時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。
ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
ユウシントウマミソラの三連続ホームランをで同点に追いついた高田イーグルス。
俄然、流れはこっちのイケイケドンドン!
一気に、逆転へと舵を切ろうとしますが、坂下ヒーローズもそう簡単には崩れてくれません。
私の耳には、坂下ヒーローズのセカンドの声が今でも響いています。
世界が終わろうとする中、仲間との結んだ手を離さずに、崩れかかったチームと仲間の心を鼓舞し続ける姿は勇者以外の何者でもありません。
彼の声は、響く。心に響きます。
最近の白獅子県大会、県の王者となった中山さんとの一戦、一方的に坂下ヒーローズがやられる展開になっても、彼の声は枯れることはありませんでした。
暗闇の中の一筋の光。
崩れかけてはいますが、彼のような漢がいることで、
「まだ、俺たちは終わっていない!」
闘志の火が消えることはありませんでした。これが次に繋がります。
反対に浮かれて、雑で大雑把な攻撃になってしまった高田イーグルス。
のちにあるコーチが言ってました。
「追いついたことで満足してはいけなかった。あの場面は一気に逆転して、相手のやる気を打ち砕いておくべきだった。」
そのとおりでした。
こちらが、追いついた「ここ」が、勝負の分岐点だったのかもしれません。
イケイケドンドンの高田イーグルス。
三者連続ホームランということは、次の四者連続ホームランを狙うのが、人間のサガというモノです。
バッターは、キャプテン、カナト。
名を上げるには絶好の機会です。
勢いという、見えないチカラも彼の背中を押してくれるでしょう。
坂下ヒーローズのエースも3本、打たれはしましたが、目は死んでいません。
セカンドの勇者をはじめ、バックもベンチも保護者もみんなで、瓦解を食い止めています。
古代ギリシア、映画「300(スリーハンドレッド)」、スパルタの防御陣形「ファランクス陣形」を思わせます。
もうこれ以上は、打たせない。
チカラのこもった快速球の前に、振り遅れたカナトはファーストゴロ。
このワンアウト、大きかったことでしょう。
永遠に続くかと思われた攻撃を、いったん切った。
やれる、やれるぞという闘志にまた火がついたことでしょう。
並のピッチャーならば、打ちひしがれて、コントロールが定まらず、ファーボールを連発するところです。
しかし、エース、トウヤ君、並のピッチャーではないですね。
そして、バックもエースをもり立てています。
ボロボロの精神状態をきちんと立て直してくる。いいチームです。
「ココロノモチカタ」をちゃんとわかっています。
このあたり、私を含めた高田イーグルスのピッチャー陣、守備陣、ベンチにも爪の垢を煎じて飲ませたいところです。
続くソウスケもピッチャーゴロで二死。
さっきの勢いはどこに行ったんだ?というくらいに、アドバンテージを活かせていません。
終わった今検証してみます。
このように味方の攻撃が思いのほか上手くいったとき、その時どうするか?
私の今までの経験からは、「じっくりいこうぜ!」ではなく、「がんがんいこうぜ!」です。
初球攻撃上等!
