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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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さて、マナト編の続きです。

昨日の六年生のみの打撃練習。
普段行っている練習、ただのロングティーバッティング。
その中で、マナトの打撃フォームを見たときに、鳥肌か立ちました。
音が違う。
打撃音が違います。
バットの振り方が違いました。
チカラがある!
バットの遠心力を使って振っています。
そのため、かつての手打ちの打球よりもはるかに速く、力強い放物線、というよりライナーが軌道ラインを描いていきます。
それが意味するところ、すなわちスウィングスピードが格段に速くなっています。

ホームランキング、タフィーローズ。 
足をぴったり並べた、突っ立ちのスタンス。
これだけでは、打ちそうな雰囲気はまだありません。
あえて、日本のセオリーに反発している構えです。
完全に始動が遅れます。
目線も上下します。
タイミングも遅れやすくなるでしょう。
デメリットの方が大きい。

しかしそのリスクを取ったとしても、軸足に全体重をのせるという、たった1点のメリットを、マナトは選択します。

そしてさらに、彼ができなかったタイミングの取り方、それもまたセオリーに逆らった、
まさかのテイクバック、
手首を下げてとる方式を採用しました。
それが、ことのほか上手く機能しています。
自分のものにしつつある。

マナト、彼にかぎらず、小学生の中学年、高学年は人生の中でわずかな期間しかない「ゴールデンエイジ」のまっただ中です。
運動神経はもちろん、反射神経、視神経などあらゆる器官がとんでもなく、内部要因でも外部要因でも発達するエイジです。
おそらく、原始の時代から、人間としてこの世に生を受け、ある程度脳も発達し、まわりとコミュニケーションがとれるようになってきた、この時期に生物として生き残るための運動能力に必要な神経系の発達があるんだと思います。
骨も太くなり、筋肉も発達しつつある。
そこに神経系の発達が追いつこうとしてるのだとと思います。

ゴールデンエイジ。
マナト、なんとか、そこに間に合った。
彼は今、自分でタイミングをとるコツを徐々につかみつつあります。
私の投げるコース、速さに対応してタイミングをアジャストさせています。
第1に、突っ立ちスタンスでだいぶ高いとこから体重を軸足にのせるということができてきています。

第2に、その乗せた体重を向かってくるボールに合わせた独特のテイクバックを取ることにより、ボールと出会うインパクトを自分でアジャスト出来るようになってきました。

そして第3に、取っておいた体重をタイミングよく、バットにのせる、こめることが出来るようになってきました。ためたエネルギーに遠心力をプラスして、スウィングに乗せてきている。
これができるようになってきました。
それを私が確認したのは、昨日のマナトの今までにない、きれいなフォロースルーを見た時でした。
「あっ、できてる!」
それと同時に背中が弓なりに反っている。
それは、下半身と背筋、腰の回転を使っている証(あかし)なんです。
間違いなく遠心力を使っています。
回転の最後にバットの重みを感じているからこそ、フォロースルーの最後に左手に名残惜しいようにバットが残ります。 
野球人の多くがわかるであろうフォロースルー。
これがきれいになっている。
いままでの、上半身がつっこんだ漢字の「入」みたいな形になっていない。
それを見たときに、鳥肌がたちました。 
成長の証が、きちんとライナーとなって現れています。今までのマナトの打球ではありません。
そういや、ナイター紅白戦でもあんなにびびっていたユナの球に対して、果敢に立ち向かっていっています。
私は「10回に1回に当たればいい!三振を恐れるな!」この言葉を応援として添えて背中を押します。


あぁ~、マナト。
お前も大きな壁を乗り越えてきたか!
抱きしめてやりたくなりました。
それでも、トスを上げ続けます。
いいぞ!いいぞ!すごく、いいぞ!
それが、私とマナトのソフトボールという共通言語なんです。

いままでにない打球をポンポン飛ばすマナト。
自分自身にびびってることでしょう。
ボールを自分の間合い、インパクトで捉えた時の気持ちよさ。
あのなんとも言えない、軽い感触。
気持ちのいい打球音。
あそこそが、野球の、ソフトボールの一番の面白さだと、私は思います。
マナト、彼はその面白さの世界の扉を開けました。
ただまだまだ初心者、試合で打ってこその成功です。それを早くチャレンジさせてやりたいところです。

思うに、いままで彼がふてくされたり、マイナスの態度を表に出していたこと。
それは、周囲の過剰な期待がプレッシャーになって、かえって上手くいかない原因となってきたからだと思います。 
できないことを上手く消化できなかった。
それがあの態度となって現れていた。 
そうすると周りから浮く。
さらに態度が悪くなる、この悪循環がどんどん、彼を卑屈にしていきました。
それをマナト自身もわかっていたはずです。
でも、どうしていいかわからなかった。
それは周り、我々指導者も保護者もチームメイトでさえもそれは同じです。
接し方が難しい。
そのマイナスのどつぼにはまっていく。
うまくいかない。
一生懸命にやっているのに、うまくいかないし、重要なポジションももらえない。
だからこそ、マナトはぶすくれていたんです。
そのぶすくれは、周りへのとんがりではなく、助けてというサインだったんです。
それをどうしていくか?
私が達した結論は、マナトのプレーそのものを上手くいくようにするしかない、でした。
プレーの失敗は、プレーでしか取り戻せない。
周りを、実力で認めさせるしかありません。
そのためには、あれもこれにも手を出さないで、一点集中。
マナトの最大の長所をいかす場所=バッティングを強化しようと思いました。
それがここにきて、開花しつつある。
その手応えを私は昨日のロングティーで感じました。

上手く、できるようになる。
この最初の小さな成功体験が、のちの大きな自信を育てていきます。
マナト、いい笑顔なんです。
自信ほど自分を支えてくれるものはないでしょう。
ユナとペイのバッテリーもそうですが、子供たちが自信を持ったときほど、「あぁ~、気持ちいなぁ~。」といい笑顔に成ります。
笑顔は強い!
追い風、破顔。それがまたいい笑顔なんです。
快音を飛ばしていくほど、いい笑顔が後からついてきます。
二本柳のナイター練習。
漆黒の空に、マナトの飛ばした白いソフトボールがライナーを描きます。
自分が快音を飛ばしているという事実。
みなぎる自信が、マナトをさらなる高みへと連れて行ってくれます。
なにより、バッティングをしてる、マナト本人が楽しそうです。
自分の打球にほれぼれしている。
それでいいんです。自己満足最高! 
もっともっと、打たせてくれ!と言っています。
彼は今、自ら工夫してバッティングをしています。
その主体性こそ、上達の近道なんです。
私たちが教えたいのは、まさにそこなんです。
上手くなりたい!そのためにはどうしてらいいか?それを自分自身で見つめ直してみる。
その上で、われわれのような大人を利用していいんです。


それをみて、冒頭の「メキメキ」という言葉が踊ります。
彼らは、メキメキ上達しています。
たしかに、コロナは彼らから多くの機会を奪いました。
しかし、ソフトボールの面白さ、仲間とやるソフトボールの面白さは奪えない。
彼らは、コロナをいいわけにしていません。
昨日も書きましたが、コロナがあったからこそ、向きあえた、だからこそ上達した。
どんな状況であろうと、とことん楽しむ。
楽しむことこそ、上達することなんだと彼らのプレーが言っています。

また子供たちから教わりました。
教えてる我々の方が、教わっている。
この真理は何年やっても変わらぬ真理です。



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