時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。
ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
関柴スポ少さんの大仏杯に参加させていただきました。
コロナ禍で大会が中止されていく中、万全の対策をとりながら実施していただけることに感謝です。
中神谷、TKヤンキース、桜など県大会常連メンバーがずらり。数年前に全国大会に行っている関柴さんの人脈をいかした招待チームの面々。
そんなチームと肩を並べて試合ができるだけで、ありがたいです。
そういえば、ハルヤがエースだったとき、県大会準優勝の川俣ジュニアさんに最終回まで勝っていたということもありました。肉薄しましたが、抽選で負けたことを記憶しています。
大仏杯は名勝負が多い。
それは、この秋にきてそれぞれのチームの底上げか成功してきていることを意味します。
それが激突する。
名勝負を生み、選手はもちろん、保護者の心にも大きく残る財産になってくれます。
ほんと、いい大会です。
さて、高田イーグルスは下郷ジュニアさんとあたります。ん?ここ最近、この大仏杯では定番の組み合わせのような気がします。
ユウキたちとの激闘。
昨年のレンたちとの激闘。
そして今年と、あたるときはあたるものです。
そして、毎年強い。
今年は白獅子県大会ベスト4の実力者です。
胸を借りるつもりでいきます。
さて、高田イーグルスはどう戦うか?
事前情報では、アウトコースにピシピシ決めてくるエース。
体格に恵まれたリードオフマン、堅い守備。
総合力の高さはイーグルスの比ではありません。
イーグルスが勝てる要素は、どこか?
やはりここは、ミソラとトウマのバッテリーにかかる負担が大きいと言わざるを得ません。
60分という短期戦。ミソラがなんとか押さえて、我慢して我慢して、ロースコアの展開にもちこみ、少ないワンチャンスを活かす。
2:1くらいでなければ、勝利はもぎとれません。
そして、特殊なグランド状態もありました。
コロナでスポーツイベントが激減し、グランド整備もあまりいきとどいていないと言うことが、監督会議でアナウスされました。
なるほど、ここ1週間くらいの間に苅ったであろうと草がいたるところにあります。
関柴スポ少の保護者のみなさんの熱い気持ちが伝わってきます。
ここにも感謝!
なので、外野はボコボコで、ゴロがどうはねるか予測がつきません。
そこで、試合前のミーティングで、外野にはシングルハンドはやめて、膝をついて体を壁にして、捕れなくても体のどこかにあてて止めるように指示を出しました。
ノックの時もノーアウトのシングルヒットの捕球として、膝をついて壁にする練習はしてきています。そこをあらためて確認させました……
この指示がちゃんと選手たちに入っていてくれればと言う展開になることは、この時点で予測していませんでした……
さて、高田イーグルスは後攻。
白獅子会津予選の猪苗代戦のように、初回を押さえて守りからリズムを掴むことを意図して、選手たちはフィールドに散っていきました。
下郷ジュニアの1番バッター、大きい……
キヒトより大きいでしょう。引き締まった上半身、太い大腿部、いかにも野球向きなケツ。
伝聞にそぐわない偉丈夫。スウイングを見ても、いい選手だと思わせてくれるには充分です。
断言します。将来的にも彼はすごい選手に育つことでしょう。
一騎当千の彼に立ち向かうのは、こちらの一騎当千のミソラ。
しかし、ミソラであってしても押さえるのは難しいでしょう。
打たれればかなりの確率で長打になります。
シングルヒットなら御の字、そのぐらいの方針でいい。
一投最初からの強敵。
しかし、今日のミソラの調子はいい。
致命傷にならないコース、高さでカウントを稼いでいきます。
しかし、このバッターから空振りをとることは、かなり難しい。
打たせてとるにも、打球はとんでもなく速くなる。
ミソラとトウマ、仕留めるコースをアウトコースに絞って、渾身の一球を投げ込みます。
無理に引っ張らない。
強い打球ですが、討ちとってもいます。
