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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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関柴スポ少さんの大仏杯に参加させていただきました。
コロナ禍で大会が中止されていく中、万全の対策をとりながら実施していただけることに感謝です。
中神谷、TKヤンキース、桜など県大会常連メンバーがずらり。数年前に全国大会に行っている関柴さんの人脈をいかした招待チームの面々。
そんなチームと肩を並べて試合ができるだけで、ありがたいです。
そういえば、ハルヤがエースだったとき、県大会準優勝の川俣ジュニアさんに最終回まで勝っていたということもありました。肉薄しましたが、抽選で負けたことを記憶しています。
大仏杯は名勝負が多い。
それは、この秋にきてそれぞれのチームの底上げか成功してきていることを意味します。
それが激突する。
名勝負を生み、選手はもちろん、保護者の心にも大きく残る財産になってくれます。
ほんと、いい大会です。

さて、高田イーグルスは下郷ジュニアさんとあたります。ん?ここ最近、この大仏杯では定番の組み合わせのような気がします。
ユウキたちとの激闘。
昨年のレンたちとの激闘。
そして今年と、あたるときはあたるものです。
そして、毎年強い。
今年は白獅子県大会ベスト4の実力者です。
胸を借りるつもりでいきます。
さて、高田イーグルスはどう戦うか?

事前情報では、アウトコースにピシピシ決めてくるエース。
体格に恵まれたリードオフマン、堅い守備。
総合力の高さはイーグルスの比ではありません。
イーグルスが勝てる要素は、どこか?
やはりここは、ミソラとトウマのバッテリーにかかる負担が大きいと言わざるを得ません。
60分という短期戦。ミソラがなんとか押さえて、我慢して我慢して、ロースコアの展開にもちこみ、少ないワンチャンスを活かす。
2:1くらいでなければ、勝利はもぎとれません。
そして、特殊なグランド状態もありました。
コロナでスポーツイベントが激減し、グランド整備もあまりいきとどいていないと言うことが、監督会議でアナウスされました。
なるほど、ここ1週間くらいの間に苅ったであろうと草がいたるところにあります。
関柴スポ少の保護者のみなさんの熱い気持ちが伝わってきます。
ここにも感謝!
なので、外野はボコボコで、ゴロがどうはねるか予測がつきません。
そこで、試合前のミーティングで、外野にはシングルハンドはやめて、膝をついて体を壁にして、捕れなくても体のどこかにあてて止めるように指示を出しました。
ノックの時もノーアウトのシングルヒットの捕球として、膝をついて壁にする練習はしてきています。そこをあらためて確認させました……
この指示がちゃんと選手たちに入っていてくれればと言う展開になることは、この時点で予測していませんでした……

さて、高田イーグルスは後攻。
白獅子会津予選の猪苗代戦のように、初回を押さえて守りからリズムを掴むことを意図して、選手たちはフィールドに散っていきました。
下郷ジュニアの1番バッター、大きい……
キヒトより大きいでしょう。引き締まった上半身、太い大腿部、いかにも野球向きなケツ。
伝聞にそぐわない偉丈夫。スウイングを見ても、いい選手だと思わせてくれるには充分です。
断言します。将来的にも彼はすごい選手に育つことでしょう。

一騎当千の彼に立ち向かうのは、こちらの一騎当千のミソラ。
しかし、ミソラであってしても押さえるのは難しいでしょう。 
打たれればかなりの確率で長打になります。
シングルヒットなら御の字、そのぐらいの方針でいい。
一投最初からの強敵。
しかし、今日のミソラの調子はいい。
致命傷にならないコース、高さでカウントを稼いでいきます。
しかし、このバッターから空振りをとることは、かなり難しい。
打たせてとるにも、打球はとんでもなく速くなる。
ミソラとトウマ、仕留めるコースをアウトコースに絞って、渾身の一球を投げ込みます。
無理に引っ張らない。
強い打球ですが、討ちとってもいます。
しかし、正面でなければまずさばけない速さと強さ。
本大会からセカンドに入ったアオトの横を通り過ぎていきます。
ライト、キヒトも反応しています。
正面に強く、低い打球が襲います。
このぐらいの強さであれば、安パイだなと判断し、セカンドベースに誰が入っているかを確認しようとしたその時、キヒトのまたの間をボールはすり抜けていきました。かすりもしないで。
相撲の蹲踞(そんきょ)のような姿勢。
腰を落とすタイミングが遅れ、グローブが出るのが遅れました。
グローブも上からでるので、ボールが目線から切れる、あの捕り方です。
トンネル。キヒトだけに、キヒトンネル、なんつって……
笑えないギャグを思い浮かべつつも、握る拳はプルプル震えています。
やりやがったなぁーとは、心の声。
しかも、最初の最初に……と心の声。
やっちまったぁと天を仰ぐキヒトを見て、心のちゃぶ台を引っくり返して、気持ちを切り替えます。すでに彼は制裁を受けている。
自分が何をしたかを理解している。
だとすれば、これ以上の試合中の制裁は無用です。
覆水盆に帰らず。 
終わってしまったことは、どうやっても取り返せません。
気持ちを落ちこませたまま、キヒトを守備につかせることの方が、チームにとってはマイナスに働きます。
キヒト、忘れろ!と声をかけますが、一方でマウンドのミソラのマグマがそこまできています。ゴォゴォゴゴゴぉとジョジョのディオのような怒りが視界に入ります。
怒りというか、失望のため息。
さぁ、行くぞ!というところで、味方のミスで、いきなりすっこける。
強敵を前に、もてる力の全てをぶつけているのに、味方の援護どころか、ミスで足を引っ張られる。
情熱のモチベーションで赤くたぎった刀身に冷却水をぶっかけるとどうなるか?
その身は急激な温度変化に耐えられず、ヒビがはいり、もろく崩れることでしょう。
耐えられない。
それが今このマウンドでおきています。
そして、温度が高ければ高いほど、ダメージは大きくなる。
負けず嫌い、勝ちたい、己の力で勝ちたい。
三振を取り、ねじ伏せたい。
ゴロの山を築いて、逃げ切りたい。
敵と最前線で渡り合うピッチャーという生き物の宿命ですね。
しかし、人はミスをするもの。
だから、自分の範疇以外のところで、おきたことが自分にとってマイナスに働くことになれば、ガッカリするのは当たり前です。
でも、ここで、ここで、よく考えてください。
そこに、打たせたのは誰か?
ミスをした彼のところに打たれたのは誰か?
結局、最後は自分に跳ね返ってくる。
因果応報、人のせいにしても何も始まらないという原点に帰ってきます。
私も中学の頃はピッチャーでした。
速い球は投げれませんでしたが、コントロールには自信がありました。
なので、最終的にどのコースを打たせてとるかのイメージを常に持っていました。
そして、イメージどおりに打たせる。
しかし、肝心のバックがエラーをする時があります。どうやってもある。
プロだってエラーするんです。まして中学生なら……。
問題はその時どうするか?
一瞬、このやろー何やってんだよと思います。
これは仕方がない。
人の心に戸は立てられません。
思ってしまうことは誰にも止められない。
これは誰しもが同じ。
問題はその後です。
その後の行動、言動にその人の真価が問われます。
怒りを態度と言動に出してしまう者。
感情をシャットダウンし、心を閉ざしてしまう者。
この世の終わりの如く落ち込み、回りを巻き込んで、チームもどん底に引き連れていく者。
反対に、エラーした選手に声をかけ、次がんばろうぜと前を向き、上を向き、次に備える者。
エラーしたときこそ、カラ元気であっても、声を出して、チームを鼓舞しようとする者。
いったん立ち止まって、深呼吸をして、冷静に分析して、対処法を寝る者。
対応はさまざまです。
そして、正解はない。
怒ることで、チームを鼓舞する場合もあるでしょう。 
温かい声が、かえってプレッシャーになる場合もある。
どちらが正しいかなんて、終わってみなければわからないんです。
しかし、今の立場の私は、その場だけではなく、将来的なことも考えます。
この子には、どんなピッチャーになって欲しいか?
どんな人間になって欲しいか?
こういう場面は、この先何回もやってきます。スポ少でも、人生でも。
こういうピンチの場面でこそ、「いい人」であってほしい。
まったくの「いい人」でなくていい、「そこそこのいい人」であってほしいと思います。
100%完璧な「いい人」は、やってても疲れるし、見てても疲れます。なので、無責任にいい人になれとは言えません。
しかし、そこそこいい人を複数人つくること。20%くらいを5人で持ち寄れば100%になります。
チームで分担すればいいんです。
全部の負担を背負うことはない。みんなに背負ってもらえばいいんです。
そして、その中心にピッチャーはいます。存在します。
最前線のピッチャーがハブ機能をもたなくてはいけません。
みんなをつなげる役目をもたなくてはならない。
だってもうピンチなんですから、自分一人ではどうにもならない状況にまできています。
自分一人でなんか、この状況は打開できない。打開しようと思っても、空回りするだけです。
それは、今まで生きてきたからこそ分かる経験値。
小学生のころに分かれといわれても、わからないでしょうね。
だから、ミソラはいい経験をしています。
もうひとりの試合をぶん投げていったピッチャーも・・・
「失敗するチャンス」をもらっている。
我、天啓を得たり。
どっかで目にしました。ネットかなぁ、テレビかなぁ。どっかの高校野球の監督が言っていました。
アマチュアスポーツの目的のひとつはこれなんだと思います。
チャンスと聞くと、ものにするものだとばかり思いこんでいますが、その反対もある。
むしろ、多くは失敗ばかりだと思います。
人は失敗する。
失敗して、そこから学べ!という意味だと解釈しています。
だから、失敗していい。
まわりに迷惑をかけていい。
失敗することこそ、スポーツをやる意味なんだ、そう言っています。
これは、トンネルをしたキヒトにも言えることです。
失敗をしてしまった。
落胆。回りからのため息でまた落胆。
自分も周りもがっかりしてしまいます。
しかし、ここからがスタートです。
大事なのは、その後。その後どうするか?
根本的には、考え方を変えていくしかありません。
普通ならば、落ち込んだり、ふてくされたり、逆切れしたり、マイナスの感情がすぐに出てしまうところ。
心に戸は立てられないので、それは、仕方がないことかもしれません。
一瞬は、マイナスの感情に流されてもいい。
でも、スポーツをやっている限りは、そのままでいることは、負けを意味します。
自分に勝ってない。
自分を克服していません。
このマイナスの感情をどうすか?
なかったことにはできないのなら、仲良く付き合っていくしかないんです。
ごまかして、いくらか軽減することもいいでしょう。
1番いいのは、そのマイナスの感情さえも、プラスのエネルギーに変えてしまうこと。
ミスをしたことを認めて、チームメイトに謝った上で、次への対策を錬る。
この切り替えが、本気で、できるかどうか?
これが、メンタルの強さだと、私は思います。
1回負けを認める。失敗を認める。
自分の駄目さを認める。
自分のバカさを認める。
否を認める。 
そうすることで、迷惑をかけた、回りのみんなに心から本気で、謝れると思います。
心から、ごめんと言えるでしょう。
その謝罪を受け止めないチームメイトなどいませんよ。
そんな奴は、チームメイトではない。
そこにお互いの信頼が生まれます。
そして、ここがスタート地点。
挽回のチャンスです。
失敗は挽回のチャンス。
この失敗さえも、次への糧としましょう。
この失敗があったから、次の大きな成功があった。
次の成功のための基礎となる。
基礎としていくんです。
それこそが、進歩であり、進化です。
かく言う私たち大人もたくさん失敗して、エラーをして、まわりに迷惑をさんざんかけてきたと思います。
失敗しない人なんて、大門先生くらいでしょう。