座して待つのではなく、こちらから仕掛け続けることで、主導権を渡さないという意図が有ります。
ただし、この場合、防御を無視するので、上手くいかなかったときのダメージは倍になります。
たらればの話ですが、ここは打たれて精神状態が不安定なエースの様子を見るべく、カナト、ソウスケには待球作戦をするべきだったのかもしれません。
冷静な分析を怠ったか・・・
しかし、一気呵成に打たせて、さらに勢いに乗ることを選びました。それが裏目にでた。
これも結果論。
どちらが良かったかなんて誰にもわかりません。
選んだ道が正しかった、そうなるように準備をしていくしかないんです。
そして、失敗の責任は指揮官が取るのが当たり前。
ここは、次に活かして見せます。
さぁ、二死ランナーなし。
ここで、アウトになれば相手をほっとさせてしまいます。
一息つかせて、さらに勢いを渡してしまう展開。
バッターはキヒト。
彼に期待するのは長打力です。
ただ、最近は当てに走っている。
豪快なスウイングができる筋肉と上背を持っているのに、なんとももったいないところです。
振り遅れましたが、飛んだ場所が良かった。
セカンドの内野安打で出塁します。
3人で終わらなかった。これは良かった。
下位にいきますが、可能性を感じさせる打順に回ってきました。
次はさっき、チーム初ヒットのチヒロ。
2死なので小細工はできません。
ここは、さっきのチヒロのバッティングを信じて彼に任せるほかありません。
しかし、相手も然(さ)るもの、ここで打たせてはいけない、ということをわかっています。
苦しいながらもギアを上げて全力投球。
球威、コース申し分ありません。
チヒロは見送ることしかできませんでした。
坂下ヒーローズはm当たり前のことを、当たり前にできる、気力と体力、ギリギリのところで踏みこたえた。
反対に、高田イーグルスは、すべてを賭けた攻撃を受け止められた。
あと数ミリのところで、城門を突破できなかった。
勝利の女神は、ここをどう見たことでしょう?
それでも、高田イーグルスは追いつきました。
スコアのうえでは、3:3の同点です。
回は中盤です。先は長いが、主導権を離してはいけません。
点を取って、追いついた後、この裏の攻撃を押さえることが最重要課題となります。
そこはミソラもトウマもわかっている様子。
チームに勢いがあって、追い風が吹いているときのミソラは強い。この風を逃してはいけません。
先頭バッターの9番を空振り三振に仕留めます。
よし、乗ってくる兆しが見えました!
よし次。
1番のスラッパー登場。
左対左。ミソラの球威であれば、レフト方向。
何も言わずともチヒロは動いていました。
しかし、強振せずに、しぶとく当ててくる。
予想どおりレフトにクリーンヒット。
次は2番、バントが予想されますが、強打で来ました。
センター前に抜けていきます。
風が変わり始めました。
もはや、さっきの勢いはありません。
五分どころか流れはまたもや、向こうに行きそうな感じです。
意地と意地のぶつかり合い。
そこを、何とか押しとどめようと高田イーグルスも必死です。
声の中心は、ショートアオト。
彼もまた勇者のひとりです。
高田イーグルス、坂下ヒーローズ、どちらも譲れない場面。
ここを制した方が、ぐっと勝利に近づくことでしょう。
3番をセカンドゴロに討ちとって二死。こういう時のアユキ!
彼のところに行くと安心します。
あとひとつ、あとひとつで、押さえることができます。
打たせるものか!VS絶対に打つ!意地と意地のぶつかり合い。
このクソ暑い中、飲み込むつばさえもない、渇いた状況。
ピッチャーがモーションに入ると声をだせなくなるという沈黙が蝉の声を際立たせます。
全てが次の一球で決まるという場面、刹那、ボールはショート、アオトを襲います。
強いが、討ちとっているか!
ポジショニングは良し!しかし、強いバウンドがイレギュラー気味でした。
そして、正面に入れていません。
前に出ない。出ないというか出れない。
それでも、なんとか止めようとする姿勢は見えました。
しかし、むなしくも、アオトの闘志を打ち砕きなが、ボールは抜けていきます……が、あっ!?その延長線上にいるはずのセンターが見えません。
ショートの位置は左中間に繋がっています。
むなしく転がっていくボール。カバーを怠ったセンターとレフトに待っているのは、チームを敗北に導く罰ゲームのごとき追走。
後ろから回り込むこともできない、無為無策の、なんとも間抜けな、曲線を描きながらの追走となります。
カバーを怠り、ショートを抜けた瞬間に、「あっ、やべ!」とビクッと動くセンターの慌てる姿が見えました。
抜けたか・・・意味するところはホームラン、逆転されます。
昔であれば、怒りに我を忘れて、がっとばしていました。
しかし、ぐっと押さえる。押さえます。
歯を食いしばって、拳をぐっと握りしめます。
ふぅ~っ。
そして、天を仰いでひと息ロングブレス。
なぜだ?と自問します。
ここに次に強くなるためのヒントがあります。
しかし、今はまだ試合中。
付箋を貼る程度に、意識付けをします。
この暑さ、二試合目、中盤、試合が動く分岐点、緊張、張り詰めた糸が緩んだか?
