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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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今年、しのぎを削ってきた坂下ヒーローズさん。
白獅子県大会への代表決定戦で敗れ、じげんカップでやり返した。
そして今日、今年最後の決戦になります。
龍虎相打つと言えばかっこいいですが、ねずみともぐらの戦い。
この後に取り戻すチャンスがないんですから、寝覚めが悪くならないよに、両チーム、なんとして勝ちたい。
これを勝たなければ、即6年生は終戦となります。
小学生時代のソフトボールが、ここで終わるか、もう1回あるかがこの1戦で決まります。


それは、3点を先制される展開から始まりました。
いつも警戒している、スラッパーの1番を幸先よく討ち取りますが、2番の6年選抜のセカンドのフミヤをフルカウントと追い込みながら、ファーボールを与えてしまいます。
立ち上がりに不安があるので、多少のミスは仕方がありません。
ファーボールのひとつふたつは計算のうちです。
すかさず盗塁を決められる。
ここで、キャッチャートウマが、刺して切れるようになると、もうひとつ上の景色がみれることでしょうが、それは今後の話。
スコアリングポジションにランナーをおいて、一番怖いバッター、3番エース、トウヤを迎えます。
ここは、入り方を気をつけねばなりませんっていってる間にゾーンに投げ込むバッテリー。
・・・わかってねぇなと思いますが、ここはガンガンいこうぜ!を選択したようです。
続けざまに、ゾーンに入れて、ツーストライクに追い込みます。
そして、空振りで三振。
怖いバッターを抑えました。
二死2塁で、4番の6年選抜のユウトを迎えます。
ワンヒットで先制される場面は、変わりません。
そして、ユウトは高田イーグルスを得意としているという心理的有利さが働いています。
余裕がある。
その余裕から、ボールの見極めに自信があります。そして、ボール球を振らない。
またしてもファーボールで、二死1,2塁。
流れがよくありません。
抑えそうで、抑えられない。
フラストレーションがたまっていく展開。
こういう時は、気を付けなければなりません。
5番のキャッチャーを迎えます。
この子もいいバッター。ボールで入りますが、二球目をライトに痛打されます。
ライトはキヒト。
ひとり帰ってきますが、その後の送球が悪い。
中継プレーも乱れて、1点でとどめられるところを、3点献上してしまいます。
1点は仕方ないにしても、あとの2点は全くのミス。
これをやらないように、中継プレーの練習をしてきたんですが、ここに焦りと状況判断が加わると、いつも通りのプレーは出せないのは、高田イーグルスの弱さなんでしょうね。
3点取られた。
この事実は覆らない。
で、あればどうするか?
二死なので後続をきっちり断つことですが、6番にデッドボール・・・
気持ちの不安定さが、もろにピッチングに表れてしまうのが、ミソラの悪いところ。
ですが、本人なりに何とかしようと思っているようです、7番は三振をとります。
3アウト、長い初回が終わりました。
長かった。
やられているときは特に長く感じます。

さぁ、立て直す。立て直します。
まだ初回、一点一点とっていけば、間に合います。
逆境の時こそ、その人の、そのチームの真価が問われます。
そして、私は、簡単にあきらめるようなチームになって欲しくないと思っています。
なんとか、チーム全員の心を持ち直すようなプレーがでるような展開になるように、しかけていくことを決めました。
人間ですから、そりゃ焦ります、その焦った中でも、どうするかを考え、ベストを尽くす。
これを自分にも、自分のチームメイトにも、伝染させていくほかに、逆転する道はありません。

しかし、この覚悟を打ち砕くように、高田イーグルスの6年生スリーアミーゴスの1,2、3番をことごとく討ち取る、エースの気迫。
得点した後をきっちり、ゼロに抑えるというセオリーをきっちり実戦されている、この展開。
やはり、6年を先に並べるのには、無理があったかという後悔の念が、頭をもたげます。
悪い予感しかしませんでした。
初回の攻防は完全に負け。

初回は負けましたが、まだチャンスはある。
この後、挽回するしかありません。
そのためにはこれ以上の失点を避けなければならない。
8番の下位打線から始まる坂下ヒーローズを、きっちり押さえることで、守備からリズムを作ることを自らに課しました。
そして、それをきちんとやってくる。
このあたりに、粘りが出てきたと思います。

さぁ反撃です。
1点1点を積み重ねていくしかありません。
打順は、6年生の誰かが出塁してくれることを期待して、そのランナーを帰すために置いた、主砲のトウマから始まります。
ここはなんとしても出塁することが、仕事になります。
それをわかってか、コンパクトな振りでセンター返しで出塁します。
ミソラもファーストへの内野安打で、ランナーが二人。
ランナーが増えることで、守備側の選択肢が増えてプレッシャーがかかります。
すかさず、6番においた、アユキにバント、これが内野安打となり、満塁。
一気にイーグルスへ流れが傾きかけようとしています。
この大事な場面で、迎えるバッターは7番、アオト。
得点圏打率では、私の体感でトウマの次あたり、チームトップクラスを誇ります。
アオトは考える打者です。そこは、お父さんにきっちり教えを受けている。
そして、それを自分なりに考えて行動に移すことができるクレバーな選手です。
ここで、どう打てばいいかをわかっている。
センターにはじき返し、相手のエラーも手伝って、一挙に3点をもぎとり、試合を振り出しに戻します。
いやー、この集中打。
細かい戦術を挟みながら、内野安打もありながらですが、4連続でつなげていく集中力。
おめぇら、やるじゃねえか!と驚き、その成長にほおが緩みます。
ここに高田イーグルスのタフさを感じます。

さぁ、おいつきました。
ここは一気に振り放しておかなければなりません。
最低限、1点は得点差をつけておかなければいけません。
しかし、相手もさるもの、ここで離されてはいけないことを分かって、バッテリーもギアを上げてきます。
その気迫をはじき返せない、いなせない、8番のハルト、バントもできず、追い込まれてから進塁打も打てず、チームを勢いにのせられません。
本当は、ここで送って、ワンアウト三塁の形にしたかった。
その意図ができなかったことで、坂下ヒーローズに勢いを戻してしまいました。
ラストバッターのマナト、セカンドランナーのアオトを打って返すことは難しいと判断します。
バントでヒット、あわよくば相手のエラーを狙いますが、ピッチャーのフィールディングが良くて、三塁に送るにとどまります。
二死三塁。
パスボールでも1点をとれる状況を作りましたが、確実に得点するためには、1番のカナトが打たなくてはいけません。
負ければ、高田イーグルスの6年生として、最後の打席になるでしょう。
そんなことを考えて打席に入っているとは思いませんが、打たなくてはいけないということは理解したようです。
ボールが2球先行したことで、ファーボールが頭に浮かんだのかもしれません。
ファーボールは、相手主導の産物です。
ファーボールという魅力にとりつかれると、積極的な姿勢が失われてしまいます。
まして、いいピッチャーならば、ツーボール、スリーボールから何度でも立て直してきます。
それが、できるからいいピッチャーなんです。
カナトの振りに迷いと焦りと恐れが見えました。
カナト特有の落ち着きのない動きにそれが見て取れます。
ファールを打たされて、カウントを稼がれ、最後は三振に倒れました。
ともあれ、3:3の同点に戻しました。
おいつきましたが、一気に逆転できなかった。
マラソンで言えば、やっと並走になった所です。問題はここから、ここからが、我慢比べ。
先に音を上げて、諦めた方が、敗北の谷に突き落とされることでしょう。

そこをイーグルスの若きバッテリーも分かっているようです。
2番から始まる坂下ヒーローズの好打順をきっちり警戒しています。
好打者の2番3番を連続三振に切って取ります。
いい流れ!
この後の4番も討ち取れば、守備でリズムを作って裏の攻撃に勢いがてるはずです。
しかし、ここに立ちはだかるのが、またしてもユウト。
初球をセンターに運びます。
簡単に終わらせてくれません。
やはり、ユウトはイーグルスにとって鬼門です。
パンパンと二死としながらも、打たれた事でリズムをくずしたのか、ワイルドピッチを立て続けて、三塁にいかれ、最後もパスボールで、再び逆転されてしまいます。
二死からの得点は痛い。
精神的に痛い。
それでも、後続は絶って望みをつなげます。

のこりは、あと2回の攻防というところか?
イーグルスの攻撃は、6年生のチヒロから始まります。
ここ最近、バットは振れているようですが、確実性に欠けます。しかし、ここに至っては、技術うんぬんよりも、塁にでてやろうという気迫のみ。
なんとか当てて、機会をうかがうほかありません。
しかし、チヒロにもカナトと同じように、不安と焦りと恐れがあります。
自信をもって、振っていない。
中途半端なハーフスイングがストライクをとられ、最後もハーフスイングて見逃してしまいます。
振りに迷いがある。
ここを払拭してやれませんでした。