関柴大仏杯、この大会も下郷ジュニアさんを前に1:9で敗れました。
最後に、アユキがしぶとく選んだファーボールと、アオトの長打で一矢を報いました。
攻撃は、この1点のみ。
試合後、指導者ミーティングで、確認したことは、最初のワンプレーの準備のなさ。
他にもまだまだありますが、最初のボタンの掛け違いが致命傷になるということを確認しました。
あのプレーが、痛かった。
あれで、みんなが波に乗るどころか、奈落に突き落とされた。
我々指導者ミーティングを、影でこっそり、見ていた奴がいました。
そう、キヒトです。
彼は彼なり責任を感じていたのでしょう。
自分がどういわれているか、気になるということは、成長している証拠です。
彼は今回を教訓として、次につなげなくてはいけない。
我々はそれを、あたたかく、時に強く、
そしてまたあたたかく、時に強く、
あたたかく、見守るだけです。

そして、チームには競争が生まれています。
今回からサードにハルトが入りました。
彼の取り組む姿勢と明るさを買っての起用でした。
ポジションは、楽して手に入るものではない。
自分の居場所を自分でこじ開けていく。
これもスポ少のいいところです。
自分に何ができて、何ができないかを見つめる。
そして、今チームには何が求められているか?
これを考えて動いている子は、何人いるでしょうね。
しかし、少しずつ、わかってきています。
ソフトボールというチームスポーツが、いい媒体となっています。
チームメイトは仲間であり、ライバル。
そして、敵と戦い、勝つためには、協力しなくてはならない。
全員が少しずつ、力を出し合って強大な敵を倒したとき、もういっこ上の楽しさがわかることでしょう。
そして、それは不可能なことではない。
ここをスポ少をやっている期間のどっかで味合わせてやりたいといつも思ってます。
ジァイアントキリングを地でいく。
現実は小説よりも奇なり。
何回か味わっていますが、いいもんですよ。
自分がプレーヤーでないことが、悔しいですが、それもまた一興。
さて、今年のカナト世代で味わうことができるかどうか?
さて、次はカナト世代は一休みで、新人戦です!




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秋風を感じます。
秋風を感じるということは、今シーズンの終わりが近いことを意味します。
カナト世代の終わりが近づいています。
なんか大したことしたかなぁと考えると、やはりあの白獅子会津予選を思い出します。
三者連続ホームランが出たのに、なぜ負けたのか?
負けるべくして負けていたんだと思います。
最近の練習試合をやっていても、そう思う場面が多々ある。
コーチたちと話していても、その弱さがわかります。
チームになってない。
組織的なプレーが必要な場面で、組織的に動けていないんです。
みんなで同じプレーを思い浮かべることができない。
練習でやってきてるんですよ。
しかし、いざその場面になると、できない。
ボールが来た時に、まだ迷いがあります。
だから一歩遅くなる。遅くなるから、焦る。
焦るから、ちゃんと投げれない、ちゃんと捕れない。
カバーもいない。
エラーした後のフォロー、指示もない。
だから、さらに焦って、投げることないのに投げて、さらにエラーの傷口に塩。
そしてこの世の終わりかのように、落ち込む。
モチベーションが低いから、次のプレーが思い浮かばない。
そしてそれは伝染していく負の連鎖。
弱小スポ少を見続けてきた私の二十数年は、この風景と共にありました。
上手くいかないほうが、圧倒的に多い。
仕方ないとは、言ってられません。
なんとかしなくてはいけない。
スポ少とは、思えば、こういう課題との対峙の歴史でした。

ここ最近のコーチたちの見方に共通点があります。
それは試合中のベンチを観察すればよくわかります。ベンチが休憩所に成り下がっている。
ベンチは、次の戦いのための準備の場ではなく、のんびり休む場所。
全ての選手が指示待ち人間になっています。
あれをしろ、これをしろと言われ続けてきて、自分でどうしていいかを考えていない。
これは、家族に大切に育てられてきたからです。
先回りして、大人がやってしまっている。
普通であれば、恵まれた環境で良かったねで、終わりますが、手を出しすぎるのも考えものだなと思ってしまいます。
私の世代でさえも、その傾向はありました。
私も間違いなく、その部類の人間です。
しかし、打席に入ったら親は助けてくれません。
最後は自分でどうにかしなくてはいけない。
そして自分ができなければ、回りに迷惑をかける。それがチームスポーツです。
で、あればどうするか?
考えるしかありません。状況を把握して、分析して、観察して、どう動くことがチームのためになるか?
ここにたどり着くはずです。
それは自分の楽しさや気持ち良さとかけ離れていることもあります。苦手なこともあるでしょう。
嫌なこと、やりたくないこともある。
しかし、チームのためにはやらなくてはいけない。
これが、日本人が好きな、好きなというか、比較的得意な「組織的」というやつです。
護送船団方式、この考え、しばしば、個を粉砕するときにも使われてしまいます。
そして、なんだかんだといいながら、私達は組織が大好き。
歯車として動きたいんです。
いろんな原理によって、小さい歯車の集合体がとんでもなく大きなものを動かすことを知っているからでしょうか?
重機もない紀元前に巨大なピラミッドを作り、万里の長城を築いてきた。
小さな歯車が、巨大な敵を打ち破ることがある。
ジャイアントキリング。
弱い者が強い者に勝つ、だから人生は面白い!
今年の甲子園の決勝、下関国際の坂原監督の言葉です。
弱さがわかるからこそ、そこを克服するし、準備をする。弱者は弱者のままではないという強烈なメッセージが隠れていると思います。
そして、そこが面白いという。
そうだからこそ、面白いといいます。
私もそう思います。
この臥薪嘗胆、準備が面白いんです。
選手がいきなり強くなるわけでもない。
設備がいきなり整うわけでもない。
あれもこれもできない、限られた中で、自分たちの弱さを見つめて、何ができて何ができないかを知る。
削りに削った研ぎ澄ました武器で、強者の急所を突く。
可能性は低い。
確かに前評判はある。しかし、その通りになるとは限らない。
やってみなくてはわからない。
その課程を楽しもうじゃないか!
下関国際の坂原監督は、こうも言っていると思います。

そのためには、最低限の準備が必要になります。
大きな敵と戦う前に、チームがひとつにまとまっていることが大前提でしょう。
今の高田イーグルス、それができているとは到底言えません。
グランドはもちろん、ベンチの中でも・・・
コーチたちがいっているのはここなんです。
相手が全力でかかってくるグランドならまだしも、相手のいないベンチ。
自分たちの心のもちかたひとつで、変えることができる。なのにそれをしない、できない・・・
一生懸命に教えているのに、相手に響いていないと、がっかりしますよね。
教えてきたことが行動に表れない・・・
そういうのも今まで何回もありました。
それでも、続けていくこと。
砂漠に水を撒いていくこと。
響いては、います。そう信じるしかない・・・
いつか、行動でしめしてくれることを信じる。
私たちにできることは、これくらいです。
言い方を変えたり、さくらを作っておくこともいいでしょう。
大事なのは、チーム全体でそういう心意気になって、全体で行動してくれること。
小学校の時にできなくてもいい。
いつかわかる時がくる。
今の私はこのスタンスです。
少しでもそういう心意気になってきてくれた時に、それはグランドでも発揮されることでしょう。
お手本のようなゲッツー、1.3塁のカットプレー。ソフトボールはひとりでは成立しない連係プレーが欠かせません。
そしてそれはピンチの時ほどやってくる。
この時に、チームとしてのまとまりが試される時です。
それができた時、もう一段上の楽しさ、達成感、一体感を味わうことができるでしょう。
歯車の一員としての矜持が芽生える。歯車は他の歯車なしでは動きません。
そこに他者への観察が生まれ、誰にも言われることのない状況判断の意識が芽生えます。
他人のプレーがよく見えるでしょう。
他の選手のプレーを我がことのように喜び、ほめたたえる。
ミスを挽回してくれた日には、感謝しかありません。自然と声も大きくなる。
それをチームで、大きな声でほめたたえてほしい。
試合前に誰彼に言われることなく、素振りをして、相手投手を観察する。
チーム全体の準備を大きな声でかけてほしい。
キャッチャーの防具をみんなでつける。
フォアザチームの精神をみんなで気づいて行動してほしい。
ほかにもいろいろありますが、ソフトボールはやることが多い。
歩みは遅々としてですが、少しずつ、少しずつ進んではいます。
負の連鎖を断ち切る方法は、正攻法のこれしかないのかもしれませんね。
ぶっとい鎖をやすりでキコキコ少しずつ、少しずつ削っていく。
それでも手を止めたら、断ち切れません。
手を変え品を変え、続けていくことにしましょう。



お盆があけました。
我が高田イーグルスの練習も再開されました。
二本柳グランドに選手たちの生きのいい声が響き渡ります。
やっぱ、これですよね。
枝豆にビールと同じ。
二本柳には、高田イーグルス。
これです。


白獅子会津予選が終わって、はや一ヶ月がたちました。あの時みんなで話し合った事は、なかなかできていませんが、少しずつでも積み上げていきたいと思っています。
少しずつでも、やめないで、積み上げていくこと、これが大事なんだと思います。

