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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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窮地の時こそ、そのチームの真価が問われる。
私はそう思っています。
その時にどんな準備をして、どんなプレーをするか?
そこにそれまでやってきたことが、必ずでると思うんです。

11/3の文化の日。
初めて会津坂下町主催の大会に呼んでいただけました。私が記憶する限り、町が主催する大会は、柳津町の御霊祭りと、この会津坂下町のライオンズ杯くらいです。
残念ながら美里町はありません。
特定のスポーツに偏らないとか、いろいろあることも確か。
まぁ、町に頼らず自分で運営していったほうがめんどくさくないし、町としても助かるでしょう。
そんな中で、町が主催するというのは、ある意味たいしたもんです。

さて、そのライオンズ杯。
前夜にはキャプテンのレンの負傷欠場が知らされ、当日の朝に攻守の要のユウキの風邪による欠場が知らされました。
ガーン。
主力も主力のふたりの大穴、かといってチームが欠場するわけにもいかない。
となると、新人チームから誰かを引っこ抜いてくるほかに方法はありません。
さて、どうするか?
この日の二軍監督、コーチに相談してみると、ここはスクランブル、好きなように引っこ抜いていいとのこと。
二軍のキャッチャーとして、トウマは引っこ抜けない。
レンとユウキのポジション、ショートもサードを守ることができるの選手をもらうしかありません。
しかし、そうなると二軍の守備陣が崩壊する恐れがあります。 
しかし、ここはチーム事情。
戦力の分散を避けます。
二軍のポジションを無視して、一軍に必要な人材を求めます。
明らかに二軍は崩壊するでしょう。
そこを快く承諾してくれた若き二軍監督に感謝です。

レンのショートにアオト、ユウキのサードにソウスケをいれます。
3年後の三遊間を少し想像しましたが、今はそんな余裕がありません。
この配置が上手くいくがどうか?

まずは、いきなりの柳津さん。
昨年の秋の新人戦から、戦いを挑めばはじき返されてきました。
我々にとっての、難攻不落のアイガー北壁とも言うべき存在。
選抜の盟友ではありますが、今日は目の前に立ちはだかる強敵です。
そこにきて、フルメンバーではない布陣。
はっきり言って、ボコボコにされる準備はしていました。
しかし、アオト、ソウスケ、なかなかどうして堅実な守備をみせます。
そこにきて、バッテリーが踏ん張る。
その象徴が初回、立ち上がりの不安、ランナーをふたりも背負ってしまいます。ここで崩れると一気に行ってしまいそうな展開。
しかも、スリーボールと絶体絶命。
ここでのファーボールは、負けを大きく引き寄せてしまいます。
しかし、ここからが今日のユナと高田イーグルスを象徴するプレーになります。
後がない。
となれば、やるしかない。
腹はくくったようです。
スリーボールの崖っぷちから、ストライク3つ。
最後は渾身のストレートで空振りに切って取ります。
腹をくくったといったのは、ユナは「いわゆる、置き」にいっていないことがわかったからです。
全力で投げている。
ここに、勝つためのチャレンジを恐れない、
という今日の高田イーグルスの覚悟が見えました。
一歩も引く気はねえぜ!
ユナのストレートがそう言っています。
後続を断ってゼロに抑えます。

これで、今日はもしかしたらいけるんじゃねえ!という、いい錯覚に陥ります。
これ、大事です。守りに入らない。
援軍の来ない籠城戦を選んではいけません。
強大な敵だからこそ、討って出る!
強敵を前にして、ヤバイやばいと及び腰になるよりは、これいけるぜ、いける!とがんがん前にでる。
ユナとシュンペイのバッテリーも安定しています。
そして打ち取った打球を、若い守備陣もきちんとあたりまえにアウトにできている。

初めてベンチにはいったユウヤコーチが気づきました。
バントの構えをしたバッターに対しての、サードソウスケのチャージが早いと。
私たちは、何の指示も出していません。
そして、ソウスケが前にでると、当たり前のようにサードベースにカバーに入るアオト。
ソウスケは、アオトに打ち合わせも、声かけも、視線さえも送っていません。
それでも、こういうシフト、陣形を組むことができている。
保護者コーチが、ライトのはじっこでノックをしいた成果がここに現れています。
こういうプレーが、指示を出さなくても、状況をみて自分で考えてできるようになっている。
ユウヤコーチもそれに気づくことができている。
子どもたちががんばり、そのがんばりに気づくことができる大人がいる。
三者三様を、ベンチの奥から督戦していていると、づくづくいいチームだと思います。
俺たちのチームはいいチーム。
そう思うと、なんかぐっとこみあげてくるんですよね~。泣いちゃう。
試合中に泣かせるのはやめてほしいですね。最近こういう場面が多いんです。
バッテリーの安定が守備の安定を生み、さらにエースが踏ん張ることができるという相乗効果。
結果、自分たちのペースで戦えました。

これが功を奏して、試合の終盤までゼロ対ゼロにもつれ込みます。
本当は、シュンペイあたりの1発があれば、なおよかったんですが、それは高望み。
柳津のエース、ハルもシュンペイの時はギアがあがります。こいつには絶対に打たせないというエースの意地が見て取れました。

終盤まで0:0。
高田イーグルスとしては、引き分けでも御の字……という少しひいた気持ちのスキを突かれたのかもしれません。
こういう緊迫した瞬間の経験値の差が出たと思います。
0:0というのが、逆に緊張感を生んだのだと思います。
守りに入った。
ここにきて、ソウスケ、アオトに難しい打球が飛びます。ランナーを出してしまう。
それでも、集中力を切らさず、声を切らさず、立ち向かうふたり。
こういうのをみると、なんかまた泣けてくるですよね、最近。
ひたむきに頑張っている子供たちをみると、耐えられない。
頑張れ!とエールを送ることしかできません。

ランナーを2.3塁に背負いながら、なんとか2死まできました。
あとひとり打ち取れば、時間的にドロー。
最後の最後に立ちはだかるのは、エースのハル。
対するユナのギアもマックス。
ここは、頑張ってきたちびっ子たちのためにも打たれるわけにはいきません。
うなる剛球、空を切るバット。
つばさえも飲み込めない緊張感。
ここまでは、ユナの球威が、投げ込んだコースが、ハルを凌駕しています。
ハルもたまらず、ツーストライクまで追い込まれます。
ハルのようないいバッターをもう少しでおさえるレベルにまでユナは到達しています。
あと1球。
あと1球でハルを討ち取ることができる。

ひゅ~ぅ。
坂下東小学校グランドに、静寂の秋風が吹き抜けていきます。

ここまでいろんなことがありながらも、全力で駆け抜けたユナ。
彼女が闘志を燃やして見つめる先には、シュンペイのミットしかありません。
あとは全力で腕を振るのみ。
刹那。
パキーンとはじき返したハルの打球はレフトへ。
ユナとシュンペイのバッテリー、ソウスケとアオト、そして私たちの希望を見事に打ち砕くホームランとなりました。

くぅ~、クソー、んー、ぐぁー、やられたか!んー。

やるな、ハルぅ!
負けたことを残念に思いながらも、ユナとシュンペイの全力をはじき返した、好敵手を素直にほめたたえることができる自分がいます。選抜の影響ですね。

もう少し、もう少し、もう少しで、柳津さんという壁を乗り越えられたかもしれない。
アイガー北壁、攻略寸前でした。
もう少しのところまで来ています。
しかし、よくぞここまで追い詰めました。だって、ユウキとレンがいないんですよ。
フルメンバーではなく、このメンバーでよくぞ追い詰めた。
負けたことは、確かに悔しいですが、みんなの顔はすがすがしかった。
俺たちはやれる!という自信が彼らの表情から見て取れます。
アオト、ソウスケの顔がまたたくましくなりました。
彼らは確実に将来の高田イーグルスを背負っていく人材になるでしょう。

窮地の時こそ、そのチームの真価が問われる。
最終回、総崩れになりそうな時、顔面蒼白なソウスケとアオトたち。
そのルーキーを大丈夫だと、支えた6年生。
先輩風を吹かすことなく、いいプレーをした下級生をほめちぎる。
取れなかったボールを、きちんとカバーする。
まさに融合。
チームというのは、こういうものなんです。このメンバーもいいチーム!
そして彼らは、すでに次を見据えています。
つぎは、失敗しない。次こそ、負けない。次こそ、ハルを討ち取りましょう!
少しずつでいい。少しずつ、階段を昇っていくことにしましょう。

この後、坂下ヒーローズさんは、高田イーグルスもなしえなかった、柳津さんを破る快挙。
その坂下Hさんを、高田イーグルスは撃破します。
勝敗で3チーム、一勝一敗で並びますが、失点差で柳津さんが、決勝へ。
イーグルスは、失点差で坂下Hさんに負けてのリーグ3位となりました。

負けはしましたが、いい負け方。
次につながる負け方です。
必ず、次の活かして見せます。

さぁ残すフルメンバーの大会は、11/13 関柴さんの大仏杯のみ。
全力を尽くします!







