と反応するといったほうがいいでしょうか?この位置取りのための動き、ここに私はセンスを感じます。そして、それは先天的なものではなく、後付けで身に着けることができる。

捕球直前、グローブのすぐそばに「添え手」が見えます。 
←正面付近に限った話ですが、両手でとることで、シングルキャッチの不確実性を払拭し、次に投げる体勢への移行、ステップのスムーズな動きが見られるようになってきました。
まだまだ、アユキには負けますが、俗に言う「流れるような動き」に繋がっています。
なので安定した送球体勢ができている。よって、サードからもきちんとした送球ができています。結果、強肩が活きる。捕ってからのスピードがまだまだですが、通常のゴロならば、安心できる域まできています。

捕球姿勢の安定性。 
←捕球の姿勢がいいんです。強いゴロにも、負けない、ぶれない捕球姿勢。
しっかりと、足のひら、指全体でグランドをつかんでいます。
私は、特に足の親指から付け根の部分のグリップ力が大事だと思います。
バランスがいいんですよね。捕った時もふらふらしない。
反対に、これがまだまだできてていないのは、レント、チヒロ、キヒト、カナト、ゼンジ、ミソラ・・・ほとんどですね。みんな良くはなってきましたが、まだまだです。追いついているのに、落としてしまう。グローブに入れたのにこぼれてしまう。それはこの安定性の欠如が原因です。
ひるがえって、ふたたびハルト。
グローブを出すタイミング、位置もそうですが、体の芯、体幹が安定してきたということだと思います。体幹を駆使して、一番強い土台を作って捕っている。体幹は、すべての動きに連結します。頭で思い浮かべた動きが精密機械のようにできるかということです。大きな筋肉を動かす、ハンドルのような役目が体幹となり、動きの精密さをつかさどります。
体幹の強さ、これは、うれしい副作用をもたらします。ハルトのピッチングのコントロールの向上にもつながっています。これは、いずれバッティングにもいい影響を及ぼすはずです。

キリスト強のマタイさんも言ってますよ。
「求めよ。さらば与えられん。」と。
上手くなりたい。強くなりたいと思うことは、同時にどうすればいいかを考えること。
脳と体をフルに使うことで、心身ともに成長していきます。
彼の貪欲な向上心が実を結んでいます。
ほかにもありますが、ハルトの構成ファクターが少しずつ課題を克服していきます。
それが、相乗効果を発揮しています。すべてがいい方向に繋がっていく。
今のハルトは、ソフトボールが面白くてしかたないでしょうねぇ~。
おぉ!上手くなってきたな!と我々に思わせます。
自分が、できる!という自信で満たされていく。
この先、何十年も役に立つであろう自己肯定。そのの足場がどんどん形成されていっているはずです。
それが楽しいということです。
好きこそもののに繋がっていきます。
そして、それはさらなる向上を渇望する。
もっと上手くなりたい、もっと強くなりたいと思う。
それはハルトだけではありません。
この前の柳津戦で、見事なリリーフを見せたゼンジ。
まだまだ育成段階ながら、マウンド経験豊富なレント。
外野を争うマナトとソウスケ。
ブルペンエースを返上したいヒカル。
チームの中に、競争がうまれています。いい傾向です。よどんだ水は腐るのみ。
変化や流れがなければ、進化はありません。
そして、このハルトの成長をみて、まわりがどう思うか?
私はここに期待したい。
チームメイトであっても、仲間であっても、人間はその人に勝ちたいもの。
いままでの子どもたちもそうでしたが、私は、やつらがグランドの中で、何かを確信して、ニヤっと笑う場面が好きです。
今の高田イーグルスの面々のそういう場面、見てみたいものです。
この秋、彼ら、彼女らの成長が、願わくば結果となって表れてくれることを期待せずにはいられません。

お盆があけました。
我が高田イーグルスの練習も再開されました。
二本柳グランドに選手たちの生きのいい声が響き渡ります。
やっぱ、これですよね。
枝豆にビールと同じ。
二本柳には、高田イーグルス。
これです。


白獅子会津予選が終わって、はや一ヶ月がたちました。あの時みんなで話し合った事は、なかなかできていませんが、少しずつでも積み上げていきたいと思っています。
少しずつでも、やめないで、積み上げていくこと、これが大事なんだと思います。

選手たちもそれぞれ課題を抱えています。
今日金曜日はバッテリー中心の練習でした。
フォーム改造に一生懸命なミソラ。
がむしゃらに投げまくるレント。
メキメキと上手くなっているゼンジとハルト。
プレーの精度を上げているアオト。
おっかないピッチャーの球を受け続けるトウマ。
そして、私が注目したのは、黙々と黙々と黙々と投げるヒカルです。 

彼は純粋に100%ピッチャー、混じりっけ無しにピッチャーをやりたい男です。 
なので、投げろと言われれば、夜がくるまで、いや朝になるまで投げ続ける男でしょう。
いろんなアドバイスをしますが、わかっているのかわかっていないのか、わからない。
しかし、上手くいかないとそのアドバイスを受け入れて、やってみる様子。
それがいいとなると、やろうとする姿勢は見えます。
ですが、それが合わないと感じるやいなや、すぐにぶん投げます。
少し前にしたアドバイスを受けた動作もすぐにはもとに戻ってしまいます。
なかなか手強い選手です。
そこが面白い!そこが面白いんです。

