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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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新人戦県大会は、高田イーグルスの挑戦は1回戦で潰えました。
負けた、負けたんです。
結果は結果として受け止めます。
しかし、この県大会が見せてくれた景色は、高田イーグルスにどう作用するでしょうか?

まず、ここ最近県大会という大舞台に久しく行っていなかったので、その舞台の大きさに対する高揚感が違います。
あと2つ勝てば、全国大会に手が届くところまで来ていました。
俺たちだってやればできるという、大きな自己肯定感が高田イーグルスを包んでいました。
さぁやったろうじゃん!と意気込む強さは普段の比ではありません。
だからこそ、いろんなことが頑張れた。
いろんな練習をしてきました。
一三塁のフォーメーション、実りませんでした。
バント、全部アウトにされました。
外角うち、ヒットはトウマの2本のみでした……
やってきたことが、積み上げてきたものが、例えその時には出なくても、必ず積み上がっています。
決して無駄ではない。
無駄ではないんです。
そう思っていた方が遥かに気分がいい。
結果がでないあまりに、過去のがんばりを否定することはないと思うんです。

今回のサッカーワールドカップの前のNHKのスポーツの特番で、日本代表のキャプテン、吉田選手が言ってました。
「グッドルーザー(良い敗者)は、正直、もういいんすよ!」と。
前回大会で善戦して負けた日本代表が、帰国した時に負けたのに褒め称えられた時、ふと立ち止まってみたときに、正直に思ったことなんだと思います。
良き敗者として褒めたたられるより、勝者になりたい。
ただの勝者になりたい。
本音だと思います。

なるほどなと思いましたが、グッドルーザーでもいいんじゃないかと私は思います。
もちろん、グッドユーザーに甘んじていてはなりません。
負けの原因を分析して、次に活かさなければいけません。
しかし、褒め称えられるだけのプレーをしたことに、少しは満足してはだめなんでしょうかね。
少しは、自分たち自身を褒めてもいいと思うんですよね。
甘いか?
甘いのかもしれません。
ここが、私の最後の最後で負ける要因のひとつなのかもしれません。

試合に負けた後に、団として大きな旅館にみんなで泊まりました。
私もかつては小学生、昔みんなでスキー合宿で泊まったことを思い出しました。
チームメイトと保護者、指導者みんなで同じ飯をくって、ゲームは禁止なので、枕を投げたり、他愛もないことでゲラゲラ笑ったりしたことを今でも覚えています。
これも、県大会に来られなければできなかった経験です。
スポ少をやっていなければ、結びつかなかったかもしれない面々。
スポ少という触媒が、みんなを結びつけています。
飲み過ぎて、あんまし覚えていませんが、あんなに車座になって、いろんなことを話したのは、何年ぶりでしょうか。
何を話したかは、そんなに覚えていませんが……
ひとつ覚えているのは、夕食のバイキングの際にうるさくて、かなり注意されたこと。
団をあげて、調子に乗ってしまいました。

調子にのったといえば、思い出します。
スポ少の指導者をはじめて駆け出しのころ、確か最初のころ、柳津の御霊祭りソフトボール大会で、当時の旭スポ少でしたが、その大会では、参加賞として、柳津の無料温泉券がもらえました。
1回戦でそうそうに負けた我々は、汗を流しに月見が丘温泉にいきました。
午前中の早い段階だったので、ほとんど貸し切りでした。
雄大な只見川をみながら、早々の1回戦で負けてありあまってる体力を温泉にぶつけます。
お湯を掛け合い、飛び込み、バタフライ。
貸し切りだと思っていた20歳前半の若僧の私も、子供たちと一緒になって騒いでいました。
ところが、おっかないおじいさんの一喝で、シーンとなりました。
なんだお前たち、どこの子供だ?
責任者は、誰だぁ?
との怒声で怒られます。
責任者は、一緒に遊んでいた私です、と手を小さく上げたことを思い出しました。
今回も泊まりもそうですが、調子に乗って、ご迷惑をおかけしたことを、お詫びします。
ごめんなさい。
自制を促す立場にありながら、一緒になって、怒られる……
他人様に迷惑をおかけしている以上、
立場がありませんね。
二十数年たっても同じことをやっている。
またまた、進歩がありませんね。
ここは、反省します。

反省もしますが、せっかく来たからには、やはり楽しまないと。
基本的には、どんな場面でも、楽しみをほどよく、ほどよく見つける必要があると思うんですよね。確かに、今日は負けはしましたが、今回の泊まりは、今年今まで、頑張ってきた、選手をはじめ、家族、指導者みんなへのごほうびだと思っています。
だから、大いに楽しんで、いい想い出にしたらいいんです。















執筆中
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去る11/5、県内の16チームが、全国大会への2つの切符をかけてぶつかるこのトーナメント。
高田イーグルスは、県中郡山市の大島スポ少さんとあたりました。
結果は、0:4で一回戦敗退。
アユキ世代の最初の全国への挑戦は、露と消えました。
負けた原因はいくつかあります。振り返ってみましょう。

まずは守備でリズムを作ってから攻撃に転じるというキャプテン、アユキの思惑通り、大島さんの先攻で始まったこの試合。
こちらの思惑通り、4回までは、バッテリーとバックの守備がほぼ完璧に相手打線を押さえ込みます。
毎回三人で切るパーフェクトな抑え、エースミソラの調子も回をおうごとに良くなってきている感じさえしました。
ピッチングのバロメーターである、ボールの数が少なく、追い込みも早い、ボールが先行してもすぐにストライク、ファールで立て直します。
トウマの配球もフレーミングもいい。
4回までの守備の流れを見る限り、完全にイーグルスのペースとなっています
経験者ならば、みんなそう思うはずです。
そして、一方でもうひとつの疑問も生まれます。そこまで、完璧に抑えながら、なぜ負けたの?と。
ここが勝負の面白いところで、高田イーグルスの攻撃も押さえ込まれていたからなんです。
守備で完璧に抑えながらも、こちらも押さえ込まれていた。
しかも、2回もすんでのところまで行きながら、あと少しをとれなかった。
得点チャンスを先に作りながら、先に得点できなかった。
勝負所を逸してしまった。
ここが、今回の高田イーグルスの弱さで有り、負けた原因の大きなひとつとなりました。
初回は三者三振に切って取られますが、2回に先頭の4番トウマがヒットで出塁します。
盗塁を絡めながら、スコアリングポジションの形をつくります。
無死二塁で、5,6,7の打順。
普通にやれば、得点できるチャンスが来ました。
普通にやればね。
ただ、この普通にやるということが、恐ろしく難しい。
長打力があるミソラを迎えますが、打率は恐ろしく低い。
大島さんのエースもギアを上げてきました。
そして、ここぞの場面で精度のいいコントロールを発揮してきます。
ここです。こういうところが、県大会に来るのにふさわしいチーム。
要所を抑えるということを、エースがしっかり分かっています。
対する、イーグルスの5番のミソラ。
ここで、どうすれば得点できるかという工夫が打撃に見えません。
この場面は、最低でも内野ゴロでランナーをサードに進めることをめざさなければ、チームバッティングになりませんが、あえなく三振。
当ててくれればラッキーぐらいの感覚でしたが、三振することを予想して、二塁のトウマには盗塁を指示。
悪いながらも、三振三盗で、1死三塁とし、イーグルスの得点パターンを作ります。
先に好機を高田イーグルスが作りました。
この場面は、パスボール、内野安打、タッチアップ、いろんな戦術で得点ができるパターンです。
そして、この打順ならば50%以上の確率で得点できると私は判断しています。

迎えるバッターは、後半にヤマ場が来るとふんで、打順を下げておいたユウシン。
手堅くバントも頭をよぎりましたが、ユウシンならば三振することはなく、最低でも内野ゴロは打ってくれるだろうという期待をこめて、打席に送り出します。
いきなりバントのサインを出しても行けるでしょうが、ここ最近はバント練習もしていません。
慣れないことをさせるよりは、打たせるに集中したほうが、確率は高いというのが私の分析でした。
しかし、振りが鈍い。
あえて遅くしている振り方ではありません。
それでも当てる技術はもっています。
スピードに対する選球眼もある程度あるので、見極めもできるだろうと思いましたが、大島さんのエースも追い込みを早くしてきます。
最後は、力のあるボールを外角にきちんとコントロールして、空振りを取られました。

二死三塁となり、バッターは指名打者のハル。
スピードボールに対する反応をみて、リツの所に起きました。
ハルは、トウマの後、間違いなくチームのバッティングをリードする存在になることでしょう。
3年生ながら、打席に入ったときの落ち着き、準備ができています。
何より、どんないいピッチャーに対しても、臆することなくバットを振り抜く意思の強さを持っています。
びびらない。
ここが、ハルをこの打線のこの打順に置く理由です。
しかし、二死となり、大島さんのエースは心理的な余裕がでてきました。
コースを散らして、最後はズバッときて、空振り三振。
高田イーグルスの主軸、5,6,7を三振に切って取られてしまいます。
先に先制のチャンスを、絶好の打順で迎えながら
得点できなかった。
このことが、のちのちまで響くことになります。