ショート、正面に入りきれなかった。
センターもさっきホームランを打って走ったことで、疲れもピークに達していることでしょう。
情状酌量の余地……なんてねぇ、そんなのはありません。
怠ったという事実はいつか、彼に突きつけてやらねばなりません。
しかし、試合中の反省なんぞ、クソの役にもたちません。それはコーチも言っています。名言ですね。
スリーランホームランとなり、ふたたび、3点ビハインドとなります。
二回目のアッパーカットをもろに食らった。
二度目のダウンです。高田イーグルスの誰しもが、がっくり下をみる。
ショートアオトは泣きじゃくり、エースミソラの心はボッキリ折れます。
しかし、この高田イーグルスには、坂下ヒーローズのセカンドの勇者のような選手は残念ながらいてくれません。
みんなが下を向いてしまう。繋がっていたチームワークが寸断されてしまった。
こうなると脆い。
甲子園の強豪チームであっても、均衡が崩れると一気に瓦解してしまいます。
どこかで、誰かが食い止めなければなりません。
ここですが、いくら大人が言ってもだめなんです。
彼ら自身の内側から、「まだ、終わってない!まだ、諦めない!」、そういう気持ちがわいてこないと、それはチーム全体に伝染していきません。
そして、そうならないとこの状況を打破して、勝つことはできない。
笑顔で終われません。
敗北のテンカウントが鳴っています。
動揺したミソラは、頭にデットボールを当ててしまい、さらに動揺してしまいます。
浮き足立っている。平静でいられない。
それはそうでしょう。
攻め込まれているんですから、そんなのは当たり前です。
ここで、思い出して欲しいのは、普段の練習です。
私はこれだけやってきた、だから大丈夫と思えるかどうか?
そして、それは一人ではやってこれなかった。チームのみんなの顔を見ることで、自分たちを奮い立たせねばなりません。
一回といわず、何回も弱気になってもいいんです。
しかし、ゲームセットのコールがかかるまで、何回でも立ち直らなければいけません。
ここをぶん投げるようでは、進歩はありません。
そこにいる限りは、終わるまで全力を尽くすこと。
それが、次に繋がります。
そして、当たり前のことを当たり前にやること。
これでしか、自分たちのペースを取り戻すことはできません。
どうしよ、どうしよ、やばいやばいという動揺の嵐を乗り越えるためには、ゆっくり呼吸して、落ち着くこと。
ミソラは、キャッチャー、トウマのミットをめがけて投げ込むこと。
ベストを尽くすしかありません。
ベストを尽くして、打たれてもその時はその時、それはそれでいいじゃないですか!
だって、これ以上はないというほどのベストを尽くしたんですから。
だめなのは、準備を怠った無為無策。
これは、なんの進歩にもつながりません。そして、やる意味がない。
そんなプレーが面白いか?
そんなプレーをしていた、自分が許せるか?
そんなプレーをして、チームに迷惑をかけていいのかということです。
私が許せないのはここです。ここをごまかしている奴は、本当の面白さにたどり着けません。
本当の歓喜の涙を流すことはできません。
そのプレー、ほんとうに全力の準備をしたうえでのプレーだったのかと聞きます。
聞かなくてもわかります。
そこは、見逃さないようにしているつもりです。
結果はどうあれ、全力チャレンジ。これができる人になって欲しいと願うばかりです。
デッドボールを当てて、さらに傷が深くなりそうですが、バッテリーも踏ん張ります。
ファーストゴロに討ち取ります。
ここで珍しく、感情を表にだして、「オラぁ!」といってベースを思い切り踏みます。
いつもびくびくして、自信のなさそうにしてたキャプテンが気を吐くまでになりました。
状況がわかっているからこその気合の入れ方。
負けてはいますが、ゲームにのめりこむ事を覚えてきたようでした。
彼なりに、なんとかしようとしている。
これは進歩です。
さて、それはおいといて、まだ終わっていない。
ここから逆転をめざします。
「さっき3点を跳ね返した。1回できたんだから、もう1回できないはずなんてない!」
と檄を飛ばしますが、暑さと疲れ、そこにきて精神的ダメージが重くのしかかります。
絶望が高田イーグルスを包んでいます。
大半が、もうだめだ、負ける、勝てないと諦めている。
こういう状況は、いままで何度も何度も味わっています。
ここなんです。
その人の、そのチームの本性がでるのは。
そして、それは変えることができます。
何回もいいますが、人は弱いモノです。
なので、強い者や自分に不利な状況を目の前にして、絶望したり、諦めたりするのは、当たり前のことだと思います。
問題は、その後。
その後、どうするか?