今日もブルペンでは、バンバンストライクを投げ込んでいます。
スピンの聞いたスライドする癖のある球。
投げてる本人も気持ち良さそうです。 
黙々ながら、ドヤ顔なんです。
間違いなく、ブルペンではエースです。
これが、試合でできたなら……
これが、マウンドでできたなら……

ヒカルの課題は、実戦です。
実際にバッターが入ると、ブルペンでのコントロールを失ってしまいます。
練習とは、試合でうまくできるためにやるものです。
それができない。
何が問題なんでしょう?
おそらく、メンタル的な部分だと我々は分析しています。
いや、絶対メンタル。
だって、違うところ、ブルペンではエースの投球ができるんですから。
それが他の場所ではできないなんて。
何か理由がある。
我々にできることは、ヒカルと一緒に考えて、ひとつひとつの可能性を試していくことです。
いろんな可能性があります。
プレートをつかう。
ルーティンを変える。
フォームを変える。
どうやれば、ヒカルがマウンドで自身の光を取り戻すか?
面白いじゃないですか!
正解がわからない。
教科書は当てになりません。
スポ少の期間中にたどりつけるかどうかもわかりません。 
しかし、私は面白いと感じます。
ヒカルをはじめ、選手のみんなが何かしらの課題を抱えています。
そのひとつひとつに向き合うこと、これが私たちのライフワークです。
これが、解決したときの選手の笑顔、お母さんお父さんの笑顔をみて、みんなでバカ騒ぎをするのが楽しいんです。

ヒカルは、いい球を投げる。
それをみんなに知らしめたい。
そして、黙々と投げてもいいから、マウンドでとびきりの笑顔を光らせたい。
そのために私達は、今日も二本柳グランドに長い影をおとしながら、長い長い助走をみんなで走り続けます。

マイナスの言葉と言う毒。
ちょっと前に似たようなタイトルで、「ため息という毒」を書いたばかりでした。
そして、今日の練習でも毒を吐きまくっている三人がいました。

コタロー あっ!やばい、無理だ。

タイチ あーもぅ負ける。だめだ負ける。

マナト (何も言わずに憮然とした表情)

この三人に共通するのは、マイナスの姿勢です。
それを言葉や態度に出してしまう。
多くの人が、気分を害し、なんだこいつは!と思ったはずです。 
ミスがあっても、みんなが前向きに進もうとしているのに、ブレーキを踏む奴。ブレーキどころか、反対向きに進み、チームを地獄の底に落とそうとしている。この胸くその悪さ。
ベクトルが同じ方向を向かない。
気持ちよくありません。
ぜんぜん、面白くならない。

今日の練習、美里イーグルス対高田スポ少の紅白戦では、特にそれが目立ちました。
試合は途中まで均衡のいい試合。
面白くなるなと思っていると、ミスが連続し始めます。ミスがミスを呼ぶ連鎖。
おめぇのせぃだという他人まかせな悪い空気が出始めてきました。
そして、この状況に誰も立ち向かおうとしません。どうしていいかわからないと言った方がいいのか。
敗北という滝つぼに追い落とそうと迫りくる流れに、くさびのごとく立ち止まって、周りの選手を鼓舞し、ダムのように食い止めようとする奴がでてきません。
流れにのまれるばかり。
前の三人は、踏みとどまる立場の6年生。
プレーでも下級生をカバーしてやらなければいけませんが、さらにミスを重ねる。 
特にタイチがひどかった。 
あぁ~もう!だめだ!負けた。無理だ。 
猛毒をはきまくります。
タイチのマイナスの毒が高田スポ少のみんなに伝染していきます。
高田単独チームがいっきに瓦解していきます。
単純なミスが連発。メンタルの弱さを露呈します。
みんなのチカラがひとつに合わさらない。
下級生は右往左往するばかり。殴られるままのサンドバッグ。
こうなると、誰も止めることができなくなります。
そこも現状のこの高田イーグルスの弱さのひとつなんだと思います。
大人になった今ならば、流される方が楽だともわかります。
しかし、そうではないでしょう。
平和な日本だからこそ、抗うことも必要です。
楽な、簡単な道を安易に選ぶな。 


さて、どうしますかね。
以前の私ならば、がっとばして帰らせるでしょうね。
そんでしばらくスポ少自体をやらせない。
これもひとつの案です。
実際、旭スポ少の時代は帰らせました。
それがその子のためだと思って泣かせていました。

