忍者ブログ
MASTER →  ADMIN / NEW ENTRY / COMMENT
時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

今年のカナト世代、この世代の第1の課題は投手力です。
バッテリーが試合を作れるかどうか、ここにかかっています。
試合をつくるというのは、ピッチャーがストライクをとれるかどうか?
ここです。
ストライクが入らなければ、永遠に終わりません。
こうなると守備陣の集中力は切れ、たまに打ち取ったあたりが飛んでも、エラーエラーの連発、そして、さらにピッチャーはストライクが入らなくなるというデフレスパイラル。
やってる選手も相手チームも見てる保護者も疲れ果ててしまいます。

今年の投手陣、エースをはるミソラ、どこでも守れるユウシン、そして次世代のヒカル。
この三人がいまのところの台所事情です。
昨年の秋、春にかけては、誰がエースになってもおかしくはなかった。
しかし、このエースの座をかけたレースの中で、一歩踏み出したのは、ミソラでした。
昨年のユナに続き、二年連続の女傑エースは初めて何じゃないでしょうか?
それだけ、男のお株を奪う活躍をしてきたということです。
まぁ、いまの世の中、ソフトボールをするのに男も女もありませんから、上手い方が試合にでる、重要なポジションを任されるのは当たり前のことです。
しかし、この三人、そろいもそろって曲者(くせもの)です。
ピッチャーはメンタルの強さがほかのポジションよりも求められると思っています。
それは、絶体絶命のピンチであったとしても、たった1人で強敵のスラッガーに立ち向かわなければならない場面が多々あるからです。
たとえ回りに仲間がいたとしても、ピッチャーが投げなければ試合は始まりません。
最初のトリガーを引く勇気、運命を握るポジションといってもいい。
重要なポジションだけに、感じるプレッシャーも半端ではありません。
この三人は、気分が乗っているときは意気揚々とその引き金をバンバン引きます。
しかし、そうでない時は……
私は、ピンチやミスが続いたときの、ヤバいなぁと思ったときこそ、その人の真価が問われるし、本音がでると思っています。
この三人のいまのところの本性は、お世辞にもたいしたもんだとは言えません。
メンタルの浮き沈みが激しいミソラ、悪いときはチーム全体を底なし沼に引きずり込むかのような落ち込みよう、彼女が常に「大丈夫!大丈夫!心配ご無用!」と笑顔でバックに微笑みかければ、Go to heaven間違いなしです。

そして、ユウシン。
彼も悪いときは、ハリネズミのようにとがりまくります、ジョジョのマンガ、ゴォゴォゴォゴォゴォゴォォォォォとダークサイドに落ちていき、誰も声をかけれなくなってしまいます。
そして、彼の悪いところは、腐って回りにそれを態度で出してしまうところ、昨年は何回かグローブをぶん投げたところを見ました。 
その幼さが彼のネック。

最後にヒカル。
彼は、集中過ぎるあまり、回りがまったく見えなくなります。
自分の世界、ワールドに入って帰ってこなくなってしまう。 
どんどん投球間が早くなって、自分で立て直すことも、回りの励ましに耳を貸すこともなくなる。
地獄の一丁目に自ら進んで突撃していきます。

彼等に共通して言えることは、回りの言葉に耳を傾けないこと、傾けないというか、そんな余裕がないと言った方が無難なのかもしれません。
自分のことだけで精一杯、これが正直なところだと思います。
三者三様にアカン。


これを直すには、打破するには……
投げるしかありません。
投げて投げて、自分に自信をつけるしかない。
根本的に、私はそれしかないと思っています。
その過程で、いろんなアドバイスを試していき、自分に合う、しっくりした感覚を何回も何回も繰り返していくのが王道であると思っています。
去年のエース、ユナも家族と一緒に夕暮れの宮川小で影が長くなるまで投げ込んでいました。
気の遠くなるような練習の繰り返し、決して近道などないんだと思います。 
それは、バッターの素振りでも同じですよね。
そんな気持ちの入ったピッチャーの球を打ち返してヒットにするためには、バッターもそれ相応の努力をしなくてはいけない、私はそう思います。

この春に来て、バッテリーの強化を第1の課題挙げた我々は金曜日をバッテリー専用の練習日として当てました。
投球に特化してバッテリーを強化してきた。
その成果が少しずつ現れはじめています。
三人のコントロールが少しずつ向上してきました。
みんなを地獄の沼に引きずり込むことが少なくなってきました。
もちろん、金曜のバッテリー練習だけではこんなに良くなるはずもありませんから、彼らもまた去年のユナのように、家族の協力のもとに影を長くするまで練習しているに違いありません。
意識が少しずつ、改善しています。
そうなると、守備からリズムを作っていくことができます。
それに連携して攻撃もよくなっていく。
それが野球というものです。
ソフトボールというものです。
当たり前のことを当たり前にできるというのは、強さです。

チームの成長は、ピッチャーとそれを支えるキャッチャーの成長が大きい。
そこに、バックの守備陣が絡むんです。
この相乗効果。
まるで、料理のようだと思いませんか?
だから三者三様でいい。みつをさんじゃありませんが、みんな違ってみんないい。
ひとつとして同じ味にならない。
ここにも多様性。
面白い。
生きていくことは、この面白さの追求だと思ってます。
1番を狙うよりも面白いと思います。
結果として、1番はついてくる時もある。

今年はどんな、料理ができあがることでしょうか?
それを我々は涙を流して食べることができるか?
その涙を、みんなでうれし涙に変えて見せましょう!