しかし、正面でなければまずさばけない速さと強さ。
本大会からセカンドに入ったアオトの横を通り過ぎていきます。
ライト、キヒトも反応しています。
正面に強く、低い打球が襲います。
このぐらいの強さであれば、安パイだなと判断し、セカンドベースに誰が入っているかを確認しようとしたその時、キヒトのまたの間をボールはすり抜けていきました。かすりもしないで。
相撲の蹲踞(そんきょ)のような姿勢。
腰を落とすタイミングが遅れ、グローブが出るのが遅れました。
グローブも上からでるので、ボールが目線から切れる、あの捕り方です。
トンネル。キヒトだけに、キヒトンネル、なんつって……
笑えないギャグを思い浮かべつつも、握る拳はプルプル震えています。
やりやがったなぁーとは、心の声。
しかも、最初の最初に……と心の声。
やっちまったぁと天を仰ぐキヒトを見て、心のちゃぶ台を引っくり返して、気持ちを切り替えます。すでに彼は制裁を受けている。
自分が何をしたかを理解している。
だとすれば、これ以上の試合中の制裁は無用です。
覆水盆に帰らず。
終わってしまったことは、どうやっても取り返せません。
気持ちを落ちこませたまま、キヒトを守備につかせることの方が、チームにとってはマイナスに働きます。
キヒト、忘れろ!と声をかけますが、一方でマウンドのミソラのマグマがそこまできています。ゴォゴォゴゴゴぉとジョジョのディオのような怒りが視界に入ります。
怒りというか、失望のため息。
さぁ、行くぞ!というところで、味方のミスで、いきなりすっこける。
強敵を前に、もてる力の全てをぶつけているのに、味方の援護どころか、ミスで足を引っ張られる。
情熱のモチベーションで赤くたぎった刀身に冷却水をぶっかけるとどうなるか?
その身は急激な温度変化に耐えられず、ヒビがはいり、もろく崩れることでしょう。
耐えられない。
それが今このマウンドでおきています。
そして、温度が高ければ高いほど、ダメージは大きくなる。
負けず嫌い、勝ちたい、己の力で勝ちたい。
三振を取り、ねじ伏せたい。
ゴロの山を築いて、逃げ切りたい。
敵と最前線で渡り合うピッチャーという生き物の宿命ですね。
しかし、人はミスをするもの。
だから、自分の範疇以外のところで、おきたことが自分にとってマイナスに働くことになれば、ガッカリするのは当たり前です。
でも、ここで、ここで、よく考えてください。
そこに、打たせたのは誰か?
ミスをした彼のところに打たれたのは誰か?
結局、最後は自分に跳ね返ってくる。
因果応報、人のせいにしても何も始まらないという原点に帰ってきます。
私も中学の頃はピッチャーでした。
速い球は投げれませんでしたが、コントロールには自信がありました。
なので、最終的にどのコースを打たせてとるかのイメージを常に持っていました。
そして、イメージどおりに打たせる。
しかし、肝心のバックがエラーをする時があります。どうやってもある。
プロだってエラーするんです。まして中学生なら……。
問題はその時どうするか?
一瞬、このやろー何やってんだよと思います。
これは仕方がない。
人の心に戸は立てられません。
思ってしまうことは誰にも止められない。
これは誰しもが同じ。
問題はその後です。
その後の行動、言動にその人の真価が問われます。
怒りを態度と言動に出してしまう者。
感情をシャットダウンし、心を閉ざしてしまう者。
この世の終わりの如く落ち込み、回りを巻き込んで、チームもどん底に引き連れていく者。
反対に、エラーした選手に声をかけ、次がんばろうぜと前を向き、上を向き、次に備える者。
エラーしたときこそ、カラ元気であっても、声を出して、チームを鼓舞しようとする者。
いったん立ち止まって、深呼吸をして、冷静に分析して、対処法を寝る者。
対応はさまざまです。
そして、正解はない。
怒ることで、チームを鼓舞する場合もあるでしょう。
温かい声が、かえってプレッシャーになる場合もある。
どちらが正しいかなんて、終わってみなければわからないんです。
しかし、今の立場の私は、その場だけではなく、将来的なことも考えます。
この子には、どんなピッチャーになって欲しいか?