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何年もスポ少をやっていると、
あぁ~やっぱ神様っているんだなぁと思わせてくれる場面に遭遇します。
努力に努力を積み重ね、何回も何回も失敗して、何回も何回も涙に暮れる。
そのたびにまた、立ち上がって立ち向かう、ひたむきさ。
私はそういう子にこそ、いい結果が訪れてほしいと常々思っています。
しかし、そこは勝負の世界。
相手も本気です。
こちらに気を使って負けてやる筋合いなんか、みじんも無いですし、その子の背景すら分からないでしょう。
それは、私たちも同じ。
忖度無し、筋書きのないドラマ、真実だからこそ、面白いし、ひとのこころを揺さぶるのだと思います。

そして、今年もその瞬間、神様のいる瞬間に出会うことができました。
ほおのき杯、只見さんに敗れての新鶴戦。
同点で迎えた最終回、トウマが先頭バッター、ライト前ヒットで出塁します。
この試合、フルメンバーではなく、美里イーグルス単独チームで戦ってきました。
いつもの高田小学校の六年生の守備陣がいない。
そんな中でも初回にやまばをつくり、大量リードに守られてきましたが、それもつかの間。
こちらも崩れて最後の最後に追いつかれる展開。
流れはむしろ、新鶴さんにあったかもしれません。
そこをなんとか、イーブンにして迎えた最終回の攻撃。
トウマが口火を切りました。
そして、アウトを取られながらもなんとか、スコアリングポジションにまですすめた。
ここで、迎えるのは我らがエース、ユナ。
あえて下げた打順に置いた意味がここで発揮されます。

ここで、私は思うんですよね。
「めぐりあわせの妙」っていうのがあると。
宇宙の森羅万象の法則の中から、この日の、この時間に、このメンバーと一緒に戦って、そして今、この打席にユナがいる。
それをつかさどる、一翼を監督は担っていると私は思っています。
監督を経験した人ならば、思うはずです。
この打順にしたのは、俺だと。
ナイス、俺!と心の中でひとりガッツポーズをしたに違いありません。
なので、今回は小島監督の陰のファインプレーですね。

そして、みんなの思いをバットにのせて、振り切ったユナの打球は、右中間へ。
美里イーグルス単独チームに勝利を呼び込むサヨナラヒットとなりました。
初球を迷いなく振り切ったボールは、芯をとらえた証拠となる乾いた打撃音を残します。
打った瞬間にヒットを、高田イーグルスの勝利を確信します。
喜ぶベンチ、応援の保護者の拍手喝采。
塁上で笑顔がはじけるユナ。
こういうのなんです。

こういう光景を、私はサードコーチャーボックスからパノラマで見ていました。
そして、また思うんです。
あぁ、神様って本当にいるんだなと。いてくれるだなと。
がんばっている人に、がんばってきた人に、ちゃんとご褒美を与えてくれるんだと。
ストライクが入らなくて試合を作れれず、何回も何回も涙した泣き虫エース。
フルメンバーのバックに守られずとも、大量に点数を取られてもなんとか試合をもちこたえた。
そして、最後にやってきチャンスでヒットを放つ。
そのチャンスをきちんとものにしたユナはすごい。
魂がふるえます。
こういう光景は、私にソフトボールの、強いてはスポーツの可能性、人の可能性を信じさせてくれます。
やればできる。
やってきた良かった!
積み上げてきたことは無駄ではなかった。
心から楽しいと思える。
それを証明してくれるもの、
それは、ユナの笑顔であり、みんなの笑顔です。
大学のゼミの卒論ばりの、出だしてはじめさせていただきます。

ほおのき杯におけるバッテリーの考察

寒風土砂降りのほおのき杯。
只見戦をバッドコンディションの中で敗れました。寒さと敗戦のダブルショック。
特にエース、ユナはボロボロです。
暖かい車で着替えて、あったかい飲み物をのんで、メンタルをあっためるしかありません。
大丈夫、ユナなら大丈夫!ボロボロになったメンタルを回復するのは、やはりマウンドしかありません。

ほおのき杯は、なるべく試合経験を多くさせるために負けても終わりではありません。
敗者同士の対戦となりました。こういう配慮もありがたいですね。
相手は、盟友新鶴さん。
先週のじげんカップでは、高田小学校を入れてのフルメンバーで敗れています。
フルメンバーで負けている。
今日は単独美里イーグルスのみで戦います。
ユウキいない、タイチもいない。マナトもコタローもいません。大幅な戦力ダウンは否めません。
その中でどうやって戦うか?
ユナとシュンペイのバッテリーがおさえて、レン、レオ、ペイが打つしかない。
我々が思い浮かぶイメージはこれしかありません。

よっぽど気温も暖かくなってきましたが、まだまだ寒い。
この寒さの中、ユナ、立ち直ってくれたかなぁ。
新鶴さんの先攻で始まりました。
先ほどのボロボロを少し引きずっていますが、なんとか壊れたカケラを集めてユナは戦っています。
そのユナの難しいボールを捕ることで、キャッチーのシュンペイは存在感を示します。
大丈夫、俺が全部止めるよ!と黙って言っています。
あー、この二人ならば、このバッテリーならば大丈夫だなという確信を得ました。
それは、監督も同じだったようです。
監督の目を見て、うなずくだけでオーケー。
お互いに、大丈夫どなと思っているのがわかります。

さて、バッテリーは持ち直す見当がつきました。
しかし、相手はフルメンバーで負けている新鶴さん。
このバックならば、特に外野に飛べば危ない。
こちらの出血も多くなるでしょう。
それ以上に、相手に出血を強いらなくてはいけません。
こちらも得点を許すでしょうが、それ以上に取ればいい。要するにそういうことです。
細かいことは記憶していません、忘れましたが、この前散々手こずった新鶴さんのエース、タツキのコントロールが定まらないことに乗じて、なんか大量にリードを奪いました。
しかし、こちらのエース、ユナのふたたびコントロールに苦しむ展開。
そこにエラーが絡んで、5:5のまま最終回に突入します。
ここまでは、下級生まで総動員した単独美里イーグルスはよくやっています。さっき凍てつく寒さでブルブル震えていた子犬たちに元気が戻ってきました。いっきにおそいかかりますが、それもつかの間、あんなにあった大量リードがまったくなくなった。
高田イーグルスは裏の攻撃なので、まずは表の新鶴さんの攻撃をピリッとシャットアウトして、裏の攻撃につなげたいところです。
ここからはユナが踏ん張ります。注文どおり、表をゼロ封。裏のイーグルスの攻撃に勢いをつけます。
ここから、覚えています。
先頭バッターのトウマがライト前ヒットで出塁します。ライトゴロの危険性もあったので、走れーと絶叫したのはいうまでもありません。
さぁサヨナラのランナーが出ました。
この時点で、時間が過ぎています。そして同点。負けは、なくなりました。しかし、どうしても勝ちたい。このメンバーで勝ちたい。

晩秋の熱塩加納は、何かが起こる!
それは、いい結果におわることも、その反対におわることもありました。

さて、今回はどちらに転ぶか!
それは次回で。

銀河の歴史がまた1ページ。




青そで白地に金文字でEagles
久しぶりにこのユニフォームにそでを通しました。
このユニフォームは、美里イーグルスになってから二代目のユニフォームです。
初代は全国大会にいき、この二代目は県大会にいった。その証の福島県の刺繍が編み込んであります。
いろんな戦いの記憶がしみこんでいるユニフォームです。