PR
今年の高田イーグルス、いままでとどこが違うかというと、
まず、コーチ陣が増えました。
私がいままで経験してきた中では、最大級です。
それだけ、関わる人の熱量が上がってきたということです。
保護者コーチというあいまいなところではなく、きっちり総会で規約を直して、正式にコーチを増やしました。
そうすると、コーチも選任されたということで責任もでてくる、俄然、指導についても声を出しやすくなります。
野球、ソフトボールを知っている経験者なので心強い。
何より、たくさんいることで目が増えますよね。
子供たちを見る目が増えて、角度も違ってくる。
これはその子のいいところも悪いところを、いろんな角度から分析して、処方できることを示しています。
そして、指導者がなにかあって来れないときも、誰かがカバーできる体制が整ったと言えるでしょう。

最初はぎこちなかったんですが、最近はみんなが何を考えているかが、少しずつ分かってきました。
考え方も違うし、どこを重要視しているかも違う。でも、それでいいんです。それでこそいい。
多様性を認めない組織に成長はありません。
生物の進化も多様性の歴史です。
みんな同じであれば、環境が変わったり、疫病にかかったときに、みんな滅亡してしまう。
あらゆる状況に対応できるために、生物、というか遺伝子、DNAが選んだ道こそが多様性なんです。
プロ野球でも四番バッターばかり集めたチームがどうなったのか、それは歴史が物語るところです。
異なるものが、お互いを認め合った時に発揮できる強さ。
これこそが、求めるべきチームプレーの強さだと私は思います。
何よりその方が面白い。
私が目指してきたチームとはそういうチームです。
多種多能な人種と文化を内包するアメリカ合衆国の強さって、こういうところにあるんじゃないかと思います。
まぁ、それは置いておいて、高田イーグルス。

子供たちひとりひとりのいいところを伸ばすために、いろんなコーチがいるんです。

昨日の練習試合でも、その効果が表れたと思います。
外野を抜けた時の魂の中継プレー。
一三塁でのカットプレー。
どちらも意図してやろうという意志が複数人いなくては成り立たない。
これぞ、フォアザチーム。

まだまだ、けつが青いですが、そういうプレーが少しずつでてきた。
それを見ている我々大人も、「おぉ~!」と、うなってしまう。
そういうのを見たいんです。
そういう、本気のギリギリのプレーを全力で応援したいんです。

彼らの成長はこれからです!




だいぶ遅れましたが、2022カナト世代が4月から始まりました。
高田イーグルスは、4月時点で23人となり、それなりの大所帯となりました。
多いといっても、六年生は3人。
三国志ですね。桃園の誓い。
例えて言えば、劉備がカナト、関羽がチヒロ、張飛がキヒトというところでしょうか?
かなりのでこぼこ三国志。
その下には、いまのところ有象無象の梁山泊。
まだまだ何者でもありません。
だからこそ、いろんな可能性がある。
私はそう思っています。
もっとやばい状況は過去にもありました。
6年が1人のみ、人数もほぼぴったり。
なにをやっても、うまくいかない。
最後の最後のまで、練習試合も含めて1回も勝ったことが無かった、ナオヒロ世代。
しかし、最後に昔の赤沢スポ少さん?本郷スポ少さん?に勝ったことを覚えています。
たったの1勝。
しかし、あの時の私たちにとって、とてつもなく大きな1勝でした。
死力をつくして、全力をつくして、ギリギリのところで勝ち取った1勝。
人の生き方というのは、基本的に相対評価。
苦しくて、つらくて、何回も何回も負けて、打ちのめされて、それでもまた前を見て、前を向いて、また立ち上がる。
そして、最後の最後にあげた、たったの1勝。
あの時の、ナオヒロをはじめ、決して上手くは亡い、どろくさい、へっぽこで、とんでもなくたくましくなった彼等を思い出しました。
その世代と、今のカナト世代は重なります。
お世辞にも上手くは無い。幼い。
このカナト世代が、果たしてどう変わるか?
どう変えていくか?
今年のメンバー、ひとりひとりの顔が思い浮かびます。
そしてまた、今年は今年の風が吹く!
楽しみです!

しばらく書いてなかったので、備忘録として。
この冬から春は2つの大きな経験をしました。

ひとつは、高田中駅伝部の全国大会でまたまた滋賀県にいったこと。
そして、もうひとつは、只見高校の選抜高校野球出題で、甲子園に応援に行ったことです。
どちらも、生きていく上で、大きな経験をしました。

1番は、やはり、現場に行かなくてはならないということ。
そして、そういうチャンスがあったなら、なるべく子供たちにもその舞台に連れて行ってやること。その行程を楽しむこと。
分かっているつもりでしたが、そういったことを改めて、教えてもらいました。


同じ空気をすって、同じ空間に存在する。
こういう経験にこそ、お金は使うものだと思いました。
経験こそ、大きな財産。
そして大事なのは、何を感じて、その後にどう活かしていくか?
そんな高尚に考えなくても、その経験は血となり肉となっています。
意識しなくても、感じたことが、潜在意識として、我々を突き動かすと思います。
だから、親は我が子をいろんなところに連れて行くんだと思います。
いろんなことを自分の目で見ておくこと。
現場のチカラを信じてみる。

これをすごく実感したのは、高田中の2回目の全国駅伝大会でした。
今回のメンバーは、2年前に我々が連れて行ったメンバーがほとんどです。
2年前のあの場所、あの感動を実際に自分たちの目で経験しているんです。
そして、彼等はこう思ったでしょう。
「俺たちも必ずこの全国大会にいく!」と。
あの場所を具体的にイメージとして持っているんです。
これは強いですよね~。
全国大会が決まったとき、終わったとき、
あの時のメンバーと顔を見合わせて、
「俺たちがやってきたことは、無駄では無いどころか、全国に大輪の花を咲かせた!」
そう自分たちも褒め称えます。
それを、2度も私たちは目にすることができました。
私たちも、多くの勇気と感動を間違いなくもらっています。
おそらく、寿命は2年は伸びています。

そして、今回もまた、規模縮小ながら、新たな若い芽を連れていきました。
別に大輪の花を狙っているわけではありません。
そんなプレッシャーなどみじんも感じさせなかったはずです。
ただ、ただ、「現場のチカラ」を信じているのみ。
年はちがえど、ただ、ただ、一緒に楽しむ仲間なんです。

なので、これからも、私は「現場のチカラ」を実践していきます。
東京オリンピックのチケットも当たってたんだよなぁ。
サッカー、ワールドカップもいつか見てみたい。
夢は尽きません。





しばらくぶりで、書き進めたくなりました。
なかなか書けなかったところから、またはじめます!