しかし、なんでしょう。
後手を踏んでいる感じが、違和感となり、ザラザラした舌触りのようないやな感じを拭いきれません。
いつもならば、想定した複数のパターンの1番いいところとはいかないまでも、それなりのところを引いてきますが、今回は、悪いところばかりを引いてきます。
そして、最後にもうひと押しができない。
この気持ち悪さ。
簡単にやらせてくれない、さすが県大会と言うべきでしょうね。
ここは、我慢です。
こういう試合に不慣れなイーグルス。
先に崩れてはいけません。
我慢比べ、こういう時こそ、当たり前のことが当たり前にできることが求められます。
それを、強さと呼ぶのだと私は思ってます。
それが、できないと強くなれません。

ミソラとトウマのバッテリーもそれを理解しているようです。
下位打線では省エネピッチング、早い追い込みをこころがけ、守備でリズムをつくり、バックの援護を待ちます。

攻撃に変化が必要だと感じたので、下位打線は思い切ってオールバントの戦術。
しかし、大島さんのエースのフィールディングが抜群にいい。
サード線に転がしても、なんなくアウト。
なんなくではないんです。
みんな結構上手いバントをいいコースに転がしています。
ナイスバントと高田イーグルスのベンチが思っても、ファーストベースぎりぎりのところでアウトになってしまう。
いつものバンドが決まらない。
彼のオールレンジでバントに対する素早い守備前にバント死の山を築かされます。

さて、打てない、バントができてもアウトになる。
どうすりぁいいんだと思案をしていますが、こちらも相手を抑えています。
こりぁ終盤にヤマ場がくるとふんで、我慢比べを覚悟しました。

イーグルスも抑えていますが、大島さんもおさえている。かっぷりよつの状態となりました。
しかし、試合展開からいって、攻め込んでるのに本丸がとれないという、精神的落胆からくる消耗が激しいのは高田イーグルス。
その消耗がレッドゾーンにいくまえになんとしても先制てんをとって、後攻のアドバンテージをとってプレッシャーを与えたいところです。

ほころびは、いつも突然やってきます。
終盤に近い5回の表、パーフェクトに抑えていますので、先頭の4番を討ち取って1死、この回もいい出だしだぞと喜んでいると、バントが来ました。
バント対策として、サードには動きのいいユウシンを置いています。
こちらも対策には抜かりはない。
しかし、このバッター、大島さんのエースなんですが、バントも上手い。
正面は狙ってきません。
そして、ユウシンの前進の猪突を狙って速いバントで間を抜いてくる。
いつものユウシンであれば、なんなく裁くところでしょうが、反応が遅い、抜かれてしまいます。
ランナーを出してしまいました。
そしてここからが、大島さんの凄いところ。
さっきのバントを含め四連続バントを敢行して、全て前に転がすという快挙。
ツーストライクになっても、その方針は揺るぎません。
こちらのバッテリーも手を子まねているわけではありません。
厳しいコースを突きますが、ことごとく当てられる。
これは、運も味方していますねえ。
これが、勝負のあやというものです。
いくらペースを主導していても、一瞬で逆転されてしまう、怖さ。
さっきまで、こちらのペースだったことが、昨日のことのようです。
25000の今川義元が桶狭間で、3000の織田信長に敗れる時、今川義元もそう思ったことでしょう。
勝負所を抑えられた。
4番からの五連続バントをくらって、2点をもぎ取られてしまいます。
精神の安定が、1番のモチベーションであるミソラの牙城を崩すには十分の攻撃でした。
そして、その崩れゆく牙城をバックも支えられない。
バント処理で討ち取ったあたり、送球が少しそれました、ファースト、リツが捕れない。
その他にも小さなミスが連発します。
当たり前のことが当たり前にできない、弱さを露呈します。
この回、何回アウトを取ったことでしょう。
貧すれば鈍す。
悪い方向に少しずつ引き込まれていく、この流れを食い止める勇者が出てきません。
こうなる、とたんに弱くなるのが高田イーグルス。
それでも、エースミソラがなんとかファーボールを出さずに、我慢強くバックに任せます。
味方にミスが連発しても、なんとかファーボールださないようにするメンタルの強さが出てきたと思います。
それでも、泣いています。目が真っ赤です。
頭の中は、「みんなもうちゃんとやってよぉ~」で一杯でしょうが、それをなんとか表面にださまいとしているのが、よく分かります。
ミソラはミソラなりに心に整理をつけようとしています。
ぐっと歯を食いしばって、マウンドを守ります。
みんなが下を向こうとしている。
こういう時に、声を必死に出すのは決まってアオトです。
試合になると、いつも彼の声はかすれています。
おそらく選手全員も声は出しているでしょう。
しかし、こういう時に、聞こえない小さな声ではだめなんです。
当たり前のことができなくなっている。
だこらこそ、いつも以上が求められます。
声だけでは、上手くいくことも、勝つこともできないでしょうが、声がなくては、いいプレーはできず、結果勝つこともできないと私は思います。
そして、アオトの声は誰かに言わされている声ではありません。
自分が本気でなんとかしようと思っているからこその声。
だからこそ、みんなに響く。
崩壊しそうなミソラをセカンドから援護しています。
アオトの声に表されるように、少なからず、みんなそう思っている。
なんとか全軍崩壊は食い止めます。
しかし、このミスから始まった2点は大きい。
たらればになりますが、きちんとプレーしてれば、与えることのなかった点数です。
取られたからにはとりかえすほかにない。
イーグルスの攻撃は5、6、7の三回。一点ずついけば、追いつけない点差ではありません。

5回裏は、ユウシンから。先ほどの振りを見て、捉えることは難しいと見ます。
ユウシンの技術ならば、バントは成功するかもしれない。
しかし、またしてもオールレンジのナイスフィールディングに阻まれます。
続くハルは、追い込まれながらファールで粘りますが、最後は三振に切って取られる。
ソウスケも三振で、大島さんペースで試合は終盤に進みます。
6回表は、2番からの好打順。ここで追加点は許してはいけません。
先頭を三振に討ち取ります。3番もショートゴロ、アユキ、キューバ人の取り方を封印し、確実性のある捕球を心がけています。
4番もファーストゴロに討ち取って、三者凡退。

6回裏、ラストバッターのハルトからの上位につなぐ打線に、期待をつなぎます。
この回しかないでしょう。
ハルトがでて、一番からの上位で逆転する。
その絵は頭にきちんと浮かんでいます。
しかし、ハルトは三振するも、アユキが選球眼を活かしてファーボールを選びます。
パスボールの際に、二塁へ、ん?ポロッたか?
オーバーランがでかい。
アユキ、あきらかに三塁を狙っています。
よどんだこの流れを打開する1点が今は欲しい。
アユキなりのチャレンジだったのでしょう。
三盗をこころみますが、挟まれて憤死。
暴走と好走は紙一重。
セーフになれば好走、アウトになれば暴走となります。
しかし、今回はあきらかに暴走。
この点差、この打順であれば、ここは待つべきでした。
ただ、なんとかしたいというアユキの闘志は伝わりました。
こういう勝負の綾となる所の見極め。
アユキは身をもってわかったことでしょう。

つづくマナトもファーボールとなり、あまり無理をしなくてもよかったな、という後悔がよぎります。
マナトを一塁に置いても、点は入りません。
スコアリングポジションのカタチを狙います。
アウトになったとしても、3番のアオトからの打順。
ここは仕掛けます。
いけ!と
マナトも盗塁の意味がわかってきました。
最初はサインもわからず、滑り込みもわからなかった。自分が置かれている状況を理解できなかったというのが本音でしょう。
しかし、今のマナトは違います。
自分でセンター2番というポジションを勝ち取りました。
県大会のこの状況で、今なぜ盗塁のサインが出たかを理解して、動いています。
能動的に動くことは、受動的に動くことよりも強いと私は思っています。
我々の意図を汲んでチームとして動いている。
ここにマナトの成長を感じます。
この成長を見るときに、センターのマナトの後ろに位置取るヒロカズコーチを思い出します。
守備のスタートの切り方、守備位置の捕り方、バッターへの心構えなど、おそらくマナトに教えていたはずです。
その成果が少しずつ試合や練習でも目に見えて上手くなっていることを、マナトはプレーで証明してきました。
レギュラーを勝ち取ったのは、バントによる打撃だけではなく、きちんと計算できる守備が大きく作用しています。その後ろにはコーチの影がついている。
マナトだけではなく、選手全員がそれぞれのコーチのいろんな角度からのアドバイスと情熱に支えられています。
そんなマナトが、ここで決めなければならないという盗塁を見事に盗塁を決めました。
よし!よくやったマナト!と心の声。
まだ、マナトに対して「見事」という形容詞は早いのかもしれませんが、二死二塁のスコアリングポジションを作って3番のアオトに託します。

さぁアオト頼むぞ!チームに勢いを与える1点をもぎ取ってくれ!
ここが勝負どころと踏んだのは、イーグルだけではありません。
大島さんのエースもトップギア。
コースうんぬんよりも、気合の入った球でねじ伏せにきます。
アオトも、フンッと気合の入ったスウィングを繰り出します。
五分と五分、ツーツーの平行カウントになりました。
0:2で一点が欲しいイーグルス、やりたくない大島さんの意地と意地のぶつかり合いの決着は、エースがアオトを外角でねじ伏せました。
打てないくやしさに涙を漏らすアオト。
まだ終わってないぞと声を掛けるヒロカズコーチ。
その通りです。
まだ、終わっていない。
ゲームセット、もうやめろと言われるまで試合は終わっていません。
試合の途中で泣くということは、自分の、自分たちの負けを認めていることになります。
そんな精神状態でいいプレーができるでしょうか?
もう一回立ち上がれと、這い上がってこいとコーチは言ってるんです。
私もそう思います。

