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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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文章を書いていたのにアップしてませんでした。
よって、少し前に遡ります。



さて、明日はこの世代、レン世代の最後の白獅子杯になります。

今年も大会数が激減する中、開催にこぎつけていただきました。
大会関係者の皆様には感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。

真っ青な空、立ちのぼる入道雲、茹だるグランド。
普通にしていてもぶっ倒れるような、こんなクソ暑いさなか、分厚いユニフォームを着てソフトボールをやる奴なんぞ、興味のない人から見れば、バカの極み以外の何物でもないでしょう。
そんな、ソフトボール馬鹿がたくさん集まる、この白獅子杯。

ここにはこれまでの世代のいろんな想いがつまっています。
ここ六年間、その全てを見てきた男、レン。
彼は志願して1年生から、美里イーグルスの門を叩きました。
六年前といえば、たしか今の高校二年生、タカヤの世代です。
レンが1年生の時の6年生。それがタカヤたちです。
あの世代の白獅子杯、ものすごく印象に残っています。
5回あと1点でコールド負け、豪雨中断を挟んでの大逆転劇。
何回も何回も突き放される。 
それでも、神がかったプレー連発で強敵を倒していく。この世代も面白かった。
そして、ユウト世代、コウノスケ世代、ユウキ世代、ダイソウゴ世代。
その全てかどうかはわかりませんが、レンはベンチの外から、ベンチから、フィールドから打席から見て、経験してきました。
そして、美里イーグルスと高田スポ少の合併。
私は、あの時レンたちのことも考えていました。
レン、ユナ、シュンペイ、レオ。
彼らが美里イーグルスの6年になったときに、どこまで戦えるか?
人数をそろえるために、まだ成長過程の下級生を入れて、控えもいない、スカスカのメンバーでもチームとして存続させるか?
はたまた、ユウキ、コタロウ、マナト、タイチたちと一緒のチームとして存続していくか?
どうなったかはごらんの通りです。 
たしかに総体は負けました。
スポ少はもちろん勝ち負けのみではありません。
しかし、あのまま合併せずに美里イーグルスとして戦っていたらもっと散々な結果に終わっていたと私は思います。
今のような実力、学年に応じた育成を主とする練習もできなかったでしょう。
今の6年生のみんなのチカラを結集することができてよかったと私は思います。

偉大な兄の背中を追い続けたユナ。
最初の投球練習からは、想像もできないほどの球威の剛球を投げるまでになりました。

弱気がすぐに顔にでてしまうメンタル激弱のシュンペイ。
メンタルもだいぶ強くなりました。 

動きはまだまだぎこちなく、余裕がありませんが、振りの速さと打撃に自信を持ち始めたレオ。

すぐにぶすくれて、まわりの空気を凍り付かせたマナト。
彼も時分の役割を理解しつつあります。

お調子者のコタロー。
返事が一番いいタイチ。
この二人は良きムードメーカーです。

そして、レンが高田スポ少で1番頼りにしているであろうユウキ。
高田さんとの合併のアンケートをとった時、レンが合併に反対しなかったのは、ユウキたちと一緒にやりたいと思ったからなんじゃないかと私は勝手に思っています。

この世代に集まった高田イーグルスの6年生たち。
さぁ明日はいよいよ、彼らの最後の県大会への最後のチャレンジとなります。







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少し振り返ります。

5月の連休に行われた総体会津予選。
高田イーグルスは、1回戦関柴さんと対戦しました。
熱い指導者、保護者のみなさんがいらっしゃいます。
ライバルながら、こんなスポ少で成長できる選手たちは幸せだろうなと思います。
今年の関柴さん、バッテリーを中心としながらも全体的にまとまっている感じがします。
それはイーグルスも同じ。
先制して、守り切る。
自分たちのペースで戦うことができれば勝機あり、まぁそれはお互いなんですけどね。

そのために先攻をとります。
先にしかけることを選びました。
関柴さんも、たちあがりに不安があったようです。
エラーがらみで、幸先よく4点をもぎとります。
よーしぃ!もっと取れるチャンスがあったけど、4点も取った、これで良しとしよう、あとはこの虎の子の4点を守りきる。
4点あれば、心理的に余裕ができていいプレーにつながるはずだ、という我々の思惑がありました。

しかし、そうはいかないのがソフトボールです。
我々も関柴さん同様に立ち上がりに不安があります。
大丈夫かなぁ・・・大丈夫ではありませんでした。
先頭バッターにレフトに運ばれます。
まぁ打たれるのはO.K.
ここからひとつひとつアウトにできるかが問題です。
いつも通りやれば、大丈夫なんです。
平常心とはいいますが、いったんあたふたすると中々もとにはもどせません。 
ここがメンタル。
踏みとどまれるか?
しかし、それができない。
ほんの少しのところなんです。
エース、ユナも良いコースにチカラのある球がいってるんです。
ユナの後を受けたユウキ。
いつもはコントロールに定評があるユウキもいいところにはいっているです。
が、しかし、ほんの少し外れている。
追い込んでいるのに、ファーボールを出してしまう。
なんとか打ち取っても、味方のエラー。
ここが波に乗りきれないところ。
みんなで乗りきれないところ。。
誰かが踏みとどまって、チームの瓦解を防がなくてはいけない。
それができない。
いいコースにいっていたピッチャーが立ちあがるきっかけを逸してしまいました。
我々が浮上するきっかけ、チャンスはここにあると私は思っています。
コースに決まれば、ユナの球威ならばそうそう打たれません。
守備が辛抱強く持ちこたえる。
やがてくる少ない攻撃のチャンスをしっかりものにする。
わかってはいるんですが、これがなかなか難しい。


今回も三塁と本塁間のランダウンプレーからのミス。これがこの試合の分水嶺になりました。
三塁ランナーがらみのミスは即失点につながります。しかも二死から。アウトに捕ればチェンジだった。精神的ダメージもでかい。

試合にミスはつきものです。
ミスをしたくてやっている選手はいません。
なので試合中にミスを責めることはしません。
しかし、ここでやってはいけないというときにやってしまうと勝利の女神は微笑んでくれません。
さて、このピンチをどうやってのりきるか?