中島みゆきさんの「ファイト!」を竹原ピストルさんのカバーで聞いています。

諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく

ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ

雪も終わりかけたかと思っていれば、今日は大雪でした。
しかし、その雪もあたたかさが感じられる雪。
振りながらも、融けることがわかっているような雪。
確実に春は近づいている、そう思わせてくれる雪でした。
今日はレン世代の卒団式でした。

この世代もコロナの災いから、まだ抜け出せないでいた世代。
思うようにソフトボールができませんでした。
試合数は激減、自分たちの居場所さえも確認できない。努力してきたことを確かめる機会さえ、与えてもらえない。
そんな中で迎えた総体。
関柴さんを相手に4点も先制するも、その裏にすぐさま逆転される有様。流れを維持できず、自らが崩れていくことを止められない脆弱さ、未熟さ。
ここが今年のスタートでしたね。

挽回する機会はまたもやコロナで打ち消される。
コロナ明けでやっと練習が許されたのは、5月だったか6月だったか?
さぞかし、身体的にも精神的も落ちていることだろうと予測していましたが、いい意味で期待は裏切ってくれました。
こんなどん底みたいな状態であっても、ちゃんと前を向いていたんですね。
コロナ明け、ユナとシュンペイのバッテリーのピッチング練習を見ていた時、見ていたというか、ピッチングの音、キャッチングの音が、私を振り向かせました。
ん!なんだこの音は!
ずいぶん、長い間、休んでいた音ではありませんでした。
躍動感のあるフォームから放たれる白い一筋の線。ぱちーんと気持ちよく、ミットに収まるボールが笑っているようでした。
収まるべきところに収まることが楽しそう。
音がそう言っています。
ここまで、この二人にいろんなことがあったんだろうなぁとなんとなく思っていました。
バッテリーになっていなかった。
わかっていながらも、この二人で、乗り越えるしかない壁。
どうやって乗り越えてきたかは、二人とその家族にしかわからないでしょう。
しかし、それを乗り越えてきた。
歯車がカチッとはまる音。
なんか、乗り越えたな?そう思えた瞬間でした。
ここからなんじゃないでしょうか?
ここからいろんなことが上手くいき始めてきたと思います。
それは、ここまで記してきたとおりです。

そして、今日を迎えます。
別れの時。
またしても、コロナで全員が集まらない。
目を見て、サヨナラを言えないんです。
そして、目を見て、がんばれよ!と言えないんです。

この流れは何回やってきても複雑な気持ちになります。
いままでよくやってきたなという感慨と、
もう、この選手たちと一緒にプレーできないことを分からされる時。
うれしさよりも、寂しい気持ちでいっぱいになります。
このこどもたちの一挙手一投足によろこんだり、ないたりできなくなること、
いままでとなりにいた子供たちが、
そのおとうさん、おかあさんたちがいなくなること、
こえがきこえなくなること、それがたまらなくさびしい。いつも思います。
ソフトボールという世界を通して、いっしょに見てきた景色、世界をもういっししょにみることはないんだとおもうと、またまた、たまらなくさびしさが襲ってきます。
長年の友がいなくなってしまうような感覚。
レンなんて、六年間も一緒にやってきました。
彼とその家族にとっては、激動の六年間だったことでしょう。
レンをはじめ、彼等のプレーのひとつひとつがよみがえってきます。
そして、うろこが剥がれるようにひらりひらりと、私から離れていきます。
言わなくても、目をみれば、くやしさも、よろこびも、わかりあえてきた。
そういうのが、もうできなくなる。

さびしい。

それを酒の席で、みんなで飲んで発散させることさえもコロナは許してくれませんでした。

それでも、時は過ぎゆきます。
これも、やはり試合と同じなんですね。
過ぎたことは、もうもどらない。
ここから先をどうするか?が大事。

そう言ってきた私がそれを実行しないわけにはいけきません。

レン、
タイチ、その不器用さ、まっすぐさに何回も助けられたぞ。
ユウキ、秘めたる闘志、俺は見たぞ。
マナト、型にこだわるな、豪快な一発、何回もイメージで見たぞ。
コタロー、いつもチームを救うようないいところにいたな、埋まっていこうは面白かった。
レオ、不器用ながらの豪快なホームラン、打球は速かったなぁ。
ユナ、よく泣いた、よく投げた、そしてよく笑った。
シュンペイ、メンタル激弱からの成長、ソフトボールを楽しんだな。

お別れです。
彼等の成長を、またここから見守ることにしましょう。

最後に、これまで手厚くサポートをして下さいました、六年生の保護者の皆様、
万感の思いで、ありがとうございました。






久々に感動して書きたくなったので書きます。
連日の選手の頑張りに元気をいただいている北京五輪。
昨日はカーリングの準決勝。
日本は前日に負けている王者スイスと対決し、みごと大金星!
日本を初の決勝に導きました。
その直後の吉田知那美選手のインタビュー、その、中で「私たちのアドバンテージはたくさんのミス」、こう話していました。
それを聞いて、これが彼女たちの強さなんだと確信しました。

自分たちの弱さを認めている。
相手の強さをリスペクトしている。
その上で、自分たちの強みを活かした、失敗を恐れないチャレンジをしている。
1番負けてきたから、1番やられてきたからこそ、強くなれた。吉田選手は、周りの仲間を見ながら胸を張って、うるんだ瞳でそう言いました。