どんな人間になって欲しいか?
こういう場面は、この先何回もやってきます。スポ少でも、人生でも。
こういうピンチの場面でこそ、「いい人」であってほしい。
まったくの「いい人」でなくていい、「そこそこのいい人」であってほしいと思います。
100%完璧な「いい人」は、やってても疲れるし、見てても疲れます。なので、無責任にいい人になれとは言えません。
しかし、そこそこいい人を複数人つくること。20%くらいを5人で持ち寄れば100%になります。
チームで分担すればいいんです。
全部の負担を背負うことはない。みんなに背負ってもらえばいいんです。
そして、その中心にピッチャーはいます。存在します。
最前線のピッチャーがハブ機能をもたなくてはいけません。
みんなをつなげる役目をもたなくてはならない。
だってもうピンチなんですから、自分一人ではどうにもならない状況にまできています。
自分一人でなんか、この状況は打開できない。打開しようと思っても、空回りするだけです。
それは、今まで生きてきたからこそ分かる経験値。
小学生のころに分かれといわれても、わからないでしょうね。
だから、ミソラはいい経験をしています。
もうひとりの試合をぶん投げていったピッチャーも・・・
「失敗するチャンス」をもらっている。
我、天啓を得たり。
どっかで目にしました。ネットかなぁ、テレビかなぁ。どっかの高校野球の監督が言っていました。
アマチュアスポーツの目的のひとつはこれなんだと思います。
チャンスと聞くと、ものにするものだとばかり思いこんでいますが、その反対もある。
むしろ、多くは失敗ばかりだと思います。
人は失敗する。
失敗して、そこから学べ!という意味だと解釈しています。
だから、失敗していい。
まわりに迷惑をかけていい。
失敗することこそ、スポーツをやる意味なんだ、そう言っています。
これは、トンネルをしたキヒトにも言えることです。
失敗をしてしまった。
落胆。回りからのため息でまた落胆。
自分も周りもがっかりしてしまいます。
しかし、ここからがスタートです。
大事なのは、その後。その後どうするか?
根本的には、考え方を変えていくしかありません。
普通ならば、落ち込んだり、ふてくされたり、逆切れしたり、マイナスの感情がすぐに出てしまうところ。
心に戸は立てられないので、それは、仕方がないことかもしれません。
一瞬は、マイナスの感情に流されてもいい。
でも、スポーツをやっている限りは、そのままでいることは、負けを意味します。
自分に勝ってない。
自分を克服していません。
このマイナスの感情をどうすか?
なかったことにはできないのなら、仲良く付き合っていくしかないんです。
ごまかして、いくらか軽減することもいいでしょう。
1番いいのは、そのマイナスの感情さえも、プラスのエネルギーに変えてしまうこと。
ミスをしたことを認めて、チームメイトに謝った上で、次への対策を錬る。
この切り替えが、本気で、できるかどうか?
