かくして総体は終わりました。
正直、ここまで来れるかは不安でしたが、思い切り狙っていました。
おそらく上がってくるであろうメッツさんとの戦いを想定していた。
メッツさんと当たるまで、2回勝って勢いをつけてあわよくば・・・と虎視眈々と狙っていました。
しかし、過去の経験からいらぬ皮算用をして足元を救われたことある。
先のことを考えててはいけない。目の前のことがおろそかなる。
やる前から、勝った気でいて、いいことはないんです。
その経験から、いつのころからか指導者としてはあくまで目の前に集中する姿勢をみせるようにしました。
だから大会前は、あえて先のことを考えずに、目の前のことのみを見てるように示していたつもりです。
指揮官が、先のことを見ていると、選手たちも先を見てしまう。
結果、目の前がおろそかになり、つまずいて転ぶ。
一回戦も勝っていないのに、すでに勝った気で2回戦、3回戦のことを考える。
その油断からなのか、思わぬ反撃をくらってチームは総崩れ。実力を出す前に負けてしまう。
その経験から自分のチームの結果を過大評価しないようになりました。
あえてイーグルスの悪い結果を見るようにしている。
一方ではいい面もみる。
指揮官とは、相反する矛盾した存在なのかもしれません。
自分たちのチームを信じつつ、一方ではまったく信用していない。
それが表裏一体のコインのように背中を合わせている。
この折り合い。
選手の前では、
「お前らはやればできる。」
選手たちの実力を100%、120%引き出せるように説く。裏ではできないことも想定する。
そして対外的には、目の前のことを精一杯やってひとつひとつに集中するという姿勢を見せる。
しかし、今回もそうでしたがどうしても将来的な計算が働いてしまう。
今のイーグルスであれば、普通に実力を出し切れば3回戦はいける。
そして向こうから勝ち上がってくるのはおそらくメッツさん。
目の前に集中しろと言いながら、メッツさんとの戦い方をシミュレーションしている自分。
その通り、3回戦までは計算!?通りでした。計算どおりとはいいながら薄氷のうえの勝利。
狙っていたとはいいながら、100%の自信をもてなかった。
そんな中で今のイーグルスはよくやったというべきでしょう。
ある意味計算通り。危ないながらも想定した高さまで登ることができた。
未熟ながら計算ができるチームになりつつある。メッツさんではその計算も狂いましたが、次にやる時はもっとましな戦いができるでしょう。
今は10回やって1回勝てるかどうかのレベル。
その実力のなさを知り、どうすればその実力を埋めることができるか?
総体の最後のミーティング。
イーグルス円陣の後ろに次の試合に備えるメッツさんを横目に
「いいか、おまえら、いつか必ず倒すぞ!」
全員にリベンジの炎がともったと思います。
もう涙は止まりました。
自分のできることを増やしていく。強大な敵に当たっても物怖じしない。
白獅子まで強化プランを考えました。
フィジカル、メンタルどっちもどんどん強くなってもらうしかない。
ですが、今日は雨のため小休止です。
メッツさんには去年もダイト、ヒカリを擁して負けている相手。
昨年からのエースが一段と凄みをましています。特にライズ気味に入ってくる高めの威力抜群です。それは喜多方タクシー杯でも経験済みです。20点以上の大差をつけれての大敗。
しかし、こちらも簡単には負けられません。
速球対策、バント対策などそれなりの練習はしてきました。
試合前の私の見立てでは、相手のほうが上ですが勝機はあります。先制してこちらのペースにしてしまうこと。
キャノン砲とかビーム砲とかそんな破壊力はありませんが、今の段階のイーグルス豆鉄砲打線がどこまでメッツさんに通じるか?ここに勝負がかかってきます。
試合前、キャプテンのタカヤに質問されました。
「監督、先攻、後攻、どっちをとったらいいですか?」
おそらくタカヤの中では後攻と決めていたのだと思います。
先手を取って、余裕のある有利な展開にする。終盤になってリードしていると心理的に有利な後攻をとる。こちらがあせる前に、相手にあせってもらう作戦です。
「後攻。」私とタカヤの思惑は一致していたと思います。
初回の表の守り。そういってるそばから相手に先制されます。
原因は、消極的な守備。
三遊間のサード。盗塁のベースカバーのセカンドの位置。
ちいさいほころびですが、強いチーム、ぎりぎりの展開ではここは見逃してくれません。
三遊間、ややサードよりのゴロ、ショートは逆シングルキャッチになるので、ファースト送球が遅れます。
よって、捕球して進行方向に投げるサードのほうが断然早い。
ここで消極的になってしまったサード。
マナヤが追いついて大遠投しますが、1番バッターなので足が速い。セーフ。
この原因を考えるに、最近ショートマナヤの守備力があがったことによって、ショートに任せることが多くなってきました。ショートの守備範囲が広くなると、自然とサードの守備範囲が狭くなる。マナヤもそれによく答えていますが、ここは無理をさせすぎました。
最近の試合の守備体系を見て、マナヤが三遊間によりすぎかなぁと思っていましたが、これもマナヤの考えなんだろうし、それでうまくいっているのでいいかと見過ごしてきました。
ですが、このままでは今後こういうリスクがあることがわかりました。
サードが取れるところはサードが処理をするほうが「速い」。
サードの守備範囲を広くして、マナヤをセンターよりの守備位置にしようと思います。
もちろん、相手の打撃力や現場の二人の判断を尊重しながらですが。
この後にもう2回同じことが起きます。そして1回はまた同じようにショートが処理しますが、その次はようやくわかってきたらしい。
積極的な守備でアウトをとりました。この守備を徹底させるべきでした。
まだまだ気づかず、試合になって初めて気づく課題も多い。勉強させられます。
試合にもどります。
またもや先頭バッターを出してしまった。
どうも調子にのりきれません。ピッチャーも討ち取った当たりなのにアウトにできない心理的ダメージを追いました。
すかさず盗塁してきます。キャッチャータカヤの好送球でしたが、セカンドベースカバーに入り方が後ろ過ぎる。タイミングはアウトでしたが、この少しのロスのためにセーフ。
ベースの入り方の練習なんてしていません。そいつの感性に任せている。だいたいマナヤが入ることが多い。
ここでも経験の差が出てしまった。セカンドのユウトに限らず、内野手全員にベースの入り方を教えておくべきでした。ここでもまた新たな課題が、大事なところで表面化していく。
ここでも聞こえてきます。
ミスがミスを生む「敗北の連鎖の音」。
チーム全体に動揺が伝染していく。エラーの確率が急上昇します。あと1、2個のエラーが連出すればいっきに崩れてしまう流れ。この拮抗を取れなければどんなに強いチームも敗れてしまう。この大会、強いといわれたチーム同士の戦いが多かったですが、勝負どころをとれなかったチームが勝ち進めなかった。
せめてあの先頭バッターを討ち取っていればなぁ・・・いくら嘆いてみても、時間は戻りません。できれば0で、できなくても最低限の得点に抑えて、ここを踏ん張らなくてはいけない。
結果1点で最少得点ですみましたが、限りなく大きい1点。やばいなぁと思いますが、無理やり切り替えて、どうやって取り返すかに専念します。
まずは塁にでること。こんなにもいいピッチャーを相手に回して作戦もくそもありません。
若いアウトカウントでいかにして塁にでるか?