選手たちもそれぞれ課題を抱えています。
今日金曜日はバッテリー中心の練習でした。
フォーム改造に一生懸命なミソラ。
がむしゃらに投げまくるレント。
メキメキと上手くなっているゼンジとハルト。
プレーの精度を上げているアオト。
おっかないピッチャーの球を受け続けるトウマ。
そして、私が注目したのは、黙々と黙々と黙々と投げるヒカルです。 

彼は純粋に100%ピッチャー、混じりっけ無しにピッチャーをやりたい男です。 
なので、投げろと言われれば、夜がくるまで、いや朝になるまで投げ続ける男でしょう。
いろんなアドバイスをしますが、わかっているのかわかっていないのか、わからない。
しかし、上手くいかないとそのアドバイスを受け入れて、やってみる様子。
それがいいとなると、やろうとする姿勢は見えます。
ですが、それが合わないと感じるやいなや、すぐにぶん投げます。
少し前にしたアドバイスを受けた動作もすぐにはもとに戻ってしまいます。
なかなか手強い選手です。
そこが面白い!そこが面白いんです。

今日もブルペンでは、バンバンストライクを投げ込んでいます。
スピンの聞いたスライドする癖のある球。
投げてる本人も気持ち良さそうです。 
黙々ながら、ドヤ顔なんです。
間違いなく、ブルペンではエースです。
これが、試合でできたなら……
これが、マウンドでできたなら……

ヒカルの課題は、実戦です。
実際にバッターが入ると、ブルペンでのコントロールを失ってしまいます。
練習とは、試合でうまくできるためにやるものです。
それができない。
何が問題なんでしょう?
おそらく、メンタル的な部分だと我々は分析しています。
いや、絶対メンタル。
だって、違うところ、ブルペンではエースの投球ができるんですから。
それが他の場所ではできないなんて。
何か理由がある。
我々にできることは、ヒカルと一緒に考えて、ひとつひとつの可能性を試していくことです。
いろんな可能性があります。
プレートをつかう。
ルーティンを変える。
フォームを変える。
どうやれば、ヒカルがマウンドで自身の光を取り戻すか?
面白いじゃないですか!
正解がわからない。
教科書は当てになりません。
スポ少の期間中にたどりつけるかどうかもわかりません。 
しかし、私は面白いと感じます。
ヒカルをはじめ、選手のみんなが何かしらの課題を抱えています。
そのひとつひとつに向き合うこと、これが私たちのライフワークです。
これが、解決したときの選手の笑顔、お母さんお父さんの笑顔をみて、みんなでバカ騒ぎをするのが楽しいんです。

ヒカルは、いい球を投げる。
それをみんなに知らしめたい。
そして、黙々と投げてもいいから、マウンドでとびきりの笑顔を光らせたい。
そのために私達は、今日も二本柳グランドに長い影をおとしながら、長い長い助走をみんなで走り続けます。

白獅子会津大会、二日目まで行きましたが、県大会への出場権は逃しました。
今大会の最大の目標を達成できなかった。
表彰式を終えて、他の三チームが帰り路を急ぐ中、高田イーグルスは係が後片付けを終えて誰もいなくなっても、最後まで残っていました。
なぜか?
試合後の反省を指導者でしていたからです。
この試合、この大会に限らず、いままでの高田イーグルスのチームとして全体の反省まで及びました。
これはいい機会、コーチ陣のひとりひとりの思いを付き合わせていくことにしました。
それがこの指導者たちの円卓会議となりました。
それは、この後に大雨が来る予報、その大雨が降ってくるまで、続きました。

コーチ7人。
ひとりひとりの思いを言葉にします。
なるほど、どのコーチの言葉にも説得力があります。
野球経験者は、経験者なりの視点が入ってきます。的確です。
それができたら、おそらく強くなるねという視点。
みんなの意見を聞きながら、昔の自分自身を見ているようでした。
そして、野球経験者であればあるほど、同じような教育をされてきている。
だから、行きつくところは同じなんです。
普段の行動から正す。
あいさつ、用具の取り扱い整理整頓、ものごとの取り組み方、後片付け、そして「声」。
いいプレーヤーになるためには、きちんとした人間教育にある。
そして、その効果、効力を身をもって経験している。
実際に強いチームほど、それができています。
それができているからこそ、強いんだと思います。
かつてそういうのを身をもって経験してきています。
だからこそ、子供たちにもそうあって欲しいと願う。
これって当たり前です。
かつての私もそうでした。

しかし、今の私は少し違います。
どう変わったか?
平たく言えば、「やるもやらないも、最後は子供たちにまかせる。願わくば、意味を理解した上で、自分たちで選んで、筋を通して欲しい。」
今は、これです。

かつての私も、負けが混んだり、僅差で勝負を取れないときがあると、なぜ、負けるんだと考えました。
プレーの精度の高さが、勝負所で発揮できるかどうかが大きく関わってきます。
それが発揮できるかどうかの分岐点は、普段の準備、普段の周囲の観察、普段の落ち着きさにあります。
優れた先人の指導者の皆さんもそう言ってますし、自分も指導者として長年やってくると、そういうところに行きつくのは至極当然のことだと思われます。
普段の行い、振る舞い、取り組み方から変えない限り、ギリギリの戦いを勝ち取ることはできないんです。
星稜高校の山下監督の言葉。

心が変われば行動が変わる
行動が変われば習慣が変わる
習慣が変われば人格が変わる
人格が変われば運命が変わる

この言葉に多くの指導者が共感することでしょう。
しかし、この言葉には、大前提があります。
子供たちが、自分で考えて、腑に落として実践していかなくては意味がないということです。
やらされているうちは、意味がない。
意味がなくはないが、真摯に取り組む、そういう姿勢が大事だと私はそう思います。
これって難しい。ものすごく難しい。
なかなか上手くいかないから、永遠のテーマになり得るんだと思います。
だから、毎回毎回、高校野球でも同じような事が取り上げられます。
聖光学院をはじめ、多くの強豪校が学校の回りのゴミ拾いや地域のお手伝いをするのは、人間教育の一環だと多くの指導者がそういっています。
すごいなと思いつつも、私は違和感も感じるんです。
周囲に対するアピールもあるんじゃないかと勘ぐってしまいます。
もちろん、優れた指導者は、そんなことはすでに織り込み済みなんですよね。
そんなことは百も承知でやっている。
選手たちも最初はやらされているのでしょうが、やっていくうちに何かに気づくのでしょう。
そのきっかけとして、ゴミ拾いという一見野球とは関係ない活動を練習のひとつとして取り入れている。
それを人間教育の一環として、昇華している。
そういうことだと私は思っています。
これが、ゆくゆくは挨拶や礼儀、普段の行い、ものごとの考え方などにいい方向に影響し、野球のプレーにも影響する。
最終的には、生き方にも影響し、その選手の運命を変えていく。
野球を通しての人間教育。
これだと思います。
なるほどと、それは理解しながらも、この話は小学生にも通用するのかと考えます。
広義的にはその方向性を認めながらも、狭義的には、アレンジが必要だと思います。
それが、いままで私が感じている違和感、少し違うなというところです。

かつても私も、いいプレー=勝つためのプレーをするためには、普段の行いから矯正していかなければならないと考えていました。
この「矯正」というやり方、考え方が、間違いだったと後で気づきます。
グランドへの挨拶、関係者への挨拶、礼儀、用具の扱い、練習の合間合間の行動、普段の行いから、直さねばならないと思っていました。
そして、それをやらせてきました。
最初の二、三日は続くんですよね。
しかし、その後はなかなか継続していかない。
そしてまた、ダルダルのダラダラ戻っていく。
たまに、指導者の怒りの線に触れて、怒られて、またきちんとなりますが、何も言わないとまた戻る。この振り返しの20数年でした。
でも、これって自分が子どもの頃もそうだったと気づきます。
隙あらば抜いていた。
だって、かったるいんですもの。
こんなのやって意味あんの?と斜に構えていました。
そして、これを一生懸命にやる奴が上手いとは限らないという矛盾にもぶつかります。
こんなのやんなくても上手くなるよと思ってました。
しかし、後で気づくことがありました。
こういうの、ちゃんとやってた奴は大抵いい奴なんですよね、野球はそんなに上手くなくても、きちんとした人生を送っているような気がします。その時は気づきませんでしたが、「人としての部分」の練習をしていたんですね。だから、野球だけはなくその後の人生が開けてくる。その反対もある・・・
どちらがいいかは別として、その当時は見えませんでしたが、きちんとやることで見えてくる未来もある。今の私はそう思います。

でもまぁ監督コーチの前では全力でやるという、うわべだけはひととおりやってきました。私は中途半端だったと思います。
形の上では、普段の行動から正すと言うことは分かっているんですが、なかなか身にならない。
それでも、野球経験者あるあるとして、グランドへの挨拶や先輩への礼儀、用具の取り扱いなど、いろんなものが身についています。 
経験として身についている。
多くの人がここなんじゃないでしょうか?