コロナ禍で、ぐんと大会数が減っていく中、今年もほおのき杯を開催していただきました。
関係者の皆様ありがとうございました。
やはり大会となると、気が引き締まります。
思う存分に力をチャレンジできる場があると言うことだけでありがたいとしみじみ思います。
大会では、過去に対戦したOBや指導者の方とも昔話に花が咲きました。
今の中学校2年生が6年のころ、ほおのきさんとはしのぎを削りました。
秋の柳津での新人戦では、決勝で最後にあのエースに満塁ホームランを打たれました。
そこから、当時のイーグルスは目の色が変わった。今思えば、その甲斐があって、翌年の総体、白獅子と勝利を収めることができたと思います。
この切磋琢磨。
そしてまたグランドで、当時のコーチ、あのエースと、よく打たれた双子ちゃんに会うことができました。
みんな大きく成長しています。
あの世代のユウキたちは明日、県大会なんだぜ!と昔話に花が咲きます。これも縁をつむいでいくスポ少のいいところですね。
自分が指導してきた子供たちも、敵であった子供たちもまたどこかのグランドで会えたなら、それだけで私たちのやっていることは間違ってないと思えるような気がします。そして、それは自己満足でいい。もっと言えば、私にだけ、わかればいいんです。

さて、試合はといえば、初戦は只見スポ少さん。
きけばほとんど6年生という完成されたチームです。
さて、単独美里イーグルスは、バッテリーとショートはしっかりしているもののその他は不安要素しかありません。
理想としては、少ないチャンスを活かして得点し、バッテリーの投手力で押さえる。これしか勝つイメージがわきません。
ときおり吹き付ける冷たい秋雨。
コンディションはいいとは言えませんが、何とか立ち上がりを最少失点で押さえます。
打たせるところはショートのみという理想的な展開。
すかさず裏には、先頭のレンが出塁して、レオに送らせたいとこですが三振。
盗塁を仕掛けて、スコアリングポジションに送ったところで、この人が打たないと始まらないというシュンペイ。
キャノンボール、火を噴くような打球でレフト線を破ってホームランで2点、逆転します
初回だけ見れば勝っています。
しかし、秋雨はどんどん強くなります。
守る単独美里イーグルスの守備陣から体温とやる気を容赦なく奪っていきます。
この寒さの中で、眼光をするどく、集中力を切らさないのは、レンとバッテリーくらいか。
後は、さぁやめよう、あったかい温泉にいこうといったらひょこひょこついて行く組だと思います。
正直なところ、試合なんてどうでもいい。寒くて仕方がないというレベルだと思います。
とにかく寒い雨。指の感覚を奪っていきます。
そうなると、エース、ユナのコントロールが定まらなくなります。雨あしはどんどん強くなる。
早くあがりたいのに、ストライクが入らないユナは完全にあせりました。自分でもどうしていいかわからない。
なんとか、もちこたえていたものの、バックネット越えの手元狂いを連発するようになったところで、監督に打診しました。
これはもたねえぞ。これ以上やるとメンタルもやられるぞ、どうする?
控え投手はミソラしかいません。
そのミソラもこんな寒い雨の中で投げさせることはユナの二の舞を演じることになります。
こうなったら、レン。
いっさい投球練習もしてきませんでしたが、よくあそびで投げています。
何より私たちが買ったのは、この寒さの中、集中力を切らさず、なおかつ体も動かせるのはレンしかいないという消去法からでした。
この場面での選択肢はひとつしかなかった。
5球の投球練習で、感覚を確かめます。
レンはこういう場面を楽しめる奴です。
だからこそ頼もしい。
2死で相手は4番。
いい振りをしています。
ここで打たれれば、体力的にも気力的にも美里イーグルスは敗北するしかありません。
レンは、感覚のみで4番に立ち向かいます。
そして、スリーボールながらツーストライクと追い込む。最後はたしか三振に打ち取ってスリーアウト。5点に押さえました。
この寒さ、雨で思うように投げられないユナはベンチに帰ってきて号泣。メンタル、フィジカル両方メタメタでしよう。
この後もレンでいくしかありません。
そして、こちらの守備が終わると同時に天気も回復、日が差してきます。
なんだったんださっきのは!
俺がなんか悪いことしたか?と天に悪態をつきますが、それは詮無いこと。
なんとか、おいつきたいところですが、ここからは下位打線。簡単に押さえられます。 
寒さで試合どころではないというのが本音でしょう。
なんとかプレーできているという状態です。

それでもレンは投げることが楽しそうです。
スクランブルにもかかわらず、嬉々として投げています。こういう奴がいてくれると助かります。
只見打線をゼロ封していきます。
しかし、一度手放した勢い、流れは終始只見さんのペースでそのまま終わりました。
単独美里イーグルス、初回にのみ可能性をみせる攻防を繰り広げましたが、天候にも恵まれず万事休す。2:6で敗れました。
メタメタにやられたユナのメンタルが心配ですが、立ち直ってもらわねばなりません。
次は敗者同士の対決で新鶴さんとふたたびまみえます。
単独美里イーグルスにはユナのチカラが必要です。
雨と涙に濡れたユニフォームを着替えて、ふたたびマウンドにもどってきてもらわねばなりません。
ユナならばできるはず。
次回、新鶴戦ふたたびです。



逡巡(しゅんじゅん)。
迷いを巡らすこと、ためらうことを意味します。
このじげんカップ、今シーズン1番に迷う場面が二度ありました。それは……

坂下さん、新鶴さんとのリーグ戦になった時点で、高田イーグルスは2連勝での勝ち上がりを目指していました。
しかし、初戦の坂下ヒーローズ戦を5:6で落としてしまいました。
高田イーグルスが決勝に進むための条件が複雑になってしまいました。
その条件を正確にとらえて、どうするべきかの最善を探るのが指導者の役目です。
まずは、三チームが一勝一敗でならぶこと、そして失点差で上回ることです。
新鶴さんには、坂下ヒーローズさんに勝ってもらわなくてはなりません。ここは他力。
そのうえで、高田イーグルスが新鶴さんに勝つこと、なるべく失点を抑えて、新鶴さんの失点を多くするように得点するというかなりの狭き門となります。
規模は違いますが、今のワールドカップアジア予選の日本代表のような心境です。

新鶴さんの奮戦により、6:4で新鶴さんが勝ちました。
となると、高田イーグルスは、新鶴さんに勝つだけではいけません。
最低でも2点以上離して勝たなければ決勝には進めません。3点ならばなお良し。
厳しい条件になりました。しかし、やるしかない。やるなら今しかねえんです!

得点を多く取るためには先攻を選ぶことになります。もし後攻で僅差で勝っていたならば、裏の攻撃は出来ません。その場合、2点以上離すという条件をクリア出来にくくなります。
先攻をとって引き離すしかありません。

そのためにはこの新鶴さんの初回が大事になってきます。
投球練習を見る限り、コントロールが定まらない様子。ここは見ていった方がいいか?
そういいながら、初球攻撃でサードフライに倒れるレン。
新鶴さんのピッチャー、タツキの立ち上がりを援護するかたちになりました。
戦術的には、ドラクエの作戦であれば、じっくりいこうぜ!の場面です。
しかし、レンの頭の中は、がんがんいこうぜ!だったようです。
相手ピッチャーの不安定になりやすい立ち上がりで、様子を見ることを徹底させるべきでした。
レンであれば、ツーストライクまで見させることもできます。
バントという選択肢もあった。
なんでもできるレンだからこそ、自由を与えない方がよかったのかもしれません。
ここは長打よりも、最優先は出塁でした。
レンならば大丈夫と高をくくっていた我々の責任でもあります。
次回は同じ轍を踏まないようにインプットしておきます。
レンが簡単に倒れたことで、なんとなく流れが悪くなりました。
続くコタローが会心のピッチャー強襲を放ちますが、タツキが抜群の反応で捕まえます。
このコタローの完璧に捉えたり当たりが抜けなかった……
反応したタツキを褒めるしかないんですが、これでさらに流れは新鶴さんに向きました。
あら、やべーな。
ここは簡単に三人で切られるわけにはいかねえなぁと思っていると、我々の意図をくんだユウキがセンター前に運びます。
こういうところが、ユウキなんです。
我々が、というかみんながこうして欲しいとおもっている通りのことをやってくれる。
今回も三人で切られれば、完全に新鶴さんに流れがいってしまうところでした。
そして、4番のペイ。
ツーアウトなので、長打を期待してしまいます。
ここは狙っていい場面。
しかし、アウトコース中心の攻めで三振してしまいます。相手ピッチャーのタツキ、荒れ球ですが、要所要所ではいい球がきます。
やるな、タツキ!
とシァアなみにつぶやいてみますが、得点を捕りにいったところを押さえられてしまいました。
またしても流れに乗れない。
またまた暗雲が垂れ込めてきました。