ミスして萎縮している選手をさらに追い込むことになることがわかっているからです。
なので、ぐっとこらえる…
ここは指導者の多くの方にわかってもらえるところだと思います。
さとすのは試合が終わってから。

しかし、このミスはいたかった。
ツーアウトからのミスはききます。
ここから、ピッチャーが踏ん張れなかった。
バックもふんばれない。
そういうときは、不運も重なります。
あっという間に逆転され、関柴さんのペースになってしまいました。
いまのイーグルスにそれを跳ね返せるだけのチカラはありませんでした。
そのまま押し切られてゲームセット。
敗北です。
良い形で先制したアドバンテージを活かせませんでした。
打ち取らなければならない下位打線にも打たれてしまう。
やることなすことが裏目にでてしまう悪い展開。
それをどうにかすることができなかった。 
なんとも後味の悪い負けでした。

今年の目標は、県大会に行くとか、どのチームを倒すとかの具体的な到達目標ではありません。
キャッチボールをしっかりやる。
ここがこの試合でできなかった。
あのランダウンプレー、キャッチボールがいきてくる場面です。
しかも前の練習試合ではうまくできていた。
それが、この本番でだせない。
これはまだ浸透していないということでしょう。

あのランダウンプレーは、どうやるべきだったか?
まず、ランナーと線上でかぶらないようにキャッチャーとサードがズレること。
今回はこれができなかった。
ランナーにあたらないように上に投げてしまった。
それが悪送球をうみました。
まずズレる。
そして、ランナーを追う方向を考える。
この場合は三塁側に追うのが望ましい。
このプレーは守りもランナーも焦るプレーです。
お互いに即死につながる。
なので、守りは
声の連携も必要です。
その全てが今回できなかった。
練習はしたんですがね~。
本番でできるようにまた仕上げていくしかありませんね。
チーム全員が、「あっ、あの練習あの時のプレーだ!俺はどう動くんだっけ?」と瞬時に判断して動けるように練習していきます。
何回も何回も失敗して、ものにしていく。
これこそ、スポ少の醍醐味であり、自分たちの成長のパラメータです。
今回は、できなかった。
次こそ失敗はしない! 
そのために何をすべきかを考えて、明日からと言わず今日この瞬間からそなえる。
そういう前向きな姿勢が高田イーグルスを成長させてくれると思います。

さぁやるぞというところで、コロナ自粛に入ってしまいました。
それも、明けました。
また、前向きな姿勢をとり続けることにします!


カン!
ソフトボール特有の打撃音。シャープで高く短いヤツ。
打った瞬間にヤバイなと思わせる打球でした。
ユウゴの剛球をほぼ完璧にとらえた打球は、低い弾道でセンターを襲います。
おそらくヒカリは我々がヤバいと思うよりも早く、反応していたと思います。
彼の脳細胞にとってはヤバいではなく、「捕れる!」との判断。
脳がそう指令した瞬間にヒカリはまさに光の速さで加速しました。全力前進。
白球は地面と平行に空間を切り裂くランサー。
バウンドすれば難しい軌道になることは必至。
前しかねえ、覚悟をもって突撃するヒカリ。 
パチンッ!
腰よりも低い強い弾道、はじかれるリスク回避すべくグローブのポケットの1番深いところで捕りました。
まさに電光石火のキャッチング、ファインプレー。

プレ大会、安達太良球友会を相手にしての準決勝の場面です。
そもそもバウンドすればヒットになってしまう。
おそらく同点だった場面。
二死で二三塁だったか?
打った瞬間にランナーはスタートを切っています。
ヒットになれば2点を献上するリスク。 
回も終盤、ここでの失点は敗北をぐっと引き寄せてしまう場面でした。
試合を左右する場面でこの守備。
シビれました。
ヒカリッー!とみんなが全力で叫んでいます。
プレーのすごさを形容するに、彼の名前を叫ぶ以外にありません。
それほどこのプレーは大きかった!
大飛球をバックしてのファインプレーはいままでも何回も見たことがあります。OBのユウヘイもチームのピンチを何度も救っていました。
しかし前の打球にこんなにも突っ込んでの好捕。
こんなすごい守備は見たことがありません。
それほど印象に残った守備でした。

思い起こせば、二年前の美里親善大会、決勝で湯川さんと柳津が激突。
同点でタイブレークとなり、その時のセンターを守っていたのもヒカリでした。当時四年生。 
その試合、当時の湯川さんの絶対的エース、カネコ君の剛球を打ち返して、決勝打にしたのもヒカリでした。
いいところでよく守り、よく打つ。
この選抜チームでなければチームメイトになることはなかった。
敵としても素晴らしい選手として認めますが、やはりヒカリが味方になった時の心強さは格別です。
その意味でも選抜大会の意義は大きい。

大きな仕事をやり遂げてベンチに引き上げてくるヒカリ。
みんなから手洗い祝福を受ける。
満面の笑み。
自分の存在意義。
俺はこのプレーのために存在する。
その笑みは自信に満ちあふれていました。
選抜大会が終わりましたが、その前段のプレ大会について書きます。
いわき新舞子で行われる大会の1週間前、玉川村でその前哨戦となる大会が行われました。
本大会の吉凶をうらなう上でも、他のチームの戦力を把握する上でも貴重な大会に位置づけられています。

さてこの大会の結果は、3位でした。
しかし、県大会優勝の王者、オール全南を倒すことができたことが、会津選抜全員の自信になりました。
オール全南さんは、白獅子県大会優勝、準優勝チームが主体のチームです。
その強さは折り紙付き。
腕に覚えあり、先ゆく前途に手応えあり!
この会津選抜チームはちゃんと強いということを確認できました。
個々の選手の強さ、それをチームとしたとき、間違いなくトップレベルだと実感しました。

そこに高田イーグルスの選手たちが主力として入っています。本当は白獅子でこの高みに行く予定でしたが、そうは問屋が卸さない。
夢破れ、目標を見失いもしましたが、この選抜大会がいい道しるべとなってくれました。
選抜チーム同士の対戦でなければ、このレベルの高みをみることはなかなかできなかったと思います。
走攻守どれをとっても、ん?やるなぁと思わせる選手たちが多いこと。
その中でも、会津選抜チームはまったく負けていない、むしろいけるんじゃないかという錯覚、野望を起こさせます。
それほどに、会津選抜チームも強い。
それが確認できました。

このレベルに達すると、実力は拮抗してきます。
ほぼ相手のミスによる崩れはありません。
数少ないとっかかりに、なんとか手をひっかける。
ちいさなほころびから、大きな穴にしていく側と
そうさせないようにその穴を塞いでいく側。
ギリギリの攻防になります。
ハイレベルです。
こんなハイレベルな戦いを経験にできるということは、選手たちもそうですが、我々指導者も楽しくて仕方がありません。