その鉄の意志。
仲間との鎖のような堅く、柔軟なチームワーク。
喜怒哀楽を隠さない、涙に笑顔。
おそらく日本中の多くの人が、たいしてルールもわからず、ほとんどがにわかファン。
そうだとしても、熱しやすく冷めやすいとしても、こんなにも我々を熱くさせてくれます。
スポーツの原点がここにある、誰かがそう言ってました。正にそのとおり。
見ていてこんなにも我々をひきつけるチームが他にあるでしょうか?
ロコソラーレ。
彼女たちから学ぶべきことはたくさんあります。
私たちがめざすところと似ています。

さて、これをどうやって高田イーグルスにいかしていきましょうか。
来年も高田イーグルスも、たくさんミスをして、たくさん負けるでしょう。
それでいいんです。
勝つことを目指しますが、それだけに固執して欲しくない。
負けても勝っても、仲間を信じて、競技を楽しみ、相手とのリスペクトをわすれない。
スポ少は、「人として成り立つ」練習ですね。
高田イーグルス、ロコソラーレのようであって欲しい。

雪解けの春を待ちます。

春のセンバツ出場校が決定しました。
只見高校!
会津から63年ぶりの出場を果たします。
これはまさに会津の球児の夢。
それが叶った。
甲子園に会津の高校がでる。
全国の強豪校としのぎをけずる。
考えただけでワクワクします。

13人という少ない人数、公立高校、豪雪という不利な状況。
それだけではなく、いろんなことが不利に働いたことでしょう。
しかし、彼らはそれを糧としてきた。
無い物ねだりではなく、いまここで咲き誇ることを選んで積み重ねてきた。
それが、今、花を咲かせる。
今の彼らの奥に、いままで彼らを支えてきた方々の笑顔が見えます。
その波はいきなりやってきました。
我々ではなく、全南選抜チームに。

初回にファーボールとエラーでいきなり3点を献上してしまいます。
おい!気前が良すぎないかい!
3点……
これで相手は余裕をもって選択肢も増えます。
対する会津選抜チームは、序盤こそ、1点ずつでいいんですが、回を追うにつれて確率の低い、思い切った策が必要となります。
となると、相手チームもこちらの作戦を読みやすくなります。
そこにきて、前の練習試合でもわかりましたが、バッテリーが、特にキャッチャーが元気が良くて、クレバーなんですよね。
扇の要として、チーム全体を鼓舞します。
彼の声、指示、これがまた、絶妙なタイミングで効果大。
三年前のユウキを思い出します。
屈強さ、ユーモアさ、状況把握からの対応力、機転、そしてなによりキャプテンシーがある。
キャッチャーとしての資質がそろっている。
いいキャッチャーなんですよ。
そして、実に絶妙なタイミングでチェンジアップを使ってくる。それがバンバン決まる。相手選手をよく観察している証拠です。
会津選抜は最後までこのチェンジアップに狂わされます。
まんまと、バッテリーの術中にハマってしまった。
3点を追いながらも、反撃の糸口さえ見つけられません。
先の田村選抜チーム戦では、バンバン決まっていたバントも決められません。
そこにきて、ランナーもでない。
手の打ちようがありません。
エース、ハルの調子もなかなかあがってきてくれません。
球威も明らかに落ちています。
そこにきて、忘れていた12月の寒さが徐々に忍び寄ってきます。
さらに2点を献上し、コールド負けの歌がだんだん聞こえてきました。
斜陽。
いわき新舞子の太陽が沈もうとしています。
会津選抜の命運もこのまま尽きてしまうのか?
流れは完全に全南選抜にいっています。
こういう時は、積極的にしかけるか、選手たちを信じてじっと待つかの二つにひとつです。
どうやってとったかは、忘れました。 
中盤にきて、2点をもぎ取りました。
さぁ、あと3点。
全南選抜の尻尾が見えてきました。
ハルとコタローのバッテリー、なかなか調子があがらないまでも、なんとかその中でやりくりをしようとしています。
しかし、それも限界か。
コントロールも甘くなり、痛打される場面が増えてきました。
終盤にきて、これ以上の得点は許されませんが、追加点で離されます。
やる気を削いでくる。
おそらく、やってあと2回。上位打線にもう一回回せるかがカギとなるでしょう。
そこにきて、時間との戦いも視野に入れなければなりません。
どうやったら、効率よく時間を配分し、逆転にこぎつけるか?
上位に賭けるしかないと思うので、必要とあらば、下位に早打ちを命じることもあるでしょう。
しかし、そんなに上手くいかないんですよね。
下位を早く終わらせようとすると、意に反してファーボールで出たりする。
時間を目いっぱい使った上に、無得点という無残な結果に終わることも過去にありました。
思い通りにはいってくれない。
思惑通りにはいってくれないのがソフトボールというものです。
いわき新舞子にナイターが点灯しました。
人工的な光ではありますが、我々会津選抜にとっては、あきらめるな、もう一度がんばれと言ってているような、光でした。
何とか時間を上手く使い切り、最終回まで来ることができました。
やろうと思えばできる、遅延行為なども全南選抜にはいっさいありませんでした。
コールド負けはなくなりましたが、6点差。