ノーアウト、もしくはワンアウトで3塁に持っていければノーヒットでも得点出る形を作れるか?
ここは選手たちを信じるしかありません。
豆鉄砲打線はよく相手エースのついていきますが、捕らえるところまでいきません。
まともに打てるのは、タカヤ、マナヤくらいか?その他は当てることに精一杯。
大して練習もしていないバントするよりも打たせたほうがいいと判断して、無策で打たせます。
打順のめぐり合わせも悪い。
タカヤ、マナヤの前にランナーがいません。
いいところでいいバッターに回ってこない。いわゆる、めぐりあわせってやつです。
それがイーグルスに回ってこない。
逆にメッツさんは回ってくる。アウトを取れるところでとりきれない分、小さなミスで出塁させているイーグルス。こういうところにそのツケが回ってきてしまう。悪い展開です。
しかもツーアウトから、ここでヒットがほしいという場面できっちり打つことのできる勝負強さ。脱帽です。要所で効果的な攻撃。どんどん背中が遠くに見えていきます。
離されてはいけないの離されていく。ここがチームの総合力の差なんでしょうか。
まだメッツさんには手が届かない。届く展開にできなかったイーグルスの未熟さ。
先行されると、動揺し、知らず知らずに焦りが生まれます。余裕がなくなると実力を出し切れなくなる。いい当たりがとたんに相手の守備の正面をつくようになる悪循環。
打開策は相手のミス待ちか、選手のやる気、根性にかけるしかありません。
そこを根気強く待つしかない。
この試合の唯一の反撃は、1番ユウト、2番マナヤ、3番タカヤの主砲三連斉謝。豆鉄砲打線も負けていないことを確認させてくれましたが、時既に遅し。
この満塁の機も活かせませんでした。とったのは1点のみ。とられたのは5点。
先制、中おし、ダメ押しと効果的にイーグルスの士気をそいでいくとり方。
勝機が見えない戦いでした。先制されたときから正直、勝てる気がしませんでしたが、なんとかそれを打ち払って望みをつないでいたと言っていい。
なんといっても好投手のチームに対して先制点を与えてはいけないという鉄則をはなから踏み外した。
攻め込まれながらも、スコアレスで終盤に持ち込み、緊張した中での拮抗の場面を取る。
これ以外に格上に勝つ方法はありません。
矛を繰り出す前に、盾を壊されてしまった。
初回を守りきる安定性、確実性がほしい。そのためには、ピッチャーの制球力、チーム全体のこまかいところまで行き届いた守備力は欠かせません。
それができなかったイーグルスはかくして敗北しました。
試合後、タカヤが泣いていました。本気で全国を目指していた。
メッツのあのピッチャーの球を全打席捕らえていたのはタカヤだけです。
マナヤ、ユウトも捕らえましたがまだ確実ではない。
逆に言えば、タカヤしか打てる奴がイーグルスにはいなかったといいこと。自分は負けていないににチームが負けてしまう。兄貴のいった全国。
その夢は潰える・・・。
試合後の丸くなってのミーティング。みんなの潤んだ真剣なまなざし。
やばい、私も涙をもらってしまいそうになりましたがぐっとこらえる。
私はどちらかというと、やりきれなかった悔しさのほうが勝っている。
こんなところで泣いてられません。
なぜなら俺らは全力をまだ出し切っていない。やりきっていない。力を出し切れないのも実力のうちです。まだまだそこまでってこと。
タカヤの本気の涙にチーム内でも心を動かされた者もいました。ヒカルも目をはらしている。
この涙は悔し涙。自分たちの実力のなさを思い知った涙。強者との今の時点で差を思い知った涙です。
しかし、全員ではない。この涙の意味をわかっているものと、そうでないものもいる。
完全に負けているので、仕方なかったと思うもの。
勝ちたいという思いが薄いもの。
まだチーム全体として、やりきって勝ち上がる気概が満ちていないのがわかります。
それでいいと思います。人の想いは千差万別で強要することはできません。
全員が熱血になる必要はない。冷めているやつもいていい。
ただ強要はしませんが、チーム全体で勝ちたいとひとつになった時。
全員が出し切った時、勝つにしろ、負けるにしろ、本当の涙が流せると思います。
次の白獅子杯まであと2か月。
いきなりホームランを量産できる筋力が付くわけでもなく、ピッチャーも100キロ出せるようになるわけでもない。
何を変えていくか?やはり意識しかない。取り組み方。待ち方。いろんな場面での心の持ち方。
自分たちが確実にできることを増やしていく。ベースの入り方、あいまいな守備範囲の確認、その他今できる細かいことを積みかさねていくしかない。
上に行けば行くほどそういう細かいところができるチームが勝ち残る。
拮抗した場面ではその少し、ミリ単位の差で一気に試合が動きます。
イーグルスはそれができるチームだと信じています。
負けてもただでは起き上がれません。やられればやられた分だけ強くなって復活します。
いろんな強いチームと戦ってその実力を試してみたい。
そして最後にはその頂上に立ってみたい。
さぁまた練習、練習の日々です。
この前の喜多方タクシー杯で、主力不在とはいえ惜敗しています。
バッテリー、センターラインを中心とした守りのチーム。
早い段階で相手のエースを打ち崩せるかにかかっていますが、結果からいうと「我慢」ができた展開でした。
喜多方タクシー杯でBチームで一回戦っているのである程度相手の戦力は把握しています。
相手から見れば、フルメンバーのイーグルスの情報はないでしょうから断然こっちが有利な展開になるだろうと思っていたら・・・そうは簡単にはいかせてくれないのが野球ということでしょうか?
