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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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ユウシントウマミソラの三連続ホームランをで同点に追いついた高田イーグルス。
俄然、流れはこっちのイケイケドンドン!
一気に、逆転へと舵を切ろうとしますが、坂下ヒーローズもそう簡単には崩れてくれません。
私の耳には、坂下ヒーローズのセカンドの声が今でも響いています。
世界が終わろうとする中、仲間との結んだ手を離さずに、崩れかかったチームと仲間の心を鼓舞し続ける姿は勇者以外の何者でもありません。
彼の声は、響く。心に響きます。
最近の白獅子県大会、県の王者となった中山さんとの一戦、一方的に坂下ヒーローズがやられる展開になっても、彼の声は枯れることはありませんでした。
暗闇の中の一筋の光。
崩れかけてはいますが、彼のような漢がいることで、
「まだ、俺たちは終わっていない!」
闘志の火が消えることはありませんでした。これが次に繋がります。

反対に浮かれて、雑で大雑把な攻撃になってしまった高田イーグルス。
のちにあるコーチが言ってました。
「追いついたことで満足してはいけなかった。あの場面は一気に逆転して、相手のやる気を打ち砕いておくべきだった。」
そのとおりでした。
こちらが、追いついた「ここ」が、勝負の分岐点だったのかもしれません。

イケイケドンドンの高田イーグルス。
三者連続ホームランということは、次の四者連続ホームランを狙うのが、人間のサガというモノです。
バッターは、キャプテン、カナト。
名を上げるには絶好の機会です。
勢いという、見えないチカラも彼の背中を押してくれるでしょう。
坂下ヒーローズのエースも3本、打たれはしましたが、目は死んでいません。
セカンドの勇者をはじめ、バックもベンチも保護者もみんなで、瓦解を食い止めています。
古代ギリシア、映画「300(スリーハンドレッド)」、スパルタの防御陣形「ファランクス陣形」を思わせます。
もうこれ以上は、打たせない。
チカラのこもった快速球の前に、振り遅れたカナトはファーストゴロ。
このワンアウト、大きかったことでしょう。
永遠に続くかと思われた攻撃を、いったん切った。
やれる、やれるぞという闘志にまた火がついたことでしょう。
並のピッチャーならば、打ちひしがれて、コントロールが定まらず、ファーボールを連発するところです。
しかし、エース、トウヤ君、並のピッチャーではないですね。
そして、バックもエースをもり立てています。
ボロボロの精神状態をきちんと立て直してくる。いいチームです。
「ココロノモチカタ」をちゃんとわかっています。
このあたり、私を含めた高田イーグルスのピッチャー陣、守備陣、ベンチにも爪の垢を煎じて飲ませたいところです。
続くソウスケもピッチャーゴロで二死。
さっきの勢いはどこに行ったんだ?というくらいに、アドバンテージを活かせていません。

終わった今検証してみます。
このように味方の攻撃が思いのほか上手くいったとき、その時どうするか?
私の今までの経験からは、「じっくりいこうぜ!」ではなく、「がんがんいこうぜ!」です。
初球攻撃上等!
座して待つのではなく、こちらから仕掛け続けることで、主導権を渡さないという意図が有ります。
ただし、この場合、防御を無視するので、上手くいかなかったときのダメージは倍になります。
たらればの話ですが、ここは打たれて精神状態が不安定なエースの様子を見るべく、カナト、ソウスケには待球作戦をするべきだったのかもしれません。
冷静な分析を怠ったか・・・
しかし、一気呵成に打たせて、さらに勢いに乗ることを選びました。それが裏目にでた。
これも結果論。
どちらが良かったかなんて誰にもわかりません。
選んだ道が正しかった、そうなるように準備をしていくしかないんです。
そして、失敗の責任は指揮官が取るのが当たり前。
ここは、次に活かして見せます。

さぁ、二死ランナーなし。
ここで、アウトになれば相手をほっとさせてしまいます。
一息つかせて、さらに勢いを渡してしまう展開。
バッターはキヒト。
彼に期待するのは長打力です。
ただ、最近は当てに走っている。
豪快なスウイングができる筋肉と上背を持っているのに、なんとももったいないところです。
振り遅れましたが、飛んだ場所が良かった。
セカンドの内野安打で出塁します。
3人で終わらなかった。これは良かった。
下位にいきますが、可能性を感じさせる打順に回ってきました。
次はさっき、チーム初ヒットのチヒロ。
2死なので小細工はできません。
ここは、さっきのチヒロのバッティングを信じて彼に任せるほかありません。
しかし、相手も然(さ)るもの、ここで打たせてはいけない、ということをわかっています。
苦しいながらもギアを上げて全力投球。
球威、コース申し分ありません。
チヒロは見送ることしかできませんでした。
坂下ヒーローズはm当たり前のことを、当たり前にできる、気力と体力、ギリギリのところで踏みこたえた。
反対に、高田イーグルスは、すべてを賭けた攻撃を受け止められた。
あと数ミリのところで、城門を突破できなかった。
勝利の女神は、ここをどう見たことでしょう?


それでも、高田イーグルスは追いつきました。
スコアのうえでは、3:3の同点です。
回は中盤です。先は長いが、主導権を離してはいけません。
点を取って、追いついた後、この裏の攻撃を押さえることが最重要課題となります。
そこはミソラもトウマもわかっている様子。
チームに勢いがあって、追い風が吹いているときのミソラは強い。この風を逃してはいけません。
先頭バッターの9番を空振り三振に仕留めます。
よし、乗ってくる兆しが見えました!
よし次。
1番のスラッパー登場。
左対左。ミソラの球威であれば、レフト方向。
何も言わずともチヒロは動いていました。
しかし、強振せずに、しぶとく当ててくる。
予想どおりレフトにクリーンヒット。
次は2番、バントが予想されますが、強打で来ました。
センター前に抜けていきます。
風が変わり始めました。
もはや、さっきの勢いはありません。
五分どころか流れはまたもや、向こうに行きそうな感じです。
意地と意地のぶつかり合い。
そこを、何とか押しとどめようと高田イーグルスも必死です。
声の中心は、ショートアオト。
彼もまた勇者のひとりです。
高田イーグルス、坂下ヒーローズ、どちらも譲れない場面。
ここを制した方が、ぐっと勝利に近づくことでしょう。
3番をセカンドゴロに討ちとって二死。こういう時のアユキ!
彼のところに行くと安心します。
あとひとつ、あとひとつで、押さえることができます。
打たせるものか!VS絶対に打つ!意地と意地のぶつかり合い。
このクソ暑い中、飲み込むつばさえもない、渇いた状況。
ピッチャーがモーションに入ると声をだせなくなるという沈黙が蝉の声を際立たせます。
全てが次の一球で決まるという場面、刹那、ボールはショート、アオトを襲います。
強いが、討ちとっているか!
ポジショニングは良し!しかし、強いバウンドがイレギュラー気味でした。
そして、正面に入れていません。
前に出ない。出ないというか出れない。
それでも、なんとか止めようとする姿勢は見えました。
しかし、むなしくも、アオトの闘志を打ち砕きなが、ボールは抜けていきます……が、あっ!?その延長線上にいるはずのセンターが見えません。
ショートの位置は左中間に繋がっています。
むなしく転がっていくボール。カバーを怠ったセンターとレフトに待っているのは、チームを敗北に導く罰ゲームのごとき追走。
後ろから回り込むこともできない、無為無策の、なんとも間抜けな、曲線を描きながらの追走となります。
カバーを怠り、ショートを抜けた瞬間に、「あっ、やべ!」とビクッと動くセンターの慌てる姿が見えました。
抜けたか・・・意味するところはホームラン、逆転されます。
昔であれば、怒りに我を忘れて、がっとばしていました。
しかし、ぐっと押さえる。押さえます。
歯を食いしばって、拳をぐっと握りしめます。
ふぅ~っ。
そして、天を仰いでひと息ロングブレス。

なぜだ?と自問します。
ここに次に強くなるためのヒントがあります。
しかし、今はまだ試合中。
付箋を貼る程度に、意識付けをします。
この暑さ、二試合目、中盤、試合が動く分岐点、緊張、張り詰めた糸が緩んだか?
ショート、正面に入りきれなかった。
センターもさっきホームランを打って走ったことで、疲れもピークに達していることでしょう。
情状酌量の余地……なんてねぇ、そんなのはありません。
怠ったという事実はいつか、彼に突きつけてやらねばなりません。
しかし、試合中の反省なんぞ、クソの役にもたちません。それはコーチも言っています。名言ですね。
スリーランホームランとなり、ふたたび、3点ビハインドとなります。
二回目のアッパーカットをもろに食らった。
二度目のダウンです。高田イーグルスの誰しもが、がっくり下をみる。
ショートアオトは泣きじゃくり、エースミソラの心はボッキリ折れます。
しかし、この高田イーグルスには、坂下ヒーローズのセカンドの勇者のような選手は残念ながらいてくれません。
みんなが下を向いてしまう。繋がっていたチームワークが寸断されてしまった。
こうなると脆い。
甲子園の強豪チームであっても、均衡が崩れると一気に瓦解してしまいます。
どこかで、誰かが食い止めなければなりません。