少しでも確率の高い方向に導く。
守備のイメージ、攻撃のイメージを思い浮かべて、その通りになる。
それ以上のところを引いてくる。

王者、オール全南を相手にホームランをかっ飛ばしたケンタ。
強力打線をバッサバッサとなぎ倒していくユウゴとカイのバッテリー。
難しい打球をさばく内野陣、外野陣。
きっちりみんなが機能したときは、王者さえも圧倒する。
山頂には我々のみ。
富士山の山頂から配下を見下ろすがごとき風景。
それが見えました。
このチーム、出てる選手もすごいが、控えでも腐ることなくチームを支える姿勢がたいしたもんです。
出たい気持ちがあるでしょうに、それを押し殺してグランドに立つ選手を応援し続ける。
さらに、自分の子供が試合に出ないかもしれないのに、応援に来ていただいている保護者のみなさん。
試合に出る出ないではない、チームとしてみんなを応援して、支える。
その姿勢がお見事です。
そういう保護者だからこそ、選手たちもそうなんだと理解しました。
そこにあぐらをかくことなく、試合に出てる選手は一生懸命にがんばる!
間違いなくいいチームです。
こういういいチームには勝ってほしい。
つくづく勝ってほしい。
いい雰囲気、流れのまま王者オール全南を倒しました。
このまま優勝までいくかと思いきや準決勝で安達太良級友会選抜チームに惜しくも敗れました。
先制するも追いつかれ逆転を許す。
アウトコースの出し入れは見事でした。
またしてもビックウェーブに乗り切れない。
ここぞという場面、これを勝ったら全員が大きく飛躍できるきっかけになってくれると思う場面で、勝ちきれない。
今年はその流れなんでしょうか?神様。
安達太良級友会が、決勝で会津東部選抜を破り、そのまま優勝されました。
やはり、相手も強かった。

それでも確かな手応えを感じました。
やってやれないことはない!
すでに本大会も終わって過去形ですが、あの時はそう思っていました。

ここから浮き上がってきた課題を残り少ない時間で克服していこうとします。

それは次回。
時系列をすこしさかのぼります。



高田イーグルスのヒカリがホームランをかっ飛ばしてダイヤモンドを一周している。
それを見て、多くの人が涙しました。
涙のヒカリから希望のヒカリへ。
そして私は野球の、ソフトボールの神様って本当にいるんだなぁと思いました。

なぜ、そう思ったか?
話は少し戻ります。

10月の土日、最後の二つの大会。
美里親善大会と関柴大仏杯。
前日の美里親善大会で、高田スポ少として決勝戦で湯川さんにタイブレークの末に敗れました。
その最後のバッターとなったのがヒカリ。
二死で四番のユウトを敬遠して、ヒカリとの勝負を選んで、狙い通り討ち取った湯川さん。
その影に泣き崩れるヒカリと、それを支えるハレルの姿がありました。

そして、翌日の関柴大仏杯。
前日美里イーグルスも湯川さんに負けています。
高田スポ少とフュージョンして高田イーグルスとして、打倒湯川さんを掲げてのぞみ、思惑通り決勝戦で湯川さんと再び相まみえる。
束になってかかっていきましょう。
これがこのメンバーで戦う最後の大会、勝って有終の美を飾る、というより、負けたままでは終わりたくない。
なんでかんで湯川さんに勝ちたい。
選手はもちろん、指導者、保護者全員がそう思っていたに違いありません。

高田イーグルスは伊達じゃない!

それを知らしめたい。
幸先よく先制しましたが、さらに追加点が欲しいという場面、前日、涙の三振のヒカリが打席に入りました。

今日はエラーもありあまりいいところがありません。そのエラーの後にきっちりフォローをして得点に繋げなかったのは、ヒカリの後ろライトを守るハレル。
セカンド後方、ライト前に落ちようかというフライをファインプレー、チームを、そしてヒカリを救いました。
この2人を見ているとチームプレーの良さ、こうあって欲しいという姿をまじまじと見せてくれます。
練習が終わって皆が用具片付けをしていても、最後まで部室にきれいに用具が入るように整頓する。なので、いつもグランドあいさつの列に並ぶのは1番最後です。
それを見て、男ども他の六年生はなんとも思わないのかい?
こういうところが、人まかせなプレーに繫がり、ゆくゆくは負ける原因になると、白獅子の後に指摘しました。
しばらくは、ココロを入れかえて行動していました。それも観察していましたが、長くは続きませんでした。
我々も徹底して指導すればいいのですが、流されてしまいました。
中にはわかっていて行動に移す六年生もいましたが、最後はまたこのふたりに落ちつくことが多くなってきました。

私はそれを悲しい目で見ていました。
役割分担といえばそうなのかもしれませんが、皆が進んで、プレー以外のところを大事にしてきたかというと、自信を持ってハイとは言い切れない。
そうやって中学、高校とこずるいままいく奴もいることはいるんです。
やりすぎることはないんです。
そういうのが、自然と、さらりとできるのが、かっこいい人だと私は思っています。
我々が言ってなるのではなく、自分からできるようになって欲しい。
それができている彼女たち。
高田イーグルスはなんだかんだ、なんか、ハレルとヒカリに頼っているなぁと。
そんな彼女たちにこそ、プレーでもスポットライトが当たって欲しいと願っていました。

それが、最後のこの大会にきました!

初回に先制しましたが、さらに追加点が欲しいという場面。
回ってきたのは昨日タイブレークの末、追いつめながらも三振して最後のバッターになったヒカリ。
ヒカリは泣いていました。
その泣き崩れるヒカリを支えていたのがハレル。
その姿、悔しさに我々も涙しました。
そして今、やり返すチャンスが回ってきました。
ヒカリには湯川さんのエースの投球が残像として残っています。
私が見る限り、昨日よりも球威はないように見えました。討ち取っている相手なので多少の油断もあったでしょう。
タイブレークと追いつめられた状況ではなく、まだまだ序盤、キャッチャーの警戒も薄く配球も昨日よりもきつくはありませんでした。
リベンジに燃えるヒカリ。
狙うアウトコースをフルスイング。
ヒカリのスイングは円を描いてくるっと回るというよりは、刀で袈裟斬りにするような感じだと私は思います。楕円に近い。
なので、ポイントが後ろでとらえたときにインパクトで手首の返しが遅くなり、ライト方向の打球が強くなります。
ヒカリのスイングのいいところはここです。
この振りに昨年の美里イーグルスもやられています。
振るというよりは、切るに近い感覚。
ヒカリの良さがいかんなく発揮されたスイングは、右中間を、湯川さんの優勝という目標をまっぷたつに切り裂きました。

塁上を全力で走り抜けるヒカリ。
それを見た多くの人が涙したと思います。
昨日のヒカリの涙を知っているから、今までのヒカリの苦労をしっているからこそ、今回のヒカリのホームランは皆を歓喜の涙にせしめる。
その背景に、高田イーグルスの苦労が重なります。
強い強いといわれながら、大事なところで実力を出し切れない。
もう少しなんです。
ほんのもう少し。
そこが取れなくて、みんなで悔し涙を流し続けてきました。ほんと流し続けてきた。
その鬱憤をヒカリが晴らしてくれました。
みんなが、ヒカリの全力疾走を全力で応援します!
それは今年の苦労してきたイーグルスを応援することと同じです。
やったぁーヒカリ!走れーヒカリ!
がんばったぞ、イーグルス!
ヒカリがやってくれた!