そしてそれは裏にまで波及します。
ここはピシッと抑えて、次の回の攻撃につなげたいところです。
先頭をセカンドゴロに打ち……あっ、セカンド名手アユキがシングルキヤッチで捕りに行ったところを、トンネルしてしまいます。
ん?どうしたアユキ。ショートバウンドの反発の強さ、ゴロへの入り方のリズムを誤ったようでした。
やっちまったと痛恨の表情。
幸いカバーが早かったので一塁に止めます。
んー、またまたなんか悪い雰囲気。
先頭バッターを打ち取ったのにアウトカウントが稼げない。
ピッチャーのエンジンがかかるのが遅くなってしまいます。
こういう時に、当たり前のことを当たり前に出来るチームが強いんです。
ただ、セカンドアユキはまだ四年生。
彼に全ての荷を背負わせるのは間違いです。
こういう失敗をして、身にしみて覚えていくもの。
今後彼はこういった強い打球への警戒心が一層強くなるでしょう。それでいいんです。
このエラーした経験を次に活かす覚悟をもてば今回の失敗は無駄にはならない。

しかし、ミスから始まってしまった。
続く2番は押さえなくてはいけない。
これも打ち取ったあたりが、ライトにあがります。
レオ、落下点に入るのが遅いなぁ……ん、ギリギリだな、あっグローブに入ったな、よし!ん?
ポロリ。
あぁ~、あちゃー。
またしてもエラーで出塁を許す。
エラーがエラーをよぶの負の連鎖。
これが始まってしまった。
さて、うちのエースのユナは大丈夫かなと見てみる。
悲愴感はなく、笑顔もひきつってはいません。
目の前のピンチに立ち向かおうとしています。
まっすぐ見つめる先にはシュンペイがいてくれます。
バッテリーはあたふたしていない。
大丈夫です。このふたりならば大丈夫。
そしてこのバックならば大丈夫。
無死一二塁で、三遊間に致命傷になるくらいの強い打球が飛びます。
抜ければホームラン性のあたり。
一二塁で3番バッターなので深めに守るショート、レンのゾーンに入りました。
逆シングルで押さえて、すかさずサード送球。
ほぼ全ての動きが完璧な所作。
レンの動きにはいっさいの無駄がありませんか。
ここで、キャプテンという役割のレンがチームを救うくさびになりました。
ここでレンが食い止める!
なんとか1点でしのぎます。

2点差で勝つという厳しい条件を背負っているのに、さらに出血をしいる闘いになります。
現段階で3点以上取らなければならない。
どこかでビックイニングを作らなくてはいけない。
この意識にとらわれはじめます。
このマスト(~しなければならない)の意識は、のびのびプレーに鎖をまきつけます。
経験上、このしなければならないという考えになった時点で、縛られてしまいます。こうなると中々いい結果はでてくれません。
これを打破する何か欲しいところですが、2回表の高田イーグルスの攻撃、はやくも連続三振で2死となりました。
こちらが落ちていくと反対に上り調子の新鶴さんのエース、タツキを前に打つ手がない。
ユナも追い込まれてしまいます。
ここはユナに任せるしかない。
ユナも追い込まれて、帰って集中力が冴えてきたようです。
きわどいコースを見極めます。
そして、選んだファーボール。簡単に三人では終わらないという高田イーグルスの強固な意志を示してくれました。
と、ここから少し流れがかわります。
続く、アユキにもファーボール。
そして、ラストバッター、レオ。
その背後には、ゴォゴォゴォゴォというジョジョばりの「俺に打たせろ!俺まで回せ!」というオーラをまとったレンが鎮座します。
レオが決めてもいいんです。長打力があります。しかし、この荒れ球に対して、何でもかんでも振るタイプのレオは分が悪い。
なんとかレンまでまわしてくれ~。
みんなの思いがひとつになります。
それが通じたのか、レオはデットボールで出塁することができました。 
さぁ、さぁやってきました千両役者。満を持して高田イーグルスのレンを送り出します。
ここで満塁ホームランがでれば、4点をとることができます。
それを狙ってできるチカラがレンにはあります。
それを新鶴さんもわかっている。
なので、ピッチャータツキはギアをおもいきりあげます。
自然とチカラが入るタツキ。
球威はありますが、すべて高めに浮いてファーボール。押し出しで1点。
次のバッターは、コタロー。
長打力よりもミート力、いろんな状況への対応力を買ってこの2番という打順に存在します。
さぁ頼むぞコタロー。
ピッチャーはコントロールに苦しんでいるから、ボールを打たないように、じっくり……
初球のアウトコースのボール球に手を出してあっさりアウトでスリーアウトチェンジ。
じっくりいけという前に終わってしまいました。
結果的には、レンとの勝負をさけて、1点をくれてでもコタローと勝負をした新鶴さんの勝ちです。
ここはもっと点数が欲しかった。
相手ピッチャータツキはコントロールに苦しんでいました。
レン対してもストライクが1球も入っていなかった。
試合が終わってからの反省点として、初球から行くときとじっくりいくときの徹底が必要だと思いました。

1:1の同点。
この裏の新鶴さんの下位打線、先頭とその次を三振できってとり、ますが、ラストバッターをファーボール。なんとか1番を打ち取って、ゼロで抑えます。首の皮一枚でつながっています。
まだのぞみはある。

時間的に3回が最終回となります。
2点をとって、裏を守り切ることが決勝進出の条件。
この回の上位打線、先頭は3番のユウキからです。
ユウキならば、なんとか出塁してくれるだろうという期待が膨らみます。
前の回をユナとペイのバッテリーとバックがきっちりゼロで押さえてリズムを作っています。
そして、ここ最近のユウキはバッティング絶好調。
私はチームとして、みえない相乗効果があると思うんです。いいリズム、流れというのがピタリと歯車のようにはまる時あります。
ギアボックスのように、小さい力を大きくできる時がある。
もっているチカラ以上のことができる場合があると思うんです。
出塁してくれるだろうなという我々の期待を大きく裏切ってホームランにしてしまうユウキ。
打った瞬間にホームランだとわかる打球でした。
こいつはすげぇなぁと、サードベースを駆け抜けていくユウキを見て感心するしかありません。
ユウキのホームランが高田イーグルスの消えそうな闘志の炎にガソリンをぶちこんでくれました。
ボルテージはどんどん上がります。
そしてやってくるあの雰囲気。
「もしかしたら、俺たちやれるんじゃねえ?」
この錯覚にも似た根拠のない自信。盛り上がるあの状態。
そして、次打者はシュンペイという好打順です。
ペイの顔は俺もやってやる!という闘志に溢れています。
目の前でユウキのホームランを見てます。
ぁぁ~、チカラ入ってんなとすぐ見て取れる。
一息ついて肩の力を抜けといいましたが、おそらく焼け石に水でしょう。
まぁこの場面は一発狙っていいでしょう。
ここはシュンペイに頼むしかない。
長打狙いで、きっちりふりきります。
力でレフトに運び二塁打とします。

続くタイチ。
先の試合でタイムリーヒットをセンターに打っています。ぶんぶん振り回すだけではなく、チームバッティングもできるということを証明してくれました。
ここはヒットが欲しいところですが、ボールをきっちり見極めてファーボールを選びます。
よくやったタイチと小さいガッツポーズ。
こう土壇場でボールを見極めることができるようになったんだなあとタイチの成長を確認します。


さて、タイチが帰れば文句なしの決勝進出です。
この大事な場面、ノーアウト一二塁でマナト。
ここ最近、打撃フォームの改造に取り組んでいました。
前までの当てるだけの手打ちの打撃とは明らかに違ってきています。
打球の速さ、強さが違う。
これまでのマナトとは違うぞというのを、この厳しい実戦の中でこそ発揮してほしいところです。
しかし、タツキも押さえるのに必死です。
マナトにのぞむのはヒット。
ヒットでなくても、ゴロの進塁打。
三振、フライはだめです。
タツキとマナトの激突、ここは三振でした。
その振りを見るに、まだ迷いがあります。
打席に立つ前に、一か八かか当てにいくかの方針の整理、こころの整理がすんでいない様子。
そして、実戦ではなかなか結果が出てくれていません。
なのでますます自信をなくしていく。
それが顔に出てしまっています。
マナトもこころのプールが浅い。
それでもいい、大丈夫だ、信じて進め!
そういうところのフォローが今後も必要だと思いました。
1死一二塁。
ここでエースのユナ。
ユナが倒れると2死一二塁になってしまう。
そうなると1点をとることが更に困難になってしまいます。
ここは仕掛けるしかない。
シュンペイの目をみて、行けと無言のメッセージを送ります。
このあたり、あのほおのき戦のテンカイを思い出します。
今年のチームも目で会話ができまでになったきた。感慨深い。
シュンペイが三塁に到達。
1死で一三塁。ゴロで待望の1点をもぎ取ることができます。昨年の幅を広げました。
しかし、ユナはセカンドフライ。
内野フライではランナーは帰れません。