打つ手がことごとくうまくいかない。ランナーを出しながらも攻めきれない。
要所要所を完璧に磐梯さんに押さえ込まれます。
逆に攻め込まれてアップアップになるところもありましたが点数は許しませんでした。
終盤まで1-1の状態。
こうなったひとつの要因は、ここ最近で出塁していて当たり前になっていた1番ユウトが塁に出れなかったこと。ここで攻撃にリズムが作れません。いまいちのれない展開になる。
まぁいくらユウトでも毎回出塁はできないでしょうから、こういう展開は今後も予想されます。
そうなった時の攻撃のオプションを考えていかないといけないなと思いました。
正面から当たってだめなら側面攻撃的な方法。
総体は80分の長丁場ですからいろいろ戦術を駆使する余裕はありますが、50分の大会ではそうはいかない。
どちらにも対応した攻め方をチーム全体で共有する必要があるなと思いました。
均衡が動いたのは5回。8番ユウヘイからの攻撃です。
一か八かを確認して送り出すもショートゴロでワンアウト。
次は9番ヒカルからの攻撃です。
このままではスコアレスのまま延長になるかもしれないので、上位打線に回ってくるこの回が勝負どころの天王山です。
先頭バッターがでると勢いづく。チームで一番バントが上手い左のヒカル。
強硬策できましたがここで戦術変更です。バントの指示。一球失敗します。
相手サードのチャージがなかなか速いので、バントから再び強硬策に変更。優柔不断というか臨機応変というか、その場の空気で方針をすぐ変えます。
これがいいのか、悪いのかは結果次第。結果よければOKということでしょう。
ヒカルも速球対応の練習をしてきました。トップを早く作ることはわかっていますが、前足がオープンに出ていくので、インパクトでボールに遠くなることがしばしば。センター方向へステップすることを指摘すると、クローズに切り替えるところがさすが三男坊です。
しぶとくショート後方に落として出塁します。強硬策が当たりました。
ここまで抑えられていたリードオフマンのユウトがセンター前に鮮やかにはじき返し、チャンスを広げます。
1死1、3塁で2番マナヤ。
ここは内野ゴロで1点を奪えるところです。ここはどんな形でもいいから先制しなくてはならない。ここから頼れる打線に入ってるのでそんなに心配することはありません、マナヤ、タカヤと続くので最低でも1点は入ってくれることを想定しました。
その想定どおり、マナヤはショートゴロで2死。ヒットにはなりませんでしたが、ゴロを打つ最低限の仕事をしてくれます。まずは先制。ここから一気呵成に入りたかったですが、タカヤも倒れる。先制はしましたが、いまいち波に乗れない展開。
その裏にマナトからマナヤに投手交代。
ボールが先行するマナト。テンポよく追い込んで打たせるタイプのマナトに変えましたが、マナヤも制球難でパッとしない。
点数を取ってからの変更と決めていましたが、終盤での交代は結構なプレッシャーになったでしょう。
先頭を四球で出してしまいます。その後連続三振で2死にするも磐梯最強バッターを迎えます。
故意四球も一度考えましたが、すぐにやめました。
ここで故意四球をしないこと全軍に伝えます。ここを抑えて味方の士気を上昇させることと、相手の最強を抑えることで士気をそいでおきたいという思惑からでしたが、打たれます。セカンドランナー帰ってきて同点。終盤に先制して、すぐに追いつかれる展開。やばいです。
「あー、やっぱ故意四球しとくんだったなぁ。」というブレブレの指揮。
あそこは故意四球もしくはやんわり四球で勝負を避けることを思った人もあるでしょう。
ああいう勝負所でヒロイズムに走ってしまうところに私の甘さがあるなと後でわかります。
後日、別な場面で新鶴の監督と試合観戦していた時に、
ワタシ「ここは勝負でしょう。」
新鶴カントク「俺はここは勝負をさけるな。」
ワタシ「故意四球ですか?」
新鶴カンオク「いや、外角に外させるでやんわり打たせない。」
このあたり、勝負に徹底する。結果がすべて。その過程にある危険な要素は取り除く。
腕はやっても心臓はやらない覚悟。ここが本当の勝負士なのかもしれません。がしかし、そこをわかったうえで勝ってほしいという願望のほうが強かった。小骨のささった勝ち方はしたくないといえば聞こえはいいかもしれませんが、負けたらすべて負け犬の遠吠えになってしまう。
選手の、保護者の思いの詰まった勝利を逃がしてしまう危険性もあった。
このジレンマ、私の中で永遠に解決しそうにありません。まぁ、次そうなったらそん時の気分でどうしようか考えます。
というわけで今回は失敗で1-1の同点に追いつかれました。時間もありません。
次の攻撃がおそらく最後。それが0だったら裏の攻撃を抑えて抽選にするしかない。
抽選になったら、おそらく負けます。抽選にめっぽう弱いイーグルス。
その前になんとかしなきゃいけない。
引き離したいところですが、4番のタカヤから始まりますが攻めきれない。6回も0。裏も抑えていよいよ最終回の攻撃。先頭は7番コウセイ。
ここの先頭バッターの重要性はよくよくわかっているはずです。本人も絶対塁にでたいところですが、相手ピッチャーもさるもの。簡単に追い込んできます。ツーストライクと追い込まれますが、ここでコンパクトなスイングにきりかえたどうかはわかりませんが、外角の決め球をライトの運びます。
先頭が出塁します。ここから興奮してあまりよく覚えていませんが、一気呵成の攻撃で一挙に4点くらいとったと思います。
コウセイがでたことで打線に火が付いた。この試合のヒーローは先制点の立役者のヒカルと逆転の立役者のコウセイです。
打ちあぐねていた相手投手をようやく攻略した瞬間でした。
こちらも点が取れない代わりに、相手にも点をやらない。我慢比べを終盤に制した。
今のイーグルスにはそういう我慢もできるようになってきているということです。
これができると簡単には崩れなくなります。崩れなくなると、点数を与えずに負けにくくなるということ。これが2年前の全国いったときはありました。
こっちが打てなくてもそう簡単に点数をやらない。これが思いのほか大事です。
両者拮抗の状態をつくる。そこを破ったほうが断然有利になります。終盤になればなるほどそれはデカイ。
抽選になったときのために神仏に拝むことも考えましたが、その前に最終回のあいつらの攻撃を信じるべきでした。あの集中打はすさまじい。ここぞの場面でたたみこめる巧者ぶりも出てきました。