湯川さんの中継が返ってきます。
サードコーチャーの私、どうする?
サードを回る前に、セカンド後方までボールは返ってきている。
セオリーならば止めなくてはならない場面。
しかし、それで後悔しないのかい?
自分に問いかけます。
どうする?
んー、行かせよう、走らせよう!
サードに到達する前に腕を回しました。
いっけぇーヒカリ!みんなの希望になれー!
あとは、ヒカリに任せました。
16.76m。
ホームベースを駆け抜けた瞬間にボールは返ってきました。
結構ギリギリ、ですが今回はヒカリの勝ち、高田イーグルスの勝ちです。

この瞬間を映した一枚の写真。
ガッツポーズでホームに帰るヒカリの奥にきっちりハレルもガッツポーズで映っています。
チームを支えたふたりが輝いた瞬間。
ベンチの大橋監督と齋藤スコアラーも泣いていたはずです。
みんなが、よくやった!と褒めちぎります。

その歓喜のベンチをサードコーチャーボックスから眺める。

あぁ、ソフトボールの神様って本当にいてくれるだなぁと思いました。
あぁ、本当に一生懸命にチームを支えたふたりに、きっちりご褒美を用意してくれてるんだなぁと思いました。

もちろん、このふたりだけの功績ではありません。ここまでくるには他のチームメイトの功績もなくてならなかった。
それを最後の最後にみんなの想いをこめて、ホームランにしてくれた。
心を打たれたはずです。
ココロを燃やしたはずです。
みんなそれがうれしい!
高田イーグルスの過去を断ち切り、未来を切り拓いた。
関柴大仏杯優勝をぐっとたぐりよせ、最後にイーグルスに有終の美をもたらしました。
みんなの想いが報われた瞬間。

いい試合だった。
いい試合だった。
本当にいい試合だった。

涙のヒカリが希望のヒカリに!
栄冠は高田イーグルスに輝き、
そして殊勲はヒカリの頭上に輝きます。
彼らの最後の戦いが終わりました。

美里親善大会で、高田スポ少、美里イーグルスそれぞれの単独チームとして、
関柴大仏杯で、高田イーグルスとして、
会津選抜チームで、小学校のスポ少として、
彼らと、そして彼らの保護者のみなさんのソフトボールスポ少がひと区切りつきました。

まずは、みなさん、お疲れさまでした。
長いようで短く、濃密な時間。
親子で、家族でこんなにも自分のこどもはもちろん、チームメイト、そのお母さん、お父さんたちとと向き合い、付き合った日々はなかったのではないでしょうか?

小学校のスポ少のいいところは、この距離の近さだと思います。
物理的にも心理的にもあんなにこどもの近くで応援することはスポ少ならでは。
今後中学生、高校と行く度に距離がなんとなく離れていく感覚が出てきます。子離れ、親離れしていくものなんです。

スポ少の距離の近さ。
こんなにも、親子で熱くなれるものはない。
もちろん、対価として、休日返上や泥のユニフォーム洗い、チーム運営、いろんな大会への派遣要請などほぼゆっくりと過ごす休日はなかったと思います。
しかし、今になって思うのではないでしょうか?

やってよかった!と。

子どもたちと、そのお母さんお父さんたちと一緒にやってきてよかったと。

私もみなさんとやってこれてよかったと思います。
彼らとだからこそ、
その親のあなたたちと一緒だからこそ、
これまでこのスポ少をやってこれたと思います。それは毎年同じ。

そして、同時にこうも思います。
もう、彼らと一緒に、あなたたちとはもう戦えないのだと。
この現実に思い知らされます。

それが悲しく、さびしい。
いわきからの帰りの車の中でこの現実を悟りました。
もうグランドで、あの声が聞けないんだ。
もうあのユニフォームを着て、強敵に立ち向かえない。
もう、あいつらの勝ったときの笑顔が見れない。

途端に流れ出す涙。
外は晴天ですが、涙で前が見えません。
車のワイパーなどきくはずもなく、40すぎたおっさんがひとり車内でむせび泣く。
寂しさに耐えられません。
そして思い出しました。
「監督、長い間お世話になりました。」
選抜の試合に負けた後、ユリアが言いにきました。
その時は試合の直後で、軽くおうと答えましたが、本当は何を差し置いても抱きしめて、ご苦労さま、俺こそありがとうと言わなければならなかった。
ユリアの目は真っ赤にはれていました。
彼の中のソフトボールが終わった。その実感が絞り出した言葉でした。
自分の浅はかさに自責します。

彼らと過ごした日々がパノラマで一気によみがえってきます。
ちびども、へたれ、生意気、自信満々、泣き虫…
そんな彼らが、エースになり、センタープレーヤーになり、スラッガーになり、キャプテンになる。
その課程を見てきました。見続けてきました。
失敗を励まし、対策を練り、怠惰を叱り、鼓舞してきました。
次に成功するように、次に負けないように、次に笑顔になれるように。
その傍らには常に見守り、背中を押し続ける家族の支えがありました。
練習日でない、宮川小学校のグランドに寄るたびにある、その複数の影。
毎日毎日の積み重ねが、彼らを育てました。
みんなでその成長を見守り続けてきた。

幸せな時間でした。
この先もまだまだ続きますが、ひとまず小学校時代はひとつの区切りを迎えました。
そして俺は彼らに何かを残してやることができただろうかと自問する。
そして、ユリアだけでなく、彼らからもらったものの方が遙かに大きなものだったことに、涙でくれる車内で気づきました。
もう一緒に同じユニフォームを着てグランドに立つことはできない。
緊張感が張り詰める中、お互いの目を見てうなずくだけで、何を考えているか、何をやるのかがわかるあの瞬間。
ひとりひとりはもちろん、全員がハブとなって同じビジョンを共有して、同じ目的をもち、同じ方向を向く。
確かに分かり合えたなと言う、あの一体感。
やばい、負けるかもしれない、
可能性は限りなく少ないのかもしれない、
だけど、俺たちはあきらめない。
ひとりひとりのベクトルは小さいけれど、いくつもが折り重なったときの力強さ。
岩をも砕き、強敵も倒し、チームのピンチを救います。
選抜大会で見せたソウゴからはじまる逆転劇、ヒカリの粘りに粘った後に放ったセンターへの逆転打。
間違いなく、チームがひとつになった瞬間、
私はいつもその瞬間を渇望しています。
今年の会津選抜もいいチームでした。
そして、高田イーグルスもいいチームだった。
あいつらと。あなたとソフトボールができない、悲しさがまた私を泣かせます。