続くキヒト、この病は伝染病ですね。
キヒトにも迷いがある。
もともとトップが遅いのに、さらに遅くなっています。
そこにきて、なんとか当てようとするので、振りが小さくなっている。
自分の強みである、筋肉量を活かした豪快なスイングのカケラもありません。
ありんこのような小さな、迷いのある振り、このスイングで打てるはずもありません。三振。
6年生最後の試合にも関わらず、チームに何の貢献もできていません。
そして、なんの工夫もないし、覚悟もない。
最後の打席がこんなチャレンジでは、後悔しか残らないでしょう。
正直、がっかりしました。
最後の打席になるかもしれないのに、そんな対応しかできなくさせてしまった自分に対して。
指導者として、ふがいない。
もっと思い切り、気持ち良くチャレンジできるような機会を与えてやりたかった。
しかし、悔やんでも時は戻ってきません。
そして、今はまだ悔やむ時ではない。
試合中に反省なんぞしてはいけない。角田コーチの言葉ですね。
まだ試合中です。
どうにかして、逆転することだけを考えなくてはいけません。
6年生2人が倒れて、二死。
トウマがまたひとり気を吐いてセンター前に運んで出塁しますが、続くアオトがセカンドゴロ。
連打になりません。
んーこの打順で得点できないと、後がなくなってきます。
それでも、まだ1点差。
最終回の表をゼロに押さえて、裏の攻撃に賭けます。
表の坂下ヒーローズの攻撃は7,8,9の下位打線。
ここは、当たり前に押さえなくてはいけません。
しかし先頭バッターをファーボールで出してしまいます。
我々がもう少し上にいこうとするのであれば、どうしてもミソラとトウマのバッテリーに頼らざるを得ません。
そして、このバッテリーはもっと成長する余地がある。
下位打線をきっちり討ち取るという余地を、今後はものにしなくてはなりません。
が、しかしまだそれはできないようです。
それでも、後続を討ち取り、二死三塁としました。
あとひとつで、ゼロ封できる状況。
この大事なところで、1番バッターを迎えます。
ギアをあげるバッテリー、サードゴロに押さえます。
よしっ!押さえたと思ったところが、玉にきず。
サード、ハルトが悪送球でランナーの帰還を許します。
やってしまった。
大事に行き過ぎたか・・・
完全に打ち取った当たりでした、普通に捕球して、投げて、ファーストが捕ればスリーアウトになって、ゼロに抑えることができた。
この普通のプレーが、まだ当たり前にできない、しかも大事なところで当たり前にできないところに高田イーグルスの弱さがあるということを露呈してしまいました。
結果的に、先頭バッターへのファーボールと、二死からのサードの悪送球、この二つのミスが失点に絡みました。
やはり、ミスが重なると心臓を取られてしまいます。失点に繋がる。
ミスはつきものですが、あってもひとつに止めること、それをチーム全体でできる、実力と集中力を育てることをが大事だと改めて、気づかされるプレーとなりました。
最終回での致命的な1点、点差は2点となりました。
後続はなんとか討ち取った。
総崩れは回避できるようになってきましたが、満身創痍。
逆転する確率はさらに低くなりました。
しかし、ゼロではない。
2回に3点をもぎ取った実績があります。
やってやれないことはない。
少ない確率、限りなく少ない確率を引っ張ってくるしかありません。
大事なのは、高田イーグルスの全員が、選手、ベンチ、指導者、保護者の全員がそれを信じることができるかどうかです。
しかし、人とは現金なものなんです。
信じる根拠がなければ、心は動きません。
心が動かないと体も動かない。
そして、心を研ぎ澄まし、未来を信じて、失敗を恐れず、動く人間が隣にいてくれないと、その勢いは伝染していきません。
小さい波が大きな波になり、相手をのみ込むということは、そういうことです。
私は、そういう場面を何回も見てきましたし、そうならない場面も嫌というほど何回も見てきました。
勝利の女神はどちらに微笑むか?
いろいろな条件がそろう時、とんでもない逆転劇が怒ります。
そして、そうなる時は、チームが一丸となり、迷いなくプレーができる時、それが今のイーグルスにできるか?
2点のビハインド、このままでは負けます。負ければ6年生は即終わりになります。
土壇場での逆転を信じて、アユキを送り出します。
イーグルスにとっては、実質の1番バッターとなるアユキから始まるこの打順は、好打順です。
アユキが出れば、なんとかなるかもしれないという一筋の光明が見えてくる。
逆に、そうしてはいけないことを坂下ヒーローズもわかっています。
全力と全力のぶつかりあい。
トップギアに入っている坂下ヒーローズのエース、トウヤを前にアユキは三球三振に倒れます。
矢じりが刺さらない。
ここでがっかりしてはいけません。がっかりしたとしても、がっかりしていることを表に出してはいけない。空元気であったとしても、チーム全体で続けることが大事なんです。
気持ちで勝つことはできませんが、気持ちがなければ勝つことはできません。
次のバッターのアオトは、サードのエラーで、泥臭く出塁します。なんとかバットに当てて転がした。
これでいいんです。簡単には終わらないぞという姿勢を見せること、相手にそう思わせることが大事なんです。
なんとか塁にでた。
そしてハルト。先ほどのエラーの影響を切り替えていることを祈ります。
坂下のエース、トウヤは下位打線に対して、ガンガンなげてきます。
追い込みもはやく、小細工もない。
気持ちよく三振に切って取ることしか考えていない。
崖っぷちに追い込まれているイーグルスとハルト。
それでも、もてる限りの技術と気迫でなんとか食らいついていきます。
ファール、ファール、ファール、ファール、ファール・・・
5球連続でファールにするしぶとさを見せます。
こういうところなんです。このハルトの粘りが、少しずつ試合の流れ、雰囲気を変えていきます。
坂下ヒーローズは、なんで三振しないんだ?なんでアウトが取れないんだ?という疑問。
疑問はやがて不安になります。
反対にイーグルスは、不安と焦り、恐れが、いけんじゃぇか!という期待に変わりつつあります。
そのためには、ハルトはなんとしても塁にでなければならない。
しかし、三振、振り逃げもキャッチャーの正確な送球でアウト。
最後の天王山も抑えることができなかった・・・・
二死・・・
こうなると、ふたたび勢いは、坂下ヒーローズに戻ります。
最後は、マナトを三球三振にとって万事休す。
イーグルスの今シーズンの最後の大会は終わりました。
終わってみれば、この最終回、坂下ヒーローズのエース、トウヤはアオトに投げた初球のボール以外は、すべてストライクの投球、圧巻の投球でした。
やられるべくしてやられた・・・
このバッテリーは、最後の最後で、当たり前のことを当たり前にできる強さをもっています。
来年も、必ず高田イーグルスの前に立ちはだかることでしょう。
であれば、どうするか?
過去を振り返り、修正点を見直して、未来につなげる。
すでに、私はこの作業に入っています。
今回の敗因は、ミスをしてはいけない場面でミスをしたこと。
その準備を怠ったこと。
プレーをやりきる実力はだんだんついてきています。
おそらく8割はできるようになってきている。
3点を取り合った後の2点は、どちらもツーアウトからのミスです。
前の3点も、中継のミス。あれがなければ、1点ですんだところ。
ランナーを出した時の、不用意なバッテリーミスによる進塁、ランナーを背負った時の二死からの悪送球。
こういう細かいところ、プレッシャーのかかったところでのプレーの精度を上げていくしかありません。
こんなのはやって当たり前だと、思ってもらわなければいけない。
プレッシャーを克服していく練習なんて、ありません。ないと思います。
普段を練習をきちんと、真摯に向き合ってやっていくことがその近道だと思います。
近道なんてしようと思わないで、取り組むこと。
普段通りにやれば、できるという小さい自信を積み重ねていくほかにないと思います。
不安要素の2割を克服していく。
これが、5年生以下の選手にとっての課題となるでしょう。
チームの浮上のカギはここにあります。

しかし、6年生の小学生ソフトボールスポ少の旅はいったん、ここで終わりました。
いろいろ思うところはあります。
それは次回。













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いよいよ6年生三人の最後の大会となりました。
それが、坂下ライオンズ杯、坂下なのに柳津でやる不思議。
場所は関係ありません。最後にただ有終の美を飾るのみ。
みんなで勝って、優勝して終わりたい、その一心でした。

はからずも組み合わせは、昨年と同じ。
高田イーグルスの組には、坂下ヒーローズさんと柳津さんがいます。
この三つ巴を制しない限り、決勝戦へはいけません。
昨年は、一勝一敗で並びながら、失点差で泣きました。
そして、今回は6年生最後の戦い、そして柳津さん、坂下ヒーローズさんと戦う最後の大会となるので、目覚めが悪くならないように、なんとしても、どちらも倒して、決勝にいかねばなりません。


さて、第1試合は、柳津さん。
この前の喜多方ボーイズ杯では、終盤に追いつかれて、抽選で敗れるという波乱の展開。
閉会式では、なにももらえず、傍観者に徹するという不本意な時間を過ごしました。
まさに屈辱。
その屈辱を晴らす時は、今しかありません。

この六年生最後の大会、私は成田コーチの策を採用しました。
六年生のスリーアミーゴスを一番から3人を並べました。
いつもは、7,8,9番に並ぶことが多い3人の打順。
それをあえて先頭から使うという戦術です。
得点効率を無視した、感情と気迫に頼った戦術ですが、私も見たかった。
そして、彼ら3人が活躍することで、この最後の大会は乗り切れるという計算があったから、この打順にしました。
こいつらが打てば、勝てる。
それを期待している、私がいるし、成田コーチもいるし、他の指導者も保護者も選手も、その具現化を望んでいます。
後は彼らがそれに応えるだけの展開となりました。