ここですが、いくら大人が言ってもだめなんです。
彼ら自身の内側から、「まだ、終わってない!まだ、諦めない!」、そういう気持ちがわいてこないと、それはチーム全体に伝染していきません。
そして、そうならないとこの状況を打破して、勝つことはできない。
笑顔で終われません。
敗北のテンカウントが鳴っています。

動揺したミソラは、頭にデットボールを当ててしまい、さらに動揺してしまいます。
浮き足立っている。平静でいられない。
それはそうでしょう。
攻め込まれているんですから、そんなのは当たり前です。
ここで、思い出して欲しいのは、普段の練習です。
私はこれだけやってきた、だから大丈夫と思えるかどうか?
そして、それは一人ではやってこれなかった。チームのみんなの顔を見ることで、自分たちを奮い立たせねばなりません。
一回といわず、何回も弱気になってもいいんです。
しかし、ゲームセットのコールがかかるまで、何回でも立ち直らなければいけません。
ここをぶん投げるようでは、進歩はありません。
そこにいる限りは、終わるまで全力を尽くすこと。
それが、次に繋がります。

そして、当たり前のことを当たり前にやること。
これでしか、自分たちのペースを取り戻すことはできません。
どうしよ、どうしよ、やばいやばいという動揺の嵐を乗り越えるためには、ゆっくり呼吸して、落ち着くこと。
ミソラは、キャッチャー、トウマのミットをめがけて投げ込むこと。
ベストを尽くすしかありません。
ベストを尽くして、打たれてもその時はその時、それはそれでいいじゃないですか!
だって、これ以上はないというほどのベストを尽くしたんですから。
だめなのは、準備を怠った無為無策。
これは、なんの進歩にもつながりません。そして、やる意味がない。
そんなプレーが面白いか?
そんなプレーをしていた、自分が許せるか?
そんなプレーをして、チームに迷惑をかけていいのかということです。
私が許せないのはここです。ここをごまかしている奴は、本当の面白さにたどり着けません。
本当の歓喜の涙を流すことはできません。
そのプレー、ほんとうに全力の準備をしたうえでのプレーだったのかと聞きます。
聞かなくてもわかります。
そこは、見逃さないようにしているつもりです。
結果はどうあれ、全力チャレンジ。これができる人になって欲しいと願うばかりです。
デッドボールを当てて、さらに傷が深くなりそうですが、バッテリーも踏ん張ります。
ファーストゴロに討ち取ります。
ここで珍しく、感情を表にだして、「オラぁ!」といってベースを思い切り踏みます。
いつもびくびくして、自信のなさそうにしてたキャプテンが気を吐くまでになりました。
状況がわかっているからこその気合の入れ方。
負けてはいますが、ゲームにのめりこむ事を覚えてきたようでした。
彼なりに、なんとかしようとしている。
これは進歩です。

さて、それはおいといて、まだ終わっていない。
ここから逆転をめざします。
「さっき3点を跳ね返した。1回できたんだから、もう1回できないはずなんてない!」
と檄を飛ばしますが、暑さと疲れ、そこにきて精神的ダメージが重くのしかかります。
絶望が高田イーグルスを包んでいます。
大半が、もうだめだ、負ける、勝てないと諦めている。
こういう状況は、いままで何度も何度も味わっています。
ここなんです。
その人の、そのチームの本性がでるのは。
そして、それは変えることができます。
何回もいいますが、人は弱いモノです。
なので、強い者や自分に不利な状況を目の前にして、絶望したり、諦めたりするのは、当たり前のことだと思います。
問題は、その後。
その後、どうするか?
ここを、スポ少という小さなコミュニティで練習していると私は思っています。
今の世の中、鬱や精神的不安定を否定しない世の中になってきています。
諦めたり、逃げたりすることを否定せず、受け止めている。
自我が崩壊するよりは、逃げてもいいとしている。むしろ、逃げろと言っています
命の危険がある場合は、すぐにでも全てをぶん投げていいと思ってます。
しかし、そう簡単には引けない場合もある。
世の中の多くの人がこのギリギリのところで頑張っているんじゃないでしょうか?
あれもこれもに追われて、ままならない。
たけども、なんとか打破しなければいけない。
なんとかゴールまでたどり着かなくてはならない。
どうあっても、この困難な状況に立ち向かわなくてはいけない場面もあります。
それが、今の崖っぷちの高田イーグルスの状況と重なります。
絶体絶命。
ここからでしょう。
ここから、どうするか?どうしていくか?
それをみんなで考え、実行していくこと。
もう一回、ひとりひとりの心を整え、準備をして、チャレンジしていくこと。
例え負けたとしても、それは次に繋がります。
投げやりになってもいいことはありません。
時間の無駄です。
物事に真摯に取り組む姿勢。
これもスポ少から教わることです。

それが、今の高田イーグルスに試されています。
弱気になった心をもう一回奮い立たせる。
そのためには、いつもやってきたことを、もう一回確認して、取り組んでいくことです。
一発狙うとか、大きいことをやりがちですが、崩れたものは一気には、もとに戻りません。
再度地道に少しずつ積み上げていくしかないんです。
原点に帰る、基本に帰る。
それが、一番の近道。
これにたどり着くには、それなりの経験と時間がかかりました。
分かる人には、分かると思います。
基本に返る前に、もう一回モチベーションを戻せるか?という大前提があります。
チームが諦めてしまっては、キセキはおこりません。
心に思わなければ、何もおきない。
目標は、頭で考えて、心で思って、声に出して、言葉に書いてこそ、実現に近づきます。
やれる!と思わなければ、キセキはおこりません。
この逆境を跳ね返すメンタル。
それが今の高田イーグルスにできるか?

結果から言えば、この後の攻撃は全て三者凡退に討ちとられ、守備はバッテリーが崩壊、そこをバントで揺さぶられて、さらに瓦解。
声は虫の声、マウンドで孤独に泣きじゃくるエースを鼓舞するどころか、チームは見殺しにします。
精神状態がメタメタ、ボール連発で、試合がつくれなくなった。
たまらず、ユウシンを投入しますが、この流れを断ち切ることはできませんでした。
最悪の流れ、さらに一試合目の疲れもあって、彼も制球困難。
ここにきて、一方的な展開になりました。
3点を追加され、ここでタイムアップ。
3:9の竜頭蛇尾で終了となりました。
高田イーグルスの県大会への挑戦は、ここで終わりました。
後味の悪い、敗戦。
力を出し切れなかった、出させなかった坂下ヒーローズさんが一枚上だったということです。

負けた。
久々に負けたと思わせてくれる試合でした。
そして、悔しい。
46にもなると、たいていのことは「まぁ、仕方ないな!」と許せますが、今回は悔しい。
そして、なぜだ?と自問が止まりません。
もう一回立て直さなければならない。
そのためにはどうするか?
あの時どうすればよかったか?
失意の中で、刀を研ぎ始める私がいました。
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長い間生きてきて、肉眼で三者連続ホームランを見たのはその日がはじめてでした。 
同じ日に、虹を3回見るとは!
46のおっさんが、両足連続ジャンプで喜ぶ姿、誰も想像できないでしょうし、したくもないでしょう。
人目もはばからず、こんなにも喜びを全身で表現せざるをおえない。
そして自然と流れる涙。歓喜に震え、泣いています。
こんなことってあるんですね。
この2番ユウシン、3番トウマ、4番ミソラの三者連続ホームランをを見て、心が動かなかった人はいないでしょう!
それほど、キセキにあふれている。
どっかのホームページで探しましたが、バース掛布岡田の三者連続ホームランの確率は、630/209019、約0.3%。この三人でも1000回やって3回できるかできないか、まして、ユウシントウマミソラの三人だとしたら、さらに確率は低くなります。桁が下がる。
おそらく、10000回に1回くらい。約0.01%。
それを、この白獅子会津予選のこの場面、3点ビハインドのこの場面でやってのける。
ホームラン3本で追いついた。
これをキセキと言わずしてなんと言うでしょう。
二者連続はたくさん見てみました。
しかし、三者連続となると・・・
ユウシンが追い込まれて意識をライト方向にしてしぶとく振りぬき、トウマが豪快にセンターオーバー。
二者連続ホームランに沸くベンチ、これまでの負けムードの暗雲に、強引な虹を架けて、自分たちの空に晴れをもってきている・・・そしてそれは現在進行形で続いています。
ここまでくると、「よし!バース掛布岡田だ。ミソラ、岡田になれー!」と冗談で檄を飛ばしました。
冗談だったんですよ、冗談。それが現実になる。
ミソラが放った打球はレフト線を切り裂き、高田イーグルスの未来を切り開きました。
そう、これなんです。ノンフィクション。目の前のリアル。現実は小説よりも奇なり。
こういうのがあるから、スポ少はやめられません。
子どもたちの可能性、その無限の広がりを、私たち大人に教えてくれます。
念ずれば通ず、一生懸命にやれば、できないことなんてない!
それをユウシントウマミソラは証明してくれました。
スラムダンク、安西先生の名言が聞こえてきます。
世の中捨てたものではない。これまで何度も子供たちから教わってきたことです。
この打順で良かったんですよ。この打順でよかった。


ただ、物語はこれでハッピーエンドを迎えることはできませんでした。 
普通であれば、この流れで押し切るところ。
しかし、最後に笑顔で立っていたのは、坂下ヒーローズさん。
高田イーグルスは、涙に打ちひしがれ、勝負の非情さをかみしめることになります。
それは次回。