そしてさらに残酷なことに、最終回の7回表は、アオトのセカンドエラーから始まりました。
そして、また泣くアオト。
傷口の塩を塗るような状況でも、泣くな、下を見るなというコーチの声はやむことはありませんでした。
そうなんです。
このあきらめの空気、ムードはおそろしく伝染しやすい。
精神が崩壊しそうな時こそ、誰かが踏みとどまってチームを鼓舞しなくてはなりません。
まだだ、まだ終わらんよという気持ちの奴らを作らなければいけません。
何がきっかけで、また闘志を取り戻すかわかりません。
我々が最初に試合を捨ててはいけないんです。最後の最後まで選手全員を信じなくては、コーチのあの声はでません。
しかし、いったん崩れた流れの連鎖を止めることは難しい。
最終回での追加点は、万死に値します。なんとしても避けたい。
それもまたプレッシャーになったようです。続くバッターをファーボール。
下位打線なので、ストライクを入れておけばアウトがとれる打順なんですが、テンパっているミソラには、おそろしく至難の業になります。
三振をとるもののパスボールも絡んで、1点を献上。
1点は重いが、まだ1点だ・・・
8番もピーゴロで二死まできました。
点差は3点ならばワンチャンスでいけると自らを鼓舞して、選手も鼓舞します。
あとワンナウト。
しかし、ここで9番をファーボールで出してしまします。
二死1、3塁。
いままでやってきた練習を振り返る時間です。
このフォーメーションは、今年の守備体形のトレンドではないでしょうか?
そして鬼門でもある。
今回もひっかけました。サードランナーがでている。
よし。
が、しかし、カットに入ったミソラがサードに悪送球・・・
この場面、何回見てきたことでしょうか?
決定的な2点目が入ります。
自分のミスでの失点は、ミソラをどん底に落とすには十分のプレー。
思うところはありますが、反省するのは試合のあと、ツノダコーチの格言を思い出して、タイムをとって落ち着かせて、もう一度前を向きます。
パスボール・・・
3点目・・・
最悪の逆流の中をバタフライをして押し戻されている感覚です。
しかし、それでもあきらめない。
大丈夫、大丈夫だと言い聞かせて、次のプレーに集中させます。
1番バッターをキャッチャーフライで、トウマが大事に捕って、最終回の長い攻撃が終わりました。
0:5
満塁ホームランでも逆転できない状況を最悪というのでしょうが、何が起こるかわからない。
可能性は限りなく低いでしょうが遅々とした歩みを止めてはいけません。

5点を追うイーグルス最後の攻撃は、トウマから。
快音はとおざかっていますが、初球を思い切り引っ張ってツーベース。やっとこさ、県大会でヒットらしいヒットが生まれます。
ひとり気を吐いている。イーグスルのヒットは、トウマの2本のみなんです。
本当は、トウマの前にランナーがいる展開を作りたいんですが、そうはさせてくれません。
むしろ先頭バッターは自由に打たせていいという感覚なんでしょう。

こちらは5点を追いつかなければならない。小細工はできません。打たせることしかできません。
こうなると選手は、自分でなんとかするしかありません。
ここまでくると、技術よりもその選手の精神力にかかっています。
しかし、その精神力を覆いこむように、相手の余裕が上回ります。
1点なんぞ、痛くもないという大量リードを背景に、相手エースはバンバン追い込みを速くします。
五点リード許したエース、味方のミスや孤立無援も確かにありますが、それをひっくるめてなんとかするのがエースってもんです。
いろんな理不尽、不条理を請け負って最後は、そこに打たせた自分の不甲斐なさとして整理ができるか?
ここがミソラの今後の精神的なおおらかさ、大きさのカギとなりそうです。
それにしても、今は涙を浮かべているミソラ。
まともに打てる訳なんてありません。 
ミソラ、行けるのか?と問うと、
びけまふ(行けます)と涙声、目は真っ赤、
いけるわけねぇべと思いつつ、自分自身を奮い立たせる言葉を吐くミソラに期待します。
もしかしたら……
一打に可能性を秘めるバッターがこの高田イーグルスに何人いることか?
さぁミソラ、がんばってこいと送り出します。
これもいい修行、うちのエースが行けるって言ってんだから行けるべという、気迫のみのルール。
しかし、その気迫はも、相手のエースの気迫の前に三振。
トウマを返せません。
続くユウシンもセカンドゴロ。
本来であればこの三人の打者は、白獅子で三連続ホームランを打った三人です。
その三人でも点が取れない……
そして、最終回という焦る状況、八方ふさがり、誰もが諦める条件がそろっています。
その時の高田イーグルスはどうだったか?
胸を張って、いいチームと言えたでしょうか?
そこに、この試合の結果があると思います。
そして、そうさせた最たる責任は、監督であるの私にあります。
全国大会を狙う大舞台の初っぱなに、この散々たる状況。
何が悪かったんだ?
どこで間違えたんだ?
どうすればいいんだ?
何が足りなかったんだ……
あと1人を残して、なぜだ?どうしてだ?の反省モード。
反省してしまっていますね。
反省するこということは、負けを認めるということです。

最後のバッターとなるハルも素早く追い込まれました。
最後はボールを振らされて三振。
ハル、全力のスウィング、いい三振でした。
ゲームセットとなりました。

カナト世代の後、新生アユキ世代の高田イーグルスの全国大会へのチャレンジはここで潰えました。
壁の高さを感じたというよりも、自分たちのプレーがまずできなかった。
全力を出すどころか、まず豪快に自分ですっころんだというところでしょう。
実力をださせてくれなかった、大島スポ少さんのほうが強かったということです。
全力を出させることができなかったから、悔しい。
ミソラは、泣いています。アユキをはじめみんながっかりしている。
私は、泣くという感情がいっさいでませんでした。
今回は、ダメだった。
どこをどうしていくか?どうすればいいか?
バントはできるようになりましたが、それはできるというだけ。
その上の「質」を求められるレベルに来ました。
大島さんのエースのオールレンジのバントに対するフィールディング、普通にやるバントだけでは、県大会では通用しないことを教えてくれました。
いいバントなんですが、こちらのバントがことごとく封じられる。
で、あればどうすればいいか?技術を磨いていくしかありません。
先のことばかりを巡らせています。悔しさを未来に転化している。
この子たちならば、できる。我々ならばできると覚悟を決めました。
そして、この子たちともう一度、この舞台に戻ってこようと誓いました。
大丈夫、お前たちならば、きっとできる!という可能性は、涙になりえません。
むしろ、この先の対する闘志でしかない。
だから、泣いている暇なんてないんです。
ただ、いいところもあった。
ミソラとトウマのバッテリーは、県大会でも通用します。
このバッテリーを中心とした、守りからリズムを作って、少ないチャンスをものにするチーム。
これが高田イーグルスの理想形だと私は思っています。

この子たちは、私たちを県大会という大舞台に連れてきてくれました。
県大会に来たのは、ソウゴたち以来です。
その時、レフトを守っていた、ミソラが今はエースとなってマウンドにいます。
何回も何回も跳ね返されたっていい。
挑戦して、一歩一歩子供たちが進んでいく姿に、我々は彼らの成長を確認します。
今回はまた跳ね返された。
でも、何回でも何度でも、私たちは挑戦します。

さぁゆけ、高田イーグルス!









指導者の資格要件が変わり、毎年の更新ではなく、四年ごとの更新なり、内容も変わるそうです。
その講習会での筆記の課題が3つ。
ひとつめが、「めざす指導者像とは?」
ふたつめが、「指導において暴力、ハラスメントがなくならない理由は?また、根絶する方法は?」
3つめが、「今のチームの現状と課題、改善する方法、対策は?」
が、課題として出されました。
普段思っていることを、可視化することは、具現化へ向けてのいい機会なので、下書きもかねて、文章にしておこうと思います。こういうアウトプット、大事だと私は思ってます。

ひとつめが、「めざす指導者像とは?」

私がめざす理想の指導者とは、「いい人」を育てる人である。いい人間にならなくとも、まともな人に育つ一助となる指導者である。
ゴミが落ちていたら拾う人、困ってる人がいたら助ける人、状況を判断して、目標に向かって仲間と協力して取り組める人、当たり前のことを当たり前にできる人が、育つきっかけとなる指導や環境を整えていく人がいい指導者であると思う。
その課程をソフトボールというチームスポーツを通して、実践していく。
ソフトボールには、状況判断、ケースバイケースの動き、ルールの解釈など、現実社会で必要とされる総合的なコミュニケーション能力が育つ条件がそろっている。
ソフトボールをやるからには、そういった能力が必要となるからである。
なので、いい選手にはそういった能力が自然と備わっていく土壌が培われていくと思う。
反対に言えば、それができる選手がいい選手になっていく可能性が高い。
いい人間、まともな人とは、ソフトボールでいえば、いい選手、グッドプレーヤーを育てていくことと同じである。
そして、そのグッドプレーヤーに、出会い、彼らを育てる指導者をグッドプレーヤーと呼ぶのだと思う。