あぁ終わったんだなぁ。
ついに終わってしまったんだなぁ。

ひとつの時代がまた終わりました。
スポ少の歴史がまた1ページ…
美里親善大会は、湯川さんの優勝で幕を閉じました。
そして、その翌日。多くの会津のチームの六年生最後の大会、関柴大仏杯。
これが意味するところ。
それはすなわち、いままでやってきたチームでソフトボールをやる最後の大会になるということです。
このユニフォームを着るのも最後。
この帽子をかぶるのも最後。
このメンバーでやるのも最後。
このメンバーで試合をやり、それを保護者に応援してもらうのも最後。
なにをやるにも最後、最後、最後。
間違いなく最後づくしの大会になります。  

コロナ禍の中、そんな大切な大会をやると決めていただいた関柴スポ少さんは感謝の言葉しかありません。
あたらめて、ありがとうございました。

この大仏杯は、関柴スポ少の現役の保護者はもちろん、OBもたくさん参加していました。
イーグルスとの激闘を戦った時の保護者の顔もありました。
関柴スポ少さんが、卒団した後もみんなから愛されるスポ少であることがわかります。


さて、高田イーグルス。
予選リーグは、昨日の親善大会でも当たった岩月さん、そして同地区の新鶴さんとの三つ巴。
先に新鶴スポ少が岩月さんを倒しました。
高田イーグルスも岩月さんを倒して、新鶴さんと雌雄を決する展開になりました。
会津選抜チームとしても、チームメイト。
選手、保護者、指導者ともみんな気心が知れています。
だからこそ、お互いに負けられません。

攻略のカギは新鶴さんの長身のエース、カイをいかにして打つか?
ここにかかっています。
カイはもともとはその強肩を買われてのキャッチャーでした。しかし、チーム事情により昨年からピッチャーに転向し、その才能を開花させました。
リーチの長さ、変則的なフォーム、身体能力を活かしたスピードなど、キャリアが1年ちょっとのピッチャーには見えません。
すごくいいピッチャー!
現にイーグルスも何回か彼を打てなくて、負けています。
油断ならない相手、まずは先手をとって、高田イーグルスのペースにもちこみたいところです。
逆の展開にもちこまれると、敗北の歌を全員で合唱することになるでしょう。

負ければ今シーズンの即終わりが決まります。
高田イーグルスは、新鶴さんに勝って先に決勝進出を決めている湯川さんに昨日の借りを返さなくてはならない。
選手、指導者、保護者の気持ちは固まっています。
みんなの思いを具現化すべく、選手たちは一丸となりました。
特に緊張しているということもなく、自分たちのできることをやろうとしています。
新鶴さんを相手に先制し、徐々にその差を離していきます。
新鶴の六年生メンバーの打力、得意不得意のコースをわかっているのも大きいでしょう。
オオタケさんの思いきったリードもいいですが、今日のユウゴのできも上々です。
バンバン、チカラでねじ伏せていきます。
この試合は、やって当たり前のことを当たり前のように決めていました。
こうなると彼らは強い。
そして、選手たちの背中からは、大応援団の大声援。たかだか一地方大会とは思えません。
両親はもとより、じいちゃん、ばあちゃん、弟妹、親戚一同もいるんじゃないでしょうか?
そして、今までイーグルスを担ってきたOBとそのご家族。
応援の列の長いこと長いこと!
これも見ると高田イーグルスも確かにいいチームだと胸を張って言えます!
みんなの元気をオラにくれ!
悟空の元気玉のように、みんなの声援が今の高田イーグルスを間違いなく後押ししてくれています。
こういうイーグルスは強い!

新鶴さんの反撃は、ケイマのツーラン1発のみ。
追い込んで外した高めのストレートを右中間にもっていかれました。
その2点のみに抑え、高田イーグルスの完勝です。
盟友、新鶴スポ少さんを降しました。

後から保護者に聞いた話です。
高田イーグルスの打撃が的確にカイの球をとらえていました。
ホームランを打たれて、ホームベースにカバーにいくカイ。
打った高田イーグルスの選手に向かって
「ナイスバッティング!」の一言。

この話を聞いたとき、目頭が熱くなりました。
カイの人柄が痛いほどわかります。
いいヤツだ!
カイはいいヤツだ!

私たちがスポ少をやる意義はこういうところにあると思いました。
こういうカイのような選手を育てること。
あの一言、うちの選手が言うことができるでしょうか?

勝利至上主義でない。
たとえ負けていても、相手を讃える。
敵であってもお互いに認め合うこと。
深いところで認め合えること。
本気でやり合う勝負の向こうにあるもの。
最後はここだと私は思います。
人としての真の姿。
かく在りき。こうありたい。
これがソフトボールの、野球の、スポーツのチカラだと。
だからこそ、大勢を引きつけて止まない。
それがあの日、あの時のカイにあった。

自分が打たれて、チームが負けそうなとき、打ちひしがれてもいい時に、その言葉を絞り出せる。
自分のことで一杯一杯になってしまいそうなときに、他者を思いやれる。
カイはそれができていました。
こういう人間を育てること、育つ環境を整えることが我々指導者、保護者、大人の責任だと考えさせられました。

カイだけではありません、その他新鶴の六年生、見事なホームランのケイマ、カイをリードしたテッセイ、フルスイングのナガユウ、みんなをまとめあげるソラ。新鶴スポ少の面々の取り組み方の素晴らしこと。
みんないいヤツです。
そんな選手に育て上げる大堀監督をはじめ指導者、保護者の育成の暖かさ、ソフトボール、野球に対する愛が伝わってきます。
そしてこう願わずにはいられません。
我々もそうありたい、そうあってほしいと。

カイの人柄の清々(すがすが)しさにココロを打たれて、ますます血気盛んな高田イーグルス!

さぁ、次戦最後の決戦、関柴大仏杯決勝戦、湯川戦です。
美里親善大会、美里イーグルスは決勝にすすむことができませんでした。
ファイナルは、湯川さん対高田スポ少となりました。
たのむ、俺たちのかたきをとってくれ!
これも1点を争う投手戦になるだろうと予測されていましたが、そうではなかった。
高田さん初回にいきなり2点?3点?をもぎ取りました。
そのうちの2点はユズキのタイムリーです。
美里イーグルスがあんなにも打ちあぐねていた湯川さんのエースから、結構みんなバカパカ打っている。
ん?なんだどうした?なんでこんなに高田は打つんだ?俺たちが弱らせておいたからか?えーずるい!
序盤にリードを奪います。
高田イーグルスのもう片方、高田スポ少もやはり強い。全体的な守備力、打撃力は美里イーグルスよりもバランスがとれています。
このリードと高田の女傑エース、ハレルの今日のできならばいけるという算段がたちました。
しかし、そうさせないのが老獪な監督の湯川さん。
ワンチャンスをものにして終盤で追いつきました。
追いつかれるまでにチャンスを作りながらもうひと押しできなかったことが、湯川さんに勢いを与えてしまった。
高田の大橋監督もそれをわかっていながら、追いつかれる。まさに老獪です。
大会規定により無死二塁からのタイブレークとなりました。
細かいところは覚えていませんが、先攻の湯川が1点をもぎ取りました。
そして迎える裏攻めの高田スポ少の攻撃。
一点差で裏攻めは断然有利です。
ランナーは俊足1番ユキノブ、むしそこから、ユズキ、ダイ、オオタケ、ヒカリ、ハレルと高田スポ少が誇る6年生が名を連ねます。