苦しみながらも2連勝。ここで乗らないはずがありません。みんないい顔しています。それぞれも持ち味を発揮している。やってやろうという気迫に満ちている。
さぁ次は、昨年ダイトの時も敗れている猪苗代メッツさんです。
総体1回戦、ほおのきスポ少戦。
昨年何回かあたりましたが、私的にまったくのノーデータでのぞみます。
先週の練習試合である程度の手ごたえは感じていましたが、なにがおこるかわからないのが野球。
実力を出し切れないままあっさりと負けてしまうことも考えました。
ほおのきさんのシートノック、ピッチング練習をみる。
ほぼ互角か・・・
そうなるとこの緊張した場面、先制したほうが断然有利になると読みますが、あっというまに先制されます。
いつもながら立ち上がりが不安定なエースマナト。制球が定まりません。
スリーボールからフライを打ち上げさせますが、ピーとキャーでまさかのお見合い。
風も強いこともあり、どちらのボールかわかりずらかったですがそんなのは理由になりません。
最初の試合の最初のプレーで全員が緊張している場面。エラー率も上がっていますが、ここを討ち取れば全員がほっとできる場面、ここを取れなかった。
このあたりが強くなりきれない部分なんでしょうね。大事なところを守りきれない弱さ。
お見合いのボールが切れてファールになってくれたところは良かったですが、バッテリーとチーム全体はここで動揺してしまいました。90%ファーボールの場面。
大方の予想どおり、ファーボールで大事な初回に先頭ランナーを出してしまう始末。
ここはスリーボール、ツーストライクからでしたが気持ちを切り替えて討ち取ってほしかった。
これができるとチームを活気付かせる真のエースのなれるでしょうが、まだまだそこは遠いようです。それどころか、チーム全体に「あぁ~ぁ↓」という動揺を伝染させた。
やばいです、対処の仕方を間違えると、いっきに崩れる危険性もありました。
実際その空気はありました。
小雨、足場のわるいグランド、動揺、エラーの確率はどんどん高くなっていきます。
普段の当たり前のプレーができずらい環境。ここでミスるとどんどんそれは連鎖していく。こうなるとどんな強いチームでも立て直すのは用意ではありません。飲まれてしまう。
先頭バッターを出して、パスボールで2塁へ。そして2番。
ほおのきさん、ここはバントの場面です。前日こういう場面を想定してのバントの守備体勢の練習はしておきました。違うところといえば、本番ということと小雨とぬかるむグランド。
こういうところで普段どおりの守備ができるかどうかです。
読みどおり、サードへのバント。んっ?サード、フミヤ少しチャージが遅い。しかも、ボールをうまく握れていない。あせる。ファーストへのボールが少し反れる。
2塁ランナー、バックに突っ込む。ファースト、ヤマトもボールを握れていない。それるバックホーム送球。貴重な1点を打者二人で簡単に謙譲しました。
普段どおりの守備ができていない。
こうなるとフライで討ち取れた先頭バッターを出したことが悔やまれます。
ミスがミスの連鎖を生む。これがチームが崩れていく音なんです。
なおもランナーは残している。これ以上の失点は死活問題です。
ピッチャーの制球もまだ定まらない。不安定な状態。ここでほしいのはまずはワンアウトです。ワンアウトをとって一息つきたい。
ここでパスボール・・・馬鹿やろうと思いましたが、思いのほかボールが跳ね返ってくるネットに助けられバックホーム送球が間に合い、ホームタッチアウト。
高めのボール球を相手が振ってくれて三振、最後はピーゴロで、アップアップのまま守りきり、初回を1点で抑えました。これがデカかった。
相手を勢いづかせるまでもいかず、こちらもまだまだ追いつける範囲なので士気にもそんなには影響しません。この1点は惜しいですが、今は忘れていいレベル。後悔するよりも、もっと前向きにどうやって点を取るかを考えるのが先です。
反撃開始!
1番はわがイーグルスのヤジリのユウト。
「球が荒れてるようなので、ワンストライク捨てていいですか?」
いろいろわかってきたようです。ここ最近の出塁率はおそらくチームトップクラス。
ここでもファーボールで出塁して、いかんなくその持ち味を発揮します。
2番マナヤ四球、3番タカヤ死球で塁にでる。ボールを打って相手を助けない。このあたりをわきまえている。
ここで小さいながらも4番に置くフミヤ。フミヤを4番に置く理由は、対応力の高さです。速球にも遅い球にもアジャストする。軸を中心としてくるっと回るでんでん太鼓のようなスィング。前が大きい、テイクバックを取らない打ち方。このスイングで、インコース、アウトコース問わず広角に打ち分ける。確実性で言えば、タカヤとナマヤの次にくるという私の判断です。以外に長打力もある。
そのフミヤが打席に入ります。
ほおのきさんのエースも制球が定まらない。ここはチャンスです。じっくり見ているフミヤ。ここでパスボール。待望の1点が入りまずは同点。しかもノーアウトで引き続きフミヤ。ショートへの強い当たりで出塁して逆転。なおも1、3塁。
過去の試合で1、3塁の駆け引きを知らずに憤死したことのあるフミヤをたしなめて、走らせます。
2、3塁でマナト。ピッチャーというのは気分で生きている生き物なので、自分がヒットを打てばモチベーションもあがる、わがままな存在です。ここはガンガンいかせたほうがいい。スイングはきれいなアッパー。あたればきれいな放物線を描きます。それがフライの王者といわれるゆえんです。ハイ、三振。確実性はまだありません。
1死でヤマト。
トップを早く作ることを理解している一人ですが、作るのは早すぎます。一回作って、もう一回つくっているのであまり意味はありません。足の上げ方が田んぼを歩くサギのように申し訳なさそうにあげるのであまり打ちそうに見えませんが、以外にミートはうまい。自分のパワーを使うというより、相手ピッチャーが球にこめたパワーを使って飛距離を出していく感じ。先の練習試合で河東のエースから打ったホームランは見事でした。三振も少ないほうなんですが、ここはアウトコースのいいところに決まって見逃し三振。5.6番連続三振です。
2死でコウセイ。
喜多方タクシー杯、ここ最近の練習試合で打撃が向上しています。このチームで数少ない考えて行動するタイプ。どうすれば打てるか、相手がこうきたらどうするかなど対策を立てて打席に入るタイプ。だからこの順番の置いています。クリーンナップでとりきれなかった場合、下位打線の3番バッターの役割。このあたりに何でもできるバッターを置いておきます。四球を選んで出塁。