しかし、今の私はその道を取りません。
大人の強権を使っても響く奴と、響かない逆効果の奴がいることに気づいたからです。
みんな、そんなに強くない。
千尋の谷に落とした獅子が全員這い上がってくるとは限らないのです。
むしろ、弱い。もろい、壊れやすい。
だからこそ違うアプローチをします。
私は谷の上で待ちません。
谷底に落ちていって、一緒に登ります。
全員を助けたい。
がっばすと、自分も面白くないんですよね。
私にはそういうのが合わないんでしょうね。
ここぞという時にきちんと叱るとことも大事です。
合うとか合わないとかではなくて、叱るときはきちんと叱らないといけない状況もあります。
そういう時に毅然と叱ることができる人はすごいなぁと思います。
強くていい。むしろ強すぎていい。刺さらないと意味がないんです。そういう強さ、プレッシャーは、その子をきちんと見てる暖かさだとも思います。
その時は、わからなくてもいつか必ずわかってくれると私は思います。
その強めの指導が有効な時もある。
どちらがいいとか悪いとかじゃないんです。
いろんなタイプの指導があってもいい。
そうだとしても、今の私はその道を通りません。
だからこそ、違う道をいきます。
いっきにいけなくても、毎日毎日、少しずつ少しずつ水が地下に浸透していくように言い続けます。
長いスパンと根気のいる付き合いになります。
それが今の私のやり方です。

なかなか、その子たちの奥まで入っていかないんですよね。
マイナスの言葉をはくな!と言っても中々やめられない。
染みついているんですよね。
こころの繊維の奥の奥まで染みついている。
私は、そうなる理由が必ずあるはずだと思っています。
その理由、原因をとりのぞかないかぎり、その子たちからマイナスの言葉の毒は、根本からとれないと思います。


1番いいのは、そんな悪い空気の負け試合から逆転して勝つことです。
実際に経験させてやるのがなんと言っても1番です。
タイチをはじめ、マイナス思考ブラザーズはそういう成功体験をしていません。ミスや凡打が続いて、負けそうになる悪い空気を変えていくことを知りません。ミスるとすぐに、投げ出してしまう。
その負け犬根性が染みついているんです。
負け犬根性をはるかに凌駕する成功体験で、上書きするのが1番の治療です。

しかし、そんな逆転勝ちの場面は中々巡ってきません。
チャンスは準備された心に降り立つ。
それはキセキも同じです。
キセキは、信じる者のみにおこる。
それを実際に経験させてやりたいなと思います。
あきらめないこころを最後の最後まで持ち続けること。
そんな純真さがあってもいいじゃないですか!
なにかを信じることができる大人になって欲しいと思います。
それをスポ少の中から彼らのこころに植え付けたいと思います。
いったんは下を向いてもいい。
だけど、なんとか持ち直して、這い上がってこい!
チームの橋頭堡たれ。
隣にいる倒れた仲間に肩をかせ。
流れに持って行かれそうな仲間の手を握れ!
敗北の嵐に飲み込まれそうになっても、みんなで声を出して抗え!かき消せ!
タイチの中にある煉獄さんを見せて欲しい。
三人がそうなったとき、高田イーグルスはもう一段上に進むことができるでしょう。

練習後に3人を呼び出して、約束させました。
打倒マイナス三原則。
マイナスの言葉をはかない、
(憮然とした態度)みせない、
(試合を最後まで)あきらめない。
彼らにどれほど響いたかは、わかりません。
おそらく、この後も彼らはマイナスの言葉を言うでしょう。そう簡単には直らない。
そうであっても、私は言い続けて、待ちます。
彼ら自身が、自分の行動を正し、マイナス思考を打ち破った先にある世界に進むことを。

人に言われて気づくよりも、自分で考えて気づくこと。中から変わること。
ピンチのときの考え方、
心の持ち方を自分なりに考える練習がスポ少なんです。
それこそ、今後我々指導者がいなくなっても、自分で立って、考えて行動できる人間への第一歩です。


葦(あし)という、弱い植物があります。
パスカルという偉い学者は、人間をその葦にみたてました。彼はこう言いました。

人間は一本の葦にすぎず自然のなかで最も弱いものである。
だがそれは考える葦である。

人はおろかで、もろく、弱い。
弱くて、もろくて、できなくていいんです。
弱さをまず認めましょう。
認めた上で、悲観者、傍観者ではなく行動に移す。
数ミリずつでもいいから前に進みましょう。
それを「マイナス思考ブラザーズ」と一緒に歩んでいきます。


人が成長していく姿をみるのはいいものです。
取り組む姿勢や表情が変わる。
何より、顔、目が変わってきます。

子供たちは、春先に比べて、はるかに成長しています。
それが保護者にもわかる。
そして、子供たち自身にもわかる。
だからこそ、今イーグルスは次のステップに進もうとします。

「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている。」

NHKドラマ、司馬遼太郎『坂の上の雲』の冒頭の渡辺謙さんの言葉です。

今日のナイター練習でもいいました。
おまえたちは、ひとつ上のレベルに行こうとしている。
強いチームに勝とうとしている。 
勝負の厳しさが
今、それだけ上手くなっている。
今、おまえらはそれができる!
だから、練習方法を変える。
もっと強くなるための練習する。
いろんなピンチ、厳しい状況を想定しての守備練習中心でいく、と。