人は人と関わることで成長していく。
書物や映像によっても、成長はしていくと思うが、本当の人の成長とは、やはり人と人とのコミュニケーションによって、成されると思うし、そうであって欲しいと願う。
毎回の練習の中で、その子の成長に気づき、その子に届く言葉で伝えていくことを、何回何回も続けていくこと、言い方を変え、言うタイミングを変え、腑に落ちるように仕掛けていく。
そうすることで、自分で考え、自分で動くことができる選手が育っていくと思う。
自主性こそ、成長の種。
自主性こそ、本当のスポーツの面白さ、本質を知るために最大のツールであり、最大の武器にもなり得ると思う。
好きこそものの上手なれ。
自分達が好きで、渇望してプレーをするように仕向けていくことこそ、選手の自発性を成長させていくプレーヤーズセンタードになる。
そういうチームの選手の顔は、いい顔をしてるに違いないし、そういうチームは、おそらく指導者も保護者も楽しんでいるはずである。プレー事態もそうであるが、スポーツをしている時間を共有し、同じ空間にいる一体感に酔いしれる。
この一体感こそ、スポーツの真髄であり、楽しさの源ではないだろうか?
スポーツにかかわる人々、みんなの人生を豊かにしていく。
高田イーグルスが、そうであってほしいと願うし、そうなることを目指していく。

しかし、そういった環境を整備していくことは、ひとりの指導者ではできないと思う。
ひとりの人間にできることには必ず限界がある。
最近になってつくづく思うが、指導者もチームであたったほうが、子供たちのためでもあり、保護者のためでもあり、我々指導者自身のためになると思う。
たくさんの温かい目、時に厳しい目で観察し、見守ること。
一定の規律や統制は必要だと思うが、それでは面白くない。
ルールの中に、自由と創造性、面白さがあってほしい。人間臭さに魅力を感じる。
いろんな見方や方法があっていいし、その多様性をプレーや姿勢に反映できるチームが、楽しんで勝つチームだと思う。
私は、そういう強さに憧れる。
だからこそ、ソフトボールや野球などこういったチームスポーツの中でこそ、子供たちには育って欲しいと思う。
その傍らには、我々指導者がいるという安心感。
地域への部活の移行も提唱されてきている。
我々、スポ少の指導者も、子供たちを育てる受け皿としてチームであたる時期がすぐそこまで来ている。
勝利至上主義の再考、教師の働き方改革、いろいろな問題課題があるが、それは過去にもあったことで、現在も未来にも、また別な課題や問題は存在するはずである。
ただ、一点ぶれないことは、スポーツは楽しいということ。
そのスポーツの楽しさを最初に教えることができるのは、家族であるかもしれないが、我々指導者であるという可能性もあること。
第一線で、スポーツの楽しさに導くのは我々の役目だと思う。
指導者もひとりではなく、チームであたること。
ひとりの面白さではなく、いろいろなコーチの角度の違った面白さ。
ここに、いろんな個性を持つ子供たちの才能が開花する可能性がある。
今の世の中、地域に求められるべきは、グッドコーチの集団である、「グッドコーチャーズ」であると私は思う。
今の高田イーグルスはそうなりつつあることが、うれしい。
いい人を育てる。いい人材を育てることを楽しむ。
これまで、関わってきた多くの指導者がそうであったように、スポーツを通して、地域を変えていく。その可能性に、できる範囲で、私は私のライフワークをかけていく。


以上


ふたつめが、「指導において暴力、ハラスメントがなくならない理由は?また、根絶する方法は?」

立場の優位性の勘違いが、暴力、ハラスメントがなくならない原因である。
指導の場において、教わる立場は、どうしても立場が弱くなる。
反対に教える立場は強くなる。そこを十分にわきまえないと、行き過ぎた指導になり、暴力と斗わえられる場合が出てくると思う。
熱心で、情熱的な指導者ほど、良い結果を残すために、その沼にはまる傾向があると思うし、そういう指導者も過去に見てきた。
自分にもその可能性があることを忘れずに、選手たちと向き合っていきたい。
根絶する方法としては、チーム全体で、暴力、ハラスメントは絶対に許さないという断固たる姿勢を見せることと、複数の大人の目による、いい意味での監視が必要である。
いろんな意見が言いやすい風通しのよい環境づくりと、指導者の資質を忘れない、定期的な研修の受講も対策のひとつになると思われる。

以上



3つめが、「今のチームの現状と課題、改善する方法、対策は?」


3つめについては、このブログ自体が現状の吐露と、対策をねる私の備忘録となっているので割愛します。
こういう信念やポリシー等は、思っていてもなかなか言葉や文章にはしないものです。
しかし、こういうのって大事だと思うんです。
自分が何を考えているかを客観視することで、考えがさらにまとまり、もっといい考えがでることが多い。
だから、私はこういう作業が嫌いではありません。
人にものを教えるという立場である以上、明確なものがなくてはならないと、私は思うからです。
私はですよ。
そんなの必要ないという人もいるでしょう。
ブルースリーのように、理屈の思考よりも、フィーリングが大事だという人もいるのも事実。
どちらが正解なんてないんですよね。
だから、私は私のやり方で、アウトプットをしていくことで、自分の足元をこの先も照らしていこうと思います。






いわきの空は夏ではありませんが、彼らの戦いを見ると「夏」と表現するほかにありません。

ここはいわき新舞子。
舞台は2022県内選抜大会。
戦う相手は、地元いわきのレッドスターズ。
我々は14人、相手は9人の戦いとなりました。



執筆中
6年生最後の大会だった坂下ライオンズ杯、第2試合、坂下ヒーローズ戦は、3:5で敗れました。
要所を締められない弱さ、これが敗因です。
負けの原因は、分かっています。大まかには。
この大まかになるには、それまでのいくつかの細かい課程を踏んできています。
大ポカは、その小さなミスが重なって起きるものです。
ミスには、どうしようもないミスと、防ぐことができたかもしれないミス、このふたつがあります。
前者は、最大限、できる限りの準備と警戒をしたうえでのプレーの結果であり、ミスとは言わない、言えないと思ってます。
しかし、後者はそうではない。無為無策、準備や警戒なしの悪い結果、それを称して「ミス」といいます。過去の経験から学ばない者、未来を予測できない者、考えない者、運のない者にそのミスは訪れると思っています。
試合中、ずっと気を張って、集中を継続することは難しい。子どもなら、なおさらのことです。
どうやっても、抜ける時、魔がさす時があります。
簡単なプレーなのに、全員が疲れていて、声が出ない時、指示がない時、そんな時にミスはやってくるんです。
今回の坂下戦もそうでした。
普段通りプレーすれば、なんでもないプレーが、できない。
何回もいいますが、そこが弱さなんです。
そこを自覚しなくていけません。
その弱さの自覚、今年の6年生にできたかどうかを振り返ります。
今年の6年生、嫌というほど自覚したと思います。ミスと三振とエラーの山。
白獅子の代表決定戦で負け、最後の試合でも負けた。
一般的な結果の分析から言えば、負けは負けです。
そして、選手ひとりひとりのチームに対する貢献度が低かったと言わざるを得ない。
だから、負けたんです。
結果的に負けた。
負けることは、悪いこと。
情けないこと、カッコ悪いこと。
そう思っていました。
だから、負けたくない。
勝ちたい。
昔は、そればかり考えてきましたが、ある時からそんなことはどうでもよくなってきました。
勝っても負けても、その価値を決めるのは、結局、自分たちであり、自分なんです。
周りからいくら、ちやほやされようが、
反対にケチョンケチョンにダメ出しされようが、
その結果を、そしてそこまでの課程を評価するのは、最終的には、自分なんです。
最後は自分の中にどうやって落とすか?
どうやって、腑に落とすか?
ここが大事なところ。
誰がなんと言おうが、最後は自分で決めていい。
勝ち負けにこだわることもいいでしょう。
勝ち負けの結果に至るまで、準備をしてチャレンジをした自分を褒めてもいい。
要はなんだっていいから、自分を肯定できるか?
ここにかかっています。
だから、大事なのは自分を信じてやること、最後はここなんですね。
そして、それを自信といいます。
失敗していいんです。
ミスっていい。
負けたっていい。
優勝しない限り、ほかのすべてのチームは負けているんですから。
たいていのチームは失敗して、負けてるんです。
しかし、大事なのはここから、
この失敗があったから、このミスがあったから、この負けがあったから、次の成功につながり、勝利につながったと言えるように、すぐに前をむきましょう。
だから、泣いている6年生をはじめ、選手みんなを顔を見渡して、言いました。
負けた。ミスった。打てなかった。
6年生は、小学生最後の打席があんな中途半端なスウイングでいいのかと問いました。
お前ら、あれで悔いは残らないのか?と。
でも、過ぎた時間は決して戻ってこない。
わかっていて聞きました。彼らに次がないことをわかっていて問いました。
泣いて、悔やんでもいいが、そんな暇があったら、次へいけ。
6年生は、ソフトボールは最後で、次は別な何かになるかもしれないが、次につなげろ、と。
みんなの顔を見渡します。
泣いているやつ、ぐっと口を結んでいるやつ、下を見ているやつ、選手のいろんな表情を見渡しますが、ハルトのところを見たときに、私の中の感情のダムが崩壊しました。
悔しさに涙をこらえられないハルト、この試合彼は反撃の時にバントを決められず、さぁ追いつくぞと意気込んだ、最終回で自らのエラーでとどめとも言うべき失点になった二死からのサード悪送球をしたことを、心から悔やんでいるようでした。
俺があの時バントをきめていたら、
俺があの時、ちゃんと投げていたら……
ハルトの性格上、人一倍、自分を責めていることでしょう。
それが涙となって、悔しさをにじませて、私を真っ直ぐに見ています。
その視線に、私は耐えられなくなりました。
そこにきて、悔しさをかみしめている6年生の三人をみる。
こいつらに挽回の機会が無いこと、
そしてこいつらと一緒に肩を並べて戦えないことが、たまらなく寂しくなりました。
泣く予定ではなかったのに、いままでの想い出とともに、次から次へとあふれてきます。
何より、このチームでもう戦えないことがたまらなく寂しい。
カナトのはにかんだ表情、チヒロの背伸びした笑顔、キヒトのへっぽこスライディングがもう見れない。
強くはなかった。
強いチームでなかった。
しかし、だからこそみんなががんばって努力をしてきたと思います。
総体、白獅子代表決定戦、じげんカップ、そして最後の坂下ライオンズ杯、強くはないからこそ、いろんな、努力を積み重ねてきました。
そして、まだまだ足りないぞ、お前らはもっともっとできるぞ!という結果で終わる。
実力を出し切ったとは、だれも言えないでしょう。
しかし、これも結果です。
そして、事実です。
受け入れて、次に進みます。
カナト、チヒロ、キヒトの三人は高田イーグルスという船を下ります。
彼らはまた、彼らの船を探し、別な世界に旅立って行くでしょう。
いままで何回何回も、一緒に苦楽を共にしてきた選手を見送ってきた風景です。
何回やっても、ここだけは慣れないものです。
慣れたくない。