2死で一三塁。
なんとしても1点をあげなればならない。
バッターは8番のアユキ。
どちらかというとつなぎ役の四年生。
この大一番ではかなり舞い上がっていることは容易に予測できます。
となると、仕掛けなければなりません。
サードコーチャーボックスから、監督を見ます。
監督も私と同じ意図を理解したようです。
それでも迷いました。一回目の逡巡。
タイム!
ん?タイム、かけちゃうかぁ。
ここは私であっても迷う場面となりました。が、監督はタイムをかけました。
一塁ランナーがタイチ。器用なタイプではありません。シュンペイもあせるタイプ。
ここは攻撃のタイムを取ってでも確実に作戦を伝えることを監督は選びました。
タイチには誘導、おとりの進塁を指示し、シュンペイにはタイチがひきつけるスキをついて本塁に突っ込むことを伝えました。
この指示の場面を見ていて、これは監督の確実性がより高いタイムをとってからの指示の方がいいと思いました。
そのほうが両ランナーに迷いが生じない。
相手チームが何か仕掛けてくるとわかってしまっても、作戦を確実に伝えることを選んだ監督が頼もしく見えました。
自分で考えて立案、実行する決断力。
教え子ながら彼も確実に成長しています。

仕掛けます。
タイチをすすすーっと出す。
しかし、新鶴さんのキャッチャーのケイシンもすぐには投げない。
タイチがおとりとして機能しません。
ここでピッチャーサークルに素早く投げられたらば、帰塁するか進むかの二択となり離塁アウトの危険性も出てきます。
おとりをすぐにあきらめて、タイチを進めます。
2死で二三塁。
おとり作戦は未完に終わりました。
アユキ、さらに不安の表情が見てわかります。
さて、どうする?どうする、どうする?
サードコーチャーボックスからシュンペイを見る。
小声で、いきますか!
突っ込んで失敗したら、即終わりのこの状況。
行けというにもかなりの勇気がいります。 
今日二枚目の逡巡、迷い、どうしていいかわからず、もう一回シュンペイを見ます。
闘志があふれ出ています。
よーし、わかった。やろう!
ここでやってくるとは、我々以外にわかるはずもない。奇襲としては最高のタイミング。
よし、ここはシュンペイにかけました。
ホームスチールを敢行します。
いけーとシュンペイの背中を押します。
突っ込むシュンペイ。
ホームイン……と思いきや主審にボールが当たっていました。
当たっただけなら、インプレーですが、拾ってしまった。
その時点でボールデッドになり、シュンペイのホームスチールは無効になりました。
起死回生、渾身の仕掛けが空振りに終わります。なんという、何という不運。
もう1球待っていれば、もう1球早く仕掛けていれば……
高田イーグルスにふりかかった不運を呪うしかありません。
奇襲失敗。 
この後、2回続けてのホームスチールは私にも決行できませんでした。 
無策。
アユキに任せるしかありません。 
この重要な場面を弱冠四年生に任せるしかない場面。そうであったとしても、アユキも腹はくくったようです。
果敢に振りにいきますが、空を切る。
追い込まれました。
そして、投げた瞬間にストライクの高さだとわかるコースにスローモーションで、タツキの放った球が入ってきます。 
アユキ、あ~ぁと思っても手が出ません。
見逃し三振でゲームセット。
アユキにもストライクだとわかったはずです。
しかし、体が蛇ににらまれたカエルのように反応しなかった。反応できなかった。
自分の目の前をチームの息の根を止めるストライクが入っていくのに、なすすべがない。 
とんでもないプレッシャーがのしかかっていたはずです。
しかし、そのプレッシャーに負けてはいけない。
ただ食われるだけのカエルであってはいけない。
今は負けてもいい。
今はまだ手がでないかもしれない。
ただ、この見逃し三振をアユキは忘れてはいけません。
いつか、こういう重大な場面で起死回生の一打を放つ役割が必ずめぐってきます。
いつかくるその時のために、この見逃し三振を次に活かさなくてはいけません。
そうしないと、アユキはもちろん、チーム全体、みんなが浮かばれません。
さて、アユキにはどういう練習をしたらいいものかを考えます。
1番のくすりは、こういう場面を何回も経験させること。
そして、少しずつでもいい結果が出るように、いろんなチャレンジをしていくこと。
少しずつ、少しずつ自信という名の武装をしていきましょう。
そうすることで、いつか蛇を倒すカエルに育つはずです。
それはなにもアユキだけではなく、高田イーグルスのひとりひとりが、そういうカエルの戦士にならなくてはならない。
我々は、そういう気骨のあるカエルのこころざしを彼らの中に育ていきましょう。

あの土壇場の中で、
「コーチ!(ホームスチール)行きますか!」
シュンペイが見せた気骨のあるカエル。
数年前は、打てなくて泣き、守れなくて泣き、負けて泣いていたシュンペイ。
そんな彼もいろんな強さと優しさが備わってきました。
つくづくソフトボールとはそういうひとりひとりの強さの掛け算だと思います。
ひとりがもっている強さの幅。
その最大のところを引き出せば、実力以上を発揮する。
その反対もしかり。
コンスタントに幅の右側の大きいところを引き出せるように我々は練習しています。
ピンチの時にも、チャンスの時にもそれができるかどうか?
それはこころの持ち方に依存しています。
今回の新鶴戦、土壇場で見せたシュンペイの気概。
あれは成功してほしかったなぁ。
しかし、今度こういう場面がきたならば、シュンペイは成功させるでしょう。
そして、シュンペイだけでなく、メンバー全員にも同じ気概をもって、来るべき時に備えるべく準備をしていきます。

かくして、第2回じげんカップ、高田イーグルスは予選敗退で幕を閉じました。
貴重な主催大会で結果を残すことはかないませんでした。
それはそれで、残念で申し訳ないと思います。
しかし、この結果を次に活かすこと。
あーぁ負けた負けた、仕方ない、残念だ、それだけで終わらないこと。
これこそが、保護者のみなさんが高田イーグルスに期待していることであり、われわれ指導者も、選手自身もそうありたいと思っています。

またしても地べたにはいつくばった、カエルたち。
ひとりひとりのカエルは何を思うのでしょうか?
晩秋の空。
次週、ほおのき杯、高田イーグルス単独チームで挑みます。
明と暗。
陰と陽。
表と裏。
世の中は反対のように見えて、実はつながっている。
それを分かつものはなんなのか?
それを考えさせる一日となりました。

高田イーグルスの主催大会、第2回じげんカップ。
雨で中止も心配される中、なんとか開催することができました。
役員、保護者のみなさんの執念がなせるわざですね。
しかし、秋雨は寒い!寒い、寒い!
この寒さはコンディションにも間違いなく影響します。

そうして始まった、六チームを、二つに割ったリーグ戦。
高田イーグルスは初戦で坂下ヒーローズさんとあたりました。
キャプテン、レンは先攻を選びます。
彼の思いは、先制パンチをいれてチーム全体を勢いに乗せたいという思惑からでした。
それを自ら具現化するべく、先頭のレンが一塁線を切り裂きます。
そして、盗塁パスボールでわずか4球でホームに帰って、幸先良く、一点をもぎとります。
しかし、後続が続きません。
クリーンアップが連続三振。
いまいち勢いに乗れません。
高田イーグルスのポテンシャルならばもっと点数が欲しかった。
暗雲が少しやってくる。