初回、1番のカナト。
記憶によれば、カナトを1番に置いたことはありません。
相変わらず突っ立ち気味の狭いスタンスですが、選抜の練習にいってから、振りに迷いがなくなってきています。
ライト前にヒットを放ち、まずは面目躍如、柳津さんの陣に風穴をあけます。
2番は、この前鋭いホームランを打ったチヒロ。
パスボールでスコアリングポジションに進んだカナトを返すだけなので、小技ではなく打たせますが、セカンドフライ。
3番は、クリーンアップとして置いたキヒト。
一発の長打力に期待しますが、タイミングの取り方が相変わらず遅い。
迷いなく自分の筋肉量を使いこなせれば、凄いスラッガーに育ったはずですが、今は迷える子羊。
当てに走った小さいスウイング、ついに直してやることができませんでした。
小さいスウイングは、消極性の結果としてファーボールを選びます。
ここから、五年生以下、六年生の誰かが出塁しているであろうことを予測して、ここにクリーンアップのトウマを置きました。
それが当たります。
たまったランナーをきれいにする仕事、文字通りクリーンアップの仕事をきっちりとこなします。
2点を先制します。
役割をきっちりこなす。
当たり前のことを当たり前にできることを強さと呼ぶと思います。
後続のミソラは、ファーボールを選びます。
春先であれば、なんでも振って斬新というところでしょうが、チャンスを継続されるために、きっちりファーボールを選ぶ目を持ってきたところに、ミソラの成長を感じます。

さぁチャンスの継続です。
ここからはもう一回、立て直す意味でこの打順に置いた、アユキ、事実上の一番はここからです。
さぁ、いけと気合をいれますが、三振・・・二死。

もうひと押ししたいところで、アオトとハルトが、セカンドエラーと振り逃げで出塁し、その隙に、トウマとミソラがかえって4点を挙げ、マナトが三振でチェンジも、ゲームの主導権を握りました。
相手のミスに乗じて、取れる時に得点しておく、ここが当たり前のことです。あとはきっちり抑えるだけ。

柳津さんの1回を、きっちりゼロに抑えて、相手に隙を与えませんでした。
そして来た、2回の表、1回に打者一巡したので、またもや6年生スリーアミーゴスのカナトから始まります。

前の打席もヒットのカナト、少し遅らせて、逆らわずに右に打つ打ち方が定着してきました。
感覚的なものですが、それを自分の感覚にできると、この先の未来が開けてくるでしょう。
まだまだこの小学生時代は、ぶれぶれでしょうが、自分の中で、こうやれば打てる!という感覚が育ってきているのだと思います。
「さぁカナト、右中間をやぶれ!キリさけー!」とはっぱをかけると、まんまと鋭い打球が右中間を切り裂きます。
広い柳津のグランド、右中間を抜ければそこはフロンティア。
私は、ホームランを確信しました。
カナトの親父の笑い声、ベンチの歓喜、ホームランを打ち慣れていないカナトの全力疾走。
すべてはこの日の、この瞬間のためにあったとカナトは思うでしょう。
技術的なことは、まだまだできていません。相変わらずつったち気味のスウィング。
よくあれで打てるなと思いますが、この小学生時代は、技術云々よりも、覚悟をもってできるか、できないか?ここに大きな差がでると私は思います。

今回のカナトに迷いはありませんでした。
ただ、振るのみ。
一点に集中すること。
今回はそれができた。それが結果につながった。
カナトの自信になったと思います。
カナトの自信はすぐにぐらつきますが、今はそれでいい。
大いに迷って、不安になって、弱気になったらいいんです。
そのうえで、もう一回立ち直って、自分よりも強い相手にどうやって立ち向かっていくかを考え、行動に移すこと。
この過程を繰り返すうちに、「自信というウロコ」が少しずつ積み重なっていくでしょう。
決してメンタルが強いとは言えません。むしろ弱い。

しかし、私はこの弱さが好きなんです。
お前なんぞ、この程度だと、自分の弱さが、白日の下にさらされる。
カッコ悪くて、みっともなくて、逃げ出したい。
しかし、それも事実なんです。
逃れようがない事実をたたきつけられる。
できる奴との差をまざまざと見せつけられるでしょう。
自分自身が、とてつもなく、ちっぽけな存在に思える。
それが、はじめて自分自身と向き合う時です。
バッターボックスには、自分しかいません。
お父さんお母さんは助けてくれません。
自分でなんとかするしかない。
現時点での、自分の持てる限りの武器をもって、立ち向かうしかないんです。
スポ少という小さな世界ではありますが、子供たちがはじめて直面する、外海、勝負の世界です。
そしてそれは、いずれいくことになる、社会という大海に通じています。
最初に社会という競争の場に触れるきっかけ、それがスポ少だと思います。
その中で、自分の弱さを知り、しみったれたらいいんです。
ボコボコに負けて、打ちひしがれたらいいんです。
大事なのは、その後。
その後、どうやって立ち直り、どうやって自分の居場所を築いていくかなんです。
そこには、一緒に苦労をした仲間がいて、我々指導者がいて、お母さんお父さん家族が支えてくれます。
ここに、ロッキーという映画のような場面があります。
練習して、トレーニングして、自分の長所を武器として磨いていく。
短所を克服していく。
人が変わっていく課程、変わろうとするプロセスに我々がいます。
私が、好きだといったのは、この課程、立ち直り、もう一回前を向いた時の子供たちの横顔が、とてつもなくたくましく、りりしい。
神々しささえ感じます。

このヤロー、うまくなりやがってと、
驚嘆と賞賛が入り交じった悪態をつく瞬間が、たまらなく、好きなんです。
弱さを克服していく強さ。
強さは、弱さなんです。
弱いからこそ、強くなれる。
そいつが努力と試行錯誤をしてきたことが、可能性の低い、いい結果を引っ張ってくる。
彼が、がんばってきたことを私たちは、きちんと知っています。
同じ時間を共有してきているという自負。
できなかったことが、今まさにできるという化学変化を目のあたりにしています。
そういう時に、世界がにじんで見えます。
多くの指導者が麻薬のようにとりつかれる瞬間がここにあります。
人の成長する、すぐ横にいるという実感があります。
そこに、我々指導者の存在意義を見いだします。
そんな格好いいことではなく、一生懸命にやってきた奴らと、ただただ、心を動かされる瞬間を共有したい。
それだけなんです。

そして今、カナトが私たちにその瞬間、心を動かさせてくれる瞬間を引っ張ってくれてきています。
走れー!いっけぇー!
チームメイトも親も指導者も、誰もがあらん限りの大声をだし、ホームを目指して走るカナトを応援しています。
これなんですよ、これ、この一体感。
どんな映画、ドラマ、エンターテイメントよりも面白いと、私は自信を持って言い切れます。
だって、実際に経験してるんですから。
ダイヤモンドを走っているカナト、あの瞬間は間違いなくヒーローです。
その瞬間は、俺ってすげぇんじゃねぇって思っていい。
みんなも思い切り褒める。
そこに、自己肯定感が生まれます。
やってて良かった思える瞬間。
お母さん、お父さんもそう思うでしょう。
カナトは、たくさんたくさん、負けて、失敗もしたけど、心から、自分がやってきて良かったと思える瞬間に出会えたようです。
言葉は不要です。
顔を見ればわかります。
だって、カナトは満面の笑顔なんですから。


こうして、カナトの活躍もあり、ゲームを支配した高田イーグルスですが、後半は柳津さんに追い上げられる展開になりました。
それでも、なんとか逃げきって、リベンジを果たしました。

まずは、一勝。
次戦、坂下ヒーローズ線です。














今シーズン、カナト世代の終わりが近づいています。

あと二つのエピソードを執筆中です。

ひとつは、6年生最後の坂下ライオンズ杯、もうひとつは、新人戦県大会。
どちらも、思い入れが深いものになりました。
書きたいこと、表現したいことがたくさんあります。
こういうには、新鮮なうちに料理しなくてはいけないのです。
そうでないと、薄れていってしまう。
でも、集中して向き合う時間もない。
こういう流れを、何年も続けています。
風呂に入りながら、晩酌をしながら、
大抵晩酌をしながらやると、長くなって、とりとめのない文章になることが多いんですが・・・

しかし、思います。
今になって、昔のことを読み返してみると、あぁ~書いていてよかったなぁとしみじみ思います。
自分の文章なので、読み返すと、その場面がよみがえってきます。
タカヤのいきづかい、ほえるコウダイ、フミヤのにやにや、などなどいろんな場面の積み重なり、そのひとつひとつがかけがえのないものです。
そして、すでに過去のもの。
私たちは、今のまさに現在進行形で、その積み重ねを続けています。
いっしょに、指導していく仲間も変わりました。保護者も毎年変わっていきます。
敵であったチームの指導者もなじみの顔が減っていき、年々変わっていきます。
全体のチーム数もどんどん減っていく。
ソフトボールスポ少という情勢もかわっていきます。
しかし、私の中の真ん中にあるものは、はじめた当時からぶれていません。
私の頭もグレイスヘアーになってきましたが、ベンチに立つと、大学をでて、1人でやってきたあの当時の気持ちのままです。

子どもの、選手の目線に立つ。

ここは一切ぶれていません。
これがぶれなければ、こどもであろうと大人であろうと、相手はわかってくれます。
選手たちとのきずな。
この信頼関係こそが、私の本丸であり、ベースです。
これを築くことができれば、保護者や指導者との信頼関係も築くことができます。
こんなの当たり前のことですよね。

昔の場面を読み返すと、今と変わらない私がいてくれます。
雨の二死満塁、一点で負けた全国、ぼろくそにやられた試合・・・
そしてまた今年もカナト世代を送り出す時がきました。
いつもこの時期は、三国志の一場面が出てきます。
最後の北伐に臨む諸葛孔明、この気持ちに勝手になります。
秋風五丈原。
いよいよ最終戦です。





明日はいよいよ、新人戦県大会となりました。
朝五時に会津を発ちます。
六年生も含めてみんなで勝ち取った結果だと思っています。
相手は県中の大島スポ少さん。
今までの対戦履歴はまったくありません。
県大会に出場するチームなんですから、弱いチームなんてありません。

どんなチームとあたるにせよ、自分のペースで、あたり前のことをあたり前にできるかということが最大の課題になると私は思っています。
これができないから、崩れる。
崩れた時に持ちこたえられない。
結果、負けに繋がる。
こういう場面を何回も見てきました。
あいつらが、どこまでできるか?
こういうチャレンジの機会を勝ち取ったのは、あいつらです。
こういうみんなで泊まりを体験できるのも、彼らのおかげ。
それを支えてきた、私たちと保護者のおかけです。
いろんなことを体験して、楽しんできたいと思います!