これをもう一歩進めましょう。
我々が過去の経験から、学んできたことを、もっと今の子供たちの腑に落ちるように、「教えて」いきましょう。
かつての我々が、やらされていたことは、なぜ、なかなか身につかなかったのか?
それは、そう行動する意味を考えてこさせなかったからです。
有無を言わさず、まずやれ!という圧力。同調圧力。
ここに、日本のスポーツ界の違和感の正体があると私は思ってます。日本だけに限らないかな?
これが面白くない。これが良くない。
ここが嫌で離れていった人はたくさんいると思います。
指導者や先輩がいうんですから、拒否権はありません。
そして、たちの悪いことに古いスポーツ、昔からなじみのあるスポーツほどこの傾向が強い。
野球、ソフトボールなんてその典型的なものなんだと思います。
なぜ、こんなことするんだろうと思ったこと、たくさんあります。
人って面白いもんですね。
こうやれといわれて、やらないと罰則を受ける。
そうすると考えることをやめるんですね。
罰則がつらいから、即行動してしまう。
まるでパブロフの犬。人もまた動物です。
しかし、そんなパブロフの犬にも一周回ると考え方はじめる者もいます。
なぜ、こんなことをするのか?
そうすると、どうなるのか?
挨拶をするのは、お互いが気持ち良くプレーするため。目を見て挨拶することで、顔を覚えて、相手の実力を観察して覚えるため。
大きな声で練習するのは、お互いにアピールして、ぶつからないためや、大きな声を出すことで自信をつけていくため。
礼儀正しく行動するのは、無駄な動きをしないため。そうすると、練習時間が長く取れて、結果的に強くなるチャンスを多く恵まれるから。
用具を大事にするのも、ピンチでグローブやバット、スパイクが裏切らないため。きちんと整理しておく事で、無駄な動きや時間を節約するため。
諸説ありますが、最終的には、自分が納得すればいいんです。人と違ってもいい。
こうして、考えていくことで、全ての行動には根拠、理屈があることに気づきます。
そうすることで、腑に落ちる。
それまで、根拠のなかった行動に、裏付け、根拠ができます。
納得して動く。
こうなれば、さらに強くなることでしょう。
我々はここを見逃してきたと思います。
確かに、きちんと挨拶をしたり、用具がそろっていることは、見た目にも格好いいし、強く見えます。
これって何かに似ているんですよね。
そう、「軍隊」です。
命のやりとりをする軍隊こそ、規律と統制がとれていなければなりません。
そして、上官への絶対服従。
強い高校野球のチームを見ると、私は軍隊を想像してしまいます。
そして、私はなぜかそういうチームには、いっさい惹かれません。
数年前の金足農業と近江戦。
伝説のツーランスクイズ。
あれは、監督のサインプレーではなかったそうです。二塁走者の判断。万全の準備がなせる高度な自由度の勝利です。
面白い。
涙が出てくるほど面白い。
そして、選手たちがどんな顔をしていましたか?
心からの満面の笑顔。私がめざしたいのはこの笑顔です。
次の決勝で、王者大阪桐蔭にボコられますが、それでもいいんです。甲子園の優勝でさえ、多くの人にとっては通過点です。

私が目指すのはここです。
私の次男坊もそうですが、高校にいけばいやがおうにも軍隊みたいな野球部員になります。
方向性は認めますが、それを小学生の内から、「やらせる」だけではもったいないんじゃないでしょうか?
そこにプラスして、なぜそうするかを気づかせていきましょう。
形から入ることを焦るあまりに、挨拶の意味、用具の整理など、やることの意味を教えていませんでした。
なぜ、そうするのか?を教えてこなかった。
ここからはじめましょう。
そしてそれは、小学生のうちにできなくてもいい。
きちんと整列ができない高田イーグルスをみて、このやろーと声を荒げずに、なぜ、短時間できちんと並ぶのかを気づかせる。
気づかせるには、言う方にも説得力がなくてはなりません。
我々もソフトボールを通して普段の行動を見直すことになります。
子は親の鏡といいますが、親も子の鏡です。
お互いが納得して行動すること。
そこに信頼関係が生まれませんかね?
すぐにはできないでしょう。最後までできないかもしれません。
でも、気長に根気よくいこうじゃありませんか!
そういう私が、がっとばしたときはごめんなさい。

教えるということは、気づかせること。
私がここ近年使っている「俺がなんておもっているでしょうか?」という問いはここから発想した問いかけです。
こちらから、こうやれという指示を出すのではなく、どうすることがベストか?という問いかけ。
これは私のオリジナル、専売特許です。
気づかせることは、深堀りして、相手に分かるように伝えなくては相手が納得しません。
だから、我々も考えて、勉強しなくてはなりません。
となると、教えることは、実は教わっていることなんですよね。
相手が納得していないということは、気づかせていません。それは、教えていないということ。
上手くいくことばかりではありません。 
私も今、ひとつ大きな課題に直面しています。
果たして、その子に気づかせることができるかどうか?
今は分からなくても、いつか分かってくれる日が来ると信じて続けていくことを選んでいます。

指導者たちの円卓会議が終わって、一応にみんなの顔を見ます。
ひとりひとりが、スポ少のこれからについて真剣に自分の言葉でつむいでいきます。熱量を感じます。
私は思うんです。
大人になってから、こんなにも真剣に取り組む事があるだろうかと。
確かに仕事でも、家庭でもあることでしょう。
自分とその家族に直結することなので、その真剣さはわかります。
しかし、スポ少はどうでしょう。
確かに我が子がいますが、我が子以外のこともこんなにも真剣に取り組む事があります。
そういうチームがたくさんある。
いろんな種目のスポ少の数だけある。
高田イーグルスもまたその中の星のひとつです。
その中のコーチ7人。
やり方、考え方は少し違うところがありますが、目指す山は同じだということに気づきます。
違っていい。
子供たち笑顔のために!
だいぶ長いミーティングになりました。
残っているのは我が高田イーグルスのみ。
雨が強くなってくる様子です。
磐梯山は、早く帰れと雨を強くしてくれました。
さぁ、帰ってまた明日から練習です。





白獅子県大会、代表決定戦。
高田イーグルスは、坂下ヒーローズさんに3:9で敗れました。
二日目に残った四チームのうち、三チームが県大会へ駒を進めます。
その表彰式、四チームが整列してますが、高田イーグルスだけが、県大会に行けなかった。
なんとも屈辱的な表彰式となりました。
しかし、これは紛れもない事実、ここをしっかりと受け止めて、この屈辱を焼き付けて、次に備えなければならないと思いました。
今の高田イーグルスをどう立て直すか?
まずは、コーチ陣との意思の疎通、現状の把握、情報共有、方針の共有が必要だという結論に達しました。
監督不在の中、同列のコーチが7人いて、方針などの統一が取れていないことが、選手、保護者、チーム全体に混乱を招いていると思っています。
ここは、いったん立ち止まって、今の立ち位置、今後の方針、打開策を確認しようと思いました。
まずは、今の自分たちを見つめ直す。
ここから始めます。

坂下ヒーローズさんとの試合が終わって、失意のどん底にたたき落とされた選手たち。
キャプテン、カナトをはじめ、選手たちの多くが泣いていました。
その中でも、エース、ミソラの泣きっぷりが忘れられません。
「ごめんなさい、ごめんなさい、私のせいでごめんなさい……トウマ、ごめんなさい……」
まるでこの世の終わりだというような慟哭と嗚咽。
そして、それはベンチの中ではなく、少し離れたところで、ひとりで泣いています。
みんなに申し訳ないという思いから、ベンチに身を置くことさえできません。
チームの責任を一身に背負っている。
弱冠小五の小さな背中に、その重みを背負わせてしまいました。
その嗚咽に震える背中を見つめて、私も押さえていた感情があふれ出します。
すまん、ミソラ、ごめんな。お前が謝る必要などみじんも無い。
敗戦の責任は全て、私にあります。
ごめんなさいと謝るのは俺の方です。
みんなが、打ちひしがれています。
しかし、こういう時間も必要です。
しばらく、失意にくれていい。
泣きたいときは泣いたらいいんです。
表彰式がありましたが、時間の許す限り、泣くことにしました。

思えば、生きている中で、本気で泣くほど悔しいことはどれくらいあるでしょう?
おそらく、スポ少などをやらずに、普通に生きている限りは、そんなにないでしょう。
そしてそれは、自分のみに限ったことが多い。
しかし、スポ少というチームスポーツをやると、自分だけではなく、自分に関わりのある仲間たちを巻き込んでの悔しさになります。
スケールが大きくなる。
だからこそ、悔しさは倍増し、反対に達成感も倍増します。
仲間の成功を自分のことのように喜び、仲間の失敗を自分以上に気遣う。
それが、チームスポーツのいいところなんです。
そして今、高田イーグルスはみんなで悔しさに暮れている。
これも今しか経験できないことです。
本気でやってきたからこその悔しさ。
ミソラが泣きじゃくるのは、本気の裏返しだからです。
だから今は本気で泣いていい。
だからこそ、次に進めます。
どうでもよければ、次へのステップを踏むことなどしなければいいんです。
しかし、この悔しさを味わってしまった。
どうでもよくない。
ミソラばかりではありません。
泣くほど悔しいということは、次は何とかして改善してやろうと思っているということです。
次は見てろよ!と、進化を望んでいる。
泣くだけ泣いたら、この子たちはまた、前を向くことでしょう。
スポ少はこれの繰り返しです。
そして、生きていくことも同じです。
失敗して、負けて、打ちひしがれる。
たまに成功して、勝って、みんなで喜ぶ。
こうやって、心は強くなっていくんだと思います。
自分のちっぽけさに気づき、仲間や保護者、先生、指導者の大切さに気づき、自分なりのものごとの取り組み方、メンタルの持ち方を学んでいく。
ここが「生きるチカラ」だと思います。
そして、そこに生きがいを感じる。
失敗ばかり、負けてばかりでもだめですが勝つばかり、成功するばかりでは、気づかないことがあります。
たいていの人は、失敗と負けの方が多い。
それでも、前に進んでいきます。
時間は誰のもとにも平等です。進むのみ。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
であれば、私は、その前への進み方を工夫したほうがいいという結論に達しました。
負けも勝ちも、成功も失敗もすべてを糧として進みます。
勝ちも楽しみますが、負けも失敗も楽しみましょう。
この失敗があったからこそ、この次の成功がある。
そうしてやりましょう。

今回の手痛い負けを、必ず次にいかします。
ミソラの慟哭と嗚咽を、歓喜の慟哭と嗚咽に変えて見せましょう。
ミソラだけではありません。
高田イーグルスの選手たちに宿った悔しさ。
本気でやったからこそ、手に入ったものです。
今年のチームも、ようやくそのレベルにまで来たということですね。
負けて一緒に泣けるところまで、きた。
一生懸命にやって、勝負のあやを楽しめるトコロまで来ているということです。
よちよち歩きで、試合ができることだけで満足していたチームがですよ。
成長している。
それを感じる。
人の成長を目の当たりにすることほど面白いことはありません。
こういうところが、私の生きがいです。
ライフワークです。
一喜一憂してしまいます。
久々に「慟哭」なんて書いたので、工藤静香を思い出しました。
いい曲ですね。

今回の敗戦をどう活かすか?
ここは高田イーグルスが誇る、指導陣の出番です。
組織的な戦いに負けました。
組織的な戦いに勝つことでしか、抗えません。
そうなるためには、より組織的になるほかにありません。
それは、まだまだヒヨッコですが、高田イーグルスが、より「戦う集団」なっていくことを意味します。