彼らの顔がピリッと引き締まるのが、わかりました。
いいじゃないですか!
やってやる!というやる気に満ちた顔になりました。
こういうのが、スポーツのいいところです。
技術の向上は、モチベーションアップによって加速されます。
やる気スイッチですね。
そして、懸命に上手くなろうと努力する。
そこに、結果がついてくれた時、
子供たち真底、「やれば、できるんだ!」と思えるんじゃないでしょうか?
そして、そういう世の中を信じようとする人間になると私は思います。
どうせ、できない⤵
どうせ、やったって負ける⤵
どうせ、やっても無駄⤵
タイチがよく口にするマイナスの言葉。
マイナスの言葉は、発するだけで自分と周りを毒します。
うがった見方しかできない人間なんて、面白くないし、一緒にいても楽しくはならないでしょう。
そうはならないで欲しい。
かっこよくない。
それでは、女の子にもてません。
世の中、上手くいかないときの方が多いかもしれない。
だけど、子供の時の小さな成功体験が、その後の彼らの生き方を支えるかもしれません。
事実、中学3年の中体連最終回1:9から逆転サヨナラホームスチールで勝った経験をもつ私は、そういうミラクルに少なからず背中を支えてもらってます。

今の6年生。
コロナでいろんなことができなくなっている中、ちゃんと成長しています。
そしてそれは自他共に認める結果に結びつつある。

そうなると気づくことがあります。
6年生の返事が良くなってきました。
「ハイっ!」太く短い、ここちいい返事。
タイチの声はよく通ります。
良くと悪くも影響力がある男なんです。
大きい声は、自分に自信を持ってきた証拠です。
プラスの言葉も周りに影響します。
それが、どんどん伝染すればいい。
大きな声で指示をだすこと、それは、事前に考えてきたからこそできること。
そこは、まだまだですが、ナイター照明に照らさせる二本柳グランド。
そこに響く、高田イーグルスの自信の階段ひとつひとつ上っていく大きな声。

今日も、いくぞぉ!さぁこい!の応酬が二本柳グランドにこだまします。











美里親善大会で大きな手ごたえを感じました。私は紙面上ですが・・・
その大会後、最初の練習。
みんないきいきしてますねぇ。
特に下級生の動きがいい。
ポジション争いにも積極的な姿勢な見えました。
私「え~ライトは~?」
「ハイハイハイッ!」と手を挙げたのはリツ。
候補は、ナガマナもいましたが、ここは積極性を買いましょう。
リツは、「ライトは、私!」といって、走っていきました。

こういうところなんですよね。
同じ力量であれば、どちらを採用するか?
アピールの強いほうがどうしたって、優位になります。
座して待っていても果報はこない。競争があるのはいいことです。
そういうところも、彼女たちはこのスポ少から学んでいっています。

今日のナイター練習は、高田、美里イーグルス単独ででる大会に備えて、それぞれのメンバーでオーダーを組みました。
実際やってみて思いました。んー、これはこれで面白いな。
合併しなかったら、こういうオーダーになってたんだろうなと思わせてくれます。
実際やってみると、思いのほか機能します。
特に高田チーム。
ショートのアオト、セカンドのアユキが形になっています。
後は荒木井端のような二遊間に育てていくだけです。
サードのソウスケの肩もいい。
いつも間にか、カバーに入っているリツも見事。
それらをカバーする6年生、なかなかいいチームです。


一方の美里チーム。
レンの八面六臂の活躍に支えられていますが、ひとりでは限界があります。
もう少し、任せろと言ってるんですが、それができない。自分で苦労しています。
5年生の三人も着実に育っています。
カナトはキャプテンとして自覚がでてきました。
チヒロはカバーリングの速さはピカイチです。
キヒトは打撃に自信を見出しつつあります。
トウマもキャッチャーとして覚醒しつつあります。
ここにユナのピッチングが融合すれば、高田チームはまず打てないでしょう。

この2チーム。どちらもなかなかのチームですが、今の高田イーグルスに勝ることはできないと思います。ふたつがひとつになってこそ、機能する。
選手ひとりひとりの伸びしろがまぶしい。
一緒でよかった。
一緒だから面白い。
あらためてそう思いました。













さて、マナト編の続きです。

昨日の六年生のみの打撃練習。
普段行っている練習、ただのロングティーバッティング。
その中で、マナトの打撃フォームを見たときに、鳥肌か立ちました。
音が違う。
打撃音が違います。
バットの振り方が違いました。
チカラがある!
バットの遠心力を使って振っています。
そのため、かつての手打ちの打球よりもはるかに速く、力強い放物線、というよりライナーが軌道ラインを描いていきます。
それが意味するところ、すなわちスウィングスピードが格段に速くなっています。

ホームランキング、タフィーローズ。 
足をぴったり並べた、突っ立ちのスタンス。
これだけでは、打ちそうな雰囲気はまだありません。
あえて、日本のセオリーに反発している構えです。
完全に始動が遅れます。
目線も上下します。
タイミングも遅れやすくなるでしょう。
デメリットの方が大きい。