彼らの人生にどれだけの関わりをもてたかは、今の段階では、わかりません。
そして、そんなのは分からなくていいと思っています。
彼らの中の構成する成分に、高田イーグルスは必ず何パーセントかは入っているはずです。
この先、いいことも悪いこともたくさんあるでしょう。
野球やソフトボール以外の面のほうが多いでしょうね。
その都度、高田イーグルスでやってきたことが、彼ら三人を助けてくれると私は信じています。

このチームが始まった時に、カナトは言いました。
「楽しくやりたい」と。
彼ら三人はどの「楽しさ」に行きついたのか?
おそらく、この楽しさの捉え方で、彼らの生き方が変わってくると思います。
興味もありますが、彼らの旅はまだ道半ば、この後変化することもあるでしょう。

そして、柳津の空を見上げ、私は毎年やっていることを自問します。
俺は、彼らの役に立てたのだろうかと。
この問いには終わりはありません。
しかし、答えのヒントが彼らの表情の中にあります。
それが、私にとっての羅針盤。
この羅針盤は、新しいクルーとなった船でも役に立ってくれるはずです。
そうやって繋いできた20数年。

カナト、チヒロ、キヒト、ひとまずお疲れ様
カナトたち三人は、別な目標に見送って、船は新しい目標に進みます。

さぁ、次は新人戦の県大会です!






今年、しのぎを削ってきた坂下ヒーローズさん。
白獅子県大会への代表決定戦で敗れ、じげんカップでやり返した。
そして今日、今年最後の決戦になります。
龍虎相打つと言えばかっこいいですが、ねずみともぐらの戦い。
この後に取り戻すチャンスがないんですから、寝覚めが悪くならないよに、両チーム、なんとして勝ちたい。
これを勝たなければ、即6年生は終戦となります。
小学生時代のソフトボールが、ここで終わるか、もう1回あるかがこの1戦で決まります。


それは、3点を先制される展開から始まりました。
いつも警戒している、スラッパーの1番を幸先よく討ち取りますが、2番の6年選抜のセカンドのフミヤをフルカウントと追い込みながら、ファーボールを与えてしまいます。
立ち上がりに不安があるので、多少のミスは仕方がありません。
ファーボールのひとつふたつは計算のうちです。
すかさず盗塁を決められる。
ここで、キャッチャートウマが、刺して切れるようになると、もうひとつ上の景色がみれることでしょうが、それは今後の話。
スコアリングポジションにランナーをおいて、一番怖いバッター、3番エース、トウヤを迎えます。
ここは、入り方を気をつけねばなりませんっていってる間にゾーンに投げ込むバッテリー。
・・・わかってねぇなと思いますが、ここはガンガンいこうぜ!を選択したようです。
続けざまに、ゾーンに入れて、ツーストライクに追い込みます。
そして、空振りで三振。
怖いバッターを抑えました。
二死2塁で、4番の6年選抜のユウトを迎えます。
ワンヒットで先制される場面は、変わりません。
そして、ユウトは高田イーグルスを得意としているという心理的有利さが働いています。
余裕がある。
その余裕から、ボールの見極めに自信があります。そして、ボール球を振らない。
またしてもファーボールで、二死1,2塁。
流れがよくありません。
抑えそうで、抑えられない。
フラストレーションがたまっていく展開。
こういう時は、気を付けなければなりません。
5番のキャッチャーを迎えます。
この子もいいバッター。ボールで入りますが、二球目をライトに痛打されます。
ライトはキヒト。
ひとり帰ってきますが、その後の送球が悪い。
中継プレーも乱れて、1点でとどめられるところを、3点献上してしまいます。
1点は仕方ないにしても、あとの2点は全くのミス。
これをやらないように、中継プレーの練習をしてきたんですが、ここに焦りと状況判断が加わると、いつも通りのプレーは出せないのは、高田イーグルスの弱さなんでしょうね。
3点取られた。
この事実は覆らない。
で、あればどうするか?
二死なので後続をきっちり断つことですが、6番にデッドボール・・・
気持ちの不安定さが、もろにピッチングに表れてしまうのが、ミソラの悪いところ。
ですが、本人なりに何とかしようと思っているようです、7番は三振をとります。
3アウト、長い初回が終わりました。
長かった。
やられているときは特に長く感じます。

さぁ、立て直す。立て直します。
まだ初回、一点一点とっていけば、間に合います。
逆境の時こそ、その人の、そのチームの真価が問われます。
そして、私は、簡単にあきらめるようなチームになって欲しくないと思っています。
なんとか、チーム全員の心を持ち直すようなプレーがでるような展開になるように、しかけていくことを決めました。
人間ですから、そりゃ焦ります、その焦った中でも、どうするかを考え、ベストを尽くす。
これを自分にも、自分のチームメイトにも、伝染させていくほかに、逆転する道はありません。

しかし、この覚悟を打ち砕くように、高田イーグルスの6年生スリーアミーゴスの1,2、3番をことごとく討ち取る、エースの気迫。
得点した後をきっちり、ゼロに抑えるというセオリーをきっちり実戦されている、この展開。
やはり、6年を先に並べるのには、無理があったかという後悔の念が、頭をもたげます。
悪い予感しかしませんでした。
初回の攻防は完全に負け。

初回は負けましたが、まだチャンスはある。
この後、挽回するしかありません。
そのためにはこれ以上の失点を避けなければならない。
8番の下位打線から始まる坂下ヒーローズを、きっちり押さえることで、守備からリズムを作ることを自らに課しました。
そして、それをきちんとやってくる。
このあたりに、粘りが出てきたと思います。

さぁ反撃です。
1点1点を積み重ねていくしかありません。
打順は、6年生の誰かが出塁してくれることを期待して、そのランナーを帰すために置いた、主砲のトウマから始まります。
ここはなんとしても出塁することが、仕事になります。
それをわかってか、コンパクトな振りでセンター返しで出塁します。
ミソラもファーストへの内野安打で、ランナーが二人。
ランナーが増えることで、守備側の選択肢が増えてプレッシャーがかかります。
すかさず、6番においた、アユキにバント、これが内野安打となり、満塁。
一気にイーグルスへ流れが傾きかけようとしています。
この大事な場面で、迎えるバッターは7番、アオト。
得点圏打率では、私の体感でトウマの次あたり、チームトップクラスを誇ります。
アオトは考える打者です。そこは、お父さんにきっちり教えを受けている。
そして、それを自分なりに考えて行動に移すことができるクレバーな選手です。
ここで、どう打てばいいかをわかっている。
センターにはじき返し、相手のエラーも手伝って、一挙に3点をもぎとり、試合を振り出しに戻します。
いやー、この集中打。
細かい戦術を挟みながら、内野安打もありながらですが、4連続でつなげていく集中力。
おめぇら、やるじゃねえか!と驚き、その成長にほおが緩みます。
ここに高田イーグルスのタフさを感じます。