ここを、スポ少という小さなコミュニティで練習していると私は思っています。
今の世の中、鬱や精神的不安定を否定しない世の中になってきています。
諦めたり、逃げたりすることを否定せず、受け止めている。
自我が崩壊するよりは、逃げてもいいとしている。むしろ、逃げろと言っています
命の危険がある場合は、すぐにでも全てをぶん投げていいと思ってます。
しかし、そう簡単には引けない場合もある。
世の中の多くの人がこのギリギリのところで頑張っているんじゃないでしょうか?
あれもこれもに追われて、ままならない。
たけども、なんとか打破しなければいけない。
なんとかゴールまでたどり着かなくてはならない。
どうあっても、この困難な状況に立ち向かわなくてはいけない場面もあります。
それが、今の崖っぷちの高田イーグルスの状況と重なります。
絶体絶命。
ここからでしょう。
ここから、どうするか?どうしていくか?
それをみんなで考え、実行していくこと。
もう一回、ひとりひとりの心を整え、準備をして、チャレンジしていくこと。
例え負けたとしても、それは次に繋がります。
投げやりになってもいいことはありません。
時間の無駄です。
物事に真摯に取り組む姿勢。
これもスポ少から教わることです。
それが、今の高田イーグルスに試されています。
弱気になった心をもう一回奮い立たせる。
そのためには、いつもやってきたことを、もう一回確認して、取り組んでいくことです。
一発狙うとか、大きいことをやりがちですが、崩れたものは一気には、もとに戻りません。
再度地道に少しずつ積み上げていくしかないんです。
原点に帰る、基本に帰る。
それが、一番の近道。
これにたどり着くには、それなりの経験と時間がかかりました。
分かる人には、分かると思います。
基本に返る前に、もう一回モチベーションを戻せるか?という大前提があります。
チームが諦めてしまっては、キセキはおこりません。
心に思わなければ、何もおきない。
目標は、頭で考えて、心で思って、声に出して、言葉に書いてこそ、実現に近づきます。
やれる!と思わなければ、キセキはおこりません。
この逆境を跳ね返すメンタル。
それが今の高田イーグルスにできるか?
結果から言えば、この後の攻撃は全て三者凡退に討ちとられ、守備はバッテリーが崩壊、そこをバントで揺さぶられて、さらに瓦解。
声は虫の声、マウンドで孤独に泣きじゃくるエースを鼓舞するどころか、チームは見殺しにします。
精神状態がメタメタ、ボール連発で、試合がつくれなくなった。
たまらず、ユウシンを投入しますが、この流れを断ち切ることはできませんでした。
最悪の流れ、さらに一試合目の疲れもあって、彼も制球困難。
ここにきて、一方的な展開になりました。
3点を追加され、ここでタイムアップ。
3:9の竜頭蛇尾で終了となりました。
高田イーグルスの県大会への挑戦は、ここで終わりました。
後味の悪い、敗戦。
力を出し切れなかった、出させなかった坂下ヒーローズさんが一枚上だったということです。
負けた。
久々に負けたと思わせてくれる試合でした。
そして、悔しい。
46にもなると、たいていのことは「まぁ、仕方ないな!」と許せますが、今回は悔しい。
そして、なぜだ?と自問が止まりません。
もう一回立て直さなければならない。
そのためにはどうするか?
あの時どうすればよかったか?
失意の中で、刀を研ぎ始める私がいました。
俄然、流れはこっちのイケイケドンドン!