これが、メンタルの強さだと、私は思います。
1回負けを認める。失敗を認める。
自分の駄目さを認める。
自分のバカさを認める。
否を認める。
そうすることで、迷惑をかけた、回りのみんなに心から本気で、謝れると思います。
心から、ごめんと言えるでしょう。
その謝罪を受け止めないチームメイトなどいませんよ。
そんな奴は、チームメイトではない。
そこにお互いの信頼が生まれます。
そして、ここがスタート地点。
挽回のチャンスです。
失敗は挽回のチャンス。
この失敗さえも、次への糧としましょう。
この失敗があったから、次の大きな成功があった。
次の成功のための基礎となる。
基礎としていくんです。
それこそが、進歩であり、進化です。
かく言う私たち大人もたくさん失敗して、エラーをして、まわりに迷惑をさんざんかけてきたと思います。
失敗しない人なんて、大門先生くらいでしょう。
関柴大仏杯、この大会も下郷ジュニアさんを前に1:9で敗れました。
最後に、アユキがしぶとく選んだファーボールと、アオトの長打で一矢を報いました。
攻撃は、この1点のみ。
試合後、指導者ミーティングで、確認したことは、最初のワンプレーの準備のなさ。
他にもまだまだありますが、最初のボタンの掛け違いが致命傷になるということを確認しました。
あのプレーが、痛かった。
あれで、みんなが波に乗るどころか、奈落に突き落とされた。
我々指導者ミーティングを、影でこっそり、見ていた奴がいました。
そう、キヒトです。
彼は彼なり責任を感じていたのでしょう。
自分がどういわれているか、気になるということは、成長している証拠です。
彼は今回を教訓として、次につなげなくてはいけない。
我々はそれを、あたたかく、時に強く、
そしてまたあたたかく、時に強く、
あたたかく、見守るだけです。
そして、チームには競争が生まれています。
今回からサードにハルトが入りました。
彼の取り組む姿勢と明るさを買っての起用でした。
ポジションは、楽して手に入るものではない。
自分の居場所を自分でこじ開けていく。
これもスポ少のいいところです。
自分に何ができて、何ができないかを見つめる。
そして、今チームには何が求められているか?
これを考えて動いている子は、何人いるでしょうね。
しかし、少しずつ、わかってきています。
ソフトボールというチームスポーツが、いい媒体となっています。
チームメイトは仲間であり、ライバル。
そして、敵と戦い、勝つためには、協力しなくてはならない。
全員が少しずつ、力を出し合って強大な敵を倒したとき、もういっこ上の楽しさがわかることでしょう。
そして、それは不可能なことではない。
ここをスポ少をやっている期間のどっかで味合わせてやりたいといつも思ってます。
ジァイアントキリングを地でいく。
現実は小説よりも奇なり。
何回か味わっていますが、いいもんですよ。
自分がプレーヤーでないことが、悔しいですが、それもまた一興。
さて、今年のカナト世代で味わうことができるかどうか?
さて、次はカナト世代は一休みで、新人戦です!
コロナ禍で大会が中止されていく中、万全の対策をとりながら実施していただけることに感謝です。
中神谷、TKヤンキース、桜など県大会常連メンバーがずらり。数年前に全国大会に行っている関柴さんの人脈をいかした招待チームの面々。
そんなチームと肩を並べて試合ができるだけで、ありがたいです。
そういえば、ハルヤがエースだったとき、県大会準優勝の川俣ジュニアさんに最終回まで勝っていたということもありました。肉薄しましたが、抽選で負けたことを記憶しています。
大仏杯は名勝負が多い。
それは、この秋にきてそれぞれのチームの底上げか成功してきていることを意味します。
それが激突する。
名勝負を生み、選手はもちろん、保護者の心にも大きく残る財産になってくれます。
ほんと、いい大会です。
さて、高田イーグルスは下郷ジュニアさんとあたります。ん?ここ最近、この大仏杯では定番の組み合わせのような気がします。
ユウキたちとの激闘。
昨年のレンたちとの激闘。
そして今年と、あたるときはあたるものです。
そして、毎年強い。
今年は白獅子県大会ベスト4の実力者です。
胸を借りるつもりでいきます。
さて、高田イーグルスはどう戦うか?
事前情報では、アウトコースにピシピシ決めてくるエース。
体格に恵まれたリードオフマン、堅い守備。
総合力の高さはイーグルスの比ではありません。
イーグルスが勝てる要素は、どこか?
やはりここは、ミソラとトウマのバッテリーにかかる負担が大きいと言わざるを得ません。
60分という短期戦。ミソラがなんとか押さえて、我慢して我慢して、ロースコアの展開にもちこみ、少ないワンチャンスを活かす。
2:1くらいでなければ、勝利はもぎとれません。
そして、特殊なグランド状態もありました。
コロナでスポーツイベントが激減し、グランド整備もあまりいきとどいていないと言うことが、監督会議でアナウスされました。
なるほど、ここ1週間くらいの間に苅ったであろうと草がいたるところにあります。
関柴スポ少の保護者のみなさんの熱い気持ちが伝わってきます。
ここにも感謝!
