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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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いよいよ6年生三人の最後の大会となりました。
それが、坂下ライオンズ杯、坂下なのに柳津でやる不思議。
場所は関係ありません。最後にただ有終の美を飾るのみ。
みんなで勝って、優勝して終わりたい、その一心でした。

はからずも組み合わせは、昨年と同じ。
高田イーグルスの組には、坂下ヒーローズさんと柳津さんがいます。
この三つ巴を制しない限り、決勝戦へはいけません。
昨年は、一勝一敗で並びながら、失点差で泣きました。
そして、今回は6年生最後の戦い、そして柳津さん、坂下ヒーローズさんと戦う最後の大会となるので、目覚めが悪くならないように、なんとしても、どちらも倒して、決勝にいかねばなりません。


さて、第1試合は、柳津さん。
この前の喜多方ボーイズ杯では、終盤に追いつかれて、抽選で敗れるという波乱の展開。
閉会式では、なにももらえず、傍観者に徹するという不本意な時間を過ごしました。
まさに屈辱。
その屈辱を晴らす時は、今しかありません。

この六年生最後の大会、私は成田コーチの策を採用しました。
六年生のスリーアミーゴスを一番から3人を並べました。
いつもは、7,8,9番に並ぶことが多い3人の打順。
それをあえて先頭から使うという戦術です。
得点効率を無視した、感情と気迫に頼った戦術ですが、私も見たかった。
そして、彼ら3人が活躍することで、この最後の大会は乗り切れるという計算があったから、この打順にしました。
こいつらが打てば、勝てる。
それを期待している、私がいるし、成田コーチもいるし、他の指導者も保護者も選手も、その具現化を望んでいます。
後は彼らがそれに応えるだけの展開となりました。

初回、1番のカナト。
記憶によれば、カナトを1番に置いたことはありません。
相変わらず突っ立ち気味の狭いスタンスですが、選抜の練習にいってから、振りに迷いがなくなってきています。
ライト前にヒットを放ち、まずは面目躍如、柳津さんの陣に風穴をあけます。
2番は、この前鋭いホームランを打ったチヒロ。
パスボールでスコアリングポジションに進んだカナトを返すだけなので、小技ではなく打たせますが、セカンドフライ。
3番は、クリーンアップとして置いたキヒト。
一発の長打力に期待しますが、タイミングの取り方が相変わらず遅い。
迷いなく自分の筋肉量を使いこなせれば、凄いスラッガーに育ったはずですが、今は迷える子羊。
当てに走った小さいスウイング、ついに直してやることができませんでした。
小さいスウイングは、消極性の結果としてファーボールを選びます。
ここから、五年生以下、六年生の誰かが出塁しているであろうことを予測して、ここにクリーンアップのトウマを置きました。
それが当たります。
たまったランナーをきれいにする仕事、文字通りクリーンアップの仕事をきっちりとこなします。
2点を先制します。
役割をきっちりこなす。
当たり前のことを当たり前にできることを強さと呼ぶと思います。
後続のミソラは、ファーボールを選びます。
春先であれば、なんでも振って斬新というところでしょうが、チャンスを継続されるために、きっちりファーボールを選ぶ目を持ってきたところに、ミソラの成長を感じます。

さぁチャンスの継続です。
ここからはもう一回、立て直す意味でこの打順に置いた、アユキ、事実上の一番はここからです。
さぁ、いけと気合をいれますが、三振・・・二死。

もうひと押ししたいところで、アオトとハルトが、セカンドエラーと振り逃げで出塁し、その隙に、トウマとミソラがかえって4点を挙げ、マナトが三振でチェンジも、ゲームの主導権を握りました。
相手のミスに乗じて、取れる時に得点しておく、ここが当たり前のことです。あとはきっちり抑えるだけ。

柳津さんの1回を、きっちりゼロに抑えて、相手に隙を与えませんでした。
そして来た、2回の表、1回に打者一巡したので、またもや6年生スリーアミーゴスのカナトから始まります。

前の打席もヒットのカナト、少し遅らせて、逆らわずに右に打つ打ち方が定着してきました。
感覚的なものですが、それを自分の感覚にできると、この先の未来が開けてくるでしょう。
まだまだこの小学生時代は、ぶれぶれでしょうが、自分の中で、こうやれば打てる!という感覚が育ってきているのだと思います。
「さぁカナト、右中間をやぶれ!キリさけー!」とはっぱをかけると、まんまと鋭い打球が右中間を切り裂きます。
広い柳津のグランド、右中間を抜ければそこはフロンティア。
私は、ホームランを確信しました。
カナトの親父の笑い声、ベンチの歓喜、ホームランを打ち慣れていないカナトの全力疾走。
すべてはこの日の、この瞬間のためにあったとカナトは思うでしょう。
技術的なことは、まだまだできていません。相変わらずつったち気味のスウィング。
よくあれで打てるなと思いますが、この小学生時代は、技術云々よりも、覚悟をもってできるか、できないか?ここに大きな差がでると私は思います。