一気に、逆転へと舵を切ろうとしますが、坂下ヒーローズもそう簡単には崩れてくれません。
私の耳には、坂下ヒーローズのセカンドの声が今でも響いています。
世界が終わろうとする中、仲間との結んだ手を離さずに、崩れかかったチームと仲間の心を鼓舞し続ける姿は勇者以外の何者でもありません。
彼の声は、響く。心に響きます。
最近の白獅子県大会、県の王者となった中山さんとの一戦、一方的に坂下ヒーローズがやられる展開になっても、彼の声は枯れることはありませんでした。
暗闇の中の一筋の光。
崩れかけてはいますが、彼のような漢がいることで、
「まだ、俺たちは終わっていない!」
闘志の火が消えることはありませんでした。これが次に繋がります。
反対に浮かれて、雑で大雑把な攻撃になってしまった高田イーグルス。
のちにあるコーチが言ってました。
「追いついたことで満足してはいけなかった。あの場面は一気に逆転して、相手のやる気を打ち砕いておくべきだった。」
そのとおりでした。
こちらが、追いついた「ここ」が、勝負の分岐点だったのかもしれません。
イケイケドンドンの高田イーグルス。
三者連続ホームランということは、次の四者連続ホームランを狙うのが、人間のサガというモノです。
バッターは、キャプテン、カナト。
名を上げるには絶好の機会です。
勢いという、見えないチカラも彼の背中を押してくれるでしょう。
坂下ヒーローズのエースも3本、打たれはしましたが、目は死んでいません。
セカンドの勇者をはじめ、バックもベンチも保護者もみんなで、瓦解を食い止めています。
古代ギリシア、映画「300(スリーハンドレッド)」、スパルタの防御陣形「ファランクス陣形」を思わせます。
もうこれ以上は、打たせない。
チカラのこもった快速球の前に、振り遅れたカナトはファーストゴロ。
このワンアウト、大きかったことでしょう。
永遠に続くかと思われた攻撃を、いったん切った。
やれる、やれるぞという闘志にまた火がついたことでしょう。
並のピッチャーならば、打ちひしがれて、コントロールが定まらず、ファーボールを連発するところです。
しかし、エース、トウヤ君、並のピッチャーではないですね。
そして、バックもエースをもり立てています。
ボロボロの精神状態をきちんと立て直してくる。いいチームです。
「ココロノモチカタ」をちゃんとわかっています。
このあたり、私を含めた高田イーグルスのピッチャー陣、守備陣、ベンチにも爪の垢を煎じて飲ませたいところです。
続くソウスケもピッチャーゴロで二死。
さっきの勢いはどこに行ったんだ?というくらいに、アドバンテージを活かせていません。
終わった今検証してみます。
このように味方の攻撃が思いのほか上手くいったとき、その時どうするか?
私の今までの経験からは、「じっくりいこうぜ!」ではなく、「がんがんいこうぜ!」です。
初球攻撃上等!
座して待つのではなく、こちらから仕掛け続けることで、主導権を渡さないという意図が有ります。
ただし、この場合、防御を無視するので、上手くいかなかったときのダメージは倍になります。
たらればの話ですが、ここは打たれて精神状態が不安定なエースの様子を見るべく、カナト、ソウスケには待球作戦をするべきだったのかもしれません。
冷静な分析を怠ったか・・・
しかし、一気呵成に打たせて、さらに勢いに乗ることを選びました。それが裏目にでた。
これも結果論。
どちらが良かったかなんて誰にもわかりません。
選んだ道が正しかった、そうなるように準備をしていくしかないんです。
そして、失敗の責任は指揮官が取るのが当たり前。
ここは、次に活かして見せます。
さぁ、二死ランナーなし。
ここで、アウトになれば相手をほっとさせてしまいます。
一息つかせて、さらに勢いを渡してしまう展開。
バッターはキヒト。
彼に期待するのは長打力です。
ただ、最近は当てに走っている。
豪快なスウイングができる筋肉と上背を持っているのに、なんとももったいないところです。
振り遅れましたが、飛んだ場所が良かった。
セカンドの内野安打で出塁します。
3人で終わらなかった。これは良かった。
下位にいきますが、可能性を感じさせる打順に回ってきました。
次はさっき、チーム初ヒットのチヒロ。
2死なので小細工はできません。
ここは、さっきのチヒロのバッティングを信じて彼に任せるほかありません。
しかし、相手も然(さ)るもの、ここで打たせてはいけない、ということをわかっています。
苦しいながらもギアを上げて全力投球。
球威、コース申し分ありません。
チヒロは見送ることしかできませんでした。
坂下ヒーローズはm当たり前のことを、当たり前にできる、気力と体力、ギリギリのところで踏みこたえた。
反対に、高田イーグルスは、すべてを賭けた攻撃を受け止められた。
あと数ミリのところで、城門を突破できなかった。
勝利の女神は、ここをどう見たことでしょう?