なので、外野はボコボコで、ゴロがどうはねるか予測がつきません。
そこで、試合前のミーティングで、外野にはシングルハンドはやめて、膝をついて体を壁にして、捕れなくても体のどこかにあてて止めるように指示を出しました。
ノックの時もノーアウトのシングルヒットの捕球として、膝をついて壁にする練習はしてきています。そこをあらためて確認させました……
この指示がちゃんと選手たちに入っていてくれればと言う展開になることは、この時点で予測していませんでした……
さて、高田イーグルスは後攻。
白獅子会津予選の猪苗代戦のように、初回を押さえて守りからリズムを掴むことを意図して、選手たちはフィールドに散っていきました。
下郷ジュニアの1番バッター、大きい……
キヒトより大きいでしょう。引き締まった上半身、太い大腿部、いかにも野球向きなケツ。
伝聞にそぐわない偉丈夫。スウイングを見ても、いい選手だと思わせてくれるには充分です。
断言します。将来的にも彼はすごい選手に育つことでしょう。
一騎当千の彼に立ち向かうのは、こちらの一騎当千のミソラ。
しかし、ミソラであってしても押さえるのは難しいでしょう。
打たれればかなりの確率で長打になります。
シングルヒットなら御の字、そのぐらいの方針でいい。
一投最初からの強敵。
しかし、今日のミソラの調子はいい。
致命傷にならないコース、高さでカウントを稼いでいきます。
しかし、このバッターから空振りをとることは、かなり難しい。
打たせてとるにも、打球はとんでもなく速くなる。
ミソラとトウマ、仕留めるコースをアウトコースに絞って、渾身の一球を投げ込みます。
無理に引っ張らない。
強い打球ですが、討ちとってもいます。
しかし、正面でなければまずさばけない速さと強さ。
本大会からセカンドに入ったアオトの横を通り過ぎていきます。
ライト、キヒトも反応しています。
正面に強く、低い打球が襲います。
このぐらいの強さであれば、安パイだなと判断し、セカンドベースに誰が入っているかを確認しようとしたその時、キヒトのまたの間をボールはすり抜けていきました。かすりもしないで。
相撲の蹲踞(そんきょ)のような姿勢。
腰を落とすタイミングが遅れ、グローブが出るのが遅れました。
グローブも上からでるので、ボールが目線から切れる、あの捕り方です。
トンネル。キヒトだけに、キヒトンネル、なんつって……
笑えないギャグを思い浮かべつつも、握る拳はプルプル震えています。
やりやがったなぁーとは、心の声。
しかも、最初の最初に……と心の声。
やっちまったぁと天を仰ぐキヒトを見て、心のちゃぶ台を引っくり返して、気持ちを切り替えます。すでに彼は制裁を受けている。
自分が何をしたかを理解している。
だとすれば、これ以上の試合中の制裁は無用です。
覆水盆に帰らず。
終わってしまったことは、どうやっても取り返せません。
気持ちを落ちこませたまま、キヒトを守備につかせることの方が、チームにとってはマイナスに働きます。
キヒト、忘れろ!と声をかけますが、一方でマウンドのミソラのマグマがそこまできています。ゴォゴォゴゴゴぉとジョジョのディオのような怒りが視界に入ります。
怒りというか、失望のため息。
さぁ、行くぞ!というところで、味方のミスで、いきなりすっこける。
強敵を前に、もてる力の全てをぶつけているのに、味方の援護どころか、ミスで足を引っ張られる。
情熱のモチベーションで赤くたぎった刀身に冷却水をぶっかけるとどうなるか?
その身は急激な温度変化に耐えられず、ヒビがはいり、もろく崩れることでしょう。
耐えられない。
それが今このマウンドでおきています。
そして、温度が高ければ高いほど、ダメージは大きくなる。
負けず嫌い、勝ちたい、己の力で勝ちたい。
三振を取り、ねじ伏せたい。
ゴロの山を築いて、逃げ切りたい。
敵と最前線で渡り合うピッチャーという生き物の宿命ですね。
しかし、人はミスをするもの。
だから、自分の範疇以外のところで、おきたことが自分にとってマイナスに働くことになれば、ガッカリするのは当たり前です。
でも、ここで、ここで、よく考えてください。
そこに、打たせたのは誰か?
