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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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2024の夏の高校野球を現地で見てきたことは既にいいました。
その早稲田実業対大社高校の1戦。私たちはセンターのほぼ後ろ、バックスクリーンのすぐレフト側で見ていました。
センターの後ろからバックホームを見下ろす感じ。
あたかもセンターを守っているような感覚にとらわれます。
早稲田と大社の息詰まる投手戦。
ロースコアで終盤にもつれこむのは、大社高校に有利に運ばせるための必須条件。
その戦略にまんまとはめ込もうかというところで、センター前ヒットが飛んでくる。
少し詰まっている。何の変哲もない強いゴロ。
センターの藤原君、名前を覚えてしまいましたが、そんなに強い当たりではなかったので、ランナーが二塁に来るかどうかを見極めるために目線を少し外したんだと思います、魔が差した、バウンドも少し変化した、グローブを出すタイミングがズレました。
後逸。
この広い甲子園での後逸は1点献上を意味します。懸命にカバーも入り、中継もしますが万事休す。
終盤に痛恨の勝ち越しの1点を与えてしまいます。

覆水盆に帰らず、時は戻りません。
天を仰ぐセンターの藤原君、泣いています。
やらかした事の重大さに、押しつぶされそうなりますが、なんとか踏みとどまって、自分のプレーをやろうとしています。
こういう時に、その人の強さ、本質が出ます。
まだ試合は終わっていない。
落ち込んでる暇があったら、とっとと立ち直って次のプレーに行くべき。
それを、藤原君も、そしてまた周りのチームメイトも分かっている様子。
大丈夫だ、藤原!大丈夫だ!
必要以上に声もかけません。
藤原君もなんとか平静を保とうとしています。


我々の外野席の応援も「大丈夫だぞ、藤原!」「ガンバレ藤原!」の声。
人って、励まされると尚更泣けてくるんですよねえ~。
ここでおおきく崩れる可能性がありました。
しかし、エースが踏ん張る!
こういう時こそ、踏ん張ることができるのが、やっぱりエースです。
後続を切る。
後で、ユーチューブで見ましたが、センターの藤原君がベンチに戻ったとき、ずっと隣にいて励ましてくれたチームメイトがいてくれました。
短い時間で心を回復させるには、苦楽を共にした仲間にしかできないこと。
8回の守備に行くときは、エース馬原君が藤原君の肩を叩く。
大丈夫だ!俺に任せろ!俺たちに任せろ!
こういうところです。
間違いなくベクトルが同じ方向を向いて、束になっている。いくつもの小さい矢印が、集結していく様を我々は見ている。
これに藤原君は奮起したはずです。
終わったことを悔やむより、前を向く。
この切り替えが大事!
藤原君がセンターの守備につくときは毎回一礼をしていた。
8回の守備の前の一礼は、いつもより長い一礼。
どんな意味が込められていたかは、わかりませんが、こういう時に頭を下げるという行為は日本人にしかわからないのかもしれません。
ありがとうとも、これからもよろしくとも、俺はやります!とも取れる。
誰に対してでもなく、この場面で一礼ができる彼はすごいと思います。
自分の息子たち、娘にもそういう子であって欲しいと願います。

我々センターの応援席からは、「ガンバレー藤原!」の大合唱。
飲んで酔っ払っている我々の声にならない叫びのような応援。
センターと応援席の奇妙な一体感。
こういうのも甲子園なんでしょうね。

ますます、大社高校に勝たせてやりたいと思ってしまいます。

その願いが通じたのか、大社高校は追いつき、2回のタイブレークを制して早稲田実業を倒します。
大社高校が勝ったことも嬉しいのですが、藤原君に課せられた大きな十字架が下ろされたことが何より良かったと、我々センター応援席は思った事でしょう。
この1戦で、このプレーで藤原君はチームメイトのありがたみが刻み込まれた事でしょう。
こういうのが野球であり、チームプレーの良いところ、ひとりではできないことも、仲間とチカラを併せることで、助け合って突破できる。
ここに、社会的動物である人の本性、サガがあると私は思う。
ひとりひとり、独立した回路が複雑に合わさって、大きな回路となり、敵を飲み込む。
ここに限りない可能性と面白さを感じずにはいられません。
規模の大小はあれど、スポ少もこれに同じです。
こういう感覚を小さいときに持たせてやりたい。
これを実体験としてもっている子は強くなるやり方が分かっています。
強いとは、結果のみではなく、過程の話です。
子供たちみんなが、藤原君のような経験をして欲しい。
失敗しても、周りに支えられ、立ち直って、またチームを支える。
生きるとはこのサイクル。
それを甲子園という大舞台で、見せてくれた藤原君、大社高校には感謝しかありません。

あんなにきれいな一礼はない。

こういう選手をひとりでも多く育てていきたいと思います。

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