細かいところは忘れました。
おそらく湯川のエースもここはふんぱりどころということをわかっています。
全身全霊での全力投球。
立ちはだかる強敵を前に、いけいけの高田スポ少の勢いがそがれていきます。
矢は三本。
1本が折れ、2本目も的を貫くことはできなかった。矢はあと1本。
二死。
お互いが背水の陣。
どちらも後がありません。

ここで、高田スポ少の主砲、オオタケさん。
彼ならば打ってくれるという信頼感。
ケンタほどには強くありませんが、高田スポ少ではトップクラスに打力、その信頼感はあるタイプです。
あの舘岩戦で見せたセンターオーバーのホームランが思い出されます。
彼ならばやってくれる!
彼ならば、世界を救ってくれる!
その期待がオオタケさんをつつみこみます。
そのオーラに押されたのか?
湯川ベンチ、これはヤバいぞという空気を読み取った。
このあたりのベンチワークが老獪で巧みです。
オオタケさんを申告敬遠。

5番に置いたヒカリとの勝負を選びました。
ここで打てばヒーローならぬヒロインです。
昨年の総体で美里イーグルスは五年生のヒカリに手痛いホームランを打たれています。
アウトコースを右に持っていく技術とパワーは高田スポ少の中でも随一だと見ています。
この打線の中であればユキノブの次に可能性があるバッターだと私は思います。
ただこの状況、打たなければならないと思うか?ヤッター私にチャンスが来た!と思うか?
彼女はどちらのタイプでしょうか?
おそらく前者。
ボルテージはお互いにマックス。
どちらも緊張していることでしょう。

マウンドに君臨する仁王立ちのエース。
一歩も引く気配はありません。 

敬遠をされた時に、大橋監督はヒカリに声をかけました。
あの人の性格ならば、おそらく「思い切りいけ!」。
私でもそう言います。細かい指示など不要。
みんなの思いを背負ってバッターボックスにたつヒカリ。
こんなにも大勢の人の思いを受けて、声援を受けてプレーできる選手たちは幸せだと思います。
ゲームではないリアル。
やり直しがきかないから、その瞬間にココロを燃やすしかないんです。だからこそ、その一瞬が光り輝く。

チャンスは準備された心に降り立つ。
こないかもしれないけど、来るかもしれないチャンス。
そのために着々と準備をしてきたか?を問われます。
この瞬間のためにいままで苦しい練習を仲間と一緒に耐えてきた。
全てはこの瞬間のために。
ヒカリ、がんばれ!

ありふれた言葉ではありますが、こういう時は、「がんばれ!」が1番しっくりきます。
そして、勝て!

それは湯川のエースも同じ。
チームメイト、指導者、家族も我々と同じように
彼に勝って欲しいと思っているはずです。
そんな正義と正義の戦いを制したのは、湯川さんのエース。
懸命に食らいつくヒカリを三振に切って取りました。
全身全霊のフルスイングの上をボールは駆け抜けていった。
ゲームセット。
お互いの死力を尽くした戦いは終わりました。
湯川さんは、完全アウェイの中、新鶴スポ少、美里イーグルス、高田スポ少を倒しての優勝。
その試合巧者ぶり、気力の充実には参りました。

三振してベンチに帰ってくるヒカリ。
泣きじゃくるヒカリを支えるハレル。
彼女の流した涙。
なんとけがれのない涙。
負けた自分、期待に応えられなかった自分、かっこ悪い自分、ただ悔しい。
こういう本気の涙、一生に何回流せることでしょうか?
失敗して、負けて、無様になっていいんです。
なんて自分はできない人間なんだと思い知らされる。
こういう想いを知っている人間は、打たれ強く、人に優しくなれると思います。
失敗したみじめさを知っている。
そんな人をさらに叩く人にはならないはずです。
今回、ヒカリは負けました。
そしてチームも負けた。
ヒカリの涙。
その苦労と努力を知っているだけに、多くの大人をもらい泣きさせたことでしょう。
泣いていい、ヒカリもみんなも。

ただ、大事なのはここから、泣くだけ泣いたら、次はどうやればいいかを考える。
あの時こうしていれば、ああしていれば、どうなったか?
弱さを知ることで見えてくる強さ。
ここにつながっていくんです。
チームスポーツのいいところは、そんなくじけそうな時に横を見れば仲間がいてくれること。
太古の昔から、群れでマンモスと戦ってきた。
ピンチの時ほど、集団で、チームで、生きてきた人間のありがたさを知ることはないでしょう。
あなたがいてくれるから、その壁を乗り越えていける!
あんだけ泣き崩れたヒカリを支えてくれるハレル。隣にいてくれることの心強さ。
仲間がいる限り、支えてくれる家族がいる限り、
大丈夫、人は何回でもやり直せます。

涙のヒカリは、晴れる。希望のヒカリへ。
どんなにみんなが疲れていても、最後まで用具を片付け、落ちているボールを拾う。
その心遣い、あんだけ高田イーグルスを支えてきたふたりがこのまま終わっていいはずがない。
明日、高田イーグルス最後の戦いです!




美里イーグルスとして出場する最後の大会になるかもしれないこの美里親善大会。
このユニフォームでやるのも最後だとか、このチーム名でやるのもこれで終わりとか、特に感慨深いものがこみあげてくるものでもなく、たんたんと時は過ぎていきます。
美里イーグルスは美里イーグルスとして、その年その年に全力をもってやってきているという自負があります。その積み重ねがこの先揺らぐことはないし、過去の彼らに対しての思いもなんら変わることはありません。
そうなると今はなくとも、後から美里イーグルスの思いの重さを感じるときが来るかもしれません。
今はさておき、目の前の強敵湯川さんを倒すことを考えましょう。
結果からいけば、0:1で負けました。
美里イーグルスとして、最後の戦い、湯川さんには勝てませんでした。

振り返ります。
背番号1をつけた長身のエース。
間違いなく彼が投打の要です。
彼をどうやって打つか?彼をどうやって押さえるか?
ここに美里イーグルスの勝機がある。
その他事前に予選リーグで対戦して敗れた盟友新鶴スポ少さんに情報を聞きました。
5番までは気をつけて!と新鶴スポ少、エースのカイが教えてくれました。押さえにいったアウトコースをライトにもっていかれたケースが多かったとの貴重な情報をもらいました。サンキュー、カイ!