やるべきことは、たくさんあります。
ありすぎて困ります。
何に重きを置いて、何を選んでいくか?
我々の腕のみせどころです。
今回の敗戦を糧として、慟哭と嗚咽の中から、高田イーグルスは何度でも立ち上がります。
ユウシントウマミソラの三連続ホームランをで同点に追いついた高田イーグルス。
俄然、流れはこっちのイケイケドンドン!
一気に、逆転へと舵を切ろうとしますが、坂下ヒーローズもそう簡単には崩れてくれません。
私の耳には、坂下ヒーローズのセカンドの声が今でも響いています。
世界が終わろうとする中、仲間との結んだ手を離さずに、崩れかかったチームと仲間の心を鼓舞し続ける姿は勇者以外の何者でもありません。
彼の声は、響く。心に響きます。
最近の白獅子県大会、県の王者となった中山さんとの一戦、一方的に坂下ヒーローズがやられる展開になっても、彼の声は枯れることはありませんでした。
暗闇の中の一筋の光。
崩れかけてはいますが、彼のような漢がいることで、
「まだ、俺たちは終わっていない!」
闘志の火が消えることはありませんでした。これが次に繋がります。

反対に浮かれて、雑で大雑把な攻撃になってしまった高田イーグルス。
のちにあるコーチが言ってました。
「追いついたことで満足してはいけなかった。あの場面は一気に逆転して、相手のやる気を打ち砕いておくべきだった。」
そのとおりでした。
こちらが、追いついた「ここ」が、勝負の分岐点だったのかもしれません。

イケイケドンドンの高田イーグルス。
三者連続ホームランということは、次の四者連続ホームランを狙うのが、人間のサガというモノです。
バッターは、キャプテン、カナト。
名を上げるには絶好の機会です。
勢いという、見えないチカラも彼の背中を押してくれるでしょう。
坂下ヒーローズのエースも3本、打たれはしましたが、目は死んでいません。
セカンドの勇者をはじめ、バックもベンチも保護者もみんなで、瓦解を食い止めています。
古代ギリシア、映画「300(スリーハンドレッド)」、スパルタの防御陣形「ファランクス陣形」を思わせます。
もうこれ以上は、打たせない。
チカラのこもった快速球の前に、振り遅れたカナトはファーストゴロ。
このワンアウト、大きかったことでしょう。
永遠に続くかと思われた攻撃を、いったん切った。
やれる、やれるぞという闘志にまた火がついたことでしょう。
並のピッチャーならば、打ちひしがれて、コントロールが定まらず、ファーボールを連発するところです。
しかし、エース、トウヤ君、並のピッチャーではないですね。
そして、バックもエースをもり立てています。
ボロボロの精神状態をきちんと立て直してくる。いいチームです。
「ココロノモチカタ」をちゃんとわかっています。
このあたり、私を含めた高田イーグルスのピッチャー陣、守備陣、ベンチにも爪の垢を煎じて飲ませたいところです。
続くソウスケもピッチャーゴロで二死。
さっきの勢いはどこに行ったんだ?というくらいに、アドバンテージを活かせていません。

終わった今検証してみます。
このように味方の攻撃が思いのほか上手くいったとき、その時どうするか?
私の今までの経験からは、「じっくりいこうぜ!」ではなく、「がんがんいこうぜ!」です。
初球攻撃上等!
座して待つのではなく、こちらから仕掛け続けることで、主導権を渡さないという意図が有ります。
ただし、この場合、防御を無視するので、上手くいかなかったときのダメージは倍になります。
たらればの話ですが、ここは打たれて精神状態が不安定なエースの様子を見るべく、カナト、ソウスケには待球作戦をするべきだったのかもしれません。
冷静な分析を怠ったか・・・
しかし、一気呵成に打たせて、さらに勢いに乗ることを選びました。それが裏目にでた。
これも結果論。
どちらが良かったかなんて誰にもわかりません。
選んだ道が正しかった、そうなるように準備をしていくしかないんです。
そして、失敗の責任は指揮官が取るのが当たり前。
ここは、次に活かして見せます。

さぁ、二死ランナーなし。
ここで、アウトになれば相手をほっとさせてしまいます。
一息つかせて、さらに勢いを渡してしまう展開。
バッターはキヒト。
彼に期待するのは長打力です。
ただ、最近は当てに走っている。
豪快なスウイングができる筋肉と上背を持っているのに、なんとももったいないところです。
振り遅れましたが、飛んだ場所が良かった。
セカンドの内野安打で出塁します。
3人で終わらなかった。これは良かった。
下位にいきますが、可能性を感じさせる打順に回ってきました。
次はさっき、チーム初ヒットのチヒロ。
2死なので小細工はできません。
ここは、さっきのチヒロのバッティングを信じて彼に任せるほかありません。
しかし、相手も然(さ)るもの、ここで打たせてはいけない、ということをわかっています。
苦しいながらもギアを上げて全力投球。
球威、コース申し分ありません。
チヒロは見送ることしかできませんでした。
坂下ヒーローズはm当たり前のことを、当たり前にできる、気力と体力、ギリギリのところで踏みこたえた。
反対に、高田イーグルスは、すべてを賭けた攻撃を受け止められた。
あと数ミリのところで、城門を突破できなかった。
勝利の女神は、ここをどう見たことでしょう?


それでも、高田イーグルスは追いつきました。
スコアのうえでは、3:3の同点です。
回は中盤です。先は長いが、主導権を離してはいけません。
点を取って、追いついた後、この裏の攻撃を押さえることが最重要課題となります。
そこはミソラもトウマもわかっている様子。
チームに勢いがあって、追い風が吹いているときのミソラは強い。この風を逃してはいけません。
先頭バッターの9番を空振り三振に仕留めます。
よし、乗ってくる兆しが見えました!
よし次。
1番のスラッパー登場。
左対左。ミソラの球威であれば、レフト方向。
何も言わずともチヒロは動いていました。
しかし、強振せずに、しぶとく当ててくる。
予想どおりレフトにクリーンヒット。
次は2番、バントが予想されますが、強打で来ました。
センター前に抜けていきます。
風が変わり始めました。
もはや、さっきの勢いはありません。
五分どころか流れはまたもや、向こうに行きそうな感じです。
意地と意地のぶつかり合い。
そこを、何とか押しとどめようと高田イーグルスも必死です。
声の中心は、ショートアオト。
彼もまた勇者のひとりです。
高田イーグルス、坂下ヒーローズ、どちらも譲れない場面。
ここを制した方が、ぐっと勝利に近づくことでしょう。
3番をセカンドゴロに討ちとって二死。こういう時のアユキ!
彼のところに行くと安心します。
あとひとつ、あとひとつで、押さえることができます。
打たせるものか!VS絶対に打つ!意地と意地のぶつかり合い。
このクソ暑い中、飲み込むつばさえもない、渇いた状況。
ピッチャーがモーションに入ると声をだせなくなるという沈黙が蝉の声を際立たせます。
全てが次の一球で決まるという場面、刹那、ボールはショート、アオトを襲います。
強いが、討ちとっているか!
ポジショニングは良し!しかし、強いバウンドがイレギュラー気味でした。
そして、正面に入れていません。
前に出ない。出ないというか出れない。
それでも、なんとか止めようとする姿勢は見えました。
しかし、むなしくも、アオトの闘志を打ち砕きなが、ボールは抜けていきます……が、あっ!?その延長線上にいるはずのセンターが見えません。
ショートの位置は左中間に繋がっています。
むなしく転がっていくボール。カバーを怠ったセンターとレフトに待っているのは、チームを敗北に導く罰ゲームのごとき追走。
後ろから回り込むこともできない、無為無策の、なんとも間抜けな、曲線を描きながらの追走となります。
カバーを怠り、ショートを抜けた瞬間に、「あっ、やべ!」とビクッと動くセンターの慌てる姿が見えました。
抜けたか・・・意味するところはホームラン、逆転されます。
昔であれば、怒りに我を忘れて、がっとばしていました。
しかし、ぐっと押さえる。押さえます。
歯を食いしばって、拳をぐっと握りしめます。
ふぅ~っ。
そして、天を仰いでひと息ロングブレス。

なぜだ?と自問します。
ここに次に強くなるためのヒントがあります。
しかし、今はまだ試合中。
付箋を貼る程度に、意識付けをします。
この暑さ、二試合目、中盤、試合が動く分岐点、緊張、張り詰めた糸が緩んだか?
ショート、正面に入りきれなかった。
センターもさっきホームランを打って走ったことで、疲れもピークに達していることでしょう。
情状酌量の余地……なんてねぇ、そんなのはありません。
怠ったという事実はいつか、彼に突きつけてやらねばなりません。
しかし、試合中の反省なんぞ、クソの役にもたちません。それはコーチも言っています。名言ですね。
スリーランホームランとなり、ふたたび、3点ビハインドとなります。
二回目のアッパーカットをもろに食らった。
二度目のダウンです。高田イーグルスの誰しもが、がっくり下をみる。
ショートアオトは泣きじゃくり、エースミソラの心はボッキリ折れます。
しかし、この高田イーグルスには、坂下ヒーローズのセカンドの勇者のような選手は残念ながらいてくれません。
みんなが下を向いてしまう。繋がっていたチームワークが寸断されてしまった。
こうなると脆い。
甲子園の強豪チームであっても、均衡が崩れると一気に瓦解してしまいます。
どこかで、誰かが食い止めなければなりません。

ここですが、いくら大人が言ってもだめなんです。
彼ら自身の内側から、「まだ、終わってない!まだ、諦めない!」、そういう気持ちがわいてこないと、それはチーム全体に伝染していきません。
そして、そうならないとこの状況を打破して、勝つことはできない。
笑顔で終われません。
敗北のテンカウントが鳴っています。

動揺したミソラは、頭にデットボールを当ててしまい、さらに動揺してしまいます。
浮き足立っている。平静でいられない。
それはそうでしょう。
攻め込まれているんですから、そんなのは当たり前です。
ここで、思い出して欲しいのは、普段の練習です。
私はこれだけやってきた、だから大丈夫と思えるかどうか?
そして、それは一人ではやってこれなかった。チームのみんなの顔を見ることで、自分たちを奮い立たせねばなりません。
一回といわず、何回も弱気になってもいいんです。
しかし、ゲームセットのコールがかかるまで、何回でも立ち直らなければいけません。
ここをぶん投げるようでは、進歩はありません。
そこにいる限りは、終わるまで全力を尽くすこと。
それが、次に繋がります。