しかしそのリスクを取ったとしても、軸足に全体重をのせるという、たった1点のメリットを、マナトは選択します。

そしてさらに、彼ができなかったタイミングの取り方、それもまたセオリーに逆らった、
まさかのテイクバック、
手首を下げてとる方式を採用しました。
それが、ことのほか上手く機能しています。
自分のものにしつつある。

マナト、彼にかぎらず、小学生の中学年、高学年は人生の中でわずかな期間しかない「ゴールデンエイジ」のまっただ中です。
運動神経はもちろん、反射神経、視神経などあらゆる器官がとんでもなく、内部要因でも外部要因でも発達するエイジです。
おそらく、原始の時代から、人間としてこの世に生を受け、ある程度脳も発達し、まわりとコミュニケーションがとれるようになってきた、この時期に生物として生き残るための運動能力に必要な神経系の発達があるんだと思います。
骨も太くなり、筋肉も発達しつつある。
そこに神経系の発達が追いつこうとしてるのだとと思います。

ゴールデンエイジ。
マナト、なんとか、そこに間に合った。
彼は今、自分でタイミングをとるコツを徐々につかみつつあります。
私の投げるコース、速さに対応してタイミングをアジャストさせています。
第1に、突っ立ちスタンスでだいぶ高いとこから体重を軸足にのせるということができてきています。

第2に、その乗せた体重を向かってくるボールに合わせた独特のテイクバックを取ることにより、ボールと出会うインパクトを自分でアジャスト出来るようになってきました。

そして第3に、取っておいた体重をタイミングよく、バットにのせる、こめることが出来るようになってきました。ためたエネルギーに遠心力をプラスして、スウィングに乗せてきている。
これができるようになってきました。
それを私が確認したのは、昨日のマナトの今までにない、きれいなフォロースルーを見た時でした。
「あっ、できてる!」
それと同時に背中が弓なりに反っている。
それは、下半身と背筋、腰の回転を使っている証(あかし)なんです。
間違いなく遠心力を使っています。
回転の最後にバットの重みを感じているからこそ、フォロースルーの最後に左手に名残惜しいようにバットが残ります。 
野球人の多くがわかるであろうフォロースルー。
これがきれいになっている。
いままでの、上半身がつっこんだ漢字の「入」みたいな形になっていない。
それを見たときに、鳥肌がたちました。 
成長の証が、きちんとライナーとなって現れています。今までのマナトの打球ではありません。
そういや、ナイター紅白戦でもあんなにびびっていたユナの球に対して、果敢に立ち向かっていっています。
私は「10回に1回に当たればいい!三振を恐れるな!」この言葉を応援として添えて背中を押します。


あぁ~、マナト。
お前も大きな壁を乗り越えてきたか!
抱きしめてやりたくなりました。
それでも、トスを上げ続けます。
いいぞ!いいぞ!すごく、いいぞ!
それが、私とマナトのソフトボールという共通言語なんです。

いままでにない打球をポンポン飛ばすマナト。
自分自身にびびってることでしょう。
ボールを自分の間合い、インパクトで捉えた時の気持ちよさ。
あのなんとも言えない、軽い感触。
気持ちのいい打球音。
あそこそが、野球の、ソフトボールの一番の面白さだと、私は思います。
マナト、彼はその面白さの世界の扉を開けました。
ただまだまだ初心者、試合で打ってこその成功です。それを早くチャレンジさせてやりたいところです。

思うに、いままで彼がふてくされたり、マイナスの態度を表に出していたこと。
それは、周囲の過剰な期待がプレッシャーになって、かえって上手くいかない原因となってきたからだと思います。 
できないことを上手く消化できなかった。
それがあの態度となって現れていた。 
そうすると周りから浮く。
さらに態度が悪くなる、この悪循環がどんどん、彼を卑屈にしていきました。
それをマナト自身もわかっていたはずです。
でも、どうしていいかわからなかった。
それは周り、我々指導者も保護者もチームメイトでさえもそれは同じです。
接し方が難しい。
そのマイナスのどつぼにはまっていく。
うまくいかない。
一生懸命にやっているのに、うまくいかないし、重要なポジションももらえない。
だからこそ、マナトはぶすくれていたんです。
そのぶすくれは、周りへのとんがりではなく、助けてというサインだったんです。
それをどうしていくか?
私が達した結論は、マナトのプレーそのものを上手くいくようにするしかない、でした。
プレーの失敗は、プレーでしか取り戻せない。
周りを、実力で認めさせるしかありません。
そのためには、あれもこれにも手を出さないで、一点集中。
マナトの最大の長所をいかす場所=バッティングを強化しようと思いました。
それがここにきて、開花しつつある。
その手応えを私は昨日のロングティーで感じました。