ミスをした彼のところに打たれたのは誰か?
結局、最後は自分に跳ね返ってくる。
因果応報、人のせいにしても何も始まらないという原点に帰ってきます。
私も中学の頃はピッチャーでした。
速い球は投げれませんでしたが、コントロールには自信がありました。
なので、最終的にどのコースを打たせてとるかのイメージを常に持っていました。
そして、イメージどおりに打たせる。
しかし、肝心のバックがエラーをする時があります。どうやってもある。
プロだってエラーするんです。まして中学生なら……。
問題はその時どうするか?
一瞬、このやろー何やってんだよと思います。
これは仕方がない。
人の心に戸は立てられません。
思ってしまうことは誰にも止められない。
これは誰しもが同じ。
問題はその後です。
その後の行動、言動にその人の真価が問われます。
怒りを態度と言動に出してしまう者。
感情をシャットダウンし、心を閉ざしてしまう者。
この世の終わりの如く落ち込み、回りを巻き込んで、チームもどん底に引き連れていく者。
反対に、エラーした選手に声をかけ、次がんばろうぜと前を向き、上を向き、次に備える者。
エラーしたときこそ、カラ元気であっても、声を出して、チームを鼓舞しようとする者。
いったん立ち止まって、深呼吸をして、冷静に分析して、対処法を寝る者。
対応はさまざまです。
そして、正解はない。
怒ることで、チームを鼓舞する場合もあるでしょう。
温かい声が、かえってプレッシャーになる場合もある。
どちらが正しいかなんて、終わってみなければわからないんです。
しかし、今の立場の私は、その場だけではなく、将来的なことも考えます。
この子には、どんなピッチャーになって欲しいか?
どんな人間になって欲しいか?
こういう場面は、この先何回もやってきます。スポ少でも、人生でも。
こういうピンチの場面でこそ、「いい人」であってほしい。
まったくの「いい人」でなくていい、「そこそこのいい人」であってほしいと思います。
100%完璧な「いい人」は、やってても疲れるし、見てても疲れます。なので、無責任にいい人になれとは言えません。
しかし、そこそこいい人を複数人つくること。20%くらいを5人で持ち寄れば100%になります。
チームで分担すればいいんです。
全部の負担を背負うことはない。みんなに背負ってもらえばいいんです。
そして、その中心にピッチャーはいます。存在します。
最前線のピッチャーがハブ機能をもたなくてはいけません。
みんなをつなげる役目をもたなくてはならない。
だってもうピンチなんですから、自分一人ではどうにもならない状況にまできています。
自分一人でなんか、この状況は打開できない。打開しようと思っても、空回りするだけです。
それは、今まで生きてきたからこそ分かる経験値。
小学生のころに分かれといわれても、わからないでしょうね。
だから、ミソラはいい経験をしています。
もうひとりの試合をぶん投げていったピッチャーも・・・
「失敗するチャンス」をもらっている。
我、天啓を得たり。
どっかで目にしました。ネットかなぁ、テレビかなぁ。どっかの高校野球の監督が言っていました。
アマチュアスポーツの目的のひとつはこれなんだと思います。
チャンスと聞くと、ものにするものだとばかり思いこんでいますが、その反対もある。
むしろ、多くは失敗ばかりだと思います。
人は失敗する。
失敗して、そこから学べ!という意味だと解釈しています。
だから、失敗していい。
まわりに迷惑をかけていい。
失敗することこそ、スポーツをやる意味なんだ、そう言っています。
これは、トンネルをしたキヒトにも言えることです。
失敗をしてしまった。
落胆。回りからのため息でまた落胆。
自分も周りもがっかりしてしまいます。
しかし、ここからがスタートです。
大事なのは、その後。その後どうするか?