さぁ、おいつきました。
ここは一気に振り放しておかなければなりません。
最低限、1点は得点差をつけておかなければいけません。
しかし、相手もさるもの、ここで離されてはいけないことを分かって、バッテリーもギアを上げてきます。
その気迫をはじき返せない、いなせない、8番のハルト、バントもできず、追い込まれてから進塁打も打てず、チームを勢いにのせられません。
本当は、ここで送って、ワンアウト三塁の形にしたかった。
その意図ができなかったことで、坂下ヒーローズに勢いを戻してしまいました。
ラストバッターのマナト、セカンドランナーのアオトを打って返すことは難しいと判断します。
バントでヒット、あわよくば相手のエラーを狙いますが、ピッチャーのフィールディングが良くて、三塁に送るにとどまります。
二死三塁。
パスボールでも1点をとれる状況を作りましたが、確実に得点するためには、1番のカナトが打たなくてはいけません。
負ければ、高田イーグルスの6年生として、最後の打席になるでしょう。
そんなことを考えて打席に入っているとは思いませんが、打たなくてはいけないということは理解したようです。
ボールが2球先行したことで、ファーボールが頭に浮かんだのかもしれません。
ファーボールは、相手主導の産物です。
ファーボールという魅力にとりつかれると、積極的な姿勢が失われてしまいます。
まして、いいピッチャーならば、ツーボール、スリーボールから何度でも立て直してきます。
それが、できるからいいピッチャーなんです。
カナトの振りに迷いと焦りと恐れが見えました。
カナト特有の落ち着きのない動きにそれが見て取れます。
ファールを打たされて、カウントを稼がれ、最後は三振に倒れました。
ともあれ、3:3の同点に戻しました。
おいつきましたが、一気に逆転できなかった。
マラソンで言えば、やっと並走になった所です。問題はここから、ここからが、我慢比べ。
先に音を上げて、諦めた方が、敗北の谷に突き落とされることでしょう。

そこをイーグルスの若きバッテリーも分かっているようです。
2番から始まる坂下ヒーローズの好打順をきっちり警戒しています。
好打者の2番3番を連続三振に切って取ります。
いい流れ!
この後の4番も討ち取れば、守備でリズムを作って裏の攻撃に勢いがてるはずです。
しかし、ここに立ちはだかるのが、またしてもユウト。
初球をセンターに運びます。
簡単に終わらせてくれません。
やはり、ユウトはイーグルスにとって鬼門です。
パンパンと二死としながらも、打たれた事でリズムをくずしたのか、ワイルドピッチを立て続けて、三塁にいかれ、最後もパスボールで、再び逆転されてしまいます。
二死からの得点は痛い。
精神的に痛い。
それでも、後続は絶って望みをつなげます。

のこりは、あと2回の攻防というところか?
イーグルスの攻撃は、6年生のチヒロから始まります。
ここ最近、バットは振れているようですが、確実性に欠けます。しかし、ここに至っては、技術うんぬんよりも、塁にでてやろうという気迫のみ。
なんとか当てて、機会をうかがうほかありません。
しかし、チヒロにもカナトと同じように、不安と焦りと恐れがあります。
自信をもって、振っていない。
中途半端なハーフスイングがストライクをとられ、最後もハーフスイングて見逃してしまいます。
振りに迷いがある。
ここを払拭してやれませんでした。

続くキヒト、この病は伝染病ですね。
キヒトにも迷いがある。
もともとトップが遅いのに、さらに遅くなっています。
そこにきて、なんとか当てようとするので、振りが小さくなっている。
自分の強みである、筋肉量を活かした豪快なスイングのカケラもありません。
ありんこのような小さな、迷いのある振り、このスイングで打てるはずもありません。三振。
6年生最後の試合にも関わらず、チームに何の貢献もできていません。
そして、なんの工夫もないし、覚悟もない。
最後の打席がこんなチャレンジでは、後悔しか残らないでしょう。
正直、がっかりしました。
最後の打席になるかもしれないのに、そんな対応しかできなくさせてしまった自分に対して。
指導者として、ふがいない。
もっと思い切り、気持ち良くチャレンジできるような機会を与えてやりたかった。
しかし、悔やんでも時は戻ってきません。
そして、今はまだ悔やむ時ではない。
試合中に反省なんぞしてはいけない。角田コーチの言葉ですね。
まだ試合中です。
どうにかして、逆転することだけを考えなくてはいけません。
6年生2人が倒れて、二死。
トウマがまたひとり気を吐いてセンター前に運んで出塁しますが、続くアオトがセカンドゴロ。
連打になりません。
んーこの打順で得点できないと、後がなくなってきます。
それでも、まだ1点差。
最終回の表をゼロに押さえて、裏の攻撃に賭けます。
表の坂下ヒーローズの攻撃は7,8,9の下位打線。
ここは、当たり前に押さえなくてはいけません。
しかし先頭バッターをファーボールで出してしまいます。
我々がもう少し上にいこうとするのであれば、どうしてもミソラとトウマのバッテリーに頼らざるを得ません。
そして、このバッテリーはもっと成長する余地がある。
下位打線をきっちり討ち取るという余地を、今後はものにしなくてはなりません。
が、しかしまだそれはできないようです。
それでも、後続を討ち取り、二死三塁としました。
あとひとつで、ゼロ封できる状況。
この大事なところで、1番バッターを迎えます。
ギアをあげるバッテリー、サードゴロに押さえます。
よしっ!押さえたと思ったところが、玉にきず。
サード、ハルトが悪送球でランナーの帰還を許します。
やってしまった。
大事に行き過ぎたか・・・
完全に打ち取った当たりでした、普通に捕球して、投げて、ファーストが捕ればスリーアウトになって、ゼロに抑えることができた。
この普通のプレーが、まだ当たり前にできない、しかも大事なところで当たり前にできないところに高田イーグルスの弱さがあるということを露呈してしまいました。
結果的に、先頭バッターへのファーボールと、二死からのサードの悪送球、この二つのミスが失点に絡みました。
やはり、ミスが重なると心臓を取られてしまいます。失点に繋がる。
ミスはつきものですが、あってもひとつに止めること、それをチーム全体でできる、実力と集中力を育てることをが大事だと改めて、気づかされるプレーとなりました。
最終回での致命的な1点、点差は2点となりました。
後続はなんとか討ち取った。
総崩れは回避できるようになってきましたが、満身創痍。
逆転する確率はさらに低くなりました。
しかし、ゼロではない。
2回に3点をもぎ取った実績があります。
やってやれないことはない。
少ない確率、限りなく少ない確率を引っ張ってくるしかありません。
大事なのは、高田イーグルスの全員が、選手、ベンチ、指導者、保護者の全員がそれを信じることができるかどうかです。
しかし、人とは現金なものなんです。
信じる根拠がなければ、心は動きません。
心が動かないと体も動かない。
そして、心を研ぎ澄まし、未来を信じて、失敗を恐れず、動く人間が隣にいてくれないと、その勢いは伝染していきません。
小さい波が大きな波になり、相手をのみ込むということは、そういうことです。
私は、そういう場面を何回も見てきましたし、そうならない場面も嫌というほど何回も見てきました。
勝利の女神はどちらに微笑むか?
いろいろな条件がそろう時、とんでもない逆転劇が怒ります。
そして、そうなる時は、チームが一丸となり、迷いなくプレーができる時、それが今のイーグルスにできるか?
2点のビハインド、このままでは負けます。負ければ6年生は即終わりになります。
土壇場での逆転を信じて、アユキを送り出します。
イーグルスにとっては、実質の1番バッターとなるアユキから始まるこの打順は、好打順です。
アユキが出れば、なんとかなるかもしれないという一筋の光明が見えてくる。
逆に、そうしてはいけないことを坂下ヒーローズもわかっています。
全力と全力のぶつかりあい。
トップギアに入っている坂下ヒーローズのエース、トウヤを前にアユキは三球三振に倒れます。
矢じりが刺さらない。
ここでがっかりしてはいけません。がっかりしたとしても、がっかりしていることを表に出してはいけない。空元気であったとしても、チーム全体で続けることが大事なんです。
気持ちで勝つことはできませんが、気持ちがなければ勝つことはできません。
次のバッターのアオトは、サードのエラーで、泥臭く出塁します。なんとかバットに当てて転がした。
これでいいんです。簡単には終わらないぞという姿勢を見せること、相手にそう思わせることが大事なんです。
なんとか塁にでた。
そしてハルト。先ほどのエラーの影響を切り替えていることを祈ります。
坂下のエース、トウヤは下位打線に対して、ガンガンなげてきます。
追い込みもはやく、小細工もない。
気持ちよく三振に切って取ることしか考えていない。
崖っぷちに追い込まれているイーグルスとハルト。
それでも、もてる限りの技術と気迫でなんとか食らいついていきます。
ファール、ファール、ファール、ファール、ファール・・・
5球連続でファールにするしぶとさを見せます。
こういうところなんです。このハルトの粘りが、少しずつ試合の流れ、雰囲気を変えていきます。
坂下ヒーローズは、なんで三振しないんだ?なんでアウトが取れないんだ?という疑問。
疑問はやがて不安になります。
反対にイーグルスは、不安と焦り、恐れが、いけんじゃぇか!という期待に変わりつつあります。
そのためには、ハルトはなんとしても塁にでなければならない。
しかし、三振、振り逃げもキャッチャーの正確な送球でアウト。
最後の天王山も抑えることができなかった・・・・
二死・・・
こうなると、ふたたび勢いは、坂下ヒーローズに戻ります。
最後は、マナトを三球三振にとって万事休す。
イーグルスの今シーズンの最後の大会は終わりました。
終わってみれば、この最終回、坂下ヒーローズのエース、トウヤはアオトに投げた初球のボール以外は、すべてストライクの投球、圧巻の投球でした。
やられるべくしてやられた・・・
このバッテリーは、最後の最後で、当たり前のことを当たり前にできる強さをもっています。
来年も、必ず高田イーグルスの前に立ちはだかることでしょう。
であれば、どうするか?
過去を振り返り、修正点を見直して、未来につなげる。
すでに、私はこの作業に入っています。
今回の敗因は、ミスをしてはいけない場面でミスをしたこと。
その準備を怠ったこと。
プレーをやりきる実力はだんだんついてきています。
おそらく8割はできるようになってきている。
3点を取り合った後の2点は、どちらもツーアウトからのミスです。
前の3点も、中継のミス。あれがなければ、1点ですんだところ。
ランナーを出した時の、不用意なバッテリーミスによる進塁、ランナーを背負った時の二死からの悪送球。
こういう細かいところ、プレッシャーのかかったところでのプレーの精度を上げていくしかありません。
こんなのはやって当たり前だと、思ってもらわなければいけない。
プレッシャーを克服していく練習なんて、ありません。ないと思います。
普段を練習をきちんと、真摯に向き合ってやっていくことがその近道だと思います。
近道なんてしようと思わないで、取り組むこと。
普段通りにやれば、できるという小さい自信を積み重ねていくほかにないと思います。
不安要素の2割を克服していく。
これが、5年生以下の選手にとっての課題となるでしょう。
チームの浮上のカギはここにあります。