上手く、できるようになる。
この最初の小さな成功体験が、のちの大きな自信を育てていきます。
マナト、いい笑顔なんです。
自信ほど自分を支えてくれるものはないでしょう。
ユナとペイのバッテリーもそうですが、子供たちが自信を持ったときほど、「あぁ~、気持ちいなぁ~。」といい笑顔に成ります。
笑顔は強い!
追い風、破顔。それがまたいい笑顔なんです。
快音を飛ばしていくほど、いい笑顔が後からついてきます。
二本柳のナイター練習。
漆黒の空に、マナトの飛ばした白いソフトボールがライナーを描きます。
自分が快音を飛ばしているという事実。
みなぎる自信が、マナトをさらなる高みへと連れて行ってくれます。
なにより、バッティングをしてる、マナト本人が楽しそうです。
自分の打球にほれぼれしている。
それでいいんです。自己満足最高! 
もっともっと、打たせてくれ!と言っています。
彼は今、自ら工夫してバッティングをしています。
その主体性こそ、上達の近道なんです。
私たちが教えたいのは、まさにそこなんです。
上手くなりたい!そのためにはどうしてらいいか?それを自分自身で見つめ直してみる。
その上で、われわれのような大人を利用していいんです。


それをみて、冒頭の「メキメキ」という言葉が踊ります。
彼らは、メキメキ上達しています。
たしかに、コロナは彼らから多くの機会を奪いました。
しかし、ソフトボールの面白さ、仲間とやるソフトボールの面白さは奪えない。
彼らは、コロナをいいわけにしていません。
昨日も書きましたが、コロナがあったからこそ、向きあえた、だからこそ上達した。
どんな状況であろうと、とことん楽しむ。
楽しむことこそ、上達することなんだと彼らのプレーが言っています。

また子供たちから教わりました。
教えてる我々の方が、教わっている。
この真理は何年やっても変わらぬ真理です。



さて、メキメキという言葉が合う6年生がもうひとり。

そのひとりは、マナトです。

ここ最近、マナトには打撃と投球フォームに関して、具体的な指示を出してきました。
打撃ついては、自分の長所を生かしたスウィングをすること。
彼の長所、筋肉量。
言い換えれば、パワーです。
そのパワーを投げるときも、打つときもいかしきれていませんでした。
投球フォームは上半身のみの手投げ。
打撃フォームも上半身のみの手打ち。
捕球も体の中心で捕ることなく、グローブさばきのみ、小手先のみなのでポロポロ落とします。
これはあかん。
もったいないなぁと常々思っていました。
ことあるごとに、そこを指摘してきました。

キャッチボールにて
私「マナト、(捕球は)両手っ!」
マナト 憮然として、ぶすくれた様子。
そういや、以前レフトの守備位置を指摘したとき、激高してグローブをぶん投げて、そのグローブをふんづけていましたねぇ~。
これも奴の悪いところなんですが、まぁ、こういう態度になる理由もなんとなくわかるので、ここはすきにさせます。

打撃練習にて
私「マナト、フォームなんてどうでもいいんだ。とりあえず、お前の体重を使え!バットに体重をのせろ。のせろというか、こめろ。」
マナト 何を言われてるのか、いまいちわかってない様子。
それでも、私の指示で、元近鉄のタフィーローズのようなスウィングに近づけようと苦心していますが、なかなか上手くいかない。

私から見ていても、不器用なタイプだと思います。
そして、素直ではない。
そして、すぐに忘れる。
1番悪いのは、くさった態度を外に出してしまうことです。まわりの雰囲気を悪くしてしまう。
この傾向は、タイチ、コタロー、そしてキャプテンのレンにも言えることです。
まだまだ、みんな幼い。
自分の心と向き合うことができないから、外に出してしまう。
心のダムが浅いんです。
だから、漏れてしまう。あふれ出てしまう。
今の時代、それを無理に押さえるなといいますが、それも保育園が小学校低学年まででしょう。
勝負事のスポーツとして、チームとしての一緒に戦っていく上では、それは許されません……というのが、建前ですが、人間みんなそんなに上手くは出来ていません。
なので、小学校6年になっても、ふてくされ、あきらめ、弱音、嫉妬などの悪い思いを態度に出してしまうのは仕方のないことなんでしょう。
それを、いったんは引き受けます。
しかし、それをわかったうえで、練習や試合の中で、その弊害を教えていきたいと私は思います。
マイナス思考は間違いなくチーム内に伝染します。
チャンスは準備された心に降り立つ。
ハイキュー!!でも言ってますね。
自分のやるべきとこを放棄したり、途中で投げ出す奴には絶対奇跡は起こりません。
しかし、マナトもタイチも自ら、その奇跡を体験していないと思います。
実体験がないから、実感がわかない。
だからこそ出る弱音、あきらめ、ぶすくれ。
彼らがそう思うことは誰にもとめられせん。
ただ、それを表に出すかどうか、それは彼ら自身が決めることができます。
メンタルマイナスストッパーを彼らの心の中に育てていくことにします。
前にも書いていますが、息子たちと同じように、彼らと私の間には大きな意味で同じ目的意識でつながれたソフトボールという共通言語があります。
ソフトボールの指導者だからこそ響く言葉。
この多感な時期にスポ少をやっているからこそ響く言葉。
それが確かに存在すると私は信じています。
練習や試合のプレーの中で、諭す。
お互いの信頼関係の中だからこそ、すっーと入っていくことを願って。
それでも何回も何回も言い続けます。
無駄ではないんです。
砂漠に降る雨のように、最初は浸透してしまったとしても、何回も何回も降るうちに、コケになります。
そのコケが大きくなり、ゆくゆくは土となり、最後にはオアシスになる。
私たちが毎回やっている練習とは、そういう壮大なことなんです。
地球の温暖化に抗うことと同じなんです。