さぁ2死満塁で8番ユウヘイ。
先の坂下南さんとの練習試合では、センターへ人生最高のあたりを放っている。その感触が手に残っているでしょう。まさに一か八かを絵に描いたような存在です。一か八かといっても、人間0か100かにはなかなかできないものですが、この男はそれができる男。この男が打てば一番チームを勢いづかせることは間違いありません。
スパン、スパンとアウトコースで簡単に追い込まれます。
「あぁ~、これは90%三振の場面だなぁ。まぁ追いついて、逆転できたからいいか。」と思っていたら、ライトへの電光石火の一撃。やや振り遅れでしたがミートゾーンで捕らえている。手首はまだかえっていませんが振りぬく勢いでもっていったといていい。ユウヘイらしい一撃です。
2点タイムリー。思ったとおり、チーム全体がイケイケどんどんになりました。まさに一気呵成。連続三振の2死から下位打線でダメ押しできたことが大きかった。相手チームのとんでもない動揺与えました。
つづく9番フクダもボテボテのゴロが幸いして、俊足を飛ばして内野安打。守備送球の乱れでユウヘイ生還。
トップに帰ってユウト四球、マナヤが2ゴロで終わりますが、この回打者一巡の猛攻で5点。一気に逆転し、流れをがっちり掴みました。
こうなると心理的に余裕が生まれ、実力以上のものを発揮します。先にこの展開にならないと正気はありません。
その意味で2死満塁の場面でのユウヘイのあの一撃は効果的だった。あれが試合を決めたといっていい。この試合にヒーローインタビューがあるとすれば、そこに立つのはユウヘイでしょう。やはり坂下南戦の一撃は無駄になっていませんでした。こういう成功を積み重ねると、この後も思い切ったスイングができるようになり、ますますいい結果を呼ぶ。
「これでやっていっていいんだ!」という自信が、ユウヘイをさらに前に進ませる。そしてもっともっといい結果をだそうとうまくなろうとする。これはユウヘイに限ったことではなく、皆にいえることです。
守備ではいいところを見せることができていましたが、打撃ではお世辞にも打てていたとはいえなかったユウヘイ。荒削りではありますが、それがいま打撃にも自信を持ちつつあります。もともとチームの中では数少ないパワータイプ。力はあります、がそれを活かしきれていなかった。
さらにガンガンタイプなので、ボールを見て打つということもしてこなかった。ところが、最近ファーボールでの出塁も増えてきている。大事なところで早打ちもしなくなっている。ボールを打たなくなってきてるので、自然とストライクゾーン=ヒットになりやすいゾーンを打っていることになります。これは大きな進歩です。ユウヘイもユウトと同じように考えて行動しています。ヤツらはヤツらなりに考えてチームに貢献しようとしている。
毎日家で100本素振りをしていますなどと影で努力してるようなタイプではなく、人の意見を聞くようなヤツらではないんで、実体験からの経験から学ぶことが一番でしょう。
結果が出てこなかった選手が結果を出せるようになったとき。成長を感じます。「あー、やっと打ちやがったなぁ。」とか「よくもあんな難しい打球を捕ったなぁ。」とか思い、「あー、こいつら上手くなったなぁ。」と目を細める。この瞬間も指導者冥利に尽きる瞬間です。じーんときます。もしかしたら、勝つことよりもうれしいかもしれない。勝つということは、こういう選手のいろんな成長の集大成なんでしょうね。それがいい結果になって出ると勝てるということ。
保護者も応援に本気になっていくのは、子供がそういう姿を見せてくれるから。できればいい結果を出して。そういう空間を共有できる時間は貴重なものだと思わせてくれます。どんな映画よりも面白いし、感動を与えてくれる。スポ少やっててよかった!
こいつらはまだまだ伸びます!
ユウヘイのあのスイング、下半身をもっとうまく使えば・・・などまだまだ直すところはあります。ということはまだまだ伸び白があるということ。みんなそういう伸び白をもっています。まだまだイーグルスは強くなれるということ。
この試合、1回の攻防を制したイーグルスに軍配が上がりました。
大差で勝ちはしましたが、それはまだ運によるところが多い。1回の表でもっと崩れていたら、その裏にあの攻撃ができたがどうか?どうなっていたかわからなかった。
1回をしっかり守り抜き、チーム全体を落ち着かせ、実力で流れを持ってこれるしぶとさ、確実さ、安定性をまだイーグルスはもっていないことを再認識した試合でした。
ですが、この勝利がイーグルスに勢いを与えてくれたことは確かです。
あの貧打が見違えるように打線になっている。マシンガンまではいきませんが、「豆鉄砲」打線くらいにはなっている。この時点で、この打線でどこまでいけるかなぁという皮算用。ピッチャーの不安定さなど一抹の不安要素もありますが、「こいつらのすべてを出し切ればいけるぞ!」という手ごたえは感じました。
次は、タクシー杯で惜敗した磐梯スポ少戦です。
結果は、猪苗代メッツさんの優勝、2位にしきみさん。この2つが会津代表です。
わがイーグルスは、1回戦ほおのきさんに勝利、2回戦磐梯さんに勝利、3回戦で優勝したメッツさんに敗れました。
4日に敗れた後に5日に準決勝の4チームの戦いぶりをこの目で確認しにいきました。
我らが盟友の高田さんとメッツさんの戦い。
しびれました。
最終回の表でメッツさんに2点の差をつけて、守りに入る高田スポ少。
勝利は目の前です・・・がそうは簡単にいかなかった。守りのミスもあって3点を献上しサヨナラ負けを喫しました。
もう少しのところですり抜けていく勝利。泣き崩れる高田スポ少の健闘を称えずにはいられませんでした。
そして決勝。
強打で相手をねじ伏せてきたしきみさんとメッツさんの戦い。
終盤まで4点差をつけて、しきみさんペースで最終回を迎えます。
この日はメッツさんのエースの調子がいまひとつでしたがバックもよく守って盛り立てています。
最後の攻撃に賭けるメッツさんの気迫。まさにチーム一丸。
こういう大事な場面できっちり先頭バッターが打ってでるあたりさすがです。
両チームのボルテージがMAXになるあたり、試合の分水嶺が動きます。
ここまで完璧な守備を見せていた、おそらく会津最強であろうショートのミス。