そして、今日のユナの調子がよくありません。
おそらく寒さからくるものなのかな? 
微妙なコントロールがききません。
ツーストライクと追い込みながらもファーボールを出してしまう。
それでも、チーム全員で防ぐ意識がありました。
常にランナーを得点圏に背負うプレッシャーがかかる状況。
こういうところのミスから一気に崩れていきます。
それを食い止めるのが、キャプテン、レン。
敗北の激流にくさびのごとく打ち込んで、チームを救います。 
あの三遊間の強い打球を逆シングルでキャッチ、サードに送球でアウト。
あそこで抜ければホームランとなり、高田イーグルスの心臓を捧げていたでしょう。
チームの瓦解を防ぎました。
こういうところが、レン、なんです。
そのポジショニング、これしかないという角度のグローブさばき、そして大事なところでミスをしない。
レンがキャプテンである所以(ユエン)です。
それでも出血はとめられませんでした。
ノーヒットで二点を献上、逆転されてしまいます。
暗雲がまた少し。

さぁ、逆転だ!とのぞんだ2回の攻撃、ユナが自らのヒットで出塁します。
しかし、後続が続かない。
ユナ自身の走塁ミスもあって、押しているのに押しきれない、いやな展開。
ピッチャーとは、かなりメンタルに依存する種族です。自身の打撃や走塁が上手くいったか、いなかいかが、かなりピッチングに影響します。
いつもだったらすぐにアジャストできるコントロールに、ちょっとの狂いを生じさせてしまいます。スリーツーと追い込んでいるのに、最後に決めきれない。ユナ自身が1番そうでしょうが、チーム全体にも流れに乗れないフラストレーションがたまっていきます。
こういうのをいやな雰囲気というのでしょう。
そこにきて、天候の関係で時間が50分と短い。
実質3回くらいしか回ってきません。
上位打線の攻撃がよくて2回。
先に得点差を広げられてしまうと、焦りが生じてくる。しかも、先制パンチで引き離す作戦をとったので先攻。なおさら焦ります。
高田イーグルスにとっては全てがビハインド、不利な条件に陥る。
こうなると流れが向こうに行ってしまいます。
3回始まりの時点で1:6と負けています。
時間的にも打順的にも、ここで逆転するしかない。
となると、先頭バッターは必ず出塁しなくてはならない。
打順はラストバッターのレオから。
打率は低いものの長打力を買っての配置です。
バッターボックスに立つと頭が真っ白、全部吹っ飛ぶタイプ。余計なことをあれこれいうよりも、おもいきりいけと言うだけで十分です。
選球眼はあまりよくありません。そんなことは百も承知でここに置いているという監督の心意気。
ファーボールでの出塁は期待できません。
打つしかない!
ブンッと角度のあるアッパースイングですが、当たりません。
ツーストライクと追い込まれる。
頼む、頼む打ってくれ!久しぶりに祈りました。
カイジが祈るようになったら終わりだと言っていますが、この状況では祈らずにはいられません。
レオのフルスイング、追い込まれても迷いがないのがレオのいいところ。
パキーンとセンターの後方を襲います。
抜けろ!抜けろ!抜けろーと絶叫。
高い放物線なので、抜けはあまかった。
これは三塁打くらいか?
しかし、レオは二塁を回った時点で三塁を蹴ることを決めていたようです。
やめろー止まれーの声はレオには届かない。
暴走機関車と化したレオは本塁に突入します。
ボールは帰ってきていて、キャッチャーがタッチの体勢。
これはヤバイとレオも思ったはずです。
でも、どうしようもなかった。
スライディングを選択する余裕もなかったんでしょうが、ホームを駆け抜けます。
そこにタッチのミットが当たりました。
当たったというか、当たりに行った。
当たりに行ったというか、線路上にミットがあったけど走り抜けたと言ったほうがレオにはしっくりきます。
あぁタッチアウトかぁと思いきや、ミットからボールがこぼれます。
レオの勢いの勝ちです。
暴走と神走塁は紙一重ですが、これは完全な暴走です。
しかし、必ず1点をとるというレオの執念を見せてもらいました。
まぁ、奴の性格から見ると、何も考えていないだけなんでしょうけど。
ただダイヤモンドをみんなの声援を後押しに走り抜ける気持ちよさ、レオの魂に刻まれたはずです。
1点ですが反撃の狼煙はあがりました。

続くレンが右中間に打った瞬間ホームランだとわかる打球をかっ飛ばします。
1打席目で引きつけすぎて、ライト線を越えてからボールデッド、本当はホームランの打球が、二塁打になってしまった。
同じ轍を踏まないことをちゃんとわかっています。今度は、引きつけすぎずに少し早めに押し込んだ。
こんな微調整ができるのはレンだけでしょうね。
レンの打ち方を見るとただ単に気持ちよく引っ張らずに、センター中心のティーバッティング、通称「横打ち」の効果がここで活きていると実感します。
今度はきっちりホームランとなりました。
この回、2点目。

ゲームの潮の目が変わりつつあります。
この機を逃してはいけません。
2番のコタローが、三遊間を破ってもう一回作り直します。ここで切らさないのがすごい。
ユウキはセカンドゴロで倒れますが、きっちりランナーをスコアリングポジションに送ります。
倒れても前のめり。
武田信玄に三方ヶ原で敗れた徳川家康の三河衆のような攻撃です。
ちなみに家康はこの味方の三河衆の必死の奮戦で戦死することなく落ち延びています。
その戦いの後に、信玄が敗者の徳川勢の死体が家康を守るために前のめりですべて死んでいたのをみて、家康はいい家臣に恵まれているとつぶやいたというエピソードがあります。
ユウキもなんとかしてランナーを次の塁に進める打ち方、右方向への強いゴロという意識をもってのぞんでいるのが、その構えとスイングからわかります。アウトになってもチームのためにやるべきことをやる。この献身がユウキなんです。この姿勢が家康の三河衆と重なります。
少しずつ坂下さんを追い詰めていく。

ペイもアウトコースに苦しみながらも三遊間を鋭く切り裂く強いゴロを放ちます。苦しんで、なんとか打った一打に、吠えます!
その間にコタローが帰ってきます。
3点目。

次の矢は、タイチ。タイチもアウトコースに悩まされて、追い込まれますが、なんとか長いリーチを活かしてセンター前に運びます。タイチも自分の役割の大きさ、ことの重要さをわかっているだけに、そのプレッシャーに押しつぶされそうになります。
いつもそこで自暴自棄になりがちですが、今回は冷静でした。
ブンブン振り回さず、ミートするとこに重点を置いたようです。その分振りがシャープになった。
こういうところなんです。
工夫というのは。
同じ失敗を繰り返すまいとするところに、進化はやってきます。
センター前に運びます。
コタローが帰って4点目。

さぁ俄然わいてきた高田イーグルスのベンチ。
あと1点で同点です。
冷静に状況を見てみます。
盗塁とミスがらみでタイチは三塁に。
一死三塁。

内野ゴロでも同点の場面です。ここはなんとしても追いついておかねばなりません。
バッターは最近身についてきた長打力を買われて6番に入ったマナト。
ここは長打力よりもミート力、ゴロが欲しい。
我々はマナトを信じます。頼む当ててくれの願いも通じず、三振で2死。
1点が限りなく遠い。
何か策はないのか?
何も思いつきません。
最後のバッターとなるユナ。追い詰められてはいつもパフォーマンスを発揮できません。
最後は坂下ヒーローズ、エースユウマの渾身のチェンジアップにユナのバットは空を切ります。
三振でゲームセット。
高田イーグルス、5:6で坂下ヒーローズさんの前に屈しました。
あーぁ、悔しい。
とにかく悔しい。
自分たちの力を発揮できなかったことが、悔しい。高田イーグルスに仕事をさせなかった坂下さんの強さが出た試合だったとおもいます。
試合中に起きたことは、どうやったって戻りません。ミスやファーボールは取り返しがつかない。
だから、そうならないように練習してますし、誰もミスやエラーをしようと思ってやってる奴はいません。
それは敵である坂下ヒーローズさんも同じ。
もう少しなんだけどなぁ、そのもう少しを引き出せないもどかしさ、自分に腹が立ちます。
押さえるべきところを押さえ、
守るべきところを守り、
打つべき時に打つ。
当たり前のことを当たり前にやることの難しさ。
あらためて感じました。

ボーダーラインをわずかでも越えたものを成功だとするならば、失敗はそこにわずかでも届かなかったもの。
失敗と成功はつながっているんだと思います。
何回も何回も失敗して、少しずつボーダーラインに近づいていく。
失敗は成功のもととはよく言ったものです。
分けてなどいないんです。
明と暗は表裏一体。
つながっている。
失敗しないと、成功はないんです。