そして、当たり前のことを当たり前にやること。
これでしか、自分たちのペースを取り戻すことはできません。
どうしよ、どうしよ、やばいやばいという動揺の嵐を乗り越えるためには、ゆっくり呼吸して、落ち着くこと。
ミソラは、キャッチャー、トウマのミットをめがけて投げ込むこと。
ベストを尽くすしかありません。
ベストを尽くして、打たれてもその時はその時、それはそれでいいじゃないですか!
だって、これ以上はないというほどのベストを尽くしたんですから。
だめなのは、準備を怠った無為無策。
これは、なんの進歩にもつながりません。そして、やる意味がない。
そんなプレーが面白いか?
そんなプレーをしていた、自分が許せるか?
そんなプレーをして、チームに迷惑をかけていいのかということです。
私が許せないのはここです。ここをごまかしている奴は、本当の面白さにたどり着けません。
本当の歓喜の涙を流すことはできません。
そのプレー、ほんとうに全力の準備をしたうえでのプレーだったのかと聞きます。
聞かなくてもわかります。
そこは、見逃さないようにしているつもりです。
結果はどうあれ、全力チャレンジ。これができる人になって欲しいと願うばかりです。
デッドボールを当てて、さらに傷が深くなりそうですが、バッテリーも踏ん張ります。
ファーストゴロに討ち取ります。
ここで珍しく、感情を表にだして、「オラぁ!」といってベースを思い切り踏みます。
いつもびくびくして、自信のなさそうにしてたキャプテンが気を吐くまでになりました。
状況がわかっているからこその気合の入れ方。
負けてはいますが、ゲームにのめりこむ事を覚えてきたようでした。
彼なりに、なんとかしようとしている。
これは進歩です。

さて、それはおいといて、まだ終わっていない。
ここから逆転をめざします。
「さっき3点を跳ね返した。1回できたんだから、もう1回できないはずなんてない!」
と檄を飛ばしますが、暑さと疲れ、そこにきて精神的ダメージが重くのしかかります。
絶望が高田イーグルスを包んでいます。
大半が、もうだめだ、負ける、勝てないと諦めている。
こういう状況は、いままで何度も何度も味わっています。
ここなんです。
その人の、そのチームの本性がでるのは。
そして、それは変えることができます。
何回もいいますが、人は弱いモノです。
なので、強い者や自分に不利な状況を目の前にして、絶望したり、諦めたりするのは、当たり前のことだと思います。
問題は、その後。
その後、どうするか?
ここを、スポ少という小さなコミュニティで練習していると私は思っています。
今の世の中、鬱や精神的不安定を否定しない世の中になってきています。
諦めたり、逃げたりすることを否定せず、受け止めている。
自我が崩壊するよりは、逃げてもいいとしている。むしろ、逃げろと言っています
命の危険がある場合は、すぐにでも全てをぶん投げていいと思ってます。
しかし、そう簡単には引けない場合もある。
世の中の多くの人がこのギリギリのところで頑張っているんじゃないでしょうか?
あれもこれもに追われて、ままならない。
たけども、なんとか打破しなければいけない。
なんとかゴールまでたどり着かなくてはならない。
どうあっても、この困難な状況に立ち向かわなくてはいけない場面もあります。
それが、今の崖っぷちの高田イーグルスの状況と重なります。
絶体絶命。
ここからでしょう。
ここから、どうするか?どうしていくか?
それをみんなで考え、実行していくこと。
もう一回、ひとりひとりの心を整え、準備をして、チャレンジしていくこと。
例え負けたとしても、それは次に繋がります。
投げやりになってもいいことはありません。
時間の無駄です。
物事に真摯に取り組む姿勢。
これもスポ少から教わることです。

それが、今の高田イーグルスに試されています。
弱気になった心をもう一回奮い立たせる。
そのためには、いつもやってきたことを、もう一回確認して、取り組んでいくことです。
一発狙うとか、大きいことをやりがちですが、崩れたものは一気には、もとに戻りません。
再度地道に少しずつ積み上げていくしかないんです。
原点に帰る、基本に帰る。
それが、一番の近道。
これにたどり着くには、それなりの経験と時間がかかりました。
分かる人には、分かると思います。
基本に返る前に、もう一回モチベーションを戻せるか?という大前提があります。
チームが諦めてしまっては、キセキはおこりません。
心に思わなければ、何もおきない。
目標は、頭で考えて、心で思って、声に出して、言葉に書いてこそ、実現に近づきます。
やれる!と思わなければ、キセキはおこりません。
この逆境を跳ね返すメンタル。
それが今の高田イーグルスにできるか?

結果から言えば、この後の攻撃は全て三者凡退に討ちとられ、守備はバッテリーが崩壊、そこをバントで揺さぶられて、さらに瓦解。
声は虫の声、マウンドで孤独に泣きじゃくるエースを鼓舞するどころか、チームは見殺しにします。
精神状態がメタメタ、ボール連発で、試合がつくれなくなった。
たまらず、ユウシンを投入しますが、この流れを断ち切ることはできませんでした。
最悪の流れ、さらに一試合目の疲れもあって、彼も制球困難。
ここにきて、一方的な展開になりました。
3点を追加され、ここでタイムアップ。
3:9の竜頭蛇尾で終了となりました。
高田イーグルスの県大会への挑戦は、ここで終わりました。
後味の悪い、敗戦。
力を出し切れなかった、出させなかった坂下ヒーローズさんが一枚上だったということです。

負けた。
久々に負けたと思わせてくれる試合でした。
そして、悔しい。
46にもなると、たいていのことは「まぁ、仕方ないな!」と許せますが、今回は悔しい。
そして、なぜだ?と自問が止まりません。
もう一回立て直さなければならない。
そのためにはどうするか?
あの時どうすればよかったか?
失意の中で、刀を研ぎ始める私がいました。
長い間生きてきて、肉眼で三者連続ホームランを見たのはその日がはじめてでした。 
同じ日に、虹を3回見るとは!
46のおっさんが、両足連続ジャンプで喜ぶ姿、誰も想像できないでしょうし、したくもないでしょう。
人目もはばからず、こんなにも喜びを全身で表現せざるをおえない。
そして自然と流れる涙。歓喜に震え、泣いています。
こんなことってあるんですね。
この2番ユウシン、3番トウマ、4番ミソラの三者連続ホームランをを見て、心が動かなかった人はいないでしょう!
それほど、キセキにあふれている。
どっかのホームページで探しましたが、バース掛布岡田の三者連続ホームランの確率は、630/209019、約0.3%。この三人でも1000回やって3回できるかできないか、まして、ユウシントウマミソラの三人だとしたら、さらに確率は低くなります。桁が下がる。
おそらく、10000回に1回くらい。約0.01%。
それを、この白獅子会津予選のこの場面、3点ビハインドのこの場面でやってのける。
ホームラン3本で追いついた。
これをキセキと言わずしてなんと言うでしょう。
二者連続はたくさん見てみました。
しかし、三者連続となると・・・
ユウシンが追い込まれて意識をライト方向にしてしぶとく振りぬき、トウマが豪快にセンターオーバー。
二者連続ホームランに沸くベンチ、これまでの負けムードの暗雲に、強引な虹を架けて、自分たちの空に晴れをもってきている・・・そしてそれは現在進行形で続いています。
ここまでくると、「よし!バース掛布岡田だ。ミソラ、岡田になれー!」と冗談で檄を飛ばしました。
冗談だったんですよ、冗談。それが現実になる。
ミソラが放った打球はレフト線を切り裂き、高田イーグルスの未来を切り開きました。
そう、これなんです。ノンフィクション。目の前のリアル。現実は小説よりも奇なり。
こういうのがあるから、スポ少はやめられません。
子どもたちの可能性、その無限の広がりを、私たち大人に教えてくれます。
念ずれば通ず、一生懸命にやれば、できないことなんてない!
それをユウシントウマミソラは証明してくれました。
スラムダンク、安西先生の名言が聞こえてきます。
世の中捨てたものではない。これまで何度も子供たちから教わってきたことです。
この打順で良かったんですよ。この打順でよかった。


ただ、物語はこれでハッピーエンドを迎えることはできませんでした。 
普通であれば、この流れで押し切るところ。
しかし、最後に笑顔で立っていたのは、坂下ヒーローズさん。
高田イーグルスは、涙に打ちひしがれ、勝負の非情さをかみしめることになります。
それは次回。


白獅子会津予選、二日目です。
そして、運命の代表決定戦。
相手は大方の予想通り、盟友坂下ヒーローズさんとなりました。
どちらも1試合を終えて、負けてきています。
そして、おそらく向こうもこの代表決定戦に標準を絞ってきている。
向こうも我々と同じことを考えているはずです。
この一戦に全てを賭けてくる。

試合前に選手を集めていいました。
この一戦は、大事な一戦になる。
この一戦を勝つことで、お前たちはとんでもなく成長する。
だけど、それは相手も我々と同じように一生懸命に戦う気持ちがある。
だから、面白いんだ。
だから、こんなに緊張するんだ。
緊張していい。
緊張しないやつなんていないし、そいつはおかしい。緊張していい。
だけど、思い出せ。
いつもの練習を。いつもの動きを。
ひとつでいい。お守りを持っていけ。
みなこコーチは、お前たちにそのお守りを渡した。それは形になってる。
たけど、俺たちコーチのみんなも、お前たちにすでにお守りを渡している。
それは、守備の時にそえる右手、打球に入るタイミングの取り方、打球に反応するためのピッチャーとのシンクロ、バッティングではトップの取り方、バットを斜め、バッターボックスの使い方、いろんなお守りをすでに渡している。
緊張してる中では、三つも四つもできない、ひとつでいい、ひとつのお守りを思い出せ!
最後は、当たり前のことを当たり前にできた方が勝つ!
それは、お前たち、高田イーグルスであって欲しいと!