少しずつ勝利の砂が手からこぼれ落ちていく音を感じました。
メッツさんはここ一番でバントミスをするもそのあとの打者がすかさずそのミスを取り返す打撃。
このあたり神懸かっていました。
神懸かってるというか、それを手繰り寄せるのはやっぱチームのすごさ、強さなんでしょうね。
そしてサヨナラの場面で打ち勝つ。
ミリ単位のぎりぎりをつかみ取るいろんな面の強さがメッツさんにありました。
終わってみて余計にそれを感じます。
ミスを重ねない、勝負時に一気呵成ができる集中力。これは結果が出たから言えることかもしれませんが、野球の神様にも愛されていた。
それは強かったということです。優勝するに値するチーム。
どうりでイーグルスが負けるわけです。大事な勝負所をことごとく落としている。
落としているというか、チャレンジしていない。万全の準備をしていない。全知全能で立ち向かっていない。
わけのわからない状態で目の前におきた事象に対応しようとしている。どうしていいかわからない状態に陥る。たいていのミスはこの状態で起こります。そしてそういうところにボールは飛んでいく。要所でのミスは致命傷になります。
しかし、逆にいえばどの大事なところを拾えればこちらにも勝機はあります。
子供たちにもいいましたが、そのギリギリのところで挑戦するタフさを持とうと。
そのうえでの結果にはこだわりません。敵味方双方お互い本気。そんな中、常にいい結果がでるとは限らない。ミスもある。
ですが、チャレンジしてのミスを責めるようなチームにはなってほしくない。たとえ一瞬そう思っても、考え直して言葉や態度にださない許容性も持ってほしい。
土壇場でびびっても、たじろいでもいいけど、最後には腹をくくって全力で立ち向かう勇気。
そしてそこを勝ち取ろうと。そのためにいろんな練習をしていこうと。
そうすればもうひとつ上の高みからの景色を見ることができると。
この準決勝、決勝のようなしびれる試合。
イーグルスもできるはずです。あれを直して、これをしてと考えてみる。
全員の奮起が必要です。
次は白獅子杯、もういっこ上の高みをめざします。
いわゆるBチームの戦いです。
6年生のコウセイとユウヘイを背骨に次世代のメンバーたちの戦い。
はっきりいって負けていいという覚悟で望みましたが、最初から死の組に入るとは・・・
関柴さん、磐梯さん、猪苗代メッツさん、わがイーグルスB。
サッカーでいうと、われわれが日本代表だとして、ドイツ、ブラジル、イタリアの組にはいったようなもんです。
これはヤバイ。コウセイもくじをひいて組み合わせが決まったときに青ざめていました。
ちびまるこちゃんでいったら、顔に縦線が入っていたでしょう。
しかしまぁ、「引いちまったもんはしょうがねぇな!」とあきらめて自分たちの戦いに徹することを決めました。
この大会の目標は、
まずは全員打席に立たせる。
ぼろくそに負けても決して投げ出さない。
これです。
ぼろくそになることは予想されます。しかし、何点取られても、何回失敗してもいいけど、切れたり、投げ出したりしない。自分に何ができて、何ができないかを試合に出て実際に経験すること。
ここの最大の重点を置きました。勝ち負けは二の次です。
そうはいいながら、対戦相手によってはあわよくば勝ちにいく。
勝つことの楽しさ、あの一体感を味あわせてやりたいとは思っていましたが、この対戦相手ではちとつらい。
結果メッツさんに1:24、磐梯さんに5:3で負けました。
その後に新鶴さんの行為で新鶴で練習試合をさせていただき、そっちは5:5の同点。
このメンバーを使い切りながら戦うのは至難の業でしたが、なんとかやり切れた。
いろんな経験ができました。
ピッチャーユウトの気持ちのもろさ。
4年生以下の守備力、打撃力。
コウセイ、ユウヘイのリーダーとしての資質。
俺を出してくれという2年生のやる気などなど。
この試合一番感動したのは、コウセイ、ユウヘイのチームへの貢献でした。
この二人が切れたら終わりだと前から言っていました。
特に切れやすいユウヘイには何回もいっていました。守備も内野の要のショート、このチームのキーマンといってもいい。
ファーボールを連発して、糸が切れたタコ状態のユウト。感情がいっぱいいっぱいで涙があふれてとまりません。顔はぶすくれ状態で審判のジャッジにも不遜な態度。こんな状態でちゃんと投げろというのが無理な話ですが、ピッチャーはユウトしかいません。
ぶっとばしたい感情を押し殺しながら、なんとか調整しろと無駄な檄を飛ばします。
サンドバック状態で向こうの攻撃が終わるのをただ待つしかない状態だということはわかっています。
その攻撃を少しでも早く終わらせるためにこの幼い守備陣の奮起を祈ることしかできない状態。
これで21点とられました。
1回は4点くらいですんだのでほっとしましたが、そう簡単には終わらせてくれません。
そんなふわふわの状態のチームをこのふたりの6年生はよく支えてくれた。
変なボールしかこないのに切れることなく、身を挺してボール止めて、丁寧にピッチャーに返すコウセイ。「ちゃんと投げろよ!」と心で思う。いちばん頭にきてたのはキャッチャーのコウセイでしょう。それなのに微塵も態度に出すことがない。あの笑顔に清々しささえ感じさせます。これはなかなかまねできません。
こういうところがあるからチーム全体の副キャプテンに任命し、このチームのキャプテンに指名しました。
そしてダイヤモンドの中のショートの位置でチーム全体を鼓舞するユウヘイ。
セカンドの裏まで回りこみ、サードに入ってタッチアウトにする。まさに八面六臂、獅子奮迅の働き。ユウヘイがいいところは、こういう一方的な状況でも悲壮感が出ないこと。こういう「いきおい」関係はユウヘイの右に出る者はいません。
これは試合後の斎藤コーチの談ですが、ことが切れたユウトはチラチラショートのユウヘイを見ていたそうです。SOSを目で送っていた。それをユウヘイは受け止めて、「大丈夫だ!」と目で返していた。感情のダムが崩壊し、涙であふれていたユウトを最後の一歩でマウンドに押しとどめていたのはユウヘイのまなざしだったのかもしれません。それほどあのユウトが頼りにしている存在。
あとから考えるに、この二人の人選はベストだったことがわかります。
試合後のミーティングでこのふたりの貢献を思って泣きそうになりましたが、なんとかこらえました。本当であれば「こんなのやってらんねぇ!」となる場面。