白獅子会津予選、二日目です。
そして、運命の代表決定戦。
相手は大方の予想通り、盟友坂下ヒーローズさんとなりました。
どちらも1試合を終えて、負けてきています。
そして、おそらく向こうもこの代表決定戦に標準を絞ってきている。
向こうも我々と同じことを考えているはずです。
この一戦に全てを賭けてくる。

試合前に選手を集めていいました。
この一戦は、大事な一戦になる。
この一戦を勝つことで、お前たちはとんでもなく成長する。
だけど、それは相手も我々と同じように一生懸命に戦う気持ちがある。
だから、面白いんだ。
だから、こんなに緊張するんだ。
緊張していい。
緊張しないやつなんていないし、そいつはおかしい。緊張していい。
だけど、思い出せ。
いつもの練習を。いつもの動きを。
ひとつでいい。お守りを持っていけ。
みなこコーチは、お前たちにそのお守りを渡した。それは形になってる。
たけど、俺たちコーチのみんなも、お前たちにすでにお守りを渡している。
それは、守備の時にそえる右手、打球に入るタイミングの取り方、打球に反応するためのピッチャーとのシンクロ、バッティングではトップの取り方、バットを斜め、バッターボックスの使い方、いろんなお守りをすでに渡している。
緊張してる中では、三つも四つもできない、ひとつでいい、ひとつのお守りを思い出せ!
最後は、当たり前のことを当たり前にできた方が勝つ!
それは、お前たち、高田イーグルスであって欲しいと!

今年のチームはまだまだ、幼い。
だから、戦略や戦術のことをあれこれ言っても頭には入らないでしょう。
むしろ、混乱するもとです。
あれこれやろうとせずに、目の前の1個に集中させること、これを選びました。
それが、コーチのみんなからのアドバイス=「お守り」なんです。
なんでもいいから、ピンチの時にすがるモノ、それを持っていけと。
私は昔、これをバケモノの子にちなんで、「胸の中のいっこの剣」と言ってました。
あの映画大好きです。
(熊鉄、だめだめだけどやるときはやる、完全無欠の理想ではない、突っ込みどころ満載の人間くさいあんな指導者が私の理想です)
我々は、その剣をみんなに授けてきました。
今こそ、その剣の真価を発揮するときです。
その真価が発揮できたとき、最後に立っているのは高田イーグルスであるはずです。 
 
まずは初回、猪苗代さんの時のような初回を構築できれば勝利はぐっと近づきます。
猪苗代さんを相手にできた。
この坂下ヒーローズさんを相手にしても、できるはずです。
どうやら今年のイーグルスは、先制パンチが大好きな様子、先攻をとってくる傾向があり、先に調子に乗りたいようです。
でも、反対にそれができなかった場合の反動は?
まぁ、そこはやる前から考えない。
しかし、3人できっちり討ちとられてしまいました。
ん?なんか調子にのれない。暗雲が少し。
初回裏、今度は坂下さんの攻撃。
過去に何度も戦っています。
その度に有利な展開にしてきましたが、今度ばかりはそうはいかないようです。
坂下さん、エースミソラと高田イーグルスの守備陣の研究を徹底してきているようです。
普通に打たせることは、まずやってきません。
ミソラにペースを作らせません。
なにかをやるぞという、バントの構えを初回から徹底してやってきます。
それでも、ミソラも守備陣もバント対策は万全といえないまでもやってきました。
ここにも、我々のお守りを置いてきている。
しかし、坂下さんのバントも鍛えられています。
いいところに転がしてくる。そしてコツコツ当ててきます。
いつも通りに空振りをとれないミソラのフラストレーションが少しずつたまっていきます。
これも作戦だとすれば、坂下さん、大した戦略家です。
ですが、このくらいの揺さぶりに負けているようでは県大会には進めません。
こんなの打ち砕いて当然、こんなのでやられていては、真のエースにはなれません。
ランナーを出しながら、ファーボールを出しながら、味方の堅守にも守られてゼロに押さえます。
こういう時のセカンド、アユキの堅守は頼りになります。
総体の磐梯戦のミス、その教訓がきちんと彼の中に活かされている証拠だと私は思います。

6番まで攻め込まれましたが、ゼロに押さえた。
ひと息をつけますが、明らかに坂下ヒーローズさんのペース。
流れは向こうです。
この流れを変えるためには、なんとしても先制パンチ。
先に一発いれることで、自分たちを落ち着かせることができるはずです。
しかし、そうはいかのなんとか。
4番ミソラから始まる主軸が3人で押さえ込まれます。初ヒットどころか、ファーボール、エラーでさえも塁にでることさえできません。
2回まで完全に押さえ込まれます。
こうなると流れは向こうにいってしまいそうになります。しかし、ここが我慢のしどころ。
人生なんでもかんでも上手くいきません。
上手くいかないときこそ、自分たちのやるべきことを淡々とこなしていくことに全集中をするべきです。
ここが我慢のしどころ。
こういう時は得てして、エラーやファーボール、ミスも起きやすくなるんです。
ここが女神のイタズラ。
それでも、みんなのチカラを結集して、ここをなんとかゼロに押さえなければいけません。
マストなんです。
ここに普段の練習がでてきます。
こういうときこそ、集中力のギアをあげる必要があります。

そして迎えた2回の坂下ヒーローズの攻撃。
先頭バッターにまたセーフティバント。
それを見越していたピッチャーミソラはフィールディングに入りますが、状態が高い、その上早い打球。
捕れませんでした。
この練習はしてきた。低い姿勢での捕球。
まだ、無意識で出るまでには落とし込めていなかったようです。難しい。
先頭バッターを出してしまいます。
討ちとった当たり、それをミソラ自身がエラーしたという事実がさらに重くのしかかります。
情緒の不安定さがもろにピッチングに影響するタイプ。だから、いいときは限りなくいい。
しかし、反対は……
次のバッター、下位打線なんですがファーボールを与えます。
次は9番。
ここはバント、わかっています。
守備体系を捕らせます、バント!
ボールは転がらない、ホームベースの前、
ピッチャー、サードが捕っては間に合いません。
ここは、キャッチャー、トウマですが、1秒いや2秒、動きません。動けません。
ただ、ただ見ている。傍観者。
ここ、こういう所の訓練がまだできていない。
無警戒は弱さです。
プレーの前に、自分におこるであろうプレーのシミュレーションができていません。
真っ白、無為無策、これは怠惰以外での何ものでもない。
無為無策でやっていいのは、天才のみ。
ただでさえかなわないのに、凡人はあらゆる可能性を予測して動かなければ、強者にはかなません。
バントのボールをただ見てるトウマ、弱肉強食であれば、食われるだけの弱者でしかない。
アウトカウントをスコアラーに確認します。
ワンアウトくらい捕っててくれという期待を持ちますが、ノーアウト……
そして満塁。
序盤の最大のピンチを迎えます。
ピッチャーも、キャッチャーも、内野も精神状態は、やべーやべーやべーの嵐。
そして、打順は上位に回ります。
ここは、2点いや3点は覚悟します。大きく崩れないことだけを注意します。
1個1個をアウトを取ることを意識させます。
このあたり、うろ覚えです。間違ってたらごめんなさい。
1番は、あのスラッパー。
曲者です。なんでもできる。
そのうえ三振もなかなかしないタイプ。
サードゴロ、満塁なので、バッグにフォースプレー、ワンアウト満塁。
2番はショートに討ちとった当たりでした、がショート、エラー。
そして、3番にセンター前、ユウシンみごとなバックホームでホーム突入を阻止しますが、計三点を献上します。
先制パンチするどころが、された上に3点、重い3点。
そして猛暑が私達の体力と気力を奪っていきます。
7,8,9の下位打線から始まります。
落ち込む雰囲気の中、ひとり気を吐いたのは8番チヒロ。
体がおれるんじゃないかと思うくらいの全力スイング。少し前まで、バットに振られていましたが、ここ最近はレベルスイングになりつつあります。
振りに鋭さと正確さが出てきました。
チームの初ヒットは、チヒロから!
反撃の狼煙をあげました。
まだ回は序盤、焦らず1点1点とることを選びます。ラストバッターのアユキにはバント!
追い込まれますが、ここはアユキに賭けます。
しかし、スリーバントでアウト。
際どいところを狙うあまり、引き手が安定せず、その上、あたった瞬間に引く癖が出てしまいます。
チヒロを送れません。
こういう細かいところの精度を上げていく必要があります。
1番アオトも倒れて、チャンスをモノにできなかった。
猛暑と重苦しい雰囲気が高田イーグルスのベンチに漂います。
流れは坂下ヒーローズ。
このままでは、いけない。このままでは、終われません。
下を向いている彼らをどうやって立ち直らせるか?
さて、どうするか?
次回!