主催大会のじげんカップで、宿敵坂下ヒーローズを下して優勝した高田イーグルス。
この10月は、毎週転戦の日々です。
コロナ前は、毎月、試合がたくさんあるというのが日常でした。
それが戻ってきたような感じさえします。
秋は収穫の時期、ひよっこだった高田イーグルスの面々も、場数を踏んで、修羅場をかいくぐって、だいぶたくましくなってきたと思います。

10/22.23、私は仕事で大会にいくことができませんでしたが、ラインで送られてくる、みなこコーチの「熱闘スコアブック」で、ひとりひとりのプレーを脳内に再生させます。

6年生、カナト、チヒロ、キヒトの3人の小学生ソフトボールという旅も終わりを迎えようとしています。
へたくそだった3人。今も相変わらず、へたくそですが、彼らの取り組む気持ち、姿勢が変わってきたと私は思います。
そしてそれはプレーにも、結果にも表れています。

キヒトの時もそうでしたが、それは唐突にラインで送られてきました。

チヒロ、ホームラン。

ん?キヒトやカナトの間違いなんじゃないかと、目をこすって見直しましたが、間違いではありませんでした。
あの小さいチヒロがホームラン。
しかも、あとでコーチにきいたところ、完璧にとらえた打球だというじゃありませんか!
チヒロ、やりやがったなと思うとともに、チヒロの曇天の空が晴れていくのがわかりました。
お世辞にもパワーがあるとは言えません。
だからと言って足が速いわけでもない。
握力がないから、捕球もポロポロ落とすし、落下点の見極めも遅い。
プレーヤーとしては、後輩の後塵を拝することもしばしばありました。
エラーをしたあとで、ベンチにもどってくるチヒロは、浮かない顔というか、この世の終わりかのような、絶望した表情をよくしていたものです。
やっちまったと自分でも思っている。
悲しい目をしてきたのを、見てきました。
しかし、チヒロは我々指導陣のアドバイスを良く聞き、理解して動こうといます。
その姿勢は、イーグルスの中でも一番、真摯に謙虚な態度だと思います。
左バッターのレフト守備位置。
なぜ、そこに守るのか、というのを一番理解して行動していると思います。
ときどきに忘れる時もありますが、数回言うだけで、のみ込んで、次回から自分で考えて動いています。
こういうところなんですよね。
こういうところが、チヒロのすごいところ、いいところだと私は思います。
言われたから、単に動くではなく、自分なりに理解して状況をみて動く。
この癖をつけておくことが、机上の勉強の頭の良さではなく、本当の意味で頭がいいという、ところに繋がると思います。
そしてこれは、スポ少以外にも応用できます。
チヒロがそれを一番、具現化していると思っています。
そして、これを続けていけば、ソフトボールのセンスのいい奴や巧いと言われる奴を、越えていくことができると私は思っています。

そして、チヒロは結果を引っ張ってきた。
感動しないわけないじゃありませんか!
キヒトの時もうるっと来ましたが、今回もラインの画面がにじんで見えました。
その場にいたとしたら、泣いていたに違いありません。
そして、小学校からの後輩である、チヒロのお父さんに、おめでとうのラインをいれます。
彼も仕事で見に行けなかったそうです。
そして、私と同じように、現場にいたならば、号泣していたと言っていました。

やはり、神様はいます。
神様は、ちゃんと見ててくれています。
たいした信仰心もありませんが、そう思います。
一生懸命にやってきた子供たちが、ものすごい結果を引っ張ってくる。
我々大人に、世の中捨てたもんじゃないということを、子供たちが教えてくれています。
それが、今回はチヒロだった。
人目もはばからす、よしっ!と一人でガッツポーズをしてみます。
チヒロのオヤジもきっとやったはずです。
チヒロに限った話ではありません。
子供たち、ひとりひとりに、そういうストーリーがある。
そしてそれはノンフィクション。
だから、心が動きます。
私たちは、そういう世界にいる。
そういう景色をみることができるのが、スポ少なんです。

ただ、カナト、キヒト、チヒロと一緒に見る景色もだんだん終わりを迎えようとしています。
あの三人だったからこそ、この3人だったからこそ、やってこれたと今は思います。

少しはたくましくなった、スリーアミーゴスの最後の舞台は、来週の坂下ライオンズ杯。
あの凸凹な、ふぞろいの後ろ姿を、見納めることにしましょう。




坂下ヒーローズさんへのリベンジを期して望んだ決勝戦。
あの涙を忘れません。
あの嗚咽を忘れません。
あの虚無感を忘れません。

そして、この主催大会の決定戦で、その舞台は整いました。
あの頃の高田イーグルスではないことを証明して見せましょう!

さて、カナトはまたしても先攻をとってきました。
白獅子と同じ先攻。
ただ、この前の白獅子は1番から簡単に三人で押さえられています。
そして、裏に得点されている。
まさに、坂下ヒーローズさんのペースに持ち込まれた展開でした。
同じ轍は踏まない。
初回の表に先制パンチをなんとしても入れるつもりでした。
そのためには1番リードオフマンのアユキの出塁がカギとなると踏んでました。
出塁率の高さ、我らが矢じりが刺さるかどうか?
その矢じりが見事に刺さりました。
まずは、第一段階、先制点を狙って取りに行きます。
そして、2番のマナトとランナーのアユキとのコンビネーション。
盗塁と送りバントを組合せながら、ランナーを三塁に進めます。1死三塁。
ここで、3番アオト。
なんとしても一点欲しい、と
なんとしても一点を阻止したい、のぶつかり合い。
1死三塁、内野ゴロで一点がとれるケースです。
三振が少ないアオト、打たせてもいい場面ですが、より確実なバントを選択します。
ランナーアユキ、バッターアオト、1点をとりにいくなら、この二人のコンビネーションは、現時点での高田イーグルスの最強だと思います。
何よりこの二人は、私たちの意図をくみ取って、考えて行動することができる二人です。
状況を見て、自分で判断できる。
だからこそ、この状況でどうすれば1点が入るかを考えて、行動することができます。
これは、普段から、このケースの場合はどうすればいいか?を考えて行動している、その癖をつけている証拠だと私は思ってます。
この二人の真価を発揮するときが来ました。
私の意図を汲んだバントが炸裂します。
結果、セーフティスクイズ気味になりました。
結果的にとても高度な戦術になった。
そして、成功した。
アオトのバント、アユキのスタート、二人のコンビネーションというか、スタンドアローンのプレーが結果的にコンビネーションとなったというのが、正解でしょう。
ちゃんと転がしたアオト、転がったのを見て迷わずスタートを切ったアユキ。
やはり、この二人だからこその先制点となりました。
よっしゃーぁーと沸くベンチ。
してやったり。
狙ってとった1点です。
だからこそ、我々を勇気づける1点となりました。
そして、ここから一気にたたみかけます。
トウマがサードを破り、ミソラがエラーで出塁、ユウシンがレフトに運ぶ。
この回、一挙に5点をもぎ取り、完全に主導権を握ります。
実力が拮抗している場合、表面張力のような緊張感が崩れると一気に試合が動くことがあります。
何より、坂下ヒーローズさんの士気を下げることに成功しました。
しかし、後続の六年生、カナト、キヒトが続かない。ここが繋がれば、もっと一気に攻め込むことができたはずです。
ひとまず、高田イーグルスのペースに持ち込むことができました。
あとは、大量得点を背景にひとつひとつアウトを積み重ねていくだけです。
守りにも心理的余裕が生まれます。 
こうなると、試合展開にも余裕がでてきます。
しかし、この余裕がのちのち、仇(アダ)となることをこの段階ではわかっていません。

坂下ヒーローズの一回の裏の攻撃、三振、センターフライ、ピーゴロ、簡単に三人で仕留めます。
相手のエースを打撃でも完全に封じ込めている。
ピッチャーには、気持ち良く打たせないというセオリーをきっちり守っています。
完全に流れはイーグルス。
相手を圧倒していると言っていい。
この勢いはまだまだ止まりません。