とても24:1で敗れたチームの雰囲気ではない。誰をせめるでもない。誰のせいにするでもない。今の段階で精一杯やったことを受け止めてまた次に備える。ドヨーンとした敗北感、悲壮感が微塵もありませんでした。
本来なら総体に向けて白河遠征組にいるはずだった二人をこっちにもってきたのは私です。
二人には悪いことをしたなと思いつつ、結果オーライ。災い転じて福となす。
確かに惨敗はしましたが、この未熟なチームをひっぱる性格の違うリーダーの役割を見事に果たした。
昨日の練習でも、ユウヘイは「監督、道具かたしの指示をだしていいですか?」と聞いてきました。
責任、立場は人を育てる。
率先して用具のかたし方を自らもやりながら、後輩に指示をだすユウヘイをみてそう思いました。
何千回も口で言うよりも1回の経験が勝る。
まさに指導者冥利に尽きる一場面でした。
結果は散々。A、B両チーム一勝もできず・・・竜ではなくミミズくらいでした。
指揮官からすれば、戦力を分散したことによってどっちもいい結果がでなかった最悪の結果だと思います。
白河遠征組は長距離移動によってクルマ酔い。体調不良のなか、なれない新人2名をともなっての戦い。
泉さんに6-0?で負けました。
はなから不利な状況を想定していましたがそこまで不利になるとは・・・
しかも代えのきかない9人ぴったり最初から無理な注文だったと今では思います。
現時点での万全の体制を整えて試合に送り出してやるのが戦略。
戦略を整えられない場面を戦術で覆せというの酷な話でした。
悪いことをしたなというのが正直なところです。
私はそっちにいかななったので想像するしかできませんが、展開としたら面白くない展開。
いいところで決めきれずに、反対にこちらのミスがらみで点数を献上する悪い流れ。
それを止めようにもその実力が今はまだ足りない選手のところにボールがいってしまうジレンマ。
責めようにも責めれません。
こういうのが繰り返されると調子は上向いていかないもの。
29.30の練習試合でそのあたりを調整して上向いた調子のまま本大会へ望めるようにしたいと思います。
昨日は滝根町で大会でした。
残念ながら、村のにんそくで私は欠席。かわりに代表に指揮をとっていただきました。
1回戦は三春スポ少さん8-0でコールド勝ちの好発進。
2回戦で大成スポ少さんに3-0で完敗したそうです。
聞くところによると、初回の2点が大きく響いたようでした。
主導権を握られて、攻撃でもチャンスすらなかった模様。
チェンジアップに翻弄されたようです。
試合を見ていないのでどんな展開だったか想像するしかありません。
やはり好投手に当たると打線が沈黙してしまうようです。
そんな時にどんな対策をとるか?
何かオプションを考えておかないといけませんね。
それと昨日は美里連盟の総会がありました。
今年と来年は総体、白獅子が美里連盟のしきりになります。
各種大会ができるってことは、こうやって支えてくれている人があってからこそだと実感します。
大会が滞りなくできるように保護者のみなさまのご協力をお願いします。
きつねうち温泉の戦いは終わりました。
この戦いの中で特に印象にのこったプレーがいくつかあります。
1、ダイトのホームラン。釜子さんから放ったあの特大ホームラン。
2、ヒカルの3バント
3、タカヤ負傷交代でそこを補完したヒカリ
4、ラストバッター、ユウト粘り
5、ユウヘイのジャンプで3塁打
その他にもありますが、私の独断と偏見で上位をあげるとすればここまで。
その中でも、一番はヒカルのスリーバントです。
今年再三バントのサインが出るのに上手く決めた記憶がなかった。しかし、失敗してもいい。打たせるよりはやや確率が高いだろうと、ここはバントと腹をくくりました。
「スリーバント、失敗してもそれをお前に命じた俺の責任だから大丈夫だ。」そういってヒカルを送り出します。
もうひとつ、ヒカルの迷いをとってあげるために、サインを使わず声で「スリーバント。」相手にバレバレですが、そんなの関係ありません。やるしかねぇと思わせる。退路を断ち切り、背水の陣です。一発で決めてくれればいいものをツーストライクとやはり追い込まれる。釜子さんのエースもバントしずらいアウトローに集めてくる。
ああだめかもなぁと思ったとき、来ました真ん中やや低めに。
ヒカル、それを鮮やかにバント。しかも相手のエラーを誘い、無死2,3塁のチャンスをつくりラストバッターのユウトにつなぎます。ここで4にあるようにユウトが粘って2点タイムリーを放つんです。「送らなければならない」というプレッシャーの中でヒカルはよく決めました。
この試合は結果的にコールドで勝ちましたが、勝負の分水嶺はこの回のここでした。
7番ヤマトのデッドボール、8番ヒカルのスリーバント、9番ユウトの粘りのレフト前ヒット。
この下位打線で得点し、上位につないだ。その重要な触媒の役目を果たした。
ある意味ホームランよりもでかかったかもしれない。これはヒカルの自信になったはずです。今後もこういう場面がでてくるでしょう。そこで苦手意識をもたず、逆に「バントならまかせろ。やってやろうじゃないの!」と思ってくれるようになればしめたもの。
ホームランやヒットを打つばかりがチームに貢献することではないんです。
他の人ができなくて、自分にできることを磨いていくべきでしょう。それが自分を活かす道。
これは野球ばかりでなく他の道でも通用することだと思います。
ベンチに戻ってきた時に「ヒカル、いいバントだったぞ!」と声をかけると、いい笑顔と自信に満ちた表情に。そして彼は全力疾走でライトの守備に向かいました。
こういう顔をみるために我々はここにいる。
そう思わせてくれたヒカルのスリーバントでした。
大会にいくといつも勉強になることがあります。特にかって知らない中通りだと特に。
知ってる指導者の方がいないとアウェー感が半端ない。そういう時は、せっかくきたんだから少しでも広げていこうと積極的に話しかけるようにしています。しかし、私すぐに顔を忘れてしまうんですよねぇ。そんで頻繁に合わない。名前も聞かないで話してますんで、余計覚えられない。でもまぁ会津と中通りの違いとか、チーム運営の苦労とかそんなことを話してるんですがね。この大会では、3つのスポ少の指導者の方と接する機会がありました。
信夫さん、釜子さん、そして米さん。どなたも勝つだけじゃなく、その人の背景となる人格形成もきちんとしてるんだろうなと思わせる方々。あらためて自分もそうでありたいと思いました。