右打者の右打ち。
これができるチームは強い。
ブンブン振り回して引っ張ることしかできない打線は怖くありません。
どのチームのエースも決め球はほとんどアウトコース低めです。
その相手のチカラを利用して、打つというかはじき返す、自分のパワーに相手ピッチャーの球威を飛距離に変えることができるんです。
この理屈がわかったのは大人になってからです。
これを小学生とはいいませんが、せめて高校生で理解していればもっといいバッターになっていたかもしれません。
強いチームは右に打てるチーム。
ユウゴの剛速球でさえもストライクゾーンに入ればバッターにも捉えるチャンスがでてきます。
それを見極められてライトにもっていかれたなら、右翼にはユナ。
前の試合でいい守備をしているとはいえ、本職ではないうえに、まだまだ経験不足もあるでしょう。
そこにユウゴの球を捉えた打球をが飛来する。
一抹どころか、濁流の不安が押し寄せます。
この試合のキーは、右方向の打球になる。
それができる筆頭は1番、そして5番までか?
それをユウゴケンタのバッテリーがどう押さえるかにかかっています。
安易にアウトコース中心の組立を選んではいけない。
小学生バッテリーには酷な要求だったかもしれません。

予想どおり、湯川さんのエースとユウゴの投げ合いになりました。
どちらも刃が通るのは中軸までか?
上位打線をいかに活かすか?そしてなんとか下位が上位に繋げることができるか?
それをやった方が勝つでしょう。
今日の大会は、美里親善大会、そして美里イーグルス最後の戦いになるかもしれない。
そんなみんなの思いをのせたイーグルスに勝利の女神に微笑んで欲しかった。
しかし相手も本気、手を抜く理由はありません。
下位の先頭打者に追い込みながらもファーボール。
この虎の子のランナーを湯川さんは慎重にバントでスコアリングポジションまで送ります。
しかし、こちらもふんばってツーアウトまでこぎつける。
ここをしのげば、という場面で最強バッター襲来。
さてどうする、敬遠するか?勝負するか?
どうする?逡巡するコジマ監督と私。
アウトコースの球は活きている。試合数も二試合目でむしろ乗ってきている。
今日のユウゴならば押さえられる!と私。
我々の腹は決まりました。
これで打たれたなら俺たちのせい、そう決めました。
そして、ユウゴケンタのバッテリーは1番バッターを追いつめていきます。
最後の決め球に選んだのはアウトコース低め。
選択としては間違っていなかった。
しかし、今回は相手が悪かった。
リーチの長い相手、しかも決めに来るコースがほぼわかっている。
そんなは百も承知。その上で、ユウゴたち勝てる!勝って欲しいという願いをこめていました。
敵も然る者。
アウトコース低めにくる決め球を目いっぱい長いリーチを駆使してからめ取りに来る。
インパクトできっちり手首も返ります。
その上でバットの遠心力も最大限に増幅されている。
チカラ対チカラの勝負。
ほんのわずか数ミリの差で、湯川の1番バッターが勝りました。
ユウゴの球威をも吸収してものすごい打球となった運命のボール。
それに反応している男がひとり。
レンです。
そこに打球がくるのがわかっていたようなポジショニング。
ただ打球が異様に速い。
レンであってしても横っ飛びで捕れるか捕れないか、ギリギリのところです。
一瞬ボールがポケットに収まったかのように思えました……が、こぼれ落ちていた。
レンはよくやった。
レンでなければあの打球には追いつけなかったでしょう。
ただそれだけに、レンは誰にも増して悔しい思いをしているはずです。
俺が捕っていれば……
その思いあるかぎり大丈夫!悔しさがこの先もレンを成長させていってくれるでしょう。

彼の打球は確かに美里イーグルスの命運を切り裂いていました。
運命の1点が湯川さんに入ります。

イーグルス、懸命に反撃を試みますが、是非もなし。あの1点に沈みます。
息詰まる投手戦を制したのは湯川さんでした。
あそこの一騎討ち、結果的には私の判断ミスでした。
申告敬遠をしていればあそこで点数は入らなかったかもしれない。
こういうところが我々指導者をして、夜も眠れぬように、何年たってもふと思い出させるように、迷わせてくれる。
大抵はあの時こうすればよかったという後悔の念にさいなまれます。
ちょっとやった指導者ならば、そんなすねの傷はたくさんあるでしょう。
ユウゴケンタ、そして美里イーグルスのみなさん、あの1点は私の責任です。
ただ、この1点は彼らのココロの中にきっちり刺さったと思います。
このとられた1点を次に活かすか活かさないか?
この先が大事なところです。
こんなヒリヒリするような場面には、生きていても中々巡り会えません。
ユウゴはこの先もおそらくピッチャーをやるでしょう。
そしてあの湯川さんのエースもピッチャーをやるかもしれない。
またこの先に相まみえる可能性がある。
小学校あの時に負けたとしても、中学生高校生で勝てばいいんです。
そのためにまた明日から牙を磨いていけばいいんです。
何年か先のマウンドの上での話。
ユウゴ「おっ?まだマウンドから引きずり落とされないのかい?湯川の!」
湯川のエース「おっ!また俺に打たれるためにマウンドにあがってるのかい?」
お互い「うっせぇ!バーロー!(おめぇには負けねぇから!)」

そのユウゴの周りには、少し大人になった、ダイ
イ、ユリア、ケンタ、ユズキ、オオタケさん、ユキノブ、ハレル、ヒカリ、ハレル、ソウゴかいてくれることを勝手に想像してしまいます。そんなマンガみたいな展開を見て見たい。

美里イーグルス対高田の夢はかなわず。
ひとまず美里イーグルスとしての戦いは幕を閉じました。
改めて勝つことの難しさを再確認しました。
次は美里親善大会、決勝、我々を倒した湯川さんと我らが盟友高田さんが激突します!