しかし、6年生の小学生ソフトボールスポ少の旅はいったん、ここで終わりました。
いろいろ思うところはあります。
それは次回。













いよいよ6年生三人の最後の大会となりました。
それが、坂下ライオンズ杯、坂下なのに柳津でやる不思議。
場所は関係ありません。最後にただ有終の美を飾るのみ。
みんなで勝って、優勝して終わりたい、その一心でした。

はからずも組み合わせは、昨年と同じ。
高田イーグルスの組には、坂下ヒーローズさんと柳津さんがいます。
この三つ巴を制しない限り、決勝戦へはいけません。
昨年は、一勝一敗で並びながら、失点差で泣きました。
そして、今回は6年生最後の戦い、そして柳津さん、坂下ヒーローズさんと戦う最後の大会となるので、目覚めが悪くならないように、なんとしても、どちらも倒して、決勝にいかねばなりません。


さて、第1試合は、柳津さん。
この前の喜多方ボーイズ杯では、終盤に追いつかれて、抽選で敗れるという波乱の展開。
閉会式では、なにももらえず、傍観者に徹するという不本意な時間を過ごしました。
まさに屈辱。
その屈辱を晴らす時は、今しかありません。

この六年生最後の大会、私は成田コーチの策を採用しました。
六年生のスリーアミーゴスを一番から3人を並べました。
いつもは、7,8,9番に並ぶことが多い3人の打順。
それをあえて先頭から使うという戦術です。
得点効率を無視した、感情と気迫に頼った戦術ですが、私も見たかった。
そして、彼ら3人が活躍することで、この最後の大会は乗り切れるという計算があったから、この打順にしました。
こいつらが打てば、勝てる。
それを期待している、私がいるし、成田コーチもいるし、他の指導者も保護者も選手も、その具現化を望んでいます。
後は彼らがそれに応えるだけの展開となりました。

初回、1番のカナト。
記憶によれば、カナトを1番に置いたことはありません。
相変わらず突っ立ち気味の狭いスタンスですが、選抜の練習にいってから、振りに迷いがなくなってきています。
ライト前にヒットを放ち、まずは面目躍如、柳津さんの陣に風穴をあけます。
2番は、この前鋭いホームランを打ったチヒロ。
パスボールでスコアリングポジションに進んだカナトを返すだけなので、小技ではなく打たせますが、セカンドフライ。
3番は、クリーンアップとして置いたキヒト。
一発の長打力に期待しますが、タイミングの取り方が相変わらず遅い。
迷いなく自分の筋肉量を使いこなせれば、凄いスラッガーに育ったはずですが、今は迷える子羊。
当てに走った小さいスウイング、ついに直してやることができませんでした。
小さいスウイングは、消極性の結果としてファーボールを選びます。
ここから、五年生以下、六年生の誰かが出塁しているであろうことを予測して、ここにクリーンアップのトウマを置きました。
それが当たります。
たまったランナーをきれいにする仕事、文字通りクリーンアップの仕事をきっちりとこなします。
2点を先制します。
役割をきっちりこなす。
当たり前のことを当たり前にできることを強さと呼ぶと思います。
後続のミソラは、ファーボールを選びます。
春先であれば、なんでも振って斬新というところでしょうが、チャンスを継続されるために、きっちりファーボールを選ぶ目を持ってきたところに、ミソラの成長を感じます。

さぁチャンスの継続です。
ここからはもう一回、立て直す意味でこの打順に置いた、アユキ、事実上の一番はここからです。
さぁ、いけと気合をいれますが、三振・・・二死。

もうひと押ししたいところで、アオトとハルトが、セカンドエラーと振り逃げで出塁し、その隙に、トウマとミソラがかえって4点を挙げ、マナトが三振でチェンジも、ゲームの主導権を握りました。
相手のミスに乗じて、取れる時に得点しておく、ここが当たり前のことです。あとはきっちり抑えるだけ。

柳津さんの1回を、きっちりゼロに抑えて、相手に隙を与えませんでした。
そして来た、2回の表、1回に打者一巡したので、またもや6年生スリーアミーゴスのカナトから始まります。

前の打席もヒットのカナト、少し遅らせて、逆らわずに右に打つ打ち方が定着してきました。
感覚的なものですが、それを自分の感覚にできると、この先の未来が開けてくるでしょう。
まだまだこの小学生時代は、ぶれぶれでしょうが、自分の中で、こうやれば打てる!という感覚が育ってきているのだと思います。
「さぁカナト、右中間をやぶれ!キリさけー!」とはっぱをかけると、まんまと鋭い打球が右中間を切り裂きます。
広い柳津のグランド、右中間を抜ければそこはフロンティア。
私は、ホームランを確信しました。
カナトの親父の笑い声、ベンチの歓喜、ホームランを打ち慣れていないカナトの全力疾走。
すべてはこの日の、この瞬間のためにあったとカナトは思うでしょう。
技術的なことは、まだまだできていません。相変わらずつったち気味のスウィング。
よくあれで打てるなと思いますが、この小学生時代は、技術云々よりも、覚悟をもってできるか、できないか?ここに大きな差がでると私は思います。

今回のカナトに迷いはありませんでした。
ただ、振るのみ。
一点に集中すること。
今回はそれができた。それが結果につながった。
カナトの自信になったと思います。
カナトの自信はすぐにぐらつきますが、今はそれでいい。
大いに迷って、不安になって、弱気になったらいいんです。
そのうえで、もう一回立ち直って、自分よりも強い相手にどうやって立ち向かっていくかを考え、行動に移すこと。
この過程を繰り返すうちに、「自信というウロコ」が少しずつ積み重なっていくでしょう。
決してメンタルが強いとは言えません。むしろ弱い。

しかし、私はこの弱さが好きなんです。
お前なんぞ、この程度だと、自分の弱さが、白日の下にさらされる。
カッコ悪くて、みっともなくて、逃げ出したい。
しかし、それも事実なんです。
逃れようがない事実をたたきつけられる。
できる奴との差をまざまざと見せつけられるでしょう。
自分自身が、とてつもなく、ちっぽけな存在に思える。
それが、はじめて自分自身と向き合う時です。
バッターボックスには、自分しかいません。
お父さんお母さんは助けてくれません。
自分でなんとかするしかない。
現時点での、自分の持てる限りの武器をもって、立ち向かうしかないんです。
スポ少という小さな世界ではありますが、子供たちがはじめて直面する、外海、勝負の世界です。
そしてそれは、いずれいくことになる、社会という大海に通じています。
最初に社会という競争の場に触れるきっかけ、それがスポ少だと思います。
その中で、自分の弱さを知り、しみったれたらいいんです。
ボコボコに負けて、打ちひしがれたらいいんです。
大事なのは、その後。
その後、どうやって立ち直り、どうやって自分の居場所を築いていくかなんです。
そこには、一緒に苦労をした仲間がいて、我々指導者がいて、お母さんお父さん家族が支えてくれます。
ここに、ロッキーという映画のような場面があります。
練習して、トレーニングして、自分の長所を武器として磨いていく。
短所を克服していく。
人が変わっていく課程、変わろうとするプロセスに我々がいます。
私が、好きだといったのは、この課程、立ち直り、もう一回前を向いた時の子供たちの横顔が、とてつもなくたくましく、りりしい。
神々しささえ感じます。