それでも、高田イーグルスは追いつきました。
スコアのうえでは、3:3の同点です。
回は中盤です。先は長いが、主導権を離してはいけません。
点を取って、追いついた後、この裏の攻撃を押さえることが最重要課題となります。
そこはミソラもトウマもわかっている様子。
チームに勢いがあって、追い風が吹いているときのミソラは強い。この風を逃してはいけません。
先頭バッターの9番を空振り三振に仕留めます。
よし、乗ってくる兆しが見えました!
よし次。
1番のスラッパー登場。
左対左。ミソラの球威であれば、レフト方向。
何も言わずともチヒロは動いていました。
しかし、強振せずに、しぶとく当ててくる。
予想どおりレフトにクリーンヒット。
次は2番、バントが予想されますが、強打で来ました。
センター前に抜けていきます。
風が変わり始めました。
もはや、さっきの勢いはありません。
五分どころか流れはまたもや、向こうに行きそうな感じです。
意地と意地のぶつかり合い。
そこを、何とか押しとどめようと高田イーグルスも必死です。
声の中心は、ショートアオト。
彼もまた勇者のひとりです。
高田イーグルス、坂下ヒーローズ、どちらも譲れない場面。
ここを制した方が、ぐっと勝利に近づくことでしょう。
3番をセカンドゴロに討ちとって二死。こういう時のアユキ!
彼のところに行くと安心します。
あとひとつ、あとひとつで、押さえることができます。
打たせるものか!VS絶対に打つ!意地と意地のぶつかり合い。
このクソ暑い中、飲み込むつばさえもない、渇いた状況。
ピッチャーがモーションに入ると声をだせなくなるという沈黙が蝉の声を際立たせます。
全てが次の一球で決まるという場面、刹那、ボールはショート、アオトを襲います。
強いが、討ちとっているか!
ポジショニングは良し!しかし、強いバウンドがイレギュラー気味でした。
そして、正面に入れていません。
前に出ない。出ないというか出れない。
それでも、なんとか止めようとする姿勢は見えました。
しかし、むなしくも、アオトの闘志を打ち砕きなが、ボールは抜けていきます……が、あっ!?その延長線上にいるはずのセンターが見えません。
ショートの位置は左中間に繋がっています。
むなしく転がっていくボール。カバーを怠ったセンターとレフトに待っているのは、チームを敗北に導く罰ゲームのごとき追走。
後ろから回り込むこともできない、無為無策の、なんとも間抜けな、曲線を描きながらの追走となります。
カバーを怠り、ショートを抜けた瞬間に、「あっ、やべ!」とビクッと動くセンターの慌てる姿が見えました。
抜けたか・・・意味するところはホームラン、逆転されます。
昔であれば、怒りに我を忘れて、がっとばしていました。
しかし、ぐっと押さえる。押さえます。
歯を食いしばって、拳をぐっと握りしめます。
ふぅ~っ。
そして、天を仰いでひと息ロングブレス。
なぜだ?と自問します。
ここに次に強くなるためのヒントがあります。
しかし、今はまだ試合中。
付箋を貼る程度に、意識付けをします。
この暑さ、二試合目、中盤、試合が動く分岐点、緊張、張り詰めた糸が緩んだか?