疲れの見えるハルから、ユウマにピッチャーを交換します。公式戦、初登板となります。
別名「まんじゅう」、普段はひょうきんで、面白い奴ですが、今回のユウマはスイッチが入っています。
みんなが満身創痍、そしてこの点差。
俺だってやってやる!という闘志に溢れています。
俺はあきらめないというユウマの意思がみんなに伝染したかどうかはわかりません。
コールド負けになりそうになりながらも、最終回、おそらく最後の攻撃になるところまでなんとかもってきました。
後は、もてる全力を尽くすのみ。
しかし、この状況、全南選抜チームはほぼ勝ちを確信しています。
満塁ホームランでも追いつけない状況、向こうにも疲れは見えますが、少しぐらいミスっても致命傷にはならないという余裕が見えて取れます。
その余裕をいかんなく、チェンジアップに看過して会津選抜チームを手玉にとる相手バッテリー。
ここにきても警戒を緩めることはありません。
タツキが倒れ、代打のタイチも倒れる。
2死。
今度こそ本当に追い詰められました。
ここで、前の回に急にセカンドについたリョーマ。
この打順、1番はいつもならレンですが、やつは前の回守備の時、急に腹が痛くなって、試合を止めて、ベンチにダッシュ、監督に腹が痛いと言ってらトイレに駆け込みました。
いわき新舞子の夕暮れの寒さにやられたに違いありません。俺も寒かった。
ここで、レンがいない。1番の出塁率を誇る男がいない。レンはまだトイレと戦っています。
ここはこのままリョーマにうたせるか?
それとも、リョーマに代打か?
一時の逡巡、監督はリョーマを送り出します。

前の回、いきなり守りにいけと言われたリョーマ。
えーっ!俺ぇ!という表情が見て取れましたが、いったん守りを経験すると少し落ち着いたようです。
それでも、ツーアウト。
最後のバッターには誰もなりたくありません。
会津選抜チームも追い詰められていますが、この場面でバッターボックスに入るリョーマも追い詰められているでしょう。
応援しているお父さんお母さんもきがきでないでしょう。
パァーン、パァーンとテンポ良く投げ込む相手バッテリー。
そして、ツーストライク、いよいよもって後がない。崖っぷちというやつです。
6点差、全南選抜チームは90%セント以上勝ちを確信していると思います。

しかし、こういうところにこそ、ドラマは生まれます。
ほぼほぼ決まった試合、あぁ負けるんだろうなと覚悟を決めていると、途中から入った、この男、リョーマによって、ガラッと試合は変わります。
どんな男か?
それは必死になって、もがく男です。
潔く、きれいにではなく、どろくさく、かっこ良くなくてもいいから、自分の最善を尽くす男です。
私は思います。華やかさばかりに、気をとられガチではありますが、世の中の大半はこういう人たちによって動いていると。
自分の居場所で、最善を尽くそうとする人たちで成り立っていると思います。
間違いなく今回のリョーマもそのひとりです。
リョーマ、いつも追い詰められると、高めのボール球に手を出してしまいますが、今回は止まりました。ツーストライクに追い込まれて空振りしたフォームは、左バッター、前足の右足が完全に90度以上に曲がっていました。
それが意味するところは、前体重、前傾姿勢
だということです。
呼び込んで打っていない。どちらかというと迎えにいっている振りだなと初見から思っていました。
しかし、今、そんなことはどうだっていいんです。
いろいろ不利な条件の中であったとしても、今、ここ、この打席の中で彼は最善の努力をしているということがヒシヒシと伝わってきました。
もはや技術なんぞ、どうだっていい。
不安というよりは、やってやる!という意志が彼の眼光から見て取れます。
ここに至って、リョーマにかける言葉は、「がんばれ!」これしかありません。
いったん負けそうになった心に、ふたたびのブレイブハート!
頼む、頼むぞ、リョーマ!
私はサードコーチャーズボックスから、リョーマに全力応援をします。

こういう時って、ミリ単位で形勢が動きます。
リョーマが覚悟を決めて、持てる力を出し切ろうとする中、相手バッテリーの余裕があった呼吸が少しずつ乱れ始めます。
いったん、緩んだ気は中々もどりません。
こういう時って、なぜか審判のジャッジも厳しくなります。
きわどいところをつかれながらも、ボールを見極めるリョーマ、ものすごい集中力を発揮します。そして、ついにファーボールを選びます。
この大事な場面でよくぞ、ファーボールを選んだ。たいしたもんです。うるっときます。
ここでも、少し相手チームの歯車が狂います。
もしかしたら、ヒットよりも相手に与えるダメージは大きいと思います。
あれ、なんか違うなという違和感を相手に植え付けた。つけ込むスキが見えてきました。

2番のユウキを迎えます。
そしてここで浮かんでくる可能性。
前の試合でホームランを打っている3番のケイシンまで回せば、もしかしたらもしかするかもしれない。
そんな一縷(いちる)の望みを抱いてしまいます。
人が思うことは誰にも止められません。
そして、会津選抜チームの全人類がそれを期待してしまう。
そうなると、普段はおきないようなことが起きてしまうんですね。
念ずれば通ず。
人の思いは終わらない。
こういう場面に何回も遭遇していると、本当に人の思いは、通じる時があるんだなぁと思わされます。
そして、それは最後まで信じて、ひたむきに準備をしてきた者のみにくるということがよくわかります。
チャンスは準備された心に降り立つ。
それを地でいっている。
そこをリョーマが切り開いてくれた。
ユウキも何とかして塁にでます。