そうやって、まいてきた水が、種が、花を咲かせて実となるとき、その時こそ、われわれ指導者がガッツポーズを心の中で、ひとりでしていい時なんです。
誰かが言ってましたね。
菊作り、菊見るときは、陰の人。
その陰で、ひとりほくそ笑む。
「よし!いいぞ!マナト!やっとわかってきたな!」
最近の私は、その心の声が漏れているときがあります。

ここで、やっとマナトに笑顔が戻ります。
できない、彼はそこで立ち止まっていました。
どうやったら、できるか?そこに踏み出せてなかつた。
きっかけ、なんですよね。
我々が砂漠にまいている水は。
マナトにとってのきっかけ、タフィーローズ打法が彼を、もう一段上に押し上げました。
上にいけばいくほど、見えてくる景色が広がり、変わってきます。
心も強くなる。
私とマナトの小さな勝利です。
まぁ、誰とも戦ってないんですがね。
とりあえず、勝ったと言っておきましょう。
その方が気持ちいいので。

マナト編、次回に続きます。
メキメキという言葉が似合う六年生がいます。

ここ最近、成長著しい一人と二人。
今回は、その内の二人、バッテリーについて書きます。

新人チームが上向き傾向であることは、先にも書きました。
それに刺激されてというか、その少し前からなんですが、今年のエース、ユナのコントロールが格段に良くなってきました。
紅白戦をやるようになって、これまでの、高く浮く球が少なくなってきています。
スリーボールからの簡単にファーボールを出さなくなってきてきているのも賞賛に値します。
ねばりがでてきた。
いい、いいんです、ユナが。

なんで、いきなりそうなったんだろうと考えます。
いきなりではないですね。
コップに水をはった表面張力のように、粘りに粘って、やっとのこと溢れるような成長曲線。
今は、やる気と覇気がほとばしっています。
あぁ~、他のチームと試合をやらせてやりてぇ!
そんで、もっともっと二人に自信をつけさせてやりてぇ~!
この思いは日々強くなっています。

こうなるには、家族との努力もあったでしょう。
宮川小学校のグランドに映る影が3つ。
その影が長くなり、消えゆくまで投げ込みを続けていたに違いありません。
ユナは、兄貴の背中をみつつ、ご両親と努力を続けてきました。
ここにきて開花しつつあります。
それもしかり。 
それを認めつつ、私が思うにもうひとつ要因があります。

それは、キャッチャーとの信頼関係です。
最近のシュンペイは止めまくります。
ユナのどんなワイルドピッチであろうと、止めまくります。
平泉の武蔵坊弁慶ばりに止めまくる。
ユナの球はここ最近、スピード、球威ともに男子顔負けの威力です。
それが、シュンペイが要求したコースにくるとは限らない。
ホームベース付近でバウンドしたものなら、キャッチャーは体で止めるほかにありません。
ちょっと前のペイ(=シュンペイ)なるば、グローブさばきのみで捕りにいっていましたが、
ここにきて、体を移動させてなるべく正面でとれるようにしています。そしてなおかつ、体全体で、ぬりかべのようにブロックをかけます。
体に当たることを怖がらなくなりました。
これは新人チームのキャッチャー、トウマにもいい影響を与えています。
ペイを見て、トウマもブロックを覚え始めました。
目の前に先輩という教材がいる。
そこから吸収していくという形ができている。
これもうれしい副産物となります。
余裕があるんです。
だから、バッターを打ち取るための配球にも気を使える。
中学生や大人を相手にしての、最近の組み立ては見事です。
そのペイの後ろで主審をしている私むかって、軽口をきく余裕さえ見て取れます。

どんなボールでもキャッチャーが捕ってくれる。
ピッチャーにとって、これほど心強いキャッチャーはいないでしょう。
だから、ユナも全力で腕が振れるんです。
もはや、ファーストミットでは手が痛くて捕れません。
キャッチャーミットでなければ無理。
女子のエースもいままでいませんでしたが、
歴代の女子のピッチャーでも一番速いと思います。そして球質も重い。
そのエースを、エースたらしめているのは、間違いなくキャッチャーのシュンペイです。
かつて、ノーコンのユナに対して「もぅ、やだぁ~。」と女々しく悪態をついていたペイはもういません。
あんときは、お互いにこのやろーちゃんとやれよという空気が強くて、ふたりでどんどん沈んでいきました。雰囲気悪かったもんなぁ。
あのころの二人はもういません。
というか、あの頃があったから、今があるんです。
すがすがしいほど、お互いを補強しあっています。
最近のユナは気持ちよさそうに投げます。
シュンペイのミットもぱち~んと気持ちいいほどいい音を奏でる。