福島県内の頂点、やはり聖光学院でした。
安定した投手力と守備、ここぞの打撃、所作、取り組む姿勢、勝ち上がるのに相応しいと言うべきでしょう。
甲子園での快進撃を期待したいです。
一方で、3年生は即引退、2年生以下のチームが始動しています。
この時期になると思い出します。
調子に乗って先輩に怒られたことを。
どうしてかというと……

夏の大会に負けるということは、当然ながら3年生は即引退、次の日から練習に来ません。
部室の明け渡しがありました。
それまでは、野ざらしの軒下が1年生の部室でした。
それも終わりということで、私は調子に乗って
「俺たちの時代が来た~!」と叫んでしました。
それをたまたま聞いていたのが、2年生。
3年生と苦楽をともにしてきた2年生でした。
しかも、1番熱い漢(おとこ)。
「なんだ!おめぇの時代がきたのか!調子こいてんじゃねえぞ!」と激怒ですごんできました。
それを見ていた他の1年生は、笑いながらも私と同じことを思っていたはずです。
見てろよ!2年、レギュラーを取ってやる!と。
ここからが、私達の本当の高校野球の始まりでした。
あん時怒られた、ねもっさん、元気かなぁ?


さて、戻します。
王者猪苗代さんを相手に初回の攻防を制した高田イーグルス。
しかし、世の中そんなに甘くはありません。
微動だにしなかった王者の反撃があるはずです。
それをどう凌ぐか?
このまま運も続くとも思えません。
こちらがほころびを見せずに、ロースコアで終盤まで持ち越せば、一寸の光明が見えてくるはずです。
ここからが、より困難な戦い。
チームとしての真価が問われるところです。

ほころびを見せないということは、ノーエラー、ノーファーボールです。
打たれるのは仕方ないにしても、こちらから崩れては相手につけいる隙を与えることになります。
なるべくランナーを出さずにいくこと。
特に回の先頭バッターを討ちとっていくことが大事になってきます。
先頭バッターは、ランナーもいないから思い切った勝負ができます。
そこにまんまとはめていくこと。
「あれっ?なんか調子でないなぁ~」と思わせることで、焦りがでてくる。
焦りは焦りを呼び込みます。
そして、進んでいく時間。
高田イーグルスはなんとかこの「沼」に引きずり込みたいというのが、戦略です。
これが守備からリズムを作ると言うことなんです。

しかし、先頭をファーボールで出してしまいます。もちろん、ピッチャーだって、ファーボールを出してくて投げている奴はいないでしょう。
それは分かっている、分かっているんですが、高田イーグルスがもうひとつ上に行くためには、ここをなんとかしなくてはいけません。
リズムが掴みきれない。
反対に、次は何をやってくるんだ?と不安になってしまいます。
盗塁もある、バントもある、エンドランも……
前進もしなくてはいけない、ランナーの警戒も……選択肢が増えることで、ひとつひとつの対策の集中力を分散されなくてはいけません。
これがエラーのもとになります。
人間やることが多くなるとパニックになります。
まして、それが同時多発するともうお手上げです。
訓練である程度まではいきますが、個人の対応力に任せるしかありません。
あっ!?これだ、あの場面だと瞬時に気づけるか?
ソフトボールは、ひとりではできません。アウトに絡むプレーヤー全員が、ひとり、ひとりがそのに気づくことができるか?
脳細胞の電気信号がビビッと一瞬で繋がることに似ています。
これが難しい。
ここがチームプレーの難しさ。
ほんと、難しい。
だからこそ、これができたときの達成感は個人競技の比ではないと、私はかってに思ってます。
人間は社会的動物であることの証明だと思います。
組織の歯車のひとつでいい。
確率は低い。
その全ての歯車がきちんと動いたとき、自分たちより強い巨大な相手を倒すことができます。
これがあるからチームスポーツはやめられません。
ここをどれだけ練習でどれだけ研ぎ澄ましてきたか?が問われています。
だからこそ、打たれた時は仕方がない。
まだ、アウトにできる可能性がゼロではないんですから。
しかし、ファーボールは可能性ゼロ。
なので、時としてヒットよりもダメージがでかい場合があります。
いいピッチャーになる条件はまずここです。

覆水盆に返らず。出してしまったものは仕方ありません。
この仕方ないという、空気、これもチーム全体から潤滑さを奪っていきます。
これを払拭するためには、さっきのように盗塁を刺したり、バントを阻止したりする高度なプレーが要求されます。
小さいヤマ場を守備的視点から取っていくしかない。
面倒なことに、ランナーがいればいるほど、そのプレーに要求されるレベルは上がっていきます。
レベルが上がるということは、エラーの確率も上がるということ。
反対に言えば強いチームはそれができる。
それができるから、強いチームだと言えることになります。
まさに猪苗代さんはそういうチーム。

対してイーグルス、まだその実力はないとしか言いようがありませんでした。
ピッチャーユウシンのコントロールが微妙に狂い始めます。
この試合終わってみれば、全ての回の先頭バッターをファーボールで出しています。
相手もよく見ている、先頭バッターとしての役目を分かっていると言った方がいいでしょう。
初回はキャッチャーの強肩、バックの好守備でなんとか防ぎました。
しかも、今回は次の代表決定戦のためにエース、ミソラを温存すると言う方針。
コントロールが定まらないからという理由で、序盤に投手交代もできません。
ここは、ユウシンにがんばってもらうしかありません。
2回にファーボールを3つ出しながらも、2点、同点に抑えます。
ここで一気に崩れなかった。
2回まできて、同点に持って行かれました。
しかし、猪苗代さんを相手にまだまだ互角、点数上ではありますが、互角の戦いを繰り広げている。
依然として、士気が高いのが救いです。
ユウシンも強力打線のプレッシャーを受けながらなんとか凌いでいる。
真ん中に入ればもっていかれるという恐怖と戦っています。ギリギリの戦い。
これが今後の自信に繋がっていってくれればいいなぁと思いました。

しかし、その願いは崩壊します。
ランナーをためられた後に留めの1発。
そう、これなんです。
大事なところ、欲しいというところで、きちんと打つこと。だから、強い。
打たれた球も決して甘いところではありませんでした。
むしろ、高めの釣り球、ボールだった。
それを振り抜いた。
スラッガーの一撃は、右中間を破り、高田イーグルスの命脈を断ち切りました。
そこからは、一方的な展開。瓦解しました。
ここを食い止める力は今のイーグルスにありません。
やはりというか、やはり負けました。
まだまだ、足りない。
猪苗代さんの牙城のふもとにやっとたどり着いたに過ぎません。
今はここまでか!
しかし、当初の目的は果たしました。
猪苗代さんを相手に、2回までは互角の戦いを演じることができました。
そして、ミソラも温存できた。
もう少し言えば、1回スリーアウトをミソラでとって、よっしゃぁいける!という自信をつけてやりたかったところですが、時間切れでたいした投げさせることができませんでした。
ここは、いいように考えましょう。
初回から一方的な展開も予想されましたが、最初に噛み付けた。クリーンヒットを叩き込むことができました。
そして、早い段階でやられた。
そのために、体力は温存できた。
フルタイムで戦い、抜け殻のような状態では次の代表決定戦は戦えません。
しかし、この猛暑、思ったより選手の体力と気力を奪っていると思いました。

それでも、私が思ったよりもいい精神状態で、やる気を保ったまま次の坂下ヒーローズ戦を迎えることができます。

ミソラの体力を残してしてる。
打撃も好調、キャッチャーの肩も外野も調子がいい。
選手も保護者も士気が高い。
いい条件がそろっています。
後は、やるだけ。
久々の代表決定戦という大舞台。
磐梯山は何も語りません。
ただ、雄大な緑で我々を見守ってくれています!
さて、どちらに味方してくれることやら……
次回、運命の一戦!


あいまいなご都合主義的な方針で始まった猪苗代戦。
ここ最近悩んでいた「打順、一番問題」。
ここもコーチたちと話し合って、一番をユウシンに、二番をアオトにしました。
ユウシンは、守備も打撃もユーティリティ。
状況に応じた対応ができる。
アオトも守備に攻撃に起点となりますが、ここ最近の出塁率はさんざんで、本人も自信をなくしつつある。
良くも悪くも感情を表に出すアオトが、打てなくてベンチに戻ってきて、涙ながらにバットを戻す・・・そんなシュンとする姿は、リードオフマンとしてはふさわしくありません。
で、あれば別なアオトの活かし方があります。
アオトのもうひとつの得意技のバントで、ユウシンをスコアリングポジションに送るというストーリーが見えてきます。そこから、この打順になりました。

その思い描いたストーリー。
その思惑どおりの展開で、初回を迎えました。
ユウシン、追い込まれながらも際どいところを見極めます。
こうすることによって、この試合のアンパイアがどんなコースをとって、どんなタイプの主審なのかを見極めることができます。
フルカウントになるも、最後も見極める。
ファーボールを選びます。
うん、いいバッター!
ヒットを量産するバッターは確かにすごいですが、なんらかの形であれ、初回にきちんと出塁することができるバッターは、間違いなくいいバッターです。

さて、どうする?
ユウシンならば、スチールも仕掛けられる。
しかし、アウトになると一気に流れは向こうにいく。
強敵であればあるほど、先制点の重みは大きくなると値踏みました。
バントを命じます。
アオト、一発できめてきます!
よし!いい2番!
アオトがいいのは、速球にびびらず、球筋を見極めて、しかもヘッドが下がらないところ。
ランナーの有り無しでも、状況によって構えたり、構えなかったりもできる、その対応力の高さです。
そしてこの強敵相手の序盤の大事な場面で、一発で決めてくる勝負強さ。
たいぶお父ちゃんに鍛えられています。