今回も高田イーグルスは2回、負けました。
2回失敗している。
あいつら落ち込んでいるかなぁと思って様子を見ていました。
たしかに、決勝戦にいけないのは悔しい様子でした。
しかし、ところどころに笑顔がありました。
やるだけはやった。負けたことは負けた、その事実は覆らない。だったら、泣いているひまなどない。
すぐに立ち上がって前を見て進め!
彼らの笑顔にその気概が見えました。
特に、ユナが笑って、みんなといっしょにお弁当を食べていました。
ちょっと前までであれば、ひとりで、負けた悔しさで泣きじゃくってたはずです。
ユナのこころのプールも大きくなってきたということです。
ちょっとやそっとではへこたれない。
レンの厳しさ、
コタローのいい意味での適当さ、
タイチのつっこみやすさ、
ペイのパッション、
マナトの係長並みのしきり、
ユウキの汎用性、
レオのまっすぐさ、
そしてユナのおおらかさ。
八者八様の面白さがある。
野郎どもに混じって弁当を笑顔でほおばる、ユナに頼もしさを感じました。
強くなったな!ユナ!
これですよ。
これ。

何回負けてもいいんです。
何回失敗してもいい。
何回落ち込んでもいい。
そして、何回でも立ち直って、仲間と一緒に、またチャレンジする。
横一線になって、みんなで弁当を食べる六年生の後ろで私も弁当を食べていてそう思いました。
いいじゃないですか!
これこそが、今年の高田イーグルス。
何回でも立ち直ります!


















こんな日もあってもいいもんだ。
そう思えた一日でした。

喜多方ボーイズ杯、宮川小が学校行事のため、美里イーグルス勢は欠席となり、高田小学校単独での戦いになりました。
総勢11名。
ピッチャーユウキはなんとかなるとして、問題はキャッチャー。
コタローにするか、タイチにするかで大いに迷いました。
悩んだ。
キャッチャーとして経験が多少あるのはタイチ。
しかし、マスクとメガネの相性が悪く、あきらめの早いタイプ。
よっぽど良くなってきましたが、ワイルドピッチやパスボールが続くと、タイチはダークサイドに落ちてしまうでしょう。
きっと毒をまき散らすはずです。
キャッチャーのポジションにいる彼が試合をぶん投げたら、チームは崩壊します。
となると、もう一方の選択肢しかない。
積極的にコタローにしないのは、彼もタイチに似た傾向があるからです。
タイチほどの毒ではないですが、気分がプレーに現れるタイプ。なので、気分が乗ってくればいいプレーがでるでしょう。
そしてピッチャーとなるユウキとの相性がいいと見ました。
普段の会話から見るに、ユウキはコタローの方が突っ込みやすい=投げやすいと判断しました。
左右の瞬発力、状況の判断力もそこそこできる。
そこに期待をこめての配置です。


さて、11人のメンバーをできるかぎり適材適所に置いて、高田スポ少単独の戦いがはじまります。
初回の守備の際に、急造キャッチャーのコタローが守備の前に、なんか檄をとばしていたシュンペイを思い出したようです。
コーチ、なんかいわんなんねぇの?
と聞いてきます。
ぉお、そんなところに気が回るのかと思いつつ、
しまっていこう!と言えといいました。 

さぁ、コタローの第一声。
「埋まっていこう!」

ガクッと崩れ落ちるベンチ。吉本新喜劇ばりのズッコケでした。

そして、二回の守備に二回目の檄、
「湿っていこう!」

またまたガクッと崩れ落ちるベンチ。
コタローのゆるすぎる檄、全然締まりません。
今思えば、逆にこれが良かったのかもしれません。
みんな、おいコタロー!と思いつつも、普段通りになり、変に力が入らない。
変に気負わない、狙ってやってないというか、深く考えていない。
いい意味で自然体。
それがコタローの強みだと私は思っています。
公式戦では初のキャッチャーで不慣れですが、高い対応力を見せます。
びびって下がり気味の位置もだんだん変えていきます。いきなりのセカンド送球もできるようになりました。
ショートバウンドの捕球もなかなか。
ユウキと組んでバッテリーとして機能するという見通しが立ちました。
相変わらず、「締まっていこう!」の掛け声は全然しまりませんが、この二人がなんとかなると、チーム全体がなんとかなると、みんなが錯覚し始めました。
「俺たち、いけんじゃね!」
これでいいんです。
コタローのゆる~い掛け声から始まる守備は、この日の三試合ノーエラーを記録しました。
守備機会の多かった、ショートアオト、セカンドアユキの二遊間が素晴らしかった!
アオトの反応の良さ、速い打球に対する積極性、捕ってからの速さ、強い肩。
アユキのポジショニング、守備範囲の広さ、カバーリング。特にユウキがはじいたセンター前に抜けそうなボールのカバーからの早い送球、体勢を崩していましたがファーストタイチにストライク送球でアウト。チームのピンチを救いました。
そういうチャレンジを瞬時に決断して果敢にくりだす。
ユウキが外すかもしれない、そう思って一歩目を切っている、そしてはじいたボールの角度、位置を予測してカバーに入る。
このプレーで反応していたのはアユキのみでした。
それが、第3位のチームがもらえる個人賞、敢闘賞を引き寄せたプレーになりました。
審査員の方もいっていました。
あのプレーが試合の流れをもってきたと。
たいしたもんです。
このふたりの二遊間は、荒木井端なみの将来性を感じさせます。

他にもこのチームはいろんな可能性を見せてくれました。
バッターの打力をみて、センターの守備位置を変えているユウシン。
次の送球を予測して、サードカバーにはいるナガマナ。
相手のバッターがバントの構えに入るとすかさずチャージをかけるソウスケ。
自分が後ろが苦手なのをわかって後方に位置取るリツ。
俺を試合に出せとアピールするハルト。
ここではタイチもマナトもフォロー役もきっちりこなしています。
そして、六打数五安打、打ってよし、投げてよしのユウキ。 
この高田単独チームもあらためて、いいチームです。

埋まっていこうから始まった、この大会。
どうなることかと思いましたが、なんとなんと今シーズン初の3位の表彰台。
久しぶりに表彰式まで残ることができました。
夕日がみんなを照らしています。
秋口の西日に照らされた3位の表彰盾とみんなの笑顔。

ここにきてチームは上昇気流にのりつつあります。いい感じです。
そして、明日は高田イーグルス保護者総出のあいづみさとじげんカップにのぞみます!
始まりました2021会津選抜。
今年もコロナにたたられる年でした。
会津選抜のチーム編成さえもどうなるかわからなかった。
コロナ禍にあって、いろんな制約があって、人数が集まるかさえもわかりませんでした。 
そんな中、なんとか、なんとかチームが組めることになりました。
我々の指導者一同も胸をなで下ろすとともに、はるか遠くに見える頂をこのメンバーで目指すことのできる、喜びをかみしめています。

いやーほんと良かった。
当初は高田イーグルスの参加者はゼロ。
ん?と思いましたが、このコロナ禍においては誰の責任でもありません。
その選択をしたことを尊重しようと思っていました。
なので、ゼロならゼロでいい。
そこは今後いっさい言うまいと誓いました。
出ないと決断した方も苦渋の選択をしたとわかっているからです。 
そこは尊重します。

自チームの選手は参加しないとしても、指導者として参加しようとは決めていました。

しかし、状況がまた変わってきました。
宣言もあけて、ゆるやかな人流はなんとか許される状況になってきています。
修学旅行や学校行事が少しずつ解禁されてきました。
ワクチン接種が六割を越えて、次の打開策が見えつつあります。

コロナ対策として、いかないことを決めていた高田イーグルスの6年生に心境の変化が訪れました。

そして、10/10の会津選抜合同練習。
これが決定的に彼らの背中を押したと思います。
柳津、磐梯、坂下、新鶴、そして高田イーグルス。
いままで敵として戦ってきた相手が、今度は味方になる。
その結果が、毎年この時期の選抜大会なんです。
人と人とが出会う、いいきっかけ。
縁とはこういう時に生まれるものだと思います。
確かにチームとしての目的は、選抜大会の優勝です。
しかし、この選抜大会は勝ち負け以外にも大きな財産をもたらしてくれると私は思っています。

ここで出会った仲間が、この先生涯の仲間になる可能性もある。
それだけで、この選抜に参加する意味があると私は思います。
そういうのを大切にする大人になって欲しいという思いもあります。