2回の表、ラストバッターのチヒロからですが、チヒロは三振。
しかし、トップにもどってアユキがショートエラーでふたたび出塁します。
またしても矢じりが刺さった。
そして、相手のキャンパスを切り裂く盗塁を仕掛けます。
マナトも振り逃げで続きます。
そして、またしてもこの二人のターンになりました。
仕掛けます。
作戦の意図を読んでいる二人。
だからこそ、だせるスクイズ。
我々指導陣と塁上のアユキ、マナト、バッターボックスのアオトが電気回路のようにネットワークとして繋がります。
この一体感こそ、チームワークがなせる技です。
軽やかに1点をもぎ取ります。
ここにエラーも重なり、さらに2点。
この時点で8:0というワンサイドゲーム。
やることなすこと、上手くいくイーグルス。
これには、さすがに相手エースの心が折れかかっています。
ソフトボールの流れの怖さを見ました。
それでも、壊れたハートの破片をつなぎ止めて、もう一回挑んでくる姿に不死鳥フェニックスを重ねて見てました。
彼の目は死んでいません。
諦めていません。
このあたりが、彼のたいしたもん。
それでこそ、この先も好敵手。
彼の執念が徐々に周りの選手に伝染していくのがわかりました。

3回表、この試合はじめてゼロに押さえられました。
こちらのペースがはじめて崩されました。
一気に押し切れない。
ここが高田イーグルスの弱さだと、振り返ると思います。

3回裏、坂下ヒーローズの攻撃は9番から、8点を追いかけます。
この時は、まだ何も始まっていません。
そして、ここから盛り返すなんて、誰も思っていません。
高田イーグルスもここから窮地に立たさせるとは思ってもみませんでした。

9番がバントヒット、やるなアラタ!
ここから怒涛の攻撃、坂下ヒーローズの意地のラッシュが始まりました。
センター、センター、レフト、そしてセンターオーバーのホームラン。
ここで終わらず、またセンター、そしてサード内野安打、まさかまさかの七連続ヒットを喫します。
敵もさるもの。
この時のバッテリーの心境は、何を投げてもやられる……ですが、
私から見れば、思考を停止して、単調になりさがった。
考えることをやめたから、やられたんです。
七人連続で打ち込まれた。
流れが変わりました。
明らかに変わった。
8:4となり、まだダブルスコアですが、こちらにも余裕がなくなってきました。
向こうは上り調子、こちらは下がり調子。
この双曲線はどこで、逆転するのか?
この試合、どちらに勝利が転ぶか、わからなくなってきました。
エースの執念、坂下ヒーローズの執念、見せてもらいました。
ヒットを打った選手ひとりひとりが吠えています。
こうでなければ、面白くない。それでこその好敵手です。
しかし、高田イーグルスもただでやられるわけにはいきません。
なんとか押さえて、もう一回、ダメ押しを狙います。

坂下ヒーローズさん、さすがです。
息を吹き返した。
4回、5回と押さえられたのは、坂下さんに勢いがもどったからです。
それでも、まだこちらは倍の兵力、押し切るしかありませんが、さっきの勢いはありません。
打線は湿り、追加点がとれないどころか、塁にでることもままならない。
唯一ヒットを放ち、塁に出たミソラを返すことができません。
8:4の試合展開の中、次の1点をどちらがとるか?
ここが大きくなってきます。
それでも、最終回、坂下ヒーローズさんを崖っぷちまで追い込みます。
あと、ワンアウトまできました。
しかし、ここでまたもやホームランを打たれます。
2打席連続のホームラン。またしても、ユウトにやれた。
彼はイーグルスから、いいところで三本のホームランを打っています。
白獅子戦は致命傷となる一本。
勝負強い男です。
彼とは6年生男子選抜チームでの間柄です。
まさにイーグルスキラー。
感嘆詞をこめて、彼に送ります。

それでも、反撃はここまで、ミソラトウマバッテリーが最後は押し切ります。
勝った!
なんとか勝った!
8:5で、六年生フルメンバーでのリベンジを飾りました。
竜頭蛇尾の勝ち方ですが、勝ちは勝ちです。
今年の高田イーグルスらしいといえば、らしい。
詰めが甘い。
それでも、あの負けの、あの涙の、あの嗚咽の、お返しはきっちり返しました。
今回の勝因は、初回に主導権をしっかり握ったこと。
たたみかけるべき時に、一気に攻め込めたこと。
狙いを賭けた勝機をきっちりものにしたことが勝因だと分析します。
小さい分水嶺を制し、大きな天王山を制した。
後半は、坂下さんに盛り返されましたが、押し切る強さも備わってきました。

だから、私は思うんです。
あの負けがあってよかったと。
あの敗戦があったからこそ、高田イーグルスは強くなれたんです。
無駄なことなんてないんです。
無駄を無駄と思わず、失敗を教訓にして、糧にする。
エネルギーにする。
一番ダメなのは、失敗を恐れて行動しないこと。
失敗しない人間なんで、大門先生以外いないんですから。
失敗して、みんなに迷惑をかけて、チームをどん底に落としていい。
スポ少は、失敗するチャンスをもらっているんです。
その失敗するチャンスは、改善するチャンスに置き換えられます。
その過程を、私たちは、子供たちと一緒に、リアルタイムで実行しています。
これは、後で必ず役に立ちます。
全部に応用できる。
私はそう思います。



これで、1勝1敗の五分と五分。
となると、どこかで、勝負を決する必要がでてきました。

その勝負の日は、六年生最後の大会、11.3の坂下ライオンズ杯に決定しました。
最後の最後の大一番。
龍虎相打ちます!
龍虎はいい過ぎですね。ねずみともぐらの対決です!



10/16
我が高田イーグルスの主催大会、じげんカップが開催されました。
悔しい去年を思い出しました。
予選リーグで勝敗で並んで、失点差で負けて決勝に進めませんでした。
新鶴戦、三塁にいたシュンペイとの「カンバセーション=会話」を思い出します。
計算したところ、1点あれば良かったんです。
そして、バッテリーは無警戒。
ここから下位に行く打順。
材料が導く確率はどんどん低くなる。
ここは、行くしかねえ。
サードコーチャーだった私は、シュンペイに、いけ!ホームスチールだ、それしかないと話しかけ、シュンペイもこの意図を理解したようでした。
うなずくシュンペイ。
「いけシュンペイ」
「OK!コーチ」
ここが、私とシュンペイの「グッド、カンバセーション」
しかし、この作戦は不意になります。
審判にボールがあたって、ボールデッドになってしまった。
我々の目論見は、もろくも崩れました。
あれがなければ、一点を追加していたはずです。
失点差で新鶴を逆転していたはず。後続バッターは、打ち崩すことができず、そのまま敗れました・・・
もう1球、早く仕掛けていれば、どうなっていたか?
そういう数多くの、たられば、後悔が今の私を形成しています。
失敗やミス、迷いが、次の子供たちが成功するための資料となり、糧となり、いしずえとなります。
だから、年代をおうごと、末広がり的にどんどん広がっていきます。これが、蓄積というやつです。私には、これまでの失敗をしてきた多くの子供たちがついててくれます。

この場面、どっかで見たことがあったなぁ、と思い出す。
そして、どうすればよいのかを考える。
その時、過去に失敗した選手の顔が出てきます。
あの時、どうすれば良かったのかを、考える。
過去の選手たちとの会話。
これこそ、グッド、カンバセーション。
このセリフは、映画「ラストサムライ」でトム・クルーズと渡辺謙、ふたりが理解しあえた時のセリフで、劇中に3度でてきます。
人と人が分かり合えたというシチュエーション、かっこいい。
その人の考えが、自分の中に腑に落ちたという証だと思います。
あなたは私の力になったという証。
彼らのミスやエラーが私の血となり肉となっているということです。
どうりで太るわけです。
だから、体重が落ちないんだなぁと、今気づきました。
彼らのミスとエラーは、最終的にはそのポジション、打順においた指導者の責任です。
なので、彼らのミスではなく、私たちのミスです。
ミスをすれば、どう改善していくかと考える。ここが血肉になるところです。
そして、それは私の中にも経験として生きています。
そして、それは今の選手たちに還元すべきものです。
ここに私が長くやってきた意味があります。
今の選手、昔の選手、両方とのグッド、カンバセーション。
それを毎年、毎回、いかそうと思ってきています。

そして、今回、6年生を含めたチームの坂下ヒーローズのへのリベンジの機会がやってきました。
白獅子の県大会を賭けた、あの代表決定戦、あの激闘で敗れた相手です。
私は思うんです。あの負けがあったからこそ、今があると。
あの敗戦から、選手たちのやる気が明らかに変わりました。選手たちの多くが、このままでは駄目だと思って、行動するようになりました。
そして、今に至る。
もう一度、お互いの持てる力をぶつける時がきたようです。
それが、この主催大会であるじげんカップ。
いいじゃないですか!
ただし、その舞台が整うのは、決勝戦。
まずは、お互いに勝ち進むことが条件となります。
高田イーグルスは、これまた先の喜多方ボーイズ杯で負けた柳津さんと、去年負けた新鶴さんのリーグに入りました。
これまたリベンジの機会。
去年の二の舞を踏まない。
その覚悟で臨んだ大会です。
目指すは、優勝。
全部勝って優勝、これを目標と定めました。

予選リーグを二勝して突破しました。
坂下ヒーローズも、予選突破。
役者はそろいました。

次回、リベンジです!