ショート、正面に入りきれなかった。
センターもさっきホームランを打って走ったことで、疲れもピークに達していることでしょう。
情状酌量の余地……なんてねぇ、そんなのはありません。
怠ったという事実はいつか、彼に突きつけてやらねばなりません。
しかし、試合中の反省なんぞ、クソの役にもたちません。それはコーチも言っています。名言ですね。
スリーランホームランとなり、ふたたび、3点ビハインドとなります。
二回目のアッパーカットをもろに食らった。
二度目のダウンです。高田イーグルスの誰しもが、がっくり下をみる。
ショートアオトは泣きじゃくり、エースミソラの心はボッキリ折れます。
しかし、この高田イーグルスには、坂下ヒーローズのセカンドの勇者のような選手は残念ながらいてくれません。
みんなが下を向いてしまう。繋がっていたチームワークが寸断されてしまった。
こうなると脆い。
甲子園の強豪チームであっても、均衡が崩れると一気に瓦解してしまいます。
どこかで、誰かが食い止めなければなりません。
ここですが、いくら大人が言ってもだめなんです。
彼ら自身の内側から、「まだ、終わってない!まだ、諦めない!」、そういう気持ちがわいてこないと、それはチーム全体に伝染していきません。
そして、そうならないとこの状況を打破して、勝つことはできない。
笑顔で終われません。
敗北のテンカウントが鳴っています。
動揺したミソラは、頭にデットボールを当ててしまい、さらに動揺してしまいます。
浮き足立っている。平静でいられない。
それはそうでしょう。
攻め込まれているんですから、そんなのは当たり前です。
ここで、思い出して欲しいのは、普段の練習です。
私はこれだけやってきた、だから大丈夫と思えるかどうか?
そして、それは一人ではやってこれなかった。チームのみんなの顔を見ることで、自分たちを奮い立たせねばなりません。
一回といわず、何回も弱気になってもいいんです。
しかし、ゲームセットのコールがかかるまで、何回でも立ち直らなければいけません。
ここをぶん投げるようでは、進歩はありません。
そこにいる限りは、終わるまで全力を尽くすこと。
それが、次に繋がります。
そして、当たり前のことを当たり前にやること。
これでしか、自分たちのペースを取り戻すことはできません。
どうしよ、どうしよ、やばいやばいという動揺の嵐を乗り越えるためには、ゆっくり呼吸して、落ち着くこと。
ミソラは、キャッチャー、トウマのミットをめがけて投げ込むこと。
ベストを尽くすしかありません。
ベストを尽くして、打たれてもその時はその時、それはそれでいいじゃないですか!
だって、これ以上はないというほどのベストを尽くしたんですから。
だめなのは、準備を怠った無為無策。
これは、なんの進歩にもつながりません。そして、やる意味がない。
そんなプレーが面白いか?
そんなプレーをしていた、自分が許せるか?
そんなプレーをして、チームに迷惑をかけていいのかということです。
私が許せないのはここです。ここをごまかしている奴は、本当の面白さにたどり着けません。
本当の歓喜の涙を流すことはできません。
そのプレー、ほんとうに全力の準備をしたうえでのプレーだったのかと聞きます。
聞かなくてもわかります。
そこは、見逃さないようにしているつもりです。
結果はどうあれ、全力チャレンジ。これができる人になって欲しいと願うばかりです。
デッドボールを当てて、さらに傷が深くなりそうですが、バッテリーも踏ん張ります。
ファーストゴロに討ち取ります。
ここで珍しく、感情を表にだして、「オラぁ!」といってベースを思い切り踏みます。
いつもびくびくして、自信のなさそうにしてたキャプテンが気を吐くまでになりました。
状況がわかっているからこその気合の入れ方。
負けてはいますが、ゲームにのめりこむ事を覚えてきたようでした。
彼なりに、なんとかしようとしている。
これは進歩です。
さて、それはおいといて、まだ終わっていない。
ここから逆転をめざします。
「さっき3点を跳ね返した。1回できたんだから、もう1回できないはずなんてない!」
と檄を飛ばしますが、暑さと疲れ、そこにきて精神的ダメージが重くのしかかります。
絶望が高田イーグルスを包んでいます。
大半が、もうだめだ、負ける、勝てないと諦めている。
こういう状況は、いままで何度も何度も味わっています。
ここなんです。
その人の、そのチームの本性がでるのは。
そして、それは変えることができます。
何回もいいますが、人は弱いモノです。
なので、強い者や自分に不利な状況を目の前にして、絶望したり、諦めたりするのは、当たり前のことだと思います。
問題は、その後。
その後、どうするか?