さぁ、先に王手をかけたのは高田イーグルス。
先制すれば主導権を握ることができるという、序盤のヤマ場にさしかかりました。
迎えるバッターは、3番トウマ。
今の高田イーグルスの中で、得点圏にランナーをおいてという場面では、1番信頼できるバッターです。
トウマは、そのみんなの期待に見事に応えて見せました。勝負強い!
センター前ヒットでユウシンはホームに帰ってきます。
いい3番!
ここで打ってくれと言う場面で、きっちり打ってくる。トウマはたいしたもんです。
わずか三人で猪苗代さんを相手に1点、先制点をもぎ取ります。しかも、この回、ヒットで残っていたトウマも相手のミスに乗じてホームに帰ってきます。 
初回に2点というアドバンテージを手に入れました。今の高田イーグルスでいえば、上出来すぎる結果を引っ張ってきました。
まずは、立ち上がりで、強烈なアッパーカットと右フックを叩き込んだというところでしょうか!
しかも、これだけでは終わりません。
初回の裏、先頭をファーボールで出してしまいますが、すかさずの盗塁をキャッチャートウマがナイススローイングで阻止。相手の出鼻を、ぼっきりくじきます。
とってからの早いこと!
ここでも金曜のバッテリー練習が活きています。
ファーボールで出したランナーズをすかさず盗塁刺。
トウマキャノン炸裂。
盗塁を当たり前に刺す。これって大事です。
このキャッチャーからは容易に走れないなという印象を与えることに成功しました。
この後の相手の戦術、試合展開にも影響してきます。
小さいヤマ場をここでもとった。
さらに、好プレーは続きます。
豪打の猪苗代さん、三振を取ることは難しく、内野ゴロで打ち取ることも難しい。
どうやったって、外野にボールは飛んでいきます。
しかも上位打線、覚悟はしていましたが、最初の外野はよりによってライトのキヒトのところへ。
あ~と思いましたが、普通ならば打ち取ったあたりでライトの守備範囲内。
キヒト、落下点に入りますが、オーライは聞こえず、両手で構えない。
捕れるのか、捕れないのか、判断がつきかねますが、ボールはポケットに入り、飛び出しそうになりながらも、握力で抑えました・・・
私はこの間、息をしなかったと思います。息ができなかった。
かたずをのんで、見守ることしかできなかった。
キヒトのグローブから半分ボールが落ちかけて、バニラのソフトクリームをもっているかのごとき仕草。それでも落とさないで、なんとアウトにできました。
ぶぅはぁ~というため息で、呼吸を再び開始します。
あぁ~よかった~。なんとか捕っている。
運も味方している。
この時は、ソフトボール神様が、こちらに微笑んでいてくれていました。
ツーアウト。
ユウシン、ファーボールを出してしまいますが、最後はセカンドゴロをアユキが軽快にさばいてスリーアウト。
初回の攻防、2:0で高田イーグルスの優勢で派手に幕はあがりました。
戻ってくるナインを、てんやわんやの喝采で迎えるベンチ。
こういうのなんです。チームの一体感。みんなで、たのしいと思えること。これですよね。
しかし、私は次に備えます。
当然ながら猪苗代さんは、まったく動揺していません。
こんな戦い、展開は何回も経験済でしょう、さすが百戦錬磨。
このままで猪苗代さんが許してくれるはずがない。
ラッキーがこのまま続くはずがない。
しかし、要所要所を守り切ること、数少ないチャンスをものにすることで、王者を追い詰めることはできる。その手ごたえをつかみました。
こいつらがここまで、できるようになっている。感動の武者震い。
これは大きな成長です。
そして勝負師としての勘を働かせます。
どうやって、勝つか?
本気になった猪苗代さんを相手に、この後取って1点とれるかとれないか、
守るほうは、ユウシンがどこまで持つか?
打たれるのは前提として、ファーボールで崩れなければ、運を味方にして、終盤までロースコアに持ち込めば勝機あり。
そんな未来予想図を描きますが、限りなく可能性が低いことはわかっています。
しかし、今は王者を相手にリードしている展開、いままでならば想像でもできなかった状況です。
100回の1回の勝利の可能性が、50回に1回くらいになったかもしれません。
選手たちの可能性を引き出してみたいという欲求にかられます。


猛暑の磐梯山のふもと。
晴天の空に、暗雲が少しずつ出始めたことを、私たちはまだ気づいていませんでした・・・
白獅子会津予選、二日目。
今の中学三年生、ユウキ世代以来の二日目です。
あと、ひとつ勝てば県大会。
さらにもうひとつ勝てば会津の頂点に立つことができます。
このベスト4は強敵ぞろい。
限りなく遠い優勝。
しかし、やるからには最善を尽くします。
ベスト4の最初の激突は、猪苗代さん。
全国大会に行くときに作ったであろう、蛍光黄色の今風のユニフォームが目立ちます。
まさに威風堂々、がたいも良さも手伝って、強さを誇示しているようです。
今まで見てきた会津のチームのユニフォームっぽくないと思うのは私だけでしょうか?
猪苗代さんもいろんなスポ少を統合してきました。
合従連衡し、猪苗代というひとつのチームになるためには、ある種の変化が必要なのかもしれません。
かくいう高田イーグルスもユニフォームを決めるときは、それなりにぶつかったことを記憶しています。
が、しかし、一旦くっついてしまえば、ユニフォームのデザインよりも中身が大事だということに気づきます。
そんなストーリーがあったかどうかは知りませんが、猪苗代さんのユニフォームはここ近年の強さの象徴になってきています。
高田イーグルスは、準決勝で、その猪苗代さんとあたりました。

強いのは分かっています。
安定したバッテリー、堅い守備、破壊力抜群の打線、ここぞの機動力。
その背景には、監督を中心とした指導者の的確な指導と育成がきっちりかみ合っている、と私は見ています。
指導者の多いこと、そして保護者も熱心な方々が多い。
おそらく、町のバックアップもあると思います。
これで、強くならない訳がない。
それともうひとつ、雪の多い地域は冬場にスキーをやります。
そのスキーが体幹の鍛錬になっていると私はみています。
好条件がそろっている。
そんな中で、子供たちがソフトボールを思い切り、楽しんでいます。
猪苗代という土壌が、そういう土壌だと思うんですよね。
田島、南会津、只見なんかも似たような感じを受けます。
町を挙げて、スポーツを楽しめる環境がある。
かつての少年少女が今、保護者になり、自分の子どもたちと一緒にまたスポーツを楽しむ。
高田イーグルスもそうですが、猪苗代スポ少さんも、その一翼を担ってきたといっていい。
それは強くなるはずです。
しかし、相手を賞賛ばかりしてもいられません。
我が会津美里町もそれなりやってきています。
簡単に引き下がるわけにはいきません。


今の状況は、勝てば即県大会が決定。
負けても代表決定戦で勝てば3位で県大会。
勝っても負けても、県大会にいけるところまで、手が届いています。
問題は、この猪苗代戦の方針です。
選択肢はいくつかあります。

全力でぶつかる
それなりにぶつかる
控え選手をあてる

などなど挙げられますが、今回の戦いの目的地をどこにおくか?
これによって選択肢は絞られます。
優勝なのか?県大会出場をめざすのか?大きくはこの二つ。
当初は全力でぶつかる以外にないと考えていました。
最初からフルスロットル。
しかし、夜に風呂に入って、コーチの言葉を思い出します。
思い直しました。
冷静に分析します。
今の高田イーグルス、猪苗代さんに勝てる見込みは相当低いです。
10回に1回どころか、100回に1回、勝てるかどうか?
あるコーチに言わせれば、絶対に勝てないとのこと。
それだけ実力に開きがあります。それはわかっている。
であれば、猪苗代さんに負けたとして、その次の代表決定戦に標準をあてた戦い方をするべきだろうという段階にきます。
そうであれば、合理的に考えれば、レギュラーを温存して、控え選手をだして、猪苗代戦を戦う。早い段階でコールドで決着がつくだろうから、その次を温存したレギュラーチームで戦う、という選択肢が浮かんできます。代表決定戦に絞るのであれば、これが一番いい。
コンピューター相手のゲームであれば、この策をとります。
しかし、私は考えます。
頭ではわかっていても、なにかそうさせない私もいるんです。
私たちは、コンピューターや機械ではなく、人です。そんなに簡単に割り切れません。
どうすればいいか?
私は導き出した答えは、適度に本気でいく。
なんともあいまいで、中途半端、出たとこ勝負という、一見安易な作戦ですが、考えに考えました。
最初から控え選手を出せば、負けは100%。
はっきりいって、選手に「負けてこい!」というようなものです。
それでぼこぼこにされて、次の試合に、「さぁ、勝つぞ!」とはなかなかならないと思うんです。
戦うというモチベーションを維持しつつ、勝てないまでも善戦する、可能性は限りなく少ないけれどあわよくば勝ちに行くという、なんとも都合のいいどっちつかずの方針。
過去にあったかなぁ……おそらくない。
こういう難しい判断はありませんでした。
今回の目的は、県大会の出場権。
そのために、この猪苗代戦は勝てないまでも、戦力、体力を温存しつつ、戦意も落とさず、むしろあげて次にのぞむ、という形を取ります。
兵法でいえば、あまり上策とはいえない。
二方面作戦は兵力の分散、逐次投入を招くからです。
なぜ、そうするのか?
そこまでして県大会にこだわるのは、今の彼らにとって、県大会という結果にこだわり、それを勝ち取ることで、さらなる大きな自信を獲得させたいという思いからです。
県大会で、さらなる強敵と相まみえる姿を見てみたい。
県大会にいくことができたのなら、彼らは格段に上手くなろうとする、モチベーションアップが半端ではなくなる、選手はもちろん、保護者と指導者もより結束して、絶対に強くなるはずだという目論みがありました。
であれば、勝負に徹して、はなから控え組でいけばいいとなりますが、そこはそうではない。
勝負に徹すると言う意味で、5打席連絡敬遠を許した馬淵監督はすごいと思います。
体力、戦意も維持しつつという、クリア条件もある。
なので、エースを温存しつつあたるという今回の方針をきめました。