秋空の今日、美里連盟親善大会が行われました。
高田イーグルスとなった今年。
高田、美里イーグルスそれぞれ単独で出場する最初で最後の大会となりました。
結果は、美里イーグルスが3位、高田さんが準優勝、どちらも湯川さんに惜敗しての順位です。
久しぶりにそれぞれが単独チームを編成している。
おもに6年生で構成されるいつもの高田イーグルスではない3年生まで入れなれば成り立たない美里イーグルス。
なんか新鮮でした。
もし合併しなければこのメンバーで戦ってこなければならなかったんだなぁとあらためて考えてみる。
これはこれで面白かったかもしれない。
けど……かなり辛い道になってただろうなぁと感慨深いものがありました。
さて、ここは切り替えてこのメンバーで勝つことを考える。
エース、ユウゴの安定性、キャッチャーに置いてもファーストに置いてもよしのケンタとシュンペイ。
美里イーグルスの「アライバ」、ソウゴ、レンの二遊間。
最後尾に後詰めのセンターユリア。
そこに、脇を固める右翼左翼のユナ、ミソラ、そして打力に特化した意外性のレオ。
こうみるとなかなかそろったメンバーです。
このメンバーの特性をいかし、いかに美里イーグルスの戦術にはめていくか?
ここにかかっています。

初戦は岩月さん。
なかなかのスピードのエース。
これを打てるのは5番に置いたソウゴまでか?
上位でもれなく得点を重ねて、相手を突き崩す。
そこに隙のない走塁を絡めて、こちらの思惑通りの展開に持ち込むことができました。
緒戦で岩月さんを破ります。


さて次は上三宮しきみさん。
会津女子選抜のエースが君臨するチームです。
岩月さんに勝っているので、ここに勝つことが決勝進出への条件となります。
しかしユウゴ、いきなりその女傑エースにホームランを打たれます。
あぁやっぱり、打つなぁ、いい振りしてる。
そしてやはりユウゴ、追い込んでからが甘い。いつも甘い。そして今日も甘い。
まだ初回、これが致命傷にならなければいいなと思いました。
そして、イーグルスになかなか点数が入ってくれません。
5回というショート設定。
上位に回ってくるのはたったの2回。
上三宮しきみさんはきっちり初回で得点している。
イーグルスは追う展開となりました。
またしてもという展開。そして脳裏をよぎるのは・・・敗北。
時間切れ引き分け、失点差で決勝にいけないかもしれない。
さて、どうするか?
小島監督と相談のうえ、無理やり時間を経過させて、もう一回上位の攻撃に賭ける作戦にでました。
これは賭けです。
しかしちゃんとやれば確率の高いところを引ける。
こいつらならやってくれるという我々の打算、期待があります。
時間をより早く経過させるには・・・三振か?バントか?下位打線、わかりやすくするためにはここはバントだな。全球バント。
とっととアウト3つを相手に与えて次の回に入ることが目的でした。
相手は下位打線、彼らの剣ではこちらの守りは破れないだろうという目論見、そして必ず裏の攻撃で、イーグルスの上位打線による突撃が敢行できる。その結果、逆転する。失点差ではなく勝ち数で決勝にいけるという算段です。
しかしこういう時になかなかうまくはいかないものです。
バントでアウトになって欲しいのに、ナイスバントになる。
相手もエラーする。
塁にでたユナを盗塁でアウトになってもらうべく、走らせる。
そうすると相手がエラーする。あれよあれよという間に2死で3塁まで行きました。これ以上長引くと試合が時間切れになってしまう。
しかし、なんとかアウトになってスリーアウト、わずかな時間を残して次の回に入ることができました。
今日のユウゴのコントロールはよかった。特に下位の小さい選手にも低めにコントロールを集めることができていました。
なんなく抑えてこの回0点、イーグルスの負けはなくなりました。
しかし、引き分けでは失点差で決勝にいけません。
ここはなんとしても逆転しなければならない。

そのためには最初にランナーがでなければいけない。
最終回のプレッシャーのかかる場面で、自分の仕事をできるか?
ゲームではない現実のミッションがここにあります。ここがスポ少のいいところです。
やり直せないリアル、そこに全身全霊をかけて挑む。チームスポーツのさらにいいところは仲間と一緒に協力できるということ。
ここで1人ではいきていけないという人間の本質と向き合えると私は思っています。

記憶が曖昧なのはご勘弁を。
1番のユリア、高田イーグルスでは9番のつなぎ役を担っていますが、彼の性格からいけば1番に置いてもいいところです。
ただその上をいく安定性とスピードをもったユキノブがいる。
チームの矢じりとしては、ユリアもタイプは違えど面白い働きをすると思っています。
ユリアのいいところは、しぶといところ。
彼が9番にいるというのは相手チームからしたらいやでしょうね。
そのユリア、(たしか?)あざやかなクリーンヒットで出塁します。
ここできっちり仕事をする。
頼れる男です。

さぁ大阪夏の陣、大阪城の本丸を落とす玉はこめられました。
ユリアを二塁に走らせてスコアリングポジションにしてから、主砲三連をかます。
そしてレンがきっちり送らなければいけない。
ワンアウト三塁の形、これが理想型。
すかさず送りバントのサイン。
レン、きっちり送って欲しいのにスラップ気味のバント、失敗します。
ここはどっしり構えて前にさえ転がせばいい場面なのに……。
このあたりが矢吹さんとの差なのかなぁと思います。
これはだめだなと監督は打ちに切り替えます。
なんとか転がしてファーストアウトの間にユリアは三塁に。
さぁ整いました。ワンアウト三塁。
あとは、主砲三連ケンタ、ユウゴ、ソウゴに任せるのみ。
ワンアウトという心理的アドバンテージがあるうちに決めたい。
先に王手をかけた。
ツーアウトになれば、守備側はあと1つ守ればという勢いがでてしまいます。
打つバッターにも、打たなければいけないという相当のプレッシャーがのしかかってくることでいつものパフォーマンスを発揮できなくなります。
たがら、ケンタが打つしかない。
奴はそれをわかってるでしょう。
頭や理屈というよりは、本能でわかっている。
俺が打って決める!そう思って打席に向かったはずです。
こうなるとケンタは強い。無双。
女傑エースも踏ん張りどころをわかっています。
や屋押されぎみになりますが、ケンタの全集中。
気力をふりしぼって渾身のボールを投げ込む。
エース対スラッガーの一騎討ち。
三国志演義でいえば、祝融対許猪。
ケンタの得物の青とオレンジのバットが、上三宮しきみさんの希望を打ち砕きます。
左中間をやぶる弾丸ライナーのホームラン。
試合を決めました。
引き分けでは勝ち残れない後のない状況。
その窮地を美里イーグルスのみんなで脱出しました。

サードに置いたトウマの落ちついた守備、ランナー1塁にいたときのサードゴロ、彼は捕球後にランナーをきっちりみてからファーストに送球しました。そんな余裕があることにたまげました。
右翼ユナは抜けたら負けという危ない打球を捕って、兄貴を助けました。あれはヤバかった。
みんなかそれぞれの役割を全うした。
守るべきを守って、打つべきを打つ。
美里イーグルスもなかなかやります。

さぁ、あと1つ勝って、高田対美里イーグルス、夢の対決を実現したい。選手、保護者の思いはそこにあります。

次戦、強敵湯川さんです。
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