このヤロー、うまくなりやがってと、
驚嘆と賞賛が入り交じった悪態をつく瞬間が、たまらなく、好きなんです。
弱さを克服していく強さ。
強さは、弱さなんです。
弱いからこそ、強くなれる。
そいつが努力と試行錯誤をしてきたことが、可能性の低い、いい結果を引っ張ってくる。
彼が、がんばってきたことを私たちは、きちんと知っています。
同じ時間を共有してきているという自負。
できなかったことが、今まさにできるという化学変化を目のあたりにしています。
そういう時に、世界がにじんで見えます。
多くの指導者が麻薬のようにとりつかれる瞬間がここにあります。
人の成長する、すぐ横にいるという実感があります。
そこに、我々指導者の存在意義を見いだします。
そんな格好いいことではなく、一生懸命にやってきた奴らと、ただただ、心を動かされる瞬間を共有したい。
それだけなんです。

そして今、カナトが私たちにその瞬間、心を動かさせてくれる瞬間を引っ張ってくれてきています。
走れー!いっけぇー!
チームメイトも親も指導者も、誰もがあらん限りの大声をだし、ホームを目指して走るカナトを応援しています。
これなんですよ、これ、この一体感。
どんな映画、ドラマ、エンターテイメントよりも面白いと、私は自信を持って言い切れます。
だって、実際に経験してるんですから。
ダイヤモンドを走っているカナト、あの瞬間は間違いなくヒーローです。
その瞬間は、俺ってすげぇんじゃねぇって思っていい。
みんなも思い切り褒める。
そこに、自己肯定感が生まれます。
やってて良かった思える瞬間。
お母さん、お父さんもそう思うでしょう。
カナトは、たくさんたくさん、負けて、失敗もしたけど、心から、自分がやってきて良かったと思える瞬間に出会えたようです。
言葉は不要です。
顔を見ればわかります。
だって、カナトは満面の笑顔なんですから。


こうして、カナトの活躍もあり、ゲームを支配した高田イーグルスですが、後半は柳津さんに追い上げられる展開になりました。
それでも、なんとか逃げきって、リベンジを果たしました。

まずは、一勝。
次戦、坂下ヒーローズ線です。














今シーズン、カナト世代の終わりが近づいています。

あと二つのエピソードを執筆中です。

ひとつは、6年生最後の坂下ライオンズ杯、もうひとつは、新人戦県大会。
どちらも、思い入れが深いものになりました。
書きたいこと、表現したいことがたくさんあります。
こういうには、新鮮なうちに料理しなくてはいけないのです。
そうでないと、薄れていってしまう。
でも、集中して向き合う時間もない。
こういう流れを、何年も続けています。
風呂に入りながら、晩酌をしながら、
大抵晩酌をしながらやると、長くなって、とりとめのない文章になることが多いんですが・・・

しかし、思います。
今になって、昔のことを読み返してみると、あぁ~書いていてよかったなぁとしみじみ思います。
自分の文章なので、読み返すと、その場面がよみがえってきます。
タカヤのいきづかい、ほえるコウダイ、フミヤのにやにや、などなどいろんな場面の積み重なり、そのひとつひとつがかけがえのないものです。
そして、すでに過去のもの。
私たちは、今のまさに現在進行形で、その積み重ねを続けています。
いっしょに、指導していく仲間も変わりました。保護者も毎年変わっていきます。
敵であったチームの指導者もなじみの顔が減っていき、年々変わっていきます。
全体のチーム数もどんどん減っていく。
ソフトボールスポ少という情勢もかわっていきます。
しかし、私の中の真ん中にあるものは、はじめた当時からぶれていません。
私の頭もグレイスヘアーになってきましたが、ベンチに立つと、大学をでて、1人でやってきたあの当時の気持ちのままです。

子どもの、選手の目線に立つ。

ここは一切ぶれていません。
これがぶれなければ、こどもであろうと大人であろうと、相手はわかってくれます。
選手たちとのきずな。
この信頼関係こそが、私の本丸であり、ベースです。
これを築くことができれば、保護者や指導者との信頼関係も築くことができます。
こんなの当たり前のことですよね。

昔の場面を読み返すと、今と変わらない私がいてくれます。
雨の二死満塁、一点で負けた全国、ぼろくそにやられた試合・・・
そしてまた今年もカナト世代を送り出す時がきました。
いつもこの時期は、三国志の一場面が出てきます。
最後の北伐に臨む諸葛孔明、この気持ちに勝手になります。
秋風五丈原。
いよいよ最終戦です。





明日はいよいよ、新人戦県大会となりました。
朝五時に会津を発ちます。
六年生も含めてみんなで勝ち取った結果だと思っています。
相手は県中の大島スポ少さん。
今までの対戦履歴はまったくありません。
県大会に出場するチームなんですから、弱いチームなんてありません。

どんなチームとあたるにせよ、自分のペースで、あたり前のことをあたり前にできるかということが最大の課題になると私は思っています。
これができないから、崩れる。
崩れた時に持ちこたえられない。
結果、負けに繋がる。
こういう場面を何回も見てきました。
あいつらが、どこまでできるか?
こういうチャレンジの機会を勝ち取ったのは、あいつらです。
こういうみんなで泊まりを体験できるのも、彼らのおかげ。
それを支えてきた、私たちと保護者のおかけです。
いろんなことを体験して、楽しんできたいと思います!

主催大会のじげんカップで、宿敵坂下ヒーローズを下して優勝した高田イーグルス。
この10月は、毎週転戦の日々です。
コロナ前は、毎月、試合がたくさんあるというのが日常でした。
それが戻ってきたような感じさえします。
秋は収穫の時期、ひよっこだった高田イーグルスの面々も、場数を踏んで、修羅場をかいくぐって、だいぶたくましくなってきたと思います。

10/22.23、私は仕事で大会にいくことができませんでしたが、ラインで送られてくる、みなこコーチの「熱闘スコアブック」で、ひとりひとりのプレーを脳内に再生させます。

6年生、カナト、チヒロ、キヒトの3人の小学生ソフトボールという旅も終わりを迎えようとしています。
へたくそだった3人。今も相変わらず、へたくそですが、彼らの取り組む気持ち、姿勢が変わってきたと私は思います。
そしてそれはプレーにも、結果にも表れています。

キヒトの時もそうでしたが、それは唐突にラインで送られてきました。

チヒロ、ホームラン。

ん?キヒトやカナトの間違いなんじゃないかと、目をこすって見直しましたが、間違いではありませんでした。
あの小さいチヒロがホームラン。
しかも、あとでコーチにきいたところ、完璧にとらえた打球だというじゃありませんか!
チヒロ、やりやがったなと思うとともに、チヒロの曇天の空が晴れていくのがわかりました。
お世辞にもパワーがあるとは言えません。
だからと言って足が速いわけでもない。
握力がないから、捕球もポロポロ落とすし、落下点の見極めも遅い。
プレーヤーとしては、後輩の後塵を拝することもしばしばありました。
エラーをしたあとで、ベンチにもどってくるチヒロは、浮かない顔というか、この世の終わりかのような、絶望した表情をよくしていたものです。
やっちまったと自分でも思っている。
悲しい目をしてきたのを、見てきました。
しかし、チヒロは我々指導陣のアドバイスを良く聞き、理解して動こうといます。
その姿勢は、イーグルスの中でも一番、真摯に謙虚な態度だと思います。
左バッターのレフト守備位置。
なぜ、そこに守るのか、というのを一番理解して行動していると思います。
ときどきに忘れる時もありますが、数回言うだけで、のみ込んで、次回から自分で考えて動いています。
こういうところなんですよね。
こういうところが、チヒロのすごいところ、いいところだと私は思います。
言われたから、単に動くではなく、自分なりに理解して状況をみて動く。
この癖をつけておくことが、机上の勉強の頭の良さではなく、本当の意味で頭がいいという、ところに繋がると思います。
そしてこれは、スポ少以外にも応用できます。
チヒロがそれを一番、具現化していると思っています。
そして、これを続けていけば、ソフトボールのセンスのいい奴や巧いと言われる奴を、越えていくことができると私は思っています。

そして、チヒロは結果を引っ張ってきた。
感動しないわけないじゃありませんか!
キヒトの時もうるっと来ましたが、今回もラインの画面がにじんで見えました。
その場にいたとしたら、泣いていたに違いありません。
そして、小学校からの後輩である、チヒロのお父さんに、おめでとうのラインをいれます。
彼も仕事で見に行けなかったそうです。
そして、私と同じように、現場にいたならば、号泣していたと言っていました。

やはり、神様はいます。
神様は、ちゃんと見ててくれています。
たいした信仰心もありませんが、そう思います。
一生懸命にやってきた子供たちが、ものすごい結果を引っ張ってくる。
我々大人に、世の中捨てたもんじゃないということを、子供たちが教えてくれています。
それが、今回はチヒロだった。
人目もはばからす、よしっ!と一人でガッツポーズをしてみます。
チヒロのオヤジもきっとやったはずです。
チヒロに限った話ではありません。
子供たち、ひとりひとりに、そういうストーリーがある。
そしてそれはノンフィクション。
だから、心が動きます。
私たちは、そういう世界にいる。
そういう景色をみることができるのが、スポ少なんです。

ただ、カナト、キヒト、チヒロと一緒に見る景色もだんだん終わりを迎えようとしています。
あの三人だったからこそ、この3人だったからこそ、やってこれたと今は思います。

少しはたくましくなった、スリーアミーゴスの最後の舞台は、来週の坂下ライオンズ杯。
あの凸凹な、ふぞろいの後ろ姿を、見納めることにしましょう。




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