今年のチームはまだまだ、幼い。
だから、戦略や戦術のことをあれこれ言っても頭には入らないでしょう。
むしろ、混乱するもとです。
あれこれやろうとせずに、目の前の1個に集中させること、これを選びました。
それが、コーチのみんなからのアドバイス=「お守り」なんです。
なんでもいいから、ピンチの時にすがるモノ、それを持っていけと。
私は昔、これをバケモノの子にちなんで、「胸の中のいっこの剣」と言ってました。
あの映画大好きです。
(熊鉄、だめだめだけどやるときはやる、完全無欠の理想ではない、突っ込みどころ満載の人間くさいあんな指導者が私の理想です)
我々は、その剣をみんなに授けてきました。
今こそ、その剣の真価を発揮するときです。
その真価が発揮できたとき、最後に立っているのは高田イーグルスであるはずです。 
 
まずは初回、猪苗代さんの時のような初回を構築できれば勝利はぐっと近づきます。
猪苗代さんを相手にできた。
この坂下ヒーローズさんを相手にしても、できるはずです。
どうやら今年のイーグルスは、先制パンチが大好きな様子、先攻をとってくる傾向があり、先に調子に乗りたいようです。
でも、反対にそれができなかった場合の反動は?
まぁ、そこはやる前から考えない。
しかし、3人できっちり討ちとられてしまいました。
ん?なんか調子にのれない。暗雲が少し。
初回裏、今度は坂下さんの攻撃。
過去に何度も戦っています。
その度に有利な展開にしてきましたが、今度ばかりはそうはいかないようです。
坂下さん、エースミソラと高田イーグルスの守備陣の研究を徹底してきているようです。
普通に打たせることは、まずやってきません。
ミソラにペースを作らせません。
なにかをやるぞという、バントの構えを初回から徹底してやってきます。
それでも、ミソラも守備陣もバント対策は万全といえないまでもやってきました。
ここにも、我々のお守りを置いてきている。
しかし、坂下さんのバントも鍛えられています。
いいところに転がしてくる。そしてコツコツ当ててきます。
いつも通りに空振りをとれないミソラのフラストレーションが少しずつたまっていきます。
これも作戦だとすれば、坂下さん、大した戦略家です。
ですが、このくらいの揺さぶりに負けているようでは県大会には進めません。
こんなの打ち砕いて当然、こんなのでやられていては、真のエースにはなれません。
ランナーを出しながら、ファーボールを出しながら、味方の堅守にも守られてゼロに押さえます。
こういう時のセカンド、アユキの堅守は頼りになります。
総体の磐梯戦のミス、その教訓がきちんと彼の中に活かされている証拠だと私は思います。

6番まで攻め込まれましたが、ゼロに押さえた。
ひと息をつけますが、明らかに坂下ヒーローズさんのペース。
流れは向こうです。
この流れを変えるためには、なんとしても先制パンチ。
先に一発いれることで、自分たちを落ち着かせることができるはずです。
しかし、そうはいかのなんとか。
4番ミソラから始まる主軸が3人で押さえ込まれます。初ヒットどころか、ファーボール、エラーでさえも塁にでることさえできません。
2回まで完全に押さえ込まれます。
こうなると流れは向こうにいってしまいそうになります。しかし、ここが我慢のしどころ。
人生なんでもかんでも上手くいきません。
上手くいかないときこそ、自分たちのやるべきことを淡々とこなしていくことに全集中をするべきです。
ここが我慢のしどころ。
こういう時は得てして、エラーやファーボール、ミスも起きやすくなるんです。
ここが女神のイタズラ。
それでも、みんなのチカラを結集して、ここをなんとかゼロに押さえなければいけません。
マストなんです。
ここに普段の練習がでてきます。
こういうときこそ、集中力のギアをあげる必要があります。

そして迎えた2回の坂下ヒーローズの攻撃。
先頭バッターにまたセーフティバント。
それを見越していたピッチャーミソラはフィールディングに入りますが、状態が高い、その上早い打球。
捕れませんでした。
この練習はしてきた。低い姿勢での捕球。
まだ、無意識で出るまでには落とし込めていなかったようです。難しい。
先頭バッターを出してしまいます。
討ちとった当たり、それをミソラ自身がエラーしたという事実がさらに重くのしかかります。
情緒の不安定さがもろにピッチングに影響するタイプ。だから、いいときは限りなくいい。
しかし、反対は……
次のバッター、下位打線なんですがファーボールを与えます。
次は9番。
ここはバント、わかっています。
守備体系を捕らせます、バント!
ボールは転がらない、ホームベースの前、
ピッチャー、サードが捕っては間に合いません。
ここは、キャッチャー、トウマですが、1秒いや2秒、動きません。動けません。
ただ、ただ見ている。傍観者。
ここ、こういう所の訓練がまだできていない。
無警戒は弱さです。
プレーの前に、自分におこるであろうプレーのシミュレーションができていません。
真っ白、無為無策、これは怠惰以外での何ものでもない。
無為無策でやっていいのは、天才のみ。
ただでさえかなわないのに、凡人はあらゆる可能性を予測して動かなければ、強者にはかなません。
バントのボールをただ見てるトウマ、弱肉強食であれば、食われるだけの弱者でしかない。
アウトカウントをスコアラーに確認します。
ワンアウトくらい捕っててくれという期待を持ちますが、ノーアウト……
そして満塁。
序盤の最大のピンチを迎えます。
ピッチャーも、キャッチャーも、内野も精神状態は、やべーやべーやべーの嵐。
そして、打順は上位に回ります。
ここは、2点いや3点は覚悟します。大きく崩れないことだけを注意します。
1個1個をアウトを取ることを意識させます。
このあたり、うろ覚えです。間違ってたらごめんなさい。
1番は、あのスラッパー。
曲者です。なんでもできる。
そのうえ三振もなかなかしないタイプ。
サードゴロ、満塁なので、バッグにフォースプレー、ワンアウト満塁。
2番はショートに討ちとった当たりでした、がショート、エラー。
そして、3番にセンター前、ユウシンみごとなバックホームでホーム突入を阻止しますが、計三点を献上します。
先制パンチするどころが、された上に3点、重い3点。
そして猛暑が私達の体力と気力を奪っていきます。
7,8,9の下位打線から始まります。
落ち込む雰囲気の中、ひとり気を吐いたのは8番チヒロ。
体がおれるんじゃないかと思うくらいの全力スイング。少し前まで、バットに振られていましたが、ここ最近はレベルスイングになりつつあります。
振りに鋭さと正確さが出てきました。
チームの初ヒットは、チヒロから!
反撃の狼煙をあげました。
まだ回は序盤、焦らず1点1点とることを選びます。ラストバッターのアユキにはバント!
追い込まれますが、ここはアユキに賭けます。
しかし、スリーバントでアウト。
際どいところを狙うあまり、引き手が安定せず、その上、あたった瞬間に引く癖が出てしまいます。
チヒロを送れません。
こういう細かいところの精度を上げていく必要があります。
1番アオトも倒れて、チャンスをモノにできなかった。
猛暑と重苦しい雰囲気が高田イーグルスのベンチに漂います。
流れは坂下ヒーローズ。
このままでは、いけない。このままでは、終われません。
下を向いている彼らをどうやって立ち直らせるか?
さて、どうするか?
次回!

福島県内の頂点、やはり聖光学院でした。
安定した投手力と守備、ここぞの打撃、所作、取り組む姿勢、勝ち上がるのに相応しいと言うべきでしょう。
甲子園での快進撃を期待したいです。
一方で、3年生は即引退、2年生以下のチームが始動しています。
この時期になると思い出します。
調子に乗って先輩に怒られたことを。
どうしてかというと……

夏の大会に負けるということは、当然ながら3年生は即引退、次の日から練習に来ません。
部室の明け渡しがありました。
それまでは、野ざらしの軒下が1年生の部室でした。
それも終わりということで、私は調子に乗って
「俺たちの時代が来た~!」と叫んでしました。
それをたまたま聞いていたのが、2年生。
3年生と苦楽をともにしてきた2年生でした。
しかも、1番熱い漢(おとこ)。
「なんだ!おめぇの時代がきたのか!調子こいてんじゃねえぞ!」と激怒ですごんできました。
それを見ていた他の1年生は、笑いながらも私と同じことを思っていたはずです。
見てろよ!2年、レギュラーを取ってやる!と。
ここからが、私達の本当の高校野球の始まりでした。
あん時怒られた、ねもっさん、元気かなぁ?


さて、戻します。
王者猪苗代さんを相手に初回の攻防を制した高田イーグルス。
しかし、世の中そんなに甘くはありません。
微動だにしなかった王者の反撃があるはずです。
それをどう凌ぐか?
このまま運も続くとも思えません。
こちらがほころびを見せずに、ロースコアで終盤まで持ち越せば、一寸の光明が見えてくるはずです。
ここからが、より困難な戦い。
チームとしての真価が問われるところです。

ほころびを見せないということは、ノーエラー、ノーファーボールです。
打たれるのは仕方ないにしても、こちらから崩れては相手につけいる隙を与えることになります。
なるべくランナーを出さずにいくこと。
特に回の先頭バッターを討ちとっていくことが大事になってきます。
先頭バッターは、ランナーもいないから思い切った勝負ができます。
そこにまんまとはめていくこと。
「あれっ?なんか調子でないなぁ~」と思わせることで、焦りがでてくる。
焦りは焦りを呼び込みます。
そして、進んでいく時間。
高田イーグルスはなんとかこの「沼」に引きずり込みたいというのが、戦略です。
これが守備からリズムを作ると言うことなんです。

しかし、先頭をファーボールで出してしまいます。もちろん、ピッチャーだって、ファーボールを出してくて投げている奴はいないでしょう。
それは分かっている、分かっているんですが、高田イーグルスがもうひとつ上に行くためには、ここをなんとかしなくてはいけません。
リズムが掴みきれない。
反対に、次は何をやってくるんだ?と不安になってしまいます。
盗塁もある、バントもある、エンドランも……
前進もしなくてはいけない、ランナーの警戒も……選択肢が増えることで、ひとつひとつの対策の集中力を分散されなくてはいけません。
これがエラーのもとになります。
人間やることが多くなるとパニックになります。
まして、それが同時多発するともうお手上げです。
訓練である程度まではいきますが、個人の対応力に任せるしかありません。
あっ!?これだ、あの場面だと瞬時に気づけるか?
ソフトボールは、ひとりではできません。アウトに絡むプレーヤー全員が、ひとり、ひとりがそのに気づくことができるか?
脳細胞の電気信号がビビッと一瞬で繋がることに似ています。
これが難しい。
ここがチームプレーの難しさ。
ほんと、難しい。
だからこそ、これができたときの達成感は個人競技の比ではないと、私はかってに思ってます。
人間は社会的動物であることの証明だと思います。
組織の歯車のひとつでいい。
確率は低い。
その全ての歯車がきちんと動いたとき、自分たちより強い巨大な相手を倒すことができます。
これがあるからチームスポーツはやめられません。
ここをどれだけ練習でどれだけ研ぎ澄ましてきたか?が問われています。
だからこそ、打たれた時は仕方がない。
まだ、アウトにできる可能性がゼロではないんですから。
しかし、ファーボールは可能性ゼロ。
なので、時としてヒットよりもダメージがでかい場合があります。
いいピッチャーになる条件はまずここです。