ここを、スポ少という小さなコミュニティで練習していると私は思っています。
今の世の中、鬱や精神的不安定を否定しない世の中になってきています。
諦めたり、逃げたりすることを否定せず、受け止めている。
自我が崩壊するよりは、逃げてもいいとしている。むしろ、逃げろと言っています
命の危険がある場合は、すぐにでも全てをぶん投げていいと思ってます。
しかし、そう簡単には引けない場合もある。
世の中の多くの人がこのギリギリのところで頑張っているんじゃないでしょうか?
あれもこれもに追われて、ままならない。
たけども、なんとか打破しなければいけない。
なんとかゴールまでたどり着かなくてはならない。
どうあっても、この困難な状況に立ち向かわなくてはいけない場面もあります。
それが、今の崖っぷちの高田イーグルスの状況と重なります。
絶体絶命。
ここからでしょう。
ここから、どうするか?どうしていくか?
それをみんなで考え、実行していくこと。
もう一回、ひとりひとりの心を整え、準備をして、チャレンジしていくこと。
例え負けたとしても、それは次に繋がります。
投げやりになってもいいことはありません。
時間の無駄です。
物事に真摯に取り組む姿勢。
これもスポ少から教わることです。
それが、今の高田イーグルスに試されています。
弱気になった心をもう一回奮い立たせる。
そのためには、いつもやってきたことを、もう一回確認して、取り組んでいくことです。
一発狙うとか、大きいことをやりがちですが、崩れたものは一気には、もとに戻りません。
再度地道に少しずつ積み上げていくしかないんです。
原点に帰る、基本に帰る。
それが、一番の近道。
これにたどり着くには、それなりの経験と時間がかかりました。
分かる人には、分かると思います。
基本に返る前に、もう一回モチベーションを戻せるか?という大前提があります。
チームが諦めてしまっては、キセキはおこりません。
心に思わなければ、何もおきない。
目標は、頭で考えて、心で思って、声に出して、言葉に書いてこそ、実現に近づきます。
やれる!と思わなければ、キセキはおこりません。
この逆境を跳ね返すメンタル。
それが今の高田イーグルスにできるか?
結果から言えば、この後の攻撃は全て三者凡退に討ちとられ、守備はバッテリーが崩壊、そこをバントで揺さぶられて、さらに瓦解。
声は虫の声、マウンドで孤独に泣きじゃくるエースを鼓舞するどころか、チームは見殺しにします。
精神状態がメタメタ、ボール連発で、試合がつくれなくなった。
たまらず、ユウシンを投入しますが、この流れを断ち切ることはできませんでした。
最悪の流れ、さらに一試合目の疲れもあって、彼も制球困難。
ここにきて、一方的な展開になりました。
3点を追加され、ここでタイムアップ。
3:9の竜頭蛇尾で終了となりました。
高田イーグルスの県大会への挑戦は、ここで終わりました。
後味の悪い、敗戦。
力を出し切れなかった、出させなかった坂下ヒーローズさんが一枚上だったということです。
負けた。
久々に負けたと思わせてくれる試合でした。
そして、悔しい。
46にもなると、たいていのことは「まぁ、仕方ないな!」と許せますが、今回は悔しい。
そして、なぜだ?と自問が止まりません。
もう一回立て直さなければならない。
そのためにはどうするか?
あの時どうすればよかったか?
失意の中で、刀を研ぎ始める私がいました。
PR
カレンダー
フリーエリア
最新記事
プロフィール
HN:
高田イーグルスコーチ
性別:
非公開
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析