そして、この試合、会津選抜チームの最高潮の時はやってきます。
書いてきたことと、つじつまがあいませんが、ケイシンが打席に立ったとき、それは満塁だったと記憶しています。
タツキの前にヒロトが出ていたのか?
ん?なんか合わない……けれど、最終回裏、ツーアウト満塁、そして最強バッターのケイシンを迎えるという場面を作り出しました。これ以上はないという場面をみんなで紡いだ。
これはたいしたもんです。
死に体の会津選抜チーム。
しかし、彼らはただでは負けねえぞという意地を見せてくれています。
こういうのが、勝っても負けても次につながる挑戦だと私は言い続けています。
この場面で満塁までもってくるとは。
2:8この時点で、満塁ホームランを打ったとしても、まだまだ追いつけない状況。
しかし、我々はケイシンが打てば、もしかするかもしれないという希望に賭けています。
流れがこちらに来ると信じています。
このままでは終わらない。
このままでは終われない。
そして、ケイシンならば打つ、会津選抜チームにはそれしか考えはなかったはずです。
そのみんなの思い、悟空の元気玉のような思いを一心に受けるケイシンは、スウイング、一振り一振りに魂を込めています。
終わりの時は近い。
誰もがそう思っています。
ツーストライクと追い込まれました。
しかし、一分でも一秒でも長く、このメンバーで一緒に戦い、このお母さんお父さんとその家族に応援してもらいたい。
このメンバーで戦っていたい、その思いの全てをフルスイングに賭けます。
この大事な場面で、全南バッテリーは最後にチェンジアップを選びました。
たいしたもんだとしか言い様がない配球。見事です。
みんなの思いを込めたケイシンのバットは空を切りました。
三振。
悔しさもありましたが、してやられた感、それとやりきった顔がそこにありました。
ゲームセット。
終わってしまった……
まわりのナイター照明のカクテルライトに両チームのシルエットが浮かび上がります。
ひとつは上を向いて、もうひとつはうなだれる影となる。
肌寒く、すっかり暗くなったいわき新舞子。
ここに、2021会津選抜チームの最後の挨拶がこだましました。
私たちの旅はここで終わりました。
どこがいけなかったのかと振り返ってみる。
初回の3点が痛かった。
立ち上がりの不安定さを克服できませんでした。
それがバッテリー、ひいてはチーム全体の推進力になりえなかった。
しかし、中盤の追い上げ、時間切れにならずに最終回までもつれさせたこと。
そして、ツーアウトランナー無しから、最後の最後にヤマ場を作ったこと。
いくつかのいいプレーが今年の会津選抜チームのカラーを象徴しています。乗れば強く、やられてもただでは起きないしぶとさ。渋みのある濃紺、ネイビーというところでしょうか。
確かに、勝負には負けました。
しかし、完全には負けていない。
もう一回やったら負けない。
そんな前向きな負け方だったと、私は思います。
負けてもまだまだ完全に、完膚なきまでに負けたと思わない限り、私は負けていません。
ゲームセットの挨拶で頭を下げるとき、次はみてろよ!といつも思っています。
その意味では、負けることは次へのスタートでしかない。
多くの負けに彩られた敗者の道。
そこは下がるのではなく、ちょっとそれる迂回路でしかない。
しかし、このメンバーでやるのは今回が最後。
そうこれで最後だったんです。

試合後のラストミーティング。
真っ先に声を詰まらせたのは、佐藤監督でした。
あぁ、この人も人の気持ちがわかる人で、いい年をした大人でも、きちんと感情を出すことをためらいなくできる人なんだと思いました。
そして、そんな計算高いところでやっていない。
普段、あんなに速い鬼ノックを打つ人でも、あふれる涙は止めようがないんだなあと安心しました。
そういや三年前、テンカイのお父さんに言われたことを思い出しました。
「ちゃんと泣くことができる大人に会えてこの子たちは幸せだ。」と。そんなような意味だったと記憶しています。
大人だって泣くんです。鼻水を垂らして、おいおい泣く。高田イーグルスの福田コーチもそうですが、私もそう。
だって、あふれる感情を止めることができなくなるくらい、君たち選手がいろんな思いを見せてくれるから。
そんな時くらい、心を震わせてもいい。
心のダムを決壊させてもいいと思うんです。
佐藤監督もこちら側の人。
理論もそうですが、それを行動で示し、気持ちを前に出す。
だから、子供たちも保護者もついてくる。
そんな佐藤監督はいいました。
「いろいろあったけど、18人全員で最後まで戦えたことが1番良かった!」
ひとりひとりの顔をつぶさに見ながら、言葉を絞り出しています。最後の方は涙声。
18人という言葉に重みがありました。
もしかしたら、集まらなかったかもしれない18人。
くるしい船出ながら、ひとり増え、またひとり増えという水滸伝、梁山泊のような成り立ちのチームでした。
苦労しながらのチーム編成、ポジション、打順を佐藤監督を中心に作り上げてきました。
一試合を勝ち、これから彼らの真価を発揮させるというところで上手くいかなかった。
私もそうでしょうが、佐藤監督も山内コーチも大堀コーチも、もっともっと勝たしてやりたかったというのが本当のところです。
力の至らなさ、それが無力感と、最後に円になって、子供たちの真摯な視線を受けとめることができません。
「監督コーチ、どうでしたか?負けはしましたが僕たちは一生懸命にやりました!」
彼らの目がそう言っています。
一直線に突き刺してくる彼ら18人の視線。
受けきれませんよ。だって実際、彼らは一生懸命にやってきたんですから。そして、お母さんお父さんも一生懸命に彼らを支えてきた。我々はそれを一番近くで見てきました。
秋空の寒さの中、練習している選手たちを見守る保護者。何回も寒かったはずです。
そうやって作り上げたチームが、最後までいけなくて、ここで終わってしまった。
子供たちに対する感情が涙となってあふれ出てしまいます。
子供たちは、選手たちはよくやった。
もっともっと、勝たせてやりたかったし、もっともっと一緒にソフトボールをやりたかった。
それが、我々の本音です。
ただ、こういうような気持ちで相手も戦っています。それは同じなんですよね。
だからこそ、ドラマが生まれると思います。
本気だからこそ、面白いし、悔しい。
何回もいいますが、それもここで終わってしまうんです……
いわき新舞子に、いつもより大きな月がでています。
お母さんお父さんのような大きな月。優しい光。
その月が、負けてグランド隣の宿舎に向かって歩く我々を照らしていました。

さて、今年の2021会津選抜チーム、いわき新舞子劇場、かくのごとく戦い、終幕となりました。
今年の会津選抜が、ワンチームだと思えた理由。
そのもうひとつ。
それは、ヒロトの居場所です。