10/9、秋晴れの日曜日、二本松スポ少10周年記念大会にご招待をいただき、旧白沢村にいってきました。
足が痛い。右足の親指の付け根が・・・
わかる人にはわかると思いますが、そう「痛風」です。
大の大人が、痛くて痛くてたまらなくなる、あの病気です。
こうなったのは、3度目か・・・そういや、ビールをのんで、焼き鳥をくって、筋トレして、サウナにバンバン入っていた。
身に覚えありまくりです。
毎日の少しずつの積み重ねがここにきて痛みとして私に襲い掛かります。
毎日の少しずつの積み重ねのいう、堅実的な言葉は、練習の成果とか、訓練の成果とか、いい意味で使われてほしいと思います。
駐車場が遠くで、びっこを引きながら、1人で歩いていると、なんとも情けなくて、明日からはプリン体がある食べ物を控えようと思いましたが、痛みがひくと忘れてしまいます。

さて、試合はといえば、1回戦は福島市の庭坂スポ少さん。
監督さんと話してみると、9人ぴったしで監督さんも代行ということでした。
そして、高田イーグルスも6年生が全員欠席、新人で6年生のフルメンバーで戦わなくてはいけません。
まぁこれはこれで、新人戦県大会の対策になると割り切ります。
現有戦力で、最大の効果が狙えるポジションと打順を考えます。
今の高田イーグルスでは、競争が起きています。
ポジション争い、レギュラー争いが起きている。
ある程度、固定されているポジションもありますが、そうでないポジションもあります。
甲乙つけがたいというか、どんぐりの背比べというか、どっちを使うか指導者でも迷います。
ケガで出れない期間、そのポジションを埋めた選手がメキメキ成長していきます。
そして、ケガが治った選手を脅かす。
どっちも、レギュラーになって、試合で活躍したいので、お互いに練習もがんばる。
チーム内の競争が、相乗効果を生んでいると思います。
これをもっと、あおっていくのがいいのかもしれません。
今の子供たちは、本当の意味での競争をしたことがないからです。
世の中の多くが、競争でできています。
今の経済、資本主義の根本に競争があります。
それなのに今の教育は競争を避ける傾向があります。
勉強の順位や受験は、競争のひとつだと思いますが、面と向かっての、堂々たる競走は避けていると思います。
そして、競争に対する耐性や対策をつけさせることなく、社会に送り出す。
結構な無責任なんじゃないかと思ってます。
社会にでれば、面と向かっての競争ばかりなのに。
その点、スポ少はその面と向かっての競争が奨励されています。
健全な競争。
持てる力を気兼ねなく、存分に発揮することができる環境がスポ少にはあります。
それは、勝っても負けてもいい。
一生懸命にやってればいい。
悔しい気持ちも、してやったり気持ちも、心の整理の方法につながります。
人としての成長に間違いなく繋がっている。
それが今のスポ少という世界にあります。
いい傾向です。

スターティングメンバーの発表の時の緊張感。
名前を呼ばれた時の「ハイッ!」という声に、高揚感があります。
いくぞーと守備位置に向かって走る後ろ姿に喜びがあふれています。
一方、名前を呼ばれなかった選手は、暗い顔をして、肩を落とします。
がっかりします。これも現実です。
しかし、がっかりしていい、がっかりしていいんです。
なぜ、自分が呼ばれなかったかを考える。
まだ、足りないか?と自問する。
そして、また前を向くでしょう。
そして、チームのために応援し、サポートする。
いいことも、わるいことも受け止める事ができる練習を、このスポ少でやっているんです。
選手もそうですが、家族も一喜一憂しています。
がんばれ!がんばれ!
声に出しても、出さなくてもいい。
その時点で、心が動いています。

そんな心が動いた試合。
そういう試合は、年に何回もありません。
庭坂さんに快勝し、マンモス小学校を根城にする小山田スポ少さんが次の相手です。
体格では完全にイーグルスを上回っています。
おそらく、大半が6年生でしょう。
ユニフォームも品質のいい、高そうな生地を使っています。しかも、メッシュ。上下特注だと見ました。
がたいがよく、活きのいい、ややワンマンのキャッチャーがキャプテンとして率いる軍団です。
対するイーグルス……華奢だなぁ、そして小さい。
見た目では、すでに負けています。
しかし、ソフトボールは見た目でやるもんじゃないということを、あいつらはプレーで証明していきます。
初回、我らの矢じりのアユキがファーボールで、刺さります。
すかさず盗塁とエラーを誘って三塁までするすると到達します。
そして、トウマのショートゴロで生還、先制点をもぎ取ります。
ノーヒットで1点をもぎ取る弱者のソフトボール。
ヒットを打たなくても、より確実に得点できるスモールベースボール、派手さはありませんが、堅実。たかだか1点かもしれませんが、今の高田イーグルスには、1000人の援軍が来てくれた気持ちです。
我々はこれを積み上げていくのみです。

よし、まずは1点。
この1点を大事にしていこうと決めます。
格上の強敵とあたるときに、一番大きなポイントは、バッテリーが押さえられるかどうか? 
強打者と次々に会敵するバッテリーが、しっかり押さえることが勝機につながります。
さて、ここはどうなるか?
ミソラトウマとバッテリーが、でかい選手を相手にバッサバッサとなぎ倒していきます。
いやー、気持ちいい。
おそらく、ミソラのコントロールと球のキレが今シーズン最高の試合になったと思います。
そこにきて、キャッチャーのリードがバンバンハマります。
これだけ、バッターを手玉にとれると見ているこっちも面白い。

しかし、バント処理のミスから3点を許してしまいます。
小山田さんを相手に、3点はきつい。
それでも、もう1回立ち直ってもらわなければなりません。
この試合を捨てるわけではありませんが、捨てるくらいの覚悟で、チャレンジすることに決めました。
勝敗はどうでもいい。
目の前のことを目一杯やろうと決めました。
勝つという目標をおかない。
勝たなくてもいいとすることで、選手たちをいったん、プレッシャーから解放します。
冷静になる時間。焦りや動転をリセットする時間を作る演出です。
ミソラも強敵に打たれる耐性がついてきました。
ヒットの一本二本で、ぐらつかなくなってきました。

負けてもいいと思うと、なぜか強くなる。
失うものがないからです。
ペース配分等を無視して、かかっていきます。
局地戦をとっていく。
そうすることで、流れをこっちに持ってくるともに、いつも間にか、大きな流れをもってくることを目論みます。
試合を捨てるといいながら、あわよくば逆転をねらいます。

それでも、小山田さんの牙城は崩れませんでした。
局地戦は勝っていますが、戦略的には負けました。

この試合の白眉は、三者連続三振。
ミソラトウマの先頭バッターの5番をセンターのミスで三塁まで進められますが、そこからの連続三振でした。
1:3で1点もやれない場面で、無死三塁という絶体絶命の場面。
ここから、ミソラのギアがあがります。
いつもなら、86.7%の確率でパスボール。
そんで簡単に得点を許す場面、しかし今日のミソラはちがいました。
下位打線を行くとみるや、速球で早めに追いこみます。遊び球無しで、勝負。
これがバンバン決まりました。絶体絶命のピンチからねじ伏せる。
ここは、バッテリー、人馬一体の呼吸で無双します。
ここは相手も、打てる気がしなかったでしょう。
パスボールもしない。しぶとさ、タフさがでてきた。いいぞ、いいぞ。
よっしゃぁーと魂の三者連続三振。
じーんときました。
こいつら、こんな投球しやがってと、まぶしく見えます。
この投球、我慢強い投球ができるのならば県大会に行っても大丈夫だと思いました。
それが今限定の局地戦だとしても、バッテリーには、成功体験のの遺伝子として残っているはずです。

そして、2,3,4番を押さえた回。
2,3を押さえて、迎える4番のキャプテン、キャッチャーとの勝負。
まさに重量級、あたれば即死に繋がる打球を打てる能力があります。
慎重な入り、打ち気をそらすボール球、最後に何所に打たせるか、ある程度決めておいた配球。
最後は、迷わせて、打たせた球がピーゴロ。
思考の勝利です。 
強打者であっても、相手を観察して、頭を使えば討ち取れるということが、分かってきたようです。
持っている武器は、変わらないのに、配球を工夫するだけで、劇的に打ちづらくなる。
これが、できるのはミソラにコントロールというスキルがついてきたからです。
まだまだ課題はありますが、配球を駆使できるところまでのコントロールがついてきました。
投球に幅ができる。より強い敵と戦うことができます。
そして、倒す。
小山田さんの4番に対して、臆することなく投げこんだインコース。
彼をして、「おっと、あぶねえ~」(確かそんなような感じの言葉だったと記憶しています)と言わしめました。
プレッシャーを与えています。
そして、外の低めをひっかけさせて、ピーゴロに討ち取った。
彼のフラストレーションを蓄積させていきます。
イライラし始めた。
そして、チーム内のエラーやミスが続いて冷静さを欠くようになります。
怒り始めた。
扇の要のキャッチャーが怒ったら、そのチームはどうなるでしょう。
チャーンスと思いましたが、そう簡単には崩れてくれませんでした。
怒っても、我々を寄せ付けない強さがあった。
まだ、戦力的な差がある。
押し切られてしまいました。
小山田さんは、その後も順調に勝ち進んで、決勝で磐梯さんを破って優勝したそうです。
優勝チームに肉薄した。
5年生たちの若いチームが、現有戦力で伸び伸び戦っています。
そして、強い敵と戦うことで、できなかったところ、ミスしたところなどの対策をとろうとするようになってきました。
まだ、指示待ちも多いですが、考えて動けるようになってきた。
これは、大きな収穫!です。
これが楽しい。このチャレンジを楽しめるようになれば、彼らはもっと強くなるでしょう。