根本的には、考え方を変えていくしかありません。
普通ならば、落ち込んだり、ふてくされたり、逆切れしたり、マイナスの感情がすぐに出てしまうところ。
心に戸は立てられないので、それは、仕方がないことかもしれません。
一瞬は、マイナスの感情に流されてもいい。
でも、スポーツをやっている限りは、そのままでいることは、負けを意味します。
自分に勝ってない。
自分を克服していません。
このマイナスの感情をどうすか?
なかったことにはできないのなら、仲良く付き合っていくしかないんです。
ごまかして、いくらか軽減することもいいでしょう。
1番いいのは、そのマイナスの感情さえも、プラスのエネルギーに変えてしまうこと。
ミスをしたことを認めて、チームメイトに謝った上で、次への対策を錬る。
この切り替えが、本気で、できるかどうか?
これが、メンタルの強さだと、私は思います。
1回負けを認める。失敗を認める。
自分の駄目さを認める。
自分のバカさを認める。
否を認める。
そうすることで、迷惑をかけた、回りのみんなに心から本気で、謝れると思います。
心から、ごめんと言えるでしょう。
その謝罪を受け止めないチームメイトなどいませんよ。
そんな奴は、チームメイトではない。
そこにお互いの信頼が生まれます。
そして、ここがスタート地点。
挽回のチャンスです。
失敗は挽回のチャンス。
この失敗さえも、次への糧としましょう。
この失敗があったから、次の大きな成功があった。
次の成功のための基礎となる。
基礎としていくんです。
それこそが、進歩であり、進化です。
かく言う私たち大人もたくさん失敗して、エラーをして、まわりに迷惑をさんざんかけてきたと思います。
失敗しない人なんて、大門先生くらいでしょう。
関柴大仏杯、この大会も下郷ジュニアさんを前に1:9で敗れました。
最後に、アユキがしぶとく選んだファーボールと、アオトの長打で一矢を報いました。
攻撃は、この1点のみ。
試合後、指導者ミーティングで、確認したことは、最初のワンプレーの準備のなさ。
他にもまだまだありますが、最初のボタンの掛け違いが致命傷になるということを確認しました。
あのプレーが、痛かった。
あれで、みんなが波に乗るどころか、奈落に突き落とされた。
我々指導者ミーティングを、影でこっそり、見ていた奴がいました。
そう、キヒトです。
彼は彼なり責任を感じていたのでしょう。
自分がどういわれているか、気になるということは、成長している証拠です。
彼は今回を教訓として、次につなげなくてはいけない。
我々はそれを、あたたかく、時に強く、
そしてまたあたたかく、時に強く、
あたたかく、見守るだけです。
そして、チームには競争が生まれています。
今回からサードにハルトが入りました。
彼の取り組む姿勢と明るさを買っての起用でした。
ポジションは、楽して手に入るものではない。
自分の居場所を自分でこじ開けていく。
これもスポ少のいいところです。
自分に何ができて、何ができないかを見つめる。
そして、今チームには何が求められているか?
これを考えて動いている子は、何人いるでしょうね。
しかし、少しずつ、わかってきています。
ソフトボールというチームスポーツが、いい媒体となっています。
チームメイトは仲間であり、ライバル。
そして、敵と戦い、勝つためには、協力しなくてはならない。
全員が少しずつ、力を出し合って強大な敵を倒したとき、もういっこ上の楽しさがわかることでしょう。
そして、それは不可能なことではない。
ここをスポ少をやっている期間のどっかで味合わせてやりたいといつも思ってます。
ジァイアントキリングを地でいく。
現実は小説よりも奇なり。
何回か味わっていますが、いいもんですよ。
自分がプレーヤーでないことが、悔しいですが、それもまた一興。
さて、今年のカナト世代で味わうことができるかどうか?
さて、次はカナト世代は一休みで、新人戦です!
PR
カレンダー
フリーエリア
最新記事
プロフィール
HN:
高田イーグルスコーチ
性別:
非公開
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析