コロナの影響もあって、高田イーグルスが参加を見送り、今年の会津選抜チームは当初10人という、ギリギリの人数となりました。
まさに前途多難の船出。
チーム事情により湯川さんが会津東部選抜チームに加入することになりました。
その時点で、9人。
それでは少なすぎて、編成に支障がでるだろうからということで、会津東部選抜から磐梯スポ少さんが移動することになりました。
ということで、磐梯スポ少さんから、唯一の6年生でエースであるヒロトの参加が決まりました。
これは、うれしかった。
10人になった。
これが良かった。
9人だったなら、ひとりでも欠けたらアウトという崖っぷちで強敵を相手にしなければなりません。
そこに、ヒロトというメンバーが加入してくれました。
なぜ良かったかというと、偶然ではありますが、今年のを春先に、ヒロトが高田イーグルスの6年生と一緒のチームとなり、試合をしたことがありました。
やっておいて良かった。
そうなんです、ヒロトは、すでに仮の会津選抜チームの一員として参加していたんです。
それがわかっていただけに、私はそれが良かったと、言ったんです。

なんとか最初のメンバーの10人がそろいました。
しかし、ヒロトは他のスポ少が複数人で参加する中、たったひとりでの参加となりました。
ヒロトもそうですが、ご家族も心細かったと思います。
ここで、私の心配が生まれます。
ヒロトの行動に遠慮が見られたからです。 
ベンチに入るときは、いつも1番端っこに場所をとります。
座るところがないときは、立っている。
この遠慮がいらねえなと思っていました。
坂下ヒーローズのユウマのように、はじめから、もう何十年も同じ釜の飯を食っているかのようにな態度、これこそバチコイ!なんです。

ヒロトに気を使わせている。
このヒロトの遠慮がある限りは、本当の意味でヒロトを会津選抜チームの一員として、迎え入れていないなと私は思いました。
受け入れ側として、ヒロトの遠慮を取っぱらわなければならないと思いました。
それが会津選抜チームのためでもある。
磐梯スポ少から、ひとりで参加していると思わせてはならない。
会津選抜チームの一員として、心からみんなと溶け合うようにしていこうと思いました。
ベンチの端っこにいれば、真ん中にいけ、みんなと一緒に座れと言います。
なるべく、ひとりにならないようにと、ヒロトを見ていましたが、すぐさまそんな配慮は無用だと分かりました。
大人の気づかいなんて、ソフトボールというチームスポーツの前では、無用の長物だったんですね。
この子たちは、ただ単に一緒にソフトボールをプレーするだけで、どんどん溶け合っていきます。
ヒロトが少しだけ不安を感じたのは、ほんの最初のころだけだったと思います。
同じ年代に生まれた仲間たちと一緒にプレーするだけで、すぐに打ち解けていきます。
そんなヒロトをみていて、彼のこれまでの歴史を思い浮かべました。

磐梯スポ少さんの中で唯一の6年生。
思いかえしてみれば、高田イーグルス、美里イーグルスは、ヒロトと何回も対戦してきています。
二年前の秋の民友杯、雨の磐梯二小のグランド、ソウゴ世代の美里イーグルス(このころは高田さんと合併前)が、本郷さんに負けてガッカリしていた時に練習試合をやりました。
その時、4年生以下のチームだと聞いていました。
そして、昨年、高田イーグルスとなった美里親善大会の決勝で5年生以下のチームとなっていた磐梯さんと戦いました。
ヒロトはずっと磐梯スポ少さんの最上級生として、最前線に立ってきていました。
今思えば、その最上級生がヒロト、ひとりだったんですね。
昨年の親善大会決勝で、メンバー全員が6年生の高田イーグルスは容赦なく磐梯さんに襲いかかりました。
大量得点を相手チームに許す中、ヒロトは若い磐梯スポ少の1番先頭に立って率いていました。
そういう試合がいままで何回もあったはずです。
ヒロトは磐梯スポ少の最前線にいたんです。

今年、喜多方ボーイズ杯で高田スポ少単独チームと磐梯スポ少が3位決定戦で対戦した時、ヒロトは先発しませんでした。
なぜなんだろうと思っていましたが、ヒロトは前の試合の湯川戦で打ち込まれて、心が折れていたそうです。
磐梯スポ少の加藤監督から、試合後に決して手を抜いた訳ではありませんと言われましたが、チーム事情はどのチームにもあること、そんな心配は無用ですと伝えたことを思い出しました。
心が折れていた。
それを、聞いて「ヒロト~、大丈夫か?」
と聞くと「だめで~す!」と彼の返事。
だめですと言えるうちは大丈夫だなと、思ったことを思い出しました。
磐梯スポ少では、ただひとりの6年生。
しかし、この会津選抜ではチームメイトは同じ年代の同級生のみ。
同学年と一緒に遠慮のないプレーをしたことがない。
ヒロトが遠慮するのは、こういう戸惑いもあったのかもしれないと勝手に想像しています。
しかし、練習を重ねていく中で、ヒロトの中の何かが変わってくれたようです。
ベンチの端っこに座ることもなくなりました。
私が気を使わなくても、みんなの中に溶け込んでいる。
ヒロトという1本の「糸」が、メンバーと交わっているなと安心した瞬間でした。
ヒロトの居場所はここにもある。
これで、ヒロトも心から会津選抜チームのメンバーになったなと、思えた瞬間でもあります。

会津選抜チームとして初の対外練習試合、
西白選抜、全南選抜と対戦した時、レンがケガで出れない穴をヒロトはリードオフマンとして見事に埋めて見せました。
西白選抜、あの長身の豪腕ピッチャーから打ったホームランが会津選抜チームの唯一の得点、同点となり負けを免れました。
ヒロトが伸び伸びとプレーする姿。
あの瞬間は磐梯のヒロトではなく、我らが会津選抜のヒロトです!
それは何も、ヒロトだけの話ではありません。
各チームの選手たちが、レギュラーもそうでない選手も会津選抜チームとして、自分の役割を果たしていきます。
その意味で、ヒロトもユナも、みんなが今年の会津選抜チームとなっていきました。
一丸になっていく。ひとつになっていく。
そのさまを我々は見てきました。
そして、今年もなんとかなると思えた。
さぁあとはやるだけです。
やるなら、今しかねえ!