昨日今日と、強敵ばかりでした。
今は、たしかに負けています。
しかし、この強敵が、私たち高田イーグルスを強くしてくれます。

天高く馬肥える秋、馬群を縫って、抜け出す高田イーグルスに期待しましょう。





下郷ジュニアさんの前に完敗を喫した高田イーグルス。
3位の座を巡って、柳津さんと激突します。
かってしったる相手だけに、負けるわけにはいきません。
この試合、6年生が相次いで離脱し、消去法で最後に残った牙城、キヒトが人生初キャップをとります。
キャプテンという柄ではありませんが、何事も経験です。
やっておいて損はないし、上手くいくいかないはあるかもしれませんが、上手くいけば、それを良しとして、上手くいかなければ、反面教師にする、どっちに転んでも、自分の血となり肉とすればいいと、私は思ってます。
なので、思い切りやるのみ。
なんでも、やってみたらいいんです。
今の時代、失敗することを恐れて、チャレンジすることさえも思いたたないことが、人が多い気がします。

今思い出しましたが、後輩に、失敗するならやらない方がいい、綿密な計画を立てて、成功の見込みが有るときだけ、動きましょう!と豪語する奴がいます。
そんな後輩に向けて、私は言います。
そんなんじゃ、動けなくてじいさまになっちまうぞ。最初からうまくできる奴なんていない。
失敗してもいいから、とりあえず動け!
走りながら、考えて、修正していけばいいべ、と。
しかし、彼には、腑に落ちないようです。
いつも、平行線でおわり、考え方の相違ですねで片付けられてしまいます。
面白くねえ奴だなあと思いますが、彼には彼の考えもあり、彼の方が正しいときもあるかもしれません。
なんだコノヤローというのは簡単ですが、真っ向から反論してくる彼を否定するのではなく、独りよがりにならないように、彼の立場からの考えることで、自分の考え方がはっきりすることも有るので、一応は重宝しています。
和菓子の上手い餡子には、塩が入ります。絶妙な塩梅で。
まったく正反対のものが、混じり合うことで、より高品質のものになりうる。
だから、偏らないように気をつけています。
どんなに、反対の意見にも言い分があり、正義がある、その正義を見極めようと思っています。
どんな物、人、事柄にも何かしらのいいところがある、そこを見つけようと心がけています。
そうすると、あら不思議、なんだコノヤローという相手でも、少しはリスペクトできるところがあるんだということに気づきます。
相手の立場になって考える。
リスペクトがあると、なんだコノヤローという相手であっても、関係を築ける糸口のようなものが見えてきます。
それに何回も救われてきました。


脱線しました。
キヒトのキャプテン、背番号10。
戸惑いながらも試合は始まりました。
でかいので、とりあえず様にはなっています。
彼がこの先、キャプテンなどの要職を務めるようになるかは、分かりませんが、小学校の時、キャプテンをやったなぁと思い出してくれるだけでも良しとしょう。
しかし、そうであっても勝たなければなりません。

先攻を選んで、高田イーグルスの矢じりとなる、アユキから攻め込みます。
センターに運んで一気に二塁へ。
やはり、アユキという矢じりが刺さると、後がやりやすい。
すかさず送って、スコアリングポジションの形を作って、3,4,5番のクリーンアップを迎えます。
そのプレッシャーの前にして、パスボール、先制のホームをアユキが踏みます。
アオトの打球がライトのエラーを誘い、マナトも帰る。
さぁ、エンジン全開だぁーと、突撃を命じますが、クリーンアップ機能せず、初回は2点どまりでした。
ん?もっと得点できたと思うんだけどなぉぁというフラストレーションが残ります。

まぁ、こういうことも有るだろうと、切り替えて、押さえに回ります。

初回の先頭バッターをサードゴロに討ちとります。
柳津さんの矢じりを討ち取った。
1番バッターをどんな形であれ、アウトにとることは、立ち上がりをしっかりゼロに押さえるための必須条件です。 
慎重な入り方、早いカウントからの追い込み、集中力の高いバックの守備が試されます。
ここは何度も何度も我々が指導してきたことです。
指導してきたとしても、必ず実践できるとは限りません。
毎回毎回、ちゃんと、無難に立ち上がってくれよーと祈るような気持ちなのは、私だけではないでしょう。
2番をストレートのファーボールで出してしまいますが、後続をピシャリと押さえます。
初回の攻防を制した。
これで、この試合の主導権をとることができました。 
2点勝っている。
こころに余裕が生まれます。
余裕は、プレーにも幅を持たせます。
プレッシャーが少ないところでは、大きく羽根を伸ばすことができます。
私もソフトボール少年だったのでわかります。
まるで、世界を制しているような感覚。
やることなすこと上手くいくぞという感覚、一体感。
これが気持ちいい。
2回にも1点をダメ押しする理想的な展開となりました。
3点のリード。時間も短い試合の半分を過ぎている。
よーし、この試合、もらったぁ!とレギュラーを交換して、控えメンバーを全員出す方針に切り替えました。
代打を送り、守備を交換しても、このリードがあれば逃げ切れると私は計算しました。
全員使っても勝つ!その自信がありました。
しかし、その考えにいたった瞬間から、瓦解が始まっていたと思います。
忍び寄る敗北というシャドウがすぐそこまで来ていたと思います。
3回の2番の好打順にも得点できなかった。
4回も三者凡退。
明らかにいい流れではなくなりました。
それでも、勢いで乗り切れると思っていました。
そして、最後にユウシンをクローザーとして、送り出しました。

先頭バッターをセカンドゴロに仕留めます。
よし、ワンアウト!
おそらくここが最終回、あと二人を押さえれば勝利となります。
しかし、ここからが下り坂でした、地獄までの。
ユウシン、一人目を簡単に押さえましたが、その後がいけない。
ボール、ボール、ボールの連発。
9球連続のボールで連続ファーボール?!
どうした?いつも通りやれば大丈夫だぞと言いますが、しきりに何かを気にしている様子。
やべぇーな、県大会を想定してのリリーフだったんですが、明らかに制球がきまらない。
練習不足がここにでています。
その後の修正も上手くいっていません。
これは、ヤバイぞとアラートが響きます。
が、しかし、立ち直ることも有るかもしれない。
ここを押さえることで自信がつくかもしれない。
それをチーム全体の勝利と天秤にかけます。

もう一人、様子を見ることにしました。
立ち直るきっかけが見えて欲しいという希望です。
しかし、きっかけ、兆しは、なかなか見えてくれません。
もう1点に迫ったところで、戦略的撤退を判断します。奥の手を使います。
だいぶ守備位置も変えてます。
なので少し複雑、ミソラの再出場からの再登板。
こんなとこは過去に1回もやったことがありません。
理論上できることを分かっていましたが、なかなか実践する場も有りませんでしたが、今回は使わなければなりません。
今のミソラならば1点あれば充分に守り切れるだろうという祈りにも似た期待。
一番やってはいけないという、1死満塁のピンチの場面で送り出します。
みんなが思ったことでしょう。
頼むぞ!ミソラと!
そして、押さえてくれると。
バッターは2番、三振とりたいところです。
2球で追い込みます。
ここでカウントを悪くしないで、早めに追い込むことで、自分自身もそうですが、バックもベンチも応援席も安心します。
ミソラとトウマのバッテリーがそこまで、計算したかは分かりませんが、追い込んだことで、よしいける!と明るい兆しが見えました。
しかし、敵も然る者、しぶとくライトに運びます。
外野に飛んだ時点で、1点は覚悟しましたが、コウミが素早くライトゴロに仕留めました。
そして、リツもバックホーム体勢をとります。
柳津さんにも走塁ミス。
あの打球ならば、ライトに飛んだ時点で、セカンドランナーもゴーホームなのかなぁと覚悟してました。
しかし、慎重論をとっていかせなかった。
これは高田イーグルスにとっては、助かりました。

ついに同点となりました。同点となってしまった・・・
おいつかれた。
おいつかれてしまった。
くぅ~、悔やまれます。
明らかな油断。
勝負を勝手に決めつけて、育成に走った自分が情けない。
勝ち切るといいながら、勝ちきることを自ら放棄してしまいました。
そして、こういうことは、今までも何回もやってきています。
そのたびに、次はやらないと思うんですが、またやってしまいました。
全員出場させた上で、勝ちきるなんて、かっこいいことを目論んでいましたが、はかなく崩れます。
しかし、まだ同点、負けたわけではありません。
そして、負けられません。
ミソラは、もう一回、気分を入れ替えました。
最後のバッター、3番を渾身のストレートで三振に討ち取りました。
こういう切り替えができるようになったのも成長の証だと思います。