さて、3回戦、この時点でベスト8です。優勝まであと3つの勝利。
相手は米スポ少さん。聞くところによると、今年最強の大東さんに勝っているとのこと。動きをみても機敏ですし、主力にも体格がいい子が・・・。強敵です。
しかし、今日のダイトの調子ならばいい試合が出来そうな気がします。負けたら終わり。やるしかない。やるからには勝つしかない。ここからの戦いは一つのミスも許されない。
ひとつひとつのプレーがこのチームの最後のプレーになるかもしれない。やるなら今しかねぇと試合前に檄を飛ばします。
ひとつ不安があるとすれば、ここまでミスらしいがまったくないこと。
ないならないでこのまま最後までいってほしい。だいたいいつもある大ポカが出ていない。そのことが逆に私を不安にさせています。
三回戦までくるとひとつのミスがらみで一気に畳み掛けられそうで怖い。一瞬層思いましたが、指揮官が不安がっていると伝染してしまうので自分自身に気合を入れなおします。
この大会全て後攻を選んだダイト。そういや、去年のコウダイも後攻ばかりを良くとってきた。勝ちパターンの抑えて反撃カウンター作戦はそこから始まったのかもしれません。
初回、表、米さんの攻撃、いかにも打ちそうなバッターが上位にそろっています。大東さんの球を打っているくらいでしょうから、ダイトの球も甘く入ったら持っていかれます。
と、言ってるそばからセンターへ。ユウヘイ、一瞬迷いました。正面のライナーって難しいんですが、いつものつっこみが遅れた。そこで、止めてくれればいいものを、ショートバウンド気味の打球にビビッて顔をそむけてジャンプしてしまった。ただのセンター前ヒットを三塁打にしてしまいました。
ああ、これがこの大会の大ポカかぁ・・・この大事なところできたかぁと実感。
ホームランにしなかったのがせめてもの救いでしょうか。がっとばしたい気持ちを、深呼吸で抑えながらユウヘイにドンマイの声を送ります。反省は試合の後で。
パスボールで1点を献上してまずい雰囲気に。いやな空気です。立ち上がりに一発食らってしまった。
そしてここでさらなる追い討ち。
キャッチャー、タカヤの負傷退場です。高めのツリ球のファールチップが防具の薄い胸のところを直撃。あの気丈なタカヤがうずくまり泣くくらいの痛さ。これはヤバイと思いました。
タカヤを気遣いつつ、私の頭の中のコンピューターがめまぐるしく回転しています。
「どうする?どうする?」とはいえ、このベンチ事情では選択肢は一つしかありませんでした。
タカヤが回復したときに再出場ができることを確認して、タカヤをいったん下げる。
下げたところにフクダを投入。
そして、ヒカリの顔を見る。首を横に振っています。「ムリムリ。」という表情ですが、「お前しかいない!」この一言でスイッチが入ったようでした。顔が引き締まっていく。
ヒカリの変わりにDPのヤマトを守備につかせてるスクランブル体勢。
ヒカリがキャッチャーをやっててよかったぁ。この時ほどそう思ったことはありませんでした。
これでベンチは、3年生のタケル、ヨウスケ、2年のユウキしかいなくなりました。
これ以上の交代は耐えられません。
ややとまどいながらも、キャッチャーの役割をこなしている。この試合ミスらしいミスはありませんでした。
このアクシデントがありながらも、なんとか耐えることができた。そうはいいながらも、確実にリズム、ここまでのいい流れは影を潜め2点を奪われてしまいます。んー痛い。
抑えてカウンターのパターンが崩れた。しかも米さんのピッチャーもいい。うちの打線ではとって1点か2点。タカヤがいないので、もっと苦労するはずです。
50分なので、チャンス1か2回。そのチャンスをものにしないと全てが終わり。
得点圏に進めますが、2死、いい場面でヤマト。この大会、2死得点圏で回ってくることが多い。昔は上位を打ってたこともあるんだから打って欲しかった。
タイミング、トップを早く作ることは出来ています。ただ、ヤマトの振りはインサイドアウトではない。あれではアウトコースに対応できません。ここも修正しなくてはいけないこところ。
打線も抑え込まれて流れは相手ペース。ショート、レフトの守備位置のまずさからホームランを献上。確かに打球は速かったですが、あんなところが抜けるようではこの先勝ちあがれません。
ここにきて沈うつなムードを吹き飛ばしてくれるのは、ユウヘイ。あいつの底抜けの明るさには助けられます。笑顔がなくなってきているところに、馬鹿をやって明るくしてくれる。まだまだ終わらないぞ!と思わせる。上手い下手のほかにもこういう所もチームに貢献している。本人は計算でやっていないところがまたいい。まぁ、こうなる原因のひとつは大ポカをやったユウヘイなんですけどね。それさえも全然気にしていない。その肝の据わり方、見習いたい。
そしていよいよ最後の攻撃も遮断されてゲームセット。ここで、美里イーグルスの今シーズンは終わりました。
確かに米さんは強かった。要所要所を締めてくるし、エースを温存してもこの結果。しかし勝機がないわけではなかった。5ミリくらいはあったと思います。
ものすごい不安定ながら、来期の戦い方はイメージできつつあります。ピンキリ。ピンを維持できるようになれば、いけるはずです。それが難しいんですが。
そしてユニホームを脱ぐ二人。アクシデントながら最後はこの6年生バッテリーになってしまうあたりが天命なんでしょうか。
もうこの二人でバッテリーを組むことがこの先あるのかどうか?
かくして美里イーグルスの最終戦は終わりました。昨年のように頂点を極めることは出来なかった。悔しさよりも、よくぞこのチームでここまでやってこれたなという達成感のほうがある。一時は、ダイトの調子も崩れ勝てない時期、上手くいかない時期もありました。
最後にきて、2回も勝った。サバサバしたもんです。6年生ふたりがどの道に進もうと私は応援します。
そして、既に来期を見据えてこいつらを鍛え上げていかないといけない。
ああして、こうして、こうする。そして次の世代のことの考えなければいけない。
やることはたくさんあります。そして、楽しみもたくさんある。
来週は全会津選抜大会がいわきで開催されますが、美里イーグルスとしてのシーズンは終わりました。
今シーズンも保護者の方々、関係者各位のご理解とご協力に感謝いたします。
ありがとうございました。