合同練習を見て思いました。
楽しそうにやってんなぁ。
いつもより上手く見えるなぁ。
いつもと違った緊張感がそのこの力を引き出している。

説得の言葉なんていらなかったんです。
一緒にプレーするだけでよかった。
それだけでよかったんです。

コロナの制約を確かに受けるでしょう。
選抜に参加しないという選択肢もある。
その選択も尊重します。
それを選んでも誰も避難できないし、誰の責任でもありません。
しかし、その中でもなんとかして参加しようする、その決断も尊重しましょう。
やると決めたら、細心の注意を払って、最大の準備をしてのぞむ。

高田イーグルスは今年の会津選抜に参加する。
高田イーグルスは、その道を選び直しました。
戦力もかなり増強された。

困難な船出となりました。
その方が今年の会津選抜には合っているかもしれません。

天気晴朗なれども波高し。

2021会津選抜、出航です!
さて、今日は会津選抜合同練習と、新人の練習試合です。
新鶴、吹き上げグランドで4面を作って、午後までやるスケジュール。
コロナ禍の今年、こんなに長くスポ少の練習をすることはなかっでしょう。
子供たちも疲れたと思いますが、私も疲れました。
しかし、やってよかった。
新人は四試合。
6年生選抜も四時間、五時間くらいの密度の濃い練習ができました。

新人のグランドから聞こえてくる大きな声。
やはり、ベンチを温めているだけよりも、下手くそであろうと試合に出てプレーするほうが何倍も面白いとあらためて確認しました。
キャッチボールなんて、できなくてもいいんです。
フライなんかとれなくていい。
ルールなんてわかんなくていい。
訳わかんないけど、とりあえず試合にでて、一生懸命にプレーすること。
野球人の、ソフトボール人の誰もが最初に通る道。
ここが原点なんじゃないでしょうか?
ひとりでバッターボックスに立ったときの不安な気持ち、
がんばれよーという誰だかわかんないけど近所の兄ちゃんたちの声、
よーしやってやると思い切り振ったバットにたまたまたラッキーでボールが当たる!
なんかわからないけど、手に残る異様な快感。
近所の兄ちゃんたちからは、よくやったなぁ、すげえなぁの絶賛の嵐。
なんかわからないけど、なんか楽しい。
スポ少を始めたばかりの、ミツキやショウゴ、ハル、マオが、なんかわからないけどちょこちょこ一生懸命にダイヤモンドを駆け巡っている。
誰もが通ってきた道、原点を見ました。
あんときが1番楽しいのかもしれません。
おそらく、見てる保護者も楽しいでしょう。
なんかわからないけど、我が子がチームの一員として頑張っている。
とびきりの笑顔で。
子供たちの一挙手一投足に一喜一憂する。
フィクションの映画やゲームにない、リアルが目の前にある。
推しのスポーツ選手が我が子。
そしてゆくゆくはチームの子供たちまでが、推しになっていく。
そういう意味ではスポーツ少年団は一大エンターテイメントなんだと思います。
子供も親も、もしかしたらじいちゃんばあちゃんも巻き込んで笑顔になれる。
勝っても負けても、そういう高田イーグルスであって欲しいと思います。

間違いなく地域で子供たちを育てています。
そして、スポ少は地域の横のつながりを作っている、私はそう思ってやってきてきます。

まぁそれはおいておいて、スポ少に戻ります。
スポ少は同じチームでも1チームである必要はありません。
2チーム、3チームあったほうがいい。
練習試合でもできるかぎり選手たちに出場機会を作りたいと考えています。
そして、今の高田イーグルスは、それができる!
指導者も保護者も万全の協力体制、なので思い切って3軍まで編成が可能です。
だからこそ、今日の三つに分けての練習試合が出来る。
なんともありがたい限りです。

私が参考にするのは、八重山商工の育成法です。
同じ指導者が、ずっと同じ子供たちの指導を続けます。
八重山商工のすごいところは、小学校から高校まで同じ指導者となります。そして、ついには甲子園にいき、横浜高校を追い詰めるまでになる。
町全体、島全体が子供たちを後押しする。
ある意味、地域巻き込んだ振興活動のひとつになり得ると思います。
これは役所も巻き込んでの話になります。
成長する選手たちに、気心がしれた指導者も繰り上がって指導する。
それをやってしまう八重山という町がすごい。
学校の担任制みたいなものですね。
ずっと同じ子供たちを指導しながら、甲子園をめざす。
それができた八重山商工の伊志嶺監督は幸せでしょうね。
叶わない願いと思いつつも、私も何回もこの子たちをずっと指導したい、そしてこの子たちと甲子園にいきたいと何回も思いました。
しかし、一方で新しい子供たちとの出合いの機会が失われてしまうと私は思います。それももったいない。
どちらがいいとは言えませんが、
短い時間だからこそ、限られた時間だからこそ、熱く密度の濃い時間になる。
だからこそ、輝くんですよね。
そんなようなことを煉獄さんも言っています。
ある意味、私たち指導者は「柱」であり、心に煉獄杏寿郎の気概を持っています。
鬼にやられて死にはしませんが、それと似たような覚悟をもってやっています。
そうでないと、人様のお子さんを預かることはできません。
高田さんと、美里イーグルスが完全に合併してからだんだんワンシーズンが終わります。
去年のこの時期もいろんな激闘がありました。
ヒカリの涙のホームランもこの時期でした。

今の我々高田イーグルスの選手も保護者も指導者も、そんな「心を燃やす」ような戦いに身を焦がしたいとのぞんでいます。

さぁこい!試練、
さぁこい!ピンチ!
さぁこい!逆境!
勝っても負けても俺たちは全力を尽くす。

明日はハレルよ、
高田イーグルスにヒカリあれ!







天高馬肥(てんこうばひ)。
天高く馬肥ゆる秋。
JRA競馬、秋のシーズンの枕詞です。

それが、そのまま高田イーグルスに当てはまるかのような今日のほおのきさんとの練習試合でした。


いままでやってきた練習の成果が、結果としてちゃんと出始めてきました。
特に、6年生の躍進は著しい。
5年生以下の若いチームのほおのきさんをまったく寄せ付けない戦いでした。

今回は、高田小学校が登校日のため、宮川小学校の美里イーグルス単独の試合となりました。
単独でどこまでいけるかなと思っていましたが、なかなかどうして、単独でもそこそこいけるなと思わせる試合ぶりでした。
それというのもバッテリーの安定があればこそです。
ユナとシュンペイのバッテリー。
何よりここが最前線。
この二人が相手打線をことごとく討ち取ります。
マウンドで勇躍するユナ。
それを支えるキャッチャーのシュンペイ。
このふたりが、いい。
最近、いい!
ボールもキャッチボールしていますが、こころもキャッチボールしています。
以心伝心。
ユナが投げたいコース、配球を理解して、気持ちよく投げられるようにキャッチャーであるシューペーが気をつかっている。
それが、ごくごく自然なんです。
今日もマウンドで、君臨するユナはよく笑っていました。
笑う(^^)余裕がある。
だからこそ、あんな剛速球を気持ちよく、えげつないコースに投げ込むことができるんでしょうね。
それをほおのきさんとの練習試合で確認できました。やはり、紅白戦ではなく、対外試合はいいですね。
相手に対する甘えがないからいい。

バッテリーの二人はいいとして、

まずいいところから、

初球ホームランのレン
レオのカバーと守備
カナトのユーティリティの守備と声
チヒロのカバーの安定度
キヒトのあっやばい
トウマの打撃とキャッチーとしての成長
ミソラのストライクの球威とテンポの良さ
レイラのカンペキなセンター前ヒット
コウミのタイミングの取り方、まだ遅いけど
ゼンジ、レントの二遊間と勢い担当としての声のでかさ。
ショウゴの立ち向かうスウイング
マオのなんとか当てたサードゴロ
ん!みんな言ったかな?

今後の修正点、

盗塁阻止の荒木(ゼンジ)井端(レント)のセカンドベースへの入り方、
単なるボール、ファーストではない、進化した先の塁でアウトにすること、
バッテリー、とくにピッチャーミソラの早すぎるテンポ、
外野の守備力、カバーリング、
などなど、直すともっともっと強くなるところが、いっぱいあります。


まだまだ、
まだまだ、
まだまだ未完成ながら、この秋にきてなんとなくは仕上がってきているという手応えがあります。
それは、指導者だけでなく、保護者にも、選手たちにも!

少しずつ、少しずつ重ねてきた自信が、今の高田イーグルスのプレーを支えてくれています。

馬体重が増。
天高く馬肥ゆる秋、秋の重賞レースにのぞむ高田イーグルスです!
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