今回のカナトに迷いはありませんでした。
ただ、振るのみ。
一点に集中すること。
今回はそれができた。それが結果につながった。
カナトの自信になったと思います。
カナトの自信はすぐにぐらつきますが、今はそれでいい。
大いに迷って、不安になって、弱気になったらいいんです。
そのうえで、もう一回立ち直って、自分よりも強い相手にどうやって立ち向かっていくかを考え、行動に移すこと。
この過程を繰り返すうちに、「自信というウロコ」が少しずつ積み重なっていくでしょう。
決してメンタルが強いとは言えません。むしろ弱い。

しかし、私はこの弱さが好きなんです。
お前なんぞ、この程度だと、自分の弱さが、白日の下にさらされる。
カッコ悪くて、みっともなくて、逃げ出したい。
しかし、それも事実なんです。
逃れようがない事実をたたきつけられる。
できる奴との差をまざまざと見せつけられるでしょう。
自分自身が、とてつもなく、ちっぽけな存在に思える。
それが、はじめて自分自身と向き合う時です。
バッターボックスには、自分しかいません。
お父さんお母さんは助けてくれません。
自分でなんとかするしかない。
現時点での、自分の持てる限りの武器をもって、立ち向かうしかないんです。
スポ少という小さな世界ではありますが、子供たちがはじめて直面する、外海、勝負の世界です。
そしてそれは、いずれいくことになる、社会という大海に通じています。
最初に社会という競争の場に触れるきっかけ、それがスポ少だと思います。
その中で、自分の弱さを知り、しみったれたらいいんです。
ボコボコに負けて、打ちひしがれたらいいんです。
大事なのは、その後。
その後、どうやって立ち直り、どうやって自分の居場所を築いていくかなんです。
そこには、一緒に苦労をした仲間がいて、我々指導者がいて、お母さんお父さん家族が支えてくれます。
ここに、ロッキーという映画のような場面があります。
練習して、トレーニングして、自分の長所を武器として磨いていく。
短所を克服していく。
人が変わっていく課程、変わろうとするプロセスに我々がいます。
私が、好きだといったのは、この課程、立ち直り、もう一回前を向いた時の子供たちの横顔が、とてつもなくたくましく、りりしい。
神々しささえ感じます。

このヤロー、うまくなりやがってと、
驚嘆と賞賛が入り交じった悪態をつく瞬間が、たまらなく、好きなんです。
弱さを克服していく強さ。
強さは、弱さなんです。
弱いからこそ、強くなれる。
そいつが努力と試行錯誤をしてきたことが、可能性の低い、いい結果を引っ張ってくる。
彼が、がんばってきたことを私たちは、きちんと知っています。
同じ時間を共有してきているという自負。
できなかったことが、今まさにできるという化学変化を目のあたりにしています。
そういう時に、世界がにじんで見えます。
多くの指導者が麻薬のようにとりつかれる瞬間がここにあります。
人の成長する、すぐ横にいるという実感があります。
そこに、我々指導者の存在意義を見いだします。
そんな格好いいことではなく、一生懸命にやってきた奴らと、ただただ、心を動かされる瞬間を共有したい。
それだけなんです。

そして今、カナトが私たちにその瞬間、心を動かさせてくれる瞬間を引っ張ってくれてきています。
走れー!いっけぇー!
チームメイトも親も指導者も、誰もがあらん限りの大声をだし、ホームを目指して走るカナトを応援しています。
これなんですよ、これ、この一体感。
どんな映画、ドラマ、エンターテイメントよりも面白いと、私は自信を持って言い切れます。
だって、実際に経験してるんですから。
ダイヤモンドを走っているカナト、あの瞬間は間違いなくヒーローです。
その瞬間は、俺ってすげぇんじゃねぇって思っていい。
みんなも思い切り褒める。
そこに、自己肯定感が生まれます。
やってて良かった思える瞬間。
お母さん、お父さんもそう思うでしょう。
カナトは、たくさんたくさん、負けて、失敗もしたけど、心から、自分がやってきて良かったと思える瞬間に出会えたようです。
言葉は不要です。
顔を見ればわかります。
だって、カナトは満面の笑顔なんですから。


こうして、カナトの活躍もあり、ゲームを支配した高田イーグルスですが、後半は柳津さんに追い上げられる展開になりました。
それでも、なんとか逃げきって、リベンジを果たしました。

まずは、一勝。
次戦、坂下ヒーローズ線です。














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