覆水盆に返らず。出してしまったものは仕方ありません。
この仕方ないという、空気、これもチーム全体から潤滑さを奪っていきます。
これを払拭するためには、さっきのように盗塁を刺したり、バントを阻止したりする高度なプレーが要求されます。
小さいヤマ場を守備的視点から取っていくしかない。
面倒なことに、ランナーがいればいるほど、そのプレーに要求されるレベルは上がっていきます。
レベルが上がるということは、エラーの確率も上がるということ。
反対に言えば強いチームはそれができる。
それができるから、強いチームだと言えることになります。
まさに猪苗代さんはそういうチーム。

対してイーグルス、まだその実力はないとしか言いようがありませんでした。
ピッチャーユウシンのコントロールが微妙に狂い始めます。
この試合終わってみれば、全ての回の先頭バッターをファーボールで出しています。
相手もよく見ている、先頭バッターとしての役目を分かっていると言った方がいいでしょう。
初回はキャッチャーの強肩、バックの好守備でなんとか防ぎました。
しかも、今回は次の代表決定戦のためにエース、ミソラを温存すると言う方針。
コントロールが定まらないからという理由で、序盤に投手交代もできません。
ここは、ユウシンにがんばってもらうしかありません。
2回にファーボールを3つ出しながらも、2点、同点に抑えます。
ここで一気に崩れなかった。
2回まできて、同点に持って行かれました。
しかし、猪苗代さんを相手にまだまだ互角、点数上ではありますが、互角の戦いを繰り広げている。
依然として、士気が高いのが救いです。
ユウシンも強力打線のプレッシャーを受けながらなんとか凌いでいる。
真ん中に入ればもっていかれるという恐怖と戦っています。ギリギリの戦い。
これが今後の自信に繋がっていってくれればいいなぁと思いました。

しかし、その願いは崩壊します。
ランナーをためられた後に留めの1発。
そう、これなんです。
大事なところ、欲しいというところで、きちんと打つこと。だから、強い。
打たれた球も決して甘いところではありませんでした。
むしろ、高めの釣り球、ボールだった。
それを振り抜いた。
スラッガーの一撃は、右中間を破り、高田イーグルスの命脈を断ち切りました。
そこからは、一方的な展開。瓦解しました。
ここを食い止める力は今のイーグルスにありません。
やはりというか、やはり負けました。
まだまだ、足りない。
猪苗代さんの牙城のふもとにやっとたどり着いたに過ぎません。
今はここまでか!
しかし、当初の目的は果たしました。
猪苗代さんを相手に、2回までは互角の戦いを演じることができました。
そして、ミソラも温存できた。
もう少し言えば、1回スリーアウトをミソラでとって、よっしゃぁいける!という自信をつけてやりたかったところですが、時間切れでたいした投げさせることができませんでした。
ここは、いいように考えましょう。
初回から一方的な展開も予想されましたが、最初に噛み付けた。クリーンヒットを叩き込むことができました。
そして、早い段階でやられた。
そのために、体力は温存できた。
フルタイムで戦い、抜け殻のような状態では次の代表決定戦は戦えません。
しかし、この猛暑、思ったより選手の体力と気力を奪っていると思いました。

それでも、私が思ったよりもいい精神状態で、やる気を保ったまま次の坂下ヒーローズ戦を迎えることができます。

ミソラの体力を残してしてる。
打撃も好調、キャッチャーの肩も外野も調子がいい。
選手も保護者も士気が高い。
いい条件がそろっています。
後は、やるだけ。
久々の代表決定戦という大舞台。
磐梯山は何も語りません。
ただ、雄大な緑で我々を見守ってくれています!
さて、どちらに味方してくれることやら……
次回、運命の一戦!


あいまいなご都合主義的な方針で始まった猪苗代戦。
ここ最近悩んでいた「打順、一番問題」。
ここもコーチたちと話し合って、一番をユウシンに、二番をアオトにしました。
ユウシンは、守備も打撃もユーティリティ。
状況に応じた対応ができる。
アオトも守備に攻撃に起点となりますが、ここ最近の出塁率はさんざんで、本人も自信をなくしつつある。
良くも悪くも感情を表に出すアオトが、打てなくてベンチに戻ってきて、涙ながらにバットを戻す・・・そんなシュンとする姿は、リードオフマンとしてはふさわしくありません。
で、あれば別なアオトの活かし方があります。
アオトのもうひとつの得意技のバントで、ユウシンをスコアリングポジションに送るというストーリーが見えてきます。そこから、この打順になりました。

その思い描いたストーリー。
その思惑どおりの展開で、初回を迎えました。
ユウシン、追い込まれながらも際どいところを見極めます。
こうすることによって、この試合のアンパイアがどんなコースをとって、どんなタイプの主審なのかを見極めることができます。
フルカウントになるも、最後も見極める。
ファーボールを選びます。
うん、いいバッター!
ヒットを量産するバッターは確かにすごいですが、なんらかの形であれ、初回にきちんと出塁することができるバッターは、間違いなくいいバッターです。

さて、どうする?
ユウシンならば、スチールも仕掛けられる。
しかし、アウトになると一気に流れは向こうにいく。
強敵であればあるほど、先制点の重みは大きくなると値踏みました。
バントを命じます。
アオト、一発できめてきます!
よし!いい2番!
アオトがいいのは、速球にびびらず、球筋を見極めて、しかもヘッドが下がらないところ。
ランナーの有り無しでも、状況によって構えたり、構えなかったりもできる、その対応力の高さです。
そしてこの強敵相手の序盤の大事な場面で、一発で決めてくる勝負強さ。
たいぶお父ちゃんに鍛えられています。

さぁ、先に王手をかけたのは高田イーグルス。
先制すれば主導権を握ることができるという、序盤のヤマ場にさしかかりました。
迎えるバッターは、3番トウマ。
今の高田イーグルスの中で、得点圏にランナーをおいてという場面では、1番信頼できるバッターです。
トウマは、そのみんなの期待に見事に応えて見せました。勝負強い!
センター前ヒットでユウシンはホームに帰ってきます。
いい3番!
ここで打ってくれと言う場面で、きっちり打ってくる。トウマはたいしたもんです。
わずか三人で猪苗代さんを相手に1点、先制点をもぎ取ります。しかも、この回、ヒットで残っていたトウマも相手のミスに乗じてホームに帰ってきます。 
初回に2点というアドバンテージを手に入れました。今の高田イーグルスでいえば、上出来すぎる結果を引っ張ってきました。
まずは、立ち上がりで、強烈なアッパーカットと右フックを叩き込んだというところでしょうか!
しかも、これだけでは終わりません。
初回の裏、先頭をファーボールで出してしまいますが、すかさずの盗塁をキャッチャートウマがナイススローイングで阻止。相手の出鼻を、ぼっきりくじきます。
とってからの早いこと!
ここでも金曜のバッテリー練習が活きています。
ファーボールで出したランナーズをすかさず盗塁刺。
トウマキャノン炸裂。
盗塁を当たり前に刺す。これって大事です。
このキャッチャーからは容易に走れないなという印象を与えることに成功しました。
この後の相手の戦術、試合展開にも影響してきます。
小さいヤマ場をここでもとった。
さらに、好プレーは続きます。
豪打の猪苗代さん、三振を取ることは難しく、内野ゴロで打ち取ることも難しい。
どうやったって、外野にボールは飛んでいきます。
しかも上位打線、覚悟はしていましたが、最初の外野はよりによってライトのキヒトのところへ。
あ~と思いましたが、普通ならば打ち取ったあたりでライトの守備範囲内。
キヒト、落下点に入りますが、オーライは聞こえず、両手で構えない。
捕れるのか、捕れないのか、判断がつきかねますが、ボールはポケットに入り、飛び出しそうになりながらも、握力で抑えました・・・
私はこの間、息をしなかったと思います。息ができなかった。
かたずをのんで、見守ることしかできなかった。
キヒトのグローブから半分ボールが落ちかけて、バニラのソフトクリームをもっているかのごとき仕草。それでも落とさないで、なんとアウトにできました。
ぶぅはぁ~というため息で、呼吸を再び開始します。
あぁ~よかった~。なんとか捕っている。
運も味方している。
この時は、ソフトボール神様が、こちらに微笑んでいてくれていました。
ツーアウト。
ユウシン、ファーボールを出してしまいますが、最後はセカンドゴロをアユキが軽快にさばいてスリーアウト。
初回の攻防、2:0で高田イーグルスの優勢で派手に幕はあがりました。
戻ってくるナインを、てんやわんやの喝采で迎えるベンチ。
こういうのなんです。チームの一体感。みんなで、たのしいと思えること。これですよね。
しかし、私は次に備えます。
当然ながら猪苗代さんは、まったく動揺していません。
こんな戦い、展開は何回も経験済でしょう、さすが百戦錬磨。
このままで猪苗代さんが許してくれるはずがない。
ラッキーがこのまま続くはずがない。
しかし、要所要所を守り切ること、数少ないチャンスをものにすることで、王者を追い詰めることはできる。その手ごたえをつかみました。
こいつらがここまで、できるようになっている。感動の武者震い。
これは大きな成長です。
そして勝負師としての勘を働かせます。
どうやって、勝つか?
本気になった猪苗代さんを相手に、この後取って1点とれるかとれないか、
守るほうは、ユウシンがどこまで持つか?
打たれるのは前提として、ファーボールで崩れなければ、運を味方にして、終盤までロースコアに持ち込めば勝機あり。
そんな未来予想図を描きますが、限りなく可能性が低いことはわかっています。
しかし、今は王者を相手にリードしている展開、いままでならば想像でもできなかった状況です。
100回の1回の勝利の可能性が、50回に1回くらいになったかもしれません。
選手たちの可能性を引き出してみたいという欲求にかられます。


猛暑の磐梯山のふもと。
晴天の空に、暗雲が少しずつ出始めたことを、私たちはまだ気づいていませんでした・・・
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