ユナとシュンペイのバッテリーが黄金期を迎えようとしています。

こういう光景に目を細める。
指導者冥利につきます。
なのに、試合がない・・・という現実。かなしい・・・

しかし、このバッテリーにとっては今はどうでもいいことなのかもしれません。
キャッチボールが終わって、一番最初に打撃練習を終えて、投球練習に入る。
以前は、投球練習にいくのもおっくうそうでした。特にペイが。
しかし、今は嬉々として向かいます。
構えたところにビタリとくる。これほど気持ちいいことはないんでしょうね。
いろんなバリエーションを試そうとしています。
この二人で投げることができること。
今のふたりは、それが楽しそうです。

ふと考えてみる。
万事が塞翁が馬のプラス思考。
コロナがあったからこそ、きちんと向き合えたのかもしれません。

コロナのせいにしないぜ。

ぱち~んという気持ちのいいミットの音。
このふたりが奏でる音はそう言っているのかもしれません。

今日の練習も紅白戦を行いました。
その中で、気づいたこと。

このチームの声には意思がない。考えがない。
この声は、ただ出しているだけだと。

この新人チームの声は、確かに、はた目には声が出ているように聞こえます。
しかし、その実、チーム全体の意思統一の声ではないなと思いました。
今日の紅白戦を見ていて、わかる人にはわかったと思います。
声の出すタイミング、
そして作戦を伝える手段としての声、
その時その状況のチームとして、どう動くかというコミュニケーションが図れていない。
それを露呈しています。
だから、打たれるとどこに投げていいかわからない。どう守っていいかわからない。
個人判断で動いていました。

ただでさえ、個別にあたっては強大な敵にはかなうはずもありません。
しかし、試合にでている九人ひとりひとりの力を結集する。
もてる力を一点集中する。
そのさきがけこそが、「声」なんです。
バラバラの考えではなく、意思を統一して、効率よく動くこと、これを作戦やシフトと言いますが、プレーの前に「声」に出して各自の動きを確認するだけで、ぐーんと違います。
あっ、あの時のあれか!
こういう場合、俺は何をするんだっけ?とシミュレーションしておく。
これだけで、ぐっとミスが減ります。
弱いチームほど、これをやらなければいけない。
これって、野球をやってきた人、スポーツをやってきた人にはすぅーっと入る言葉だと私は思います。
この事前の準備、大事ですよね。
ここにはセンスや感覚が入る余地がありません。
練習の積み重ねで手に入るスキルです。
ここは凡人でも天才に勝てるところだと思います。


チームとして戦う。
ひとりでアウトをとることがほぼない、ソフトボールだからこそ連携が大事になってきます。
ゴロをアウトにするには、捕って、なげて、また捕ってというチームプレーが必要になってきます。
なのでなおさら声は必要になります。
プレーの前段に「声」による意思統一ができる。
これがチームとして戦う気持ちよさでもあるんです。
これが、まだまだ新人チームには出来ていません。

まずは、状況を把握すること。
アウトカウントは?点差は?ランナーはどこいる?ストライクカウントは?ボールカウントは?

そして、次にどうするか?
どこでアウトをとるのか?
場合によっては、一点をくれてもアウトをとるのか?

そのためには、どう動くのか?誰がどう動くか?

他にもいろいろありますが、
チームとして、ひとりひとりが同じ目的で動くことができるかどうか?
それができてこそのチームなんです。
ここまでくるとチームプレーの面白さがわかってくるでしょう。
そうなると、どんどん強くなります。
そのためにも、考える声を発していくように訓練していく必要があります。

自分たちが思い描く「型にはめるプレー」。
これを全員で共有するには、やはり声が必要となってきます。
声というコミュニケーションツールこそ、古来、人を人たらしめた最強の武器です。
彼らはまだそれを使いこなせていません。
残念ながら、まだ使いこなすという域に達していないということです。 

一生懸命さが声に現れています。
彼らの声は、がむしゃらという表現が1番しっくりきます。
元気がないよりは全然ましです。
こんなやりとりもありました。

私「カナト(キャプテンで一塁手)!ツーアウトだから内野ボール、ファーストといって事前にどうするかをみんなに声をかけろ!」

カナト「はい!」

私(どうやら、わかったようだな。)

次の瞬間
カナト「さぁこっ~い!」(それに合わせて全員がさぁこっ~い!の大合唱)

私(ガクッ↓)


一心不乱の大合唱。
蟷螂(とうろう)の斧。
私はこれを見て、小さなカマキリが人間にむかって、鎌を振り上げて威嚇する様を思い出しました。

いいじゃないですか!
面白い!
武器は、さぁこっ~い!の大合唱のみ。
しかし、声を出しつつもカナトは時折笑顔も見せます。
大声が笑顔も連れてきてます。
声が余裕を生んでいます。
それが少しずつ伝染しているようです。
もうひとつ武器がありましたね。
ミソラとトウマのバッテリーの切れ味も良くなってきました。
世の中は、もしかしたら、と、まさかの、オンパレード。プラスに考えた方が物語としても面白い。

今週末は、いよいよ全国大会まで通じる新人戦があります。強敵ばかり。

蟷螂で、上等です!
思い切り、ひとつ覚えのさぁこっ~い!の大合唱を貫いてやりましょう。



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