試合前に、高田イーグルスの方針を指導者で確認しました。
こういうのもいままでやったことはありません。
複数のコーチがいる以上、意思の統一は必要だと判断したのでやりました。
100%の正解なんて、誰も分かりません。
みんながみんな賛成ではないでしょう。
反対意見もあっていい。
たがらこそ、指導者の意思のすりあわせは必要だと思っています。
集団として戦う以上、方針の統一は必須です。
ソフトボールというものはやってみないと分かりませんね。
このどっちつかずの方針が、思いのほか功を奏することになります。

それは、次回。

今日は子供たちの夏の甲子園、白獅子会津予選の1日目でした。
結果はと言うと、見事、盟友新鶴さんを破って1回戦突破!
終わってみれば、10:2の五回コールド勝ちという快勝でした。

相手のエラーにも助けられましたが、狙ってやったことが、ことごとく上手くいく、という会心の展開。
私たちの意図が伝わり、選手たちが実行し、上手くいくことで、自信をつける。
そして、さらに上手くいくことを狙うという、理想的な展開となりました。

まずは、たちあがり。
ここをいかに無難にたちあがるか?
これって大事です。
ここができなくて、負けていった多くのチームを見てきました。
「0(ゼロ)」抑えて、当たり前なんです。
ゼロに抑えることで、試合の流れを簡単に相手に渡すことはありません。

ゼロに抑えるためには、最初のワンナウト、
最初のワンナウトを取るためには、そのバッターに対する初球が大事になってきます。

今日の先発のミソラ、初球はボールでした。
その次もボール。
ん?どうした?このバッターを出すとやばいぞ。
3球目はストライク。
ファール。
決めに来たアウトコースはボール。
フルカウント。
まず、一等最初のヤマ場がやってきます。
ここを抑えるか!抑えないかで、今後の展開が変わる予感がします。
こういう小さいヤマ場をいかにしてとっていくか、ここにソフトボール、野球というチームスポーツの戦術的な面白さがあると私は思っています。
渾身の一球、空振りを誘いますが、キャッチャー、トウマもパスボール。
完全にセーフのタイミングですが、一塁にスロー。
投げてみるもんですね!ファースト、カナトがきっちり取ったときは、ランナーは飛び出しています。
すわ、ランダウンか?と思いましたが、カナトの選択はハンティング。1番バッターなので、足は速いと思いましたが、懸命に追いかけるカナト。
最後はダイビングタッチ、それでもファーストミットに収まったボールはこぼれませんでした。
私はちゃんとタッチしたところが見えませんでしたが、二塁審判がきっちり見ていて、タッチアウト。
この時のみんなの動きを見ていました。
ランダウンになりそうだとみるや、その体系が取れていました。
ランダウンになっても大丈夫だった。
しかし、この場面、先頭バッターを出しては駄目な場面で、カナトの懸命なタッチ。
その裏には、トウマの早いリカバリー、ミソラのスリーボールからの粘りがありました。
このワンナウトに、何人も絡んでいる。
これこそが、ソフトボールというチームスポーツ。
まずは、相手の出鼻をなんとか挫いた。
それも、キャプテンであるカナトの泥臭いプレーで!
決してかっこ良くありません。
しかし、カナトの一生懸命さが、みんなの笑顔を呼び込みます。
まぁ、一番の笑顔はカナトですが。
このプレー、立ち上がりに不安のあるミソラにとって、大きな援護となりました。
後続をきっちり切って、三人で新鶴さんをシャットアウトします、
当初の目的どおり、先頭バッターを討ちとって、ゼロに抑えた。しかも、三人で。
試合前の自分たちへの暗示として、「初回をゼロに抑えたら65%勝利に近づく!」と言っておきました。
ソウスケが、「よし、65%きたぞ!」みたいなニュアンスを声に出す。
しめしめ、これで自信と勢いに乗ってくれればいいなと私は顎をさすります。
達成可能な、少し難しい明確な目標をチームとして意識させ、クリアすることで、勢いに乗せる。
俺たちは、できる!と思わせることに成功しました。

その効果は、すぐ裏の攻撃に表れます。
今日のリードオフマンは、ユウシン。
負けん気の強さとクレバーさを買っての起用です。
相手エースのコントロールが定まりません。
ここは作戦、じっくりいこうぜ!
ボールに手を出さないユウシン、奴はわかっています。
ファーボール。

さぁ、初回にノーアウトのランナーが出ました。
ここはなんとしても先制したいところ。
ここでも、またヤマ場がきます。
ここで、先制すれば、65%が70%まであがります。
まずは、ユウシンをスコアリングポジションに置く作戦。
大事にバントを選択しますが、ファール。
んー、どうすんべ?
アオトは三振はしない、となるとリスクはあっても盗塁で仕掛けます。
ワイルドピッチもあって、ユウシンは二塁へ。
よし、スコアリングポジション!
守備位置をみて、仕掛けます。
そうすると、運良くエンドランの形になりました。サードへのゴロ。
ユウシンはサードコーチャーの指示で三塁を蹴ってバックホームへ。セーフ。
いい走塁!
貴重な先制点をもぎ取りました。しかも、たった二人で。
ノーヒットで1点、スモールベースボール。
練習してきた事が、活きています。
また、ヤマ場を取った。
ランナー無しになりますが、後続も続きます。
流れを切らない。
三振はしない、なんとかバットに当てるので、相手のエラーを誘います。
このあたりのしぶとさも、みんなでやってきた成果。
この序盤の1回で完全に高田イーグルスが主導権を握りました。
試合の流れを決める分岐点で、ことごとく上手くいっている。
その分岐点を抑えることが勝利に繋がります。
点差に余裕があるとこで、心理的な余裕も生まれます。
声もでる。
余裕があるので、準備もはかいく。
あぶないところでは、随所でいいプレーがでる。
この試合の流れを持ってきたのは、キャプテン、カナトです。
豪快なトンネルをしたものの、その後に三度もチームのピンチを救う逆シングル。
セオリーどおりの捕り方ではありません。
本来であれば正面に入って大事にいくところ、しかし、まだその域に達していないということですが、カナトも必死。
自分ができるかぎりのプレー、それが逆シングルという形になりました。
いつもであれば、捕れなくて抜けてしまって、泣きそうになるあの光景。
しかし今回は違いました。我々と一緒に準備をしてきました。
あのグローブなしの連続捕球練習。常に、突っ立つな、頭を低く、膝に余裕のアドバイスの滝、これが活きています。
カナトがいままで、捕れなかった大きな原因、上体の高さ、ここを改善する練習をしてきました。
捕れない要因はいくつかあるんですが、そのひとつに上体の高さがあります。
ほかにも、スタートが遅い=打力、スウイング、コースによって予測していない、正面に入らない、ゴロへのタイミングが合っていない、などです。得てしてこれは、ゴロが捕れない全ての選手たちに言えることです。
その中でもカナトは、捕球体勢が高い、膝に余裕がないの代表格でした。
これまでも試合で何回もやっています。
そして、泣く。いじける。泣く。
心のダムの浅さを露呈してきました。
しかし、今回は違う。対策を練ってきました。
そこにきて、この大事な場面で、そのプレーが炸裂する。
えっ?!逆シングルかい!と思いましたが、ゴロに入るタイミング、低い捕球姿勢、膝の余裕、これは絶対必要だというポイントを抑えていました。
だからこそのあの逆シングル。
あれが、抜けていれば、ファースト線なのでライトのキヒトが追いつけない可能性がありました。
となると、ホームランになったかもしれない。
そういう場面が3回あった。それを全てアウトにした。
いままで何回も失敗して、自信喪失してきたカナトにとって、大いなる自信を獲得したことでしょう。
満面の笑顔、まわりの仲間からも笑顔で讃えられます。
そう、これなんです。
自分がチームに貢献しているという自信。
それは、大人になっても、会社や組織、家族、社会や世界に貢献していると思えること、それが「自分の居場所」づくりに繋がっていきます。
自分が必要とされていると思えること。
自分の存在を認められること。
その練習をスポ少でしているんです。
良くやったとハイタッチしたり、褒め称えて背中を叩いたり、ハグをしたり、相手がいてくれてこそ、物理的に自分もいると分かります。
だからこそ、家族って大事なんですよね。
人は他人によってこそ、自分の存在に気づく。
最近、つくづく思います。
話が大きくなりました。

カナト、彼にとって大きな課題を乗り越えました。
人を育てるのは自信です。
できなかったことが、できるようになる。
俺は大丈夫だと思えること。
お前なら大丈夫だと、チームが思うこと。
これほど、人を強くすることがあるでしょうか?
笑顔でベンチに戻ってくるカナトの顔は、確かにたくましくなっていました。
私の涙腺を北斗百烈拳、うるうるきてしまいます。
試合中なのに、このヤロー、泣かせんじゃ……
ふと福田コーチをみると、彼も同じようにウルウルきてました。
彼らの成長にはいつも驚かされます。

そして、私は思います。
カナトの中で、「楽しさの質」が変わっているであろうことを。
彼が言っていた楽しさ。
リスクのない単なる「あ~楽しい」、から、
「努力してギリギリの窮地を克服していく楽しさ」に、
そして苦労して、やっとこさ、手に入れる成功、成長していると思えることが実は楽しい。
一歩上の楽しさに変わってくれることを、私は期待します。
それこそ、ソフトボールの、野球の、スポーツの真髄に近づくとこと。
それは、はじめてちゃんとしたインパクトでとらえたキヒトにも言えることです。
できなかったことが、できる。
これほど、彼らの世界が変わることはないでしょう。
そしてそれは、保護者にも指導者にも、その先の世界を見てみたいと思わせる。
だからこそ、チームとしてがんばれます!