何はともあれ、3:3の同点となりました。
規程により、くじにより勝敗を決定します。
くじかぁ~くじは弱いんだよなぁ……
監督は、選手が引いたくじの〇❌を確認します。
5票〇があった方が勝ちです。
1番早く勝敗を知ることができます。 
くじを開けていく度に、あー、あー、よし、あーと一喜一憂しています。
そして、ため息をつきます。 
負けました。4:5で。
神様が味方してくれなかったことに対して、ため息をついてしまいます。
そして、みんなゴメンと思います。
今回は完全に指揮官である私の采配ミス。 
あそこで、あぁしてれば、こうしてれば……がバンバンでてきます。
勝てた試合でした。普通にやれば。
なのに油断で負けた。
子どもたちを勝たせてやれなかった。
なんて、自分はバカなんだと思います。

閉会式に際して、
3位となった柳津さんのエースが敢闘賞をもらっているのを、横目に見てました。
「あーぁ、本当ならば、あれをもらってるのは私なのに!」とミソラは怒っていました。
そういうなや、ミソラ、ごめんなー、ミソラといいながら、それはミソラだけでなく、選手全員と保護者の皆さまに対してへの謝りです。
閉会式は、4位で並びますが、何ももらえません。
ただ、いるだけ。
よろこんでいる上位のチームを横目に見ているだけです。
くじで負けたという紙一重の差が悔しい。
そして、来年こそ、見てろよとモチベーションを高める時間に変えました。
そして、ドローンで全体写真を撮影してる薄暗くなりつつある秋空に、また油断しないことを誓います。





フルボッコでした。0:7の時間切れで完敗でした。
県大会3位の下郷ジュニアさんを相手に、のぞんだ二回戦。
完全なる力負け。
すべてのステータスがこちらを上回っていることが、試合の流れ、得点差に表れています。
そうであっても、最初から試合を捨てていたわけではありません。
強敵相手に、今の高田イーグルスがどれだけ通用するかをチャレンジしていくこと。
そして、どんなに点差を広げられようが、最後まで自分たちのプレーができるかどうか?
途中で、心が折れて戦意喪失のサンドバッグになるかもしれません。
しかし、どんな状況においても最後までベストを尽くすことができるか?
ここにかかってくると思ってました。
 
正直、今の段階で勝つのは難しい。今は勝てなくてもいいと思ってました。
しかし、この先、何回もこういうチームとは会敵するはずです。
そして、こういうチームを乗り越えなくては、その先にはいけない。
自分たちよりも強いチームを前にして、どんな心の持ち方、準備で臨むのか?
その練習にもなる。
この戦いから多くの物を持って帰ろうと心に決めていました。

高田イーグルスは先攻。
強者が後攻をとるのはセオリー通りですが、弱いと思われている者が、強者に勝つためには先攻しかないと私は思ってます。
相手のペースにさせない。
自分たちのペースに持ち込むには、先手をとって、立ち上がりに一発いれるしかない。
古今の野球マンガでも、そうでしょう。
私が高校の時の愛読書、『やったろうじゃん!!』もそうでした。
強敵を相手に、先攻で仕掛けて、1番打てる順番に並べて、初回に奇襲。
この時代、1番打てる奴は4番がセオリーでした。
しかし、作者の原先生は1番に置く打順。
こういう攻め方もあるのかと、感心したものです。

先攻をとったのはいいんですが、相手の防御力の前に、我々の矢じりが刺さらず、全く歯が立ちません。
傷さえつけられない。
結果から言えば、ノーヒットに抑えられます。
三振と凡打の山。
県大会クラスというのは、こういうピッチャーがゴロゴロいる海千山千。
まずは今の自分たちのチカラを知ることからはじめましょう。
そして、初回からミソラは捕まります。
先頭バッターは抑えますが、芯をとらえられているアタリが連続します。
打球が鋭い。討ち取っていても、抜けてしまいます。
我々は、この鋭さには慣れていない。
バッテリーもコースをつきますが、甘く入るとたちまち捉えられ、コースを突きすぎるとカウントを悪くするというジレンマ。
そこにきて、主審が狭いとストライクゾーンも狭くなり、バッターに有利に働きます。
ミソラはまだ、剛球のレベルにはいっていません。
県大会の歴戦を戦ってきた下郷さんからみれば、
「ん~!いいピッチャーだね!でも、打てる!」
くらいのレベルでしょうか?
ミソラトウマのバッテリーが、今の時点の持てる能力、技術をフルに使っても、どうしても打たれてしまいます。
しかし、私は観察してました。
この地獄のような不利な状況で、この二人がどう対処して、どのように、心の持ち方を整理していくのかを。

最初は、打たれて、がっかりしているようでして。
ミソラがうつむき、テンポが速くなり、顔が紅潮していました。

「私の球が通用しない……」
明らかな動揺がみてとれました。
しかし、人間は悪いながらに慣れるもんですね。
打たれまくると、耐性が出てくるようです。
私が待っていたのは、この「耐性」です。
最初は、あーもぅ!やだ!だったのが、だんだん、あー打たれた、まぁ仕方ないや、に変わってきていました。
試合の勝ち負けは有るとしても、部分部分、小分けにして、バッターとの対戦を楽しむ余裕まで、いってくれればいいなぁとさえ、思っていました。
強打者を恐れるのではなく、どうやったら倒せるかの課程を楽しむ。

私も中学時代はピッチャーでした。
球が遅くて、よく打たれました。
ただ、コントロールには自信がありました。
自分の持ってる武器で、どうやって相手を倒すか?
試合がコールド負けに近くなろうと、そこは切り替えて、バッターとの対戦を楽しみました。
さっき打たれた、こいつだけは、絶対に打たせない!
メンタルの切り替えは、そこで学んだのかもしれません。
ただ、ミソラもトウマもまだ小学生、勝ち負けにものすごくこだわる年代でしょう。
特にピッチャーとは、そういう生き物だと思います。
ミソラも、負けず嫌いの塊のような存在です。
それが、態度と言葉に出てきてしまう。
言葉はナイフと同じです。
そして、発した以上は取り返せません。
ピッチャーは感情の生き物だとすれば、キャッチャーは理性の生き物なのかもしれません。
何気なく、発した言葉がトウマの心を何度もえぐってきたことを私たちは知っています。
トウマもじっと耐えている。
耐えているというか、反論する材料と、言葉をまだ持っていないというところでしょう。
もっと反抗していいのにと何度思ったことか。
反論していいんだぞと何回か確認しました。
だが、彼はそうしなかった。
トウマがミソラと同じタイプであったなら、このバッテリーはとうに空中分解していたと思います。

そういう場面、過去に何回も見てきています。
どんなバッテリーも必ずぶつかる時があります。
昨年のユナとシュンペイ、ユウゴとユウト、レントとユウキ、タカヤとマナトとマナヤ、ダイトとヒカリ、コウダイとタイキ、彼らもどっかで、ぶつかっていました。 
そりぁ当然です。
人が二人、いるんですから、ぶつかって当たり前。
でも、大事なのはその後、そこから、そのバッテリーがどうなりたいか、それを二人で共有できるか、どうかです。
それは、やはり、言いたいことを言い合える、ぶつかってからこそ、お互いが研磨されると思うんです。まさに切磋琢磨。
ひとつとひとつのベクトルが、合わさって、より太く、強い矢印となる。
その瞬間も見てきました。
そうなると、自分ひとりでは、倒せないレベルの相手も倒せるようになってきます。
これが分かると、また強くなる。
ミソラとトウマも、このレベルにまで、到達して欲しいと思ってます。

トウマも今は勉強の時です。
どうやったら、このじゃじゃ馬を乗りこなして、凱旋門賞をとるか、ぐらいを考えなくてはいけません。
しかし、今の高田イーグルスはそこまでいっていません。
ミソラもどうにかして、チームのために抑えたいという気持ちが前面に出ているだけなんです。
それがどうしても、強くなるときがあります。
ハタからみれば、責めているように見えますが、これはこれで二人のバッテリーのコミュニケーションのひとつなのかもしれません。

トウマの耐える性格、おおらかさが、このバッテリーを長生きさせ、高田イーグルスを救っていると私は分析しています。

ただ、トウマにも限界はあります。
あまりにも強い言葉を受け止めきれない時もこの先来るだろうとも予想しています。
なんとかしなくてはいけないなと、常々思っていました。
ミソラにも、こんなにいいキャッチャーは県内を探してもなかなかいないぞ、と諭しますが、トウマの貴重さにまだ気づいていない様子。
お互いがお互いの良さと悪さを認め合ったとき、このバッテリーには、さらなる飛躍が待っていると私は思います。
それは高田イーグルスの飛躍にもつながっています。
そして、状況は変わりつつあります。
この後にも書きますが、この連休の2つの大会で、強豪チームと何回か対戦しました。
そして、いままでのやり方では通用しないということと、新しいやり方でやれば通用するということが分かりました。
バッテリーとしても、チームとしてもそれを実感できたと私は思っています。
チームに変革の時が訪れようとしています。
この2日間で、高田イーグルスは見違えるように強くなったと思います。

これは、強い敵と対戦して、ぼろ負けしなければ、気づけなかったことです。

こういう、負け方がいい負け方だと思ってきました。
負けるとしても、次に繋がる負け。
いい所は吸収し、悪くても悪いながらに、何かを持って帰り、次に活かす。 

強くなるというのは、その積み重ね。

それを今後も続けていきます!





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