会津選抜チーム出陣です!
18
18と言えば……
野球をかじってきた人であれば、特別な番号であるのはわかると思います。
18番は、エースナンバー。
昔読んでた漫画の影響で、息子ができたら、一八と書いて、カズヤと読ませようなんて思っていたときもありました。
背番号18。
かっこいいですよね。

しかし、今回は違います。
18

今回は、今年の会津選抜メンバーの人数です。
選手登録は、17人。
しかし、佐藤監督と私、他の指導陣が「18」にこだわるのにはちゃんとした理由があるんです。
今回は男子選抜大会。当然、女子は参加資格がありません。
それをわかっていながら、高田イーグルスのエース、ユナは会津選抜の練習に参加していました。
本人の意志はもちろんですが、ご家族の意向もありました。
本来ならば、練習に参加する義務はないんです。
晩秋のナイターは、いろいろ寒いです。
そして、なによりモチベーションの維持が難しいと思います。
自分に参加資格がない、男子の大会に出るための練習なんですから、なおさら難しいと思います。
本来ならば、こたつでぬくぬくしながら、せんべいとみかんを食っていていい立場です。
しかし、ユナとそのご家族はそうしなかった。
一つ上のあにき、ユウゴの影響も強くあるでしょう。
自分が大会に参加しようがしまいが、それは後。
ともかく、この時代に時を同じくして生まれた、このメンバーと一緒に練習をしたい。
その思い、ひとつなんだろうと、私はかってに思っています。
親であれば、本当は止めていい、ところです。
ですが、ユナのご両親はそうしなかった。
おそらく、そうしなかったどころか、どんどん会津選抜に参加しなさいと進めたと私は思います。
いまだかつてない。
それが、佐藤監督も大堀コーチ、山内コーチも、そして私もうれしかった。
しかし、どうしても登録上、ユナを選手登録はできません。
となると、ユニフォームも必要ではなくなる。
ここまで一緒に、会津選抜として練習に参加してしたユナに報いるためには、どうしたらいいかと、ふと考えました。
ここは、私の独断になってもいいから、ユナのユニフォームもみんなと一緒に作ろうと思いました。
もちろん、ユナのご両親にはご負担をいただかないで。
そうして、作成の手続きを進めていると……
佐藤監督が、
「コーチ、折り入ってご相談が……
私が負担するんで、ユナのユニフォームも作ってくれないかい?」といってきます。 
そして、それは大堀コーチも、山内コーチもおなじ気持ちでした。
みんなが、みんな同じことを考えていた。
それほど、会津選抜に対する、ユナの貢献度は高いということでしょう。
それを、みんなで話し合ったわけでもなく、指導者ひとりひとりが思っていて、ユナのためにこっそりとひと肌脱ごうとしていた。
私は、それにこころを動かされました。
この指導者たちってすげえ!(もちろん、私もはいっていますよ)
そういう気づかい、他者へのおもいやり、そして感謝をちゃんと形として示す行動力。
この人たちは、女の子にもてるはずだと思いました(もう一回いいますけど、私も入っていますよ)

こういう指導陣のもとにならば、ソフトボールとチームプレーの大切さを学べるはずだと私は断言します。
かくして、ユナの背番号1のユニフォームはいろんな人の思いをこめて作成されました。
エース、ハルと、もうひとりのエース、ユナ。
会津選抜チームには、背番号1がふたり存在します。
両雄並び立つ!かっこいい。

そしてこのエピソードには後日談があります。
この大会は、男子選抜大会、なので女子のユナはベンチに入れません。
しかし、なんとかして、いままで一緒に戦ってきたユナをベンチに入れたい、そう思った佐藤監督は、大会事務局に直談判をしにいきます。
私はそこまではしなくてもいい思っていたのですが、佐藤監督はそうではなかったようです。
そして、トレーナーとして、チームスタッフのひとりとして、ベンチに入ることが許されました。
選手としての出場はかないませんが、背番号1を防寒着の下に背負いつつ、みんなと一緒にベンチから同じ景色をユナは見ることができました。
それがうれしかった。
ユナは幸せものです。
そう、ご両親は言っていました。
いえいえ、試合に出れなくても一緒に練習をしてチームを支えようと行動で示したユナがすごいんです。
そして、そのユナを送迎したり、サポートをするご家族がすごいんです。
そんなユナと一緒に会津選抜チームとしてプレーができる、選手を含め、我々も幸せものなんです。
ひとりひとりの「糸」があたたかい毛布となって、包み込む。それがここにあります。
世の中って、こういうありがとうと、「自分たちはみんなのおかげで、しあわせだ。」という気づきにもっともっと溢れたらいいと私は思います。
そういう心遣い。行動で示す。
佐藤監督、あなたはすごい。
それともうひとつ私は気づきました。
佐藤監督は、会津選抜チームを言うとき、必ず選手18名といいます。
こういうところなんですよね。
そこには、必ずユナが入っています。
常に一緒に戦っているという意識があるからこそ、「18」という数字が至極自然にでてくる。
選手登録は17名ということは分かっているはずです。
それを聞くたびに、じーんと感動するとともに、この人は、選手とご家族の気持ちがわかっているなと感謝をします。
ありがとうございます佐藤監督!
一緒に戦えて私も光栄ですと思い直します。
会津選抜チームがひとつになる要因がこういうところにもあると思います。
大会後のラストミーティングで、佐藤監督は涙で声をつまらせながら言いました。
「この18人で戦ってこれて良かった!」
その言葉に今年の会津選抜の全てが含まれていると私は思います。
今年もいいチームだった。

それと、そう思えた理由がもうひとつあります。
それは次回!




≪  1  2  3  4  5  6  7  8  9  ≫
HOME
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
プロフィール
HN:
高田イーグルスコーチ
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ [PR]