高田イーグルス、白獅子会津予選、1回戦突破です!

前段で話して、そのままになってました。
田島から帰る道すがら、どうやったら子供たちの理解を得ることができるかを考えました。

なぜ、挨拶をするのか?
なぜ、キビキビ動かなければいけないのか?

大人となった今ではいろんな、理由、根拠が出てきます。
そして、それは人それぞれでいい、ということもわかっています。
子供たちも基本的には、人それぞれでいいと思います。
しかし、強制はできませんが、人としてのベースとなるところは同じであって欲しいと思います。

挨拶(あいさつ)。
人と人とのコミュニケーションの基本となるところです。
そして、いろんな人、モノ、事象、信仰の基本となる動作だと思います。

野球部的に言えば、まず先輩、指導者へのあいさつ。基本中の基本ですね。
これをやらなかったばかりに、反省会で先輩に絞られて、辞めてった野球人を何人も見ています。
あったんですよね、理不尽が。
それが、まかりとおっていた。
それが、スタンダードの時代だったといったらいいでしょうか。
それのおかげで、なんの抵抗もなく、挨拶は気持ち良くできるようになりました。
それなりに頭のいい高校なのに、最後に「し」をつける。
先輩が3人以上いたら、挨拶は3回するなど、へんなご当地ルールがあったことを今でも思い出します。
そして、地獄の「杉の木」という約400mのダッシュ。
しごきにはこれがつきものでした。
練習してヘトヘトなのに、長時間の説教。
なにをいっても全否定。口答え、論破はできません。そして、最後に校庭の端から端まで行って戻ってくる「杉の木」と呼ばれるダッシュ。
一本で終わればいいんですが、帰ってきた途端に、もう一本のおかわりもある。
残っていない体力の限界をこえていました。
これが、つらくて30人以上いた、1年生の仲間は半分になりました。
そういう時代だったんですよね~。
とにかく、挨拶をしなかったら、先輩にしばかれる。
なぜ、挨拶をするのかという根本的なことは後回しでした。
怒られたくない、しごかれたくない、仲間に迷惑をかけたくない、この点のみ。
挨拶の大切さなんて、じっくり考えたことはありませんでした。
なぜ挨拶するかを考える前に、私の中では、挨拶することは当たり前になっている。
しかし、今から学んでいく小学生にはそういう訳にはいきません。
なぜ、挨拶をするのか?
この意味、大切さを腑に落としてもらいましょう。

挨拶の意義はと考えて、まっ先に私はグランドへ入る時の挨拶を思い出しました。
どこのグランドにいっても、中を入る時は、必ず帽子をとって、「お願いします!」と挨拶をする習慣がついています。
これをやらないと、気持ち悪いんです。
そのグランドにいると思われるグランドの神様、整備していただいている選手はもちろん保護者、関係者の方々に対する、ありがとうございます、この気持ちですよね。
そういうのを全部ひっくるめて、グランドの神様と私は呼んでいます。
野球のあるところ、ソフトボールのあるところ、その神様は必ずいてくれます。
グランド整備を自分たちと同じように、同じ気持ちでやっている人達が必ずいるんです。
それを思えば、自然と帽子をとって、ありがとうございますのひと言が出てくる、私はそう思います。
高田イーグルスの子供たち、保護者の皆さんもそういう気持ちであって欲しいと切に思います。

そして、もうひとつ。
これは、最近思っていることです。
グランドに挨拶をすること、それは自分自身の「やる気スイッチ」を入れるためです。
自分自身のためでもあり、隣のいる仲間のためでもあり、チーム全体のためでもある。
自分が大きいやる気のある声で挨拶をすれば、隣にいる仲間もつられて大きい声で挨拶をしたくなります。
それが、連鎖すればチーム全体が大きな声で挨拶をするようになります。
こういうチームの中で、大きな声を出していると、自然と大きな声が出るようになってきます。
声の大きさは自信の大きさ。
自然と自分に対する自信も大きくなっていくと私は思っています。
自信がないなら、まず声を出せ!
声をおおきくだすことで、横隔膜の筋肉が鍛えられます。
肺活量が大きくなると、1回に呼吸できる量が大きくなる。
ということは、取り入れる酸素量が大きくなります。
これは、運動量、回復量、思考力の上昇を意味します。
声を大きくだすことには、きちんとした根拠、理由があることに気づきます。
この大きな挨拶というやる気スイッチ、これがいつもひとりひとりが、きちんとやれていれば練習の密度は確実に向上するはずです。
大きな声で、挨拶するのは、自分のため、隣にいる仲間のため、そしてチームのため。
これ以外にチームスポーツが目指す目標はあるでしょうか?
これができる子、この意味がわかる子はどこに行っても大丈夫だと太鼓判を押します。
挨拶は、ペイフォワード。
いいことの先送り。
必ずいつか自分のところに戻ってきます。 
全部できなくてもいい。
完璧にやらなくてもいい。
でも、ここだけはやる!ここは必ずやるという覚悟を時折もつだけでいい。
それが、選手全員で一致したときに無類の強さを発揮することでしょう。
私は、そういう瞬間を何回か見てきています。
前評判の強さなど無視した、現場の強さを。
その子たちを思い出す時、彼らは必ず大きな声で叫んでいます。
さぁ、こい!俺のところにこい!
大人になったら、絶対に出すことができない声です。
心の底から、仲間のため出す声。
自分のために出す声。
チームのために出す声。
そんな昔の選手たちに、今の選手たちが重なります。
ゼンジが、アオトが、
……
そこに選手全員が追随していく。
近い将来が見えます。
我々指導者は、それを続けていけるように支援をしていきましょう。
一時は誰でもできます。 
難しいのはこれを継続していくこと。
させるのではなく、自分たちでやろうと思わせること。
主役は俺たちだと思ってもらいましょう。
厳しさも必要です。
そして、それ以上のパッションも。
遅ればせながら、原点に立ち戻った高田イーグルス。
何回スタートしてもいい。
さぁ、ここからです。




猛暑猛暑の今日は、田島さんの夢カップに参加させていただきました。
コロナ禍にあっての希少な大会、ありがたいです。しかも、白獅子前の最後の公式大会、あれもこれも試したいと意気込んでのぞみましたが、結果は、りんどうスポ少さんの前に1回戦敗退。
いろいろ試す余裕などなく、ミスにミスを重ねての自滅のオンパレード。
白獅子前に自信をつけるどころが、1:9の大敗で、全く自信をなくしてしまいました。
しかし、これが今の我々高田イーグルスの実力だということです。
弱い。
この前の伊佐須美神社あやめ祭り大会の優勝が夢だったんじゃないかいうくらい、ちぐはぐで、ダメダメ。
ミスを1個で止められない、ミスにミスを重ねる。
ひとりひとりが個人で戦っていて、チームとして機能していませんでした。
当たり前にやるべきことができない。
だから、少しずつ崩れていって修正がきかないところまでいってしまう。
ダムの崩壊を誰も止められず、仲間を、チームを見殺しにするように、指をくわえて見ていることしかできませんでした。

まずは、討ちとったあたり、落下点に入ったセンターが落球。
同じく討ちとったサードゴロが悪送球で回の先頭バッターを出してしまう。
ピッチャーが決めにいったコースをキャッチャーがポロポロ。
決めにかかっているのに捕球ができないので、波に乗りきれないピッチャー。
タッチアウトのタイミングなのに、グラブから落ちるボールが2回。両手でいけよと確認した3回目はアウトにしましたが、片手でした。
あれほど確認した、1,3塁のシフトにピッチャーがサインミス。
飛び出したランナーをランダウンにできず、得点アンド進塁。
ツーアウトからの場面、普通にやればスリーアウトでチェンジの場面なのに、当たり前のプレーができずにスコアリングポジションにランナーを進められる。
きわどいコースは、ボールのコールの連続。
決めにいった球はキャッチャーが捕れずにポロ、捕っていれば、フレーミングが活きて、審判のストライクを引き出せたかもしれない。

攻撃については、消極的な見逃しが多い。
確かに球威はありました。 
だからこそ、早いカウントで仕掛けなければならない。
追い込まれたら、三振覚悟で振りにいくしかないんです。
追い込まれた恐怖と不安で、いつもどおりのタイミングの取り方、スウイングができなくなっていました。
そこにきて、相手ピッチャーは追い込んでいるので気合いが入った球を投げ込んでくる。
そこにきて、余裕がない。
精神が未熟な小学生、特にバッティングに自信がない下位打線は、断然不利になる。
だからこそ、追い込まれる前なんです。
わかっているのに、手が出ない、出せない。
びびってるバッターなんぞ、カモネギです。
ただ突っ立っているマネキンよりも怖くない。
相手のピッチャーというよりは、まず自分の気持ちややるべきことを整理できずに、打席に入っています。
「どうしよ、どうしよ、やばい、やばい……」
こんな精神状態で、打てるわけがありません。

前の大会ではあんなに伸び伸びやっていたのに……
優勝した同じチームとは思えませんでした。
しかし、これも本質。
これが本来の姿。
コインの裏と表、マイナスもプラスもある。
この無様な姿も高田イーグルスなんです。
ここを認めなければなりません。
ここを認めなければ、次に進めません。
何ができて、何ができないか?
できない理由は何か?
足りない要素は何か?
それを克服していくためには、どうしたらいいか?
これがなくては進化はありません。
次に繋がらない。
やっている意味がない。

この敗戦の後、コーチ陣で話し合いました。
その中で、1番の課題は、選手ひとりひとりの自覚、これが見えてこないということ。
さっき言った、落球やエラー、見逃しなどプレー云々の前に、選手がチームの一員として動けていないという結論に達しました。
ソフトボールをやりたいという選手たちのチームではなく、親に言われているから,
このクソ暑い中、連れてこられたモルモットたち。
他のチームから挨拶をもらうのに、こちらからは挨拶を返せない。
整列は、たらたらで、列もそろわず、間隔はまばら、グランド挨拶にいたっては、声を出してるのか出していないのか、わからないぐらい小さく、声もまとまっていない。
道具の準備や後片付けは、言われないとできない。
そして一生懸命にやっているのはいつも同じ人。
何をやるにも、大人たちの指示がないと動けないモルモットたち。
中には自分で考えて動いている選手たちもいますが、ほかの選手に指示を出すところまで言っていない。
だから、毎回同じメンバーがグランド整備をしています。
正直者が馬鹿を見ている。
その正直者を見て見ぬ振りをしている。
仲間を見殺しにしているのと同じです。 
その兆候は、今大会の随所に見られます。
ピンチの時に、孤独になって落ち込んでいるピッチャーに誰も声をかけない。
エラーをして落ち込んでいる選手に誰も声をかけない。
打てなくて見逃し三振をしても、ため息しか出ない。
ベンチにいて、どんどん泥沼にハマっていくのがわかりました。
何とかして是正を試みますが、ひとりひとりを動かして、波に持って行くところまでいきません。
試合の大きな流れが相手チームに傾いています。
それを黙って指をくわえて見ている。
ため息連発、完全に敗北の大合唱をBGMにしています。
こうなると、打つ手がない。
気合いでどうにかなる、レベルではありません。
過去の経験から、こういう時は耐えるしかない。
耐えて耐えて必死に食らいついて、僅差を保って追いかけてるしかありません。
そうであっても、こうなると自分から崩れることの方が多いです。
劣勢の中、平静を保つというのは、やはり難しいものです。
ここをなんとか乗り越えると、再びチャンスの神様はこちらに舞い降りてくれる、時もありました。
しかし、そうはならなかった。
そうならなかった理由。
相手に主導権を渡してしまった最大の理由は、当たり前のことを当たり前にできなかったからです。
小さいことなんです。
その小さいことをおろそかにした。
おごり、慢心、なぁなぁ感、そういう小さなほころびを自分で修正できなかった。
いろんな意味で、お前たちはまだまだ、ヘタレのチームなんだということを思い知らされました。
身から出たさび。
だからといって座して待つつもりは毛等もありません。
これが、白獅子でなくて良かった。
それが不幸中の幸いでした。
この敗戦を糧としなければ、進化はありません。
高田イーグルスは変わらなければならない。
ここから、挽回しなければならない。

さて、我々に何が足りなかったのか?
ここからどうしていけばいいのか?

それは、次回。
この大会は、選手たちのいろんな成長を確認できることができました。
あぁ~、こいつら分かってきたな!
こいつら、うまくなったなぁ~と思える
こういうところなんですよね~。
指導者として感動するのは!

その最たる現象、まさに怪奇現象なんですが、見れました。
それが、キヒトの公式戦初ヒットです。
そして、初盗塁。
最後には、貴重な先制点のランナーとなって帰ってくる。
あの、なにをやっても、わけのわからなかった奴がですよ。
いまや、ベースの上て、私と指さしで会話ができるんてすから驚きです。

柳津さんのエースから鋭い打球をセンター前に放ち、全力で一塁に駆け抜ける。
少し差し込まれていましたが、思い切り振った分、負けませんでした。
完璧とはいわないまでも、キヒトのバットの感触は、芯で捉えたときの、あの感覚が残っていることでしょう。
あの感覚は、野球やソフトボールをやった人でなければわかりません。
あれは、気持ちいい。
モノをぶったたいた時、真芯に当たると軽いと言う感覚。
物理的な法則からしても、作用反作用がゼロに限りなく近い時に起こる現象だと思います。
あの感覚を自分の人生の一部にできること、それだけでも野球をやる価値があります。

キヒトの放ったボールはピッチャーとショートの間を抜いてセンターへのクリーンヒット。
これが、キヒトの試合という場面で、人生での初ヒットになります。
私たちはこういう場面に幾度となく接しています。
初打席、初ヒットに初ホームラン。
いいことばかりではなく、初エラー、初三振、初サヨナラ負け。
いろんな初ものに出くわしますが、本人にとっての大事な場面を一緒に経験できるのは、それを残像としてハードディスクに残すことができることは、指導者冥利に尽きるでしょう。
うれしい。
なぜなら、そうなることを狙って練習を積んできたからです。
ひとりひとり、フォームやタイミングの取り方、パワーやスウイングスピード、角度、いろんな要素が違ってくる中、1番伝わりやすい言葉を選んで、効果的にアドバイスを気の遠くなるほど続けてきた。
その効果がグランドで花開くのです。
そして選手の笑顔も花開く。
おそらくというか、絶対に保護者も笑顔になる。
そういう瞬間がスポ少なんです。
そこは自己満足でいい。
スポ少なんて自己満足の集合体なんですから!

キヒトはガッツポーズなんてするガラではありません。
塁上でも何が起きたか、まだ整理がつかない様子ですが、手に残る感覚、なんか喜んでいるベンチ、そしてアウトにならずにファーストにいる自分。
じわじわきたことでしょう。
しかし、すかさず私はサインを送ります。
キヒト動かず……
あの、タコスケが!
そうこうしているうちにバッターはツーストライクに追い込まれました。
そこで、人差し指をセカンドに私は向けます。
キヒト、走れ!と。
ようやくわかった様子。
走るという意味、盗塁という意味がわかったようです。
キヒトは見事なスライディングで、セカンドを陥れました。
おぉ~スライディングもできるようになったのか!
そして隙を見て、サードも陥れる。
おぉ~、そんなことまでできるようになったのか!
キヒトの成長を感じます。
あのヤロー、感動させやがって!
よくここまで成長したな……
また涙腺が……

その後、キヒトはパスボールの間に、抜群のスタートを切って、またまたスライディングでホームに滑り込み、セーフ。
これが大きな大きな先制点となりました。
キヒトをはじめ、選手ひとりひとりの小さな成長が、チームとしての高田イーグルスを少しずつ成長させています。
今、ここにきて、それを実感しています。

ホームベースに生還したキヒトは、みんなからの祝福を受けます。
「ナイスッ!」「良くやった!」「すげぇな~!」
キヒトも仲間も笑顔になる。
こういうところで、自己肯定感が育つんです。
私たち指導者たちも、間違ってなかったなと安心できます。
あのヒットをみて、ニヤつかなかったコーチはいないでしょう。
あのヤロー、やりやがったな!
罵声で褒める。

塁上のキヒト。
何より、俺はここでやっていける!
そういう自信が育つんです。
そして、認められる自分が楽しい。
いままでいろんな意味で家族や学校に守られてきた。
しかし、スポ少といえど、勝負の世界です。
スポ少という小さい世界ではありますが、子供たちにとっては、最初に触れる社会という大海であり、荒波だと私は思います。
その荒波を制した。
俺はやれる!
お前ならやれる!
自分にも仲間にも、そして家族以外の大人にもはじめて認められる。
彼らにとっての大きな一歩。
それが、生きるチカラ、ですね。
ひとりひとりのそのチカラが、高田イーグルスにも勢いをもたらします。成長をもたらします。
確かに、自分たちが強くなっていることを実感している。
相変わらず、キヒトはすっとぼけています。
人類史上、はじめて月面に降り立ったアームストロング船長風に言えば、
たった一本のヒット。
しかし、今回のキヒトのヒットは、高田イーグルスにとっても大きな一歩となりました。

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