昨日は、ヒカリについて書きました。
そして今日はキャプテン、ダイト。
エースとしてもバッターとしてもチーム随一の実力は誰もが認めるところ。
ただいかんせん、同学年の仲間がヒカリしかいなかったのが不幸だったいうべきか。
そうはいってもこればかりはどうしようもありません。
そんな中でひとり気を吐いた試合がありました。そして折れた。
そうあの大仏杯小原田スポ少戦です。(ずっとほうのき戦だと思っていましたが間違ってました)
あの試合ほど「やられた。」と思った試合はありません。まぁ全国大会の負けが喪失感でいったら一番ですけど。
あの試合が私の中である意味今年一番印象に残った試合です。
ベンチでみていても痛々しかった。ぽっきり折れていく様が、その音が聞こえそうなくらいでした。
まずストライクが入らない。パスボール、ワイルドピッチでランナーを進める。ランナーをためる。ボールが先行する。ストライクを取りにいく。いわゆる「置きにいく」状態。痛打される。下位打線で打ち取ったあたりで、味方のエラー。
あの回は何個アウトをとったかわからないくらいに味方守備の援護もなかった。
ここぞと畳み掛ける巧みな小原田さんの攻撃。なすすべもなくサンドバック状態で、おわるのをまつ状態。
すべてがうまくいかない孤立無援の絶望感がダイトを打ち砕きました。
あのダイトが泣くんですから。全国で負けても泣かなかったのに。
私もこいつは痛みとか敗北で泣かないタイプだと思っていました。そのダイトの涙。ポロッポロ泣いてましたよ。
投げることに恐怖を覚えるくらいの深い傷を負ったと思いました。この時点で8月の後半です。
しかし、立ち直るもんですね。不死鳥のごとく。
あまり深く考えていないのかもしれない。実はそう見えていろいろ考えるタイプなのかもしれない。そんなことはどっちでもいいですが、ダイトは再び投げてくれました。
チームを牽引する立場的なものや通用するピッチャーがダイトしかいないという台所事情がそうさせたのかどうかはわかりません。
このチームのエースはまぎれもなくダイトです。あの敗戦から少し変わったような気がします。もともとそうでしたが、多くを期待しなくなった。
自分でがんばれるところはがんばろう。それでだめなら、仕方ない。そんな「さとり」めいたものを感じました。ひとまわり大きくなったような。
小原田戦のあともなかなかいい結果が出ない時に腐らず自分のすべきことをこなす。
たんたんとこなすわけではありません。なにかを調整しているような、なにかをつかもうとしているような感覚。
影で努力もしてるんですねぇ。最強の親父とのハウスでのピッチング練習。これは後で聞きました。シーズン終盤になって調子がよくなってきた。
これは最後の大会の前に会津選抜と練習試合をやった時に確信しました。会津選抜を相手に零封、ヒットらしいヒットは打たせなかった。
なんかふっきれた感がありましたね。そして、「これならいけるかも!」と期待させる力強さ。この試合ほんとやっておいてよかった。
翌日の釜子さんのきつねうち温泉大会。その結果は、みんなの知るところ。準々決勝で敗れはしたものの、3回戦までコマを進めました。
あんなにバンバン威力のある球を投げるダイト、間違いなく今年一番だったと思います。
迷いがない。ふっきれている。3ボールからでもガンガン入る。
あの涙がうそのように楽しんでいる。あの涙があったから今があるといっていいのでしょう。
打撃も好調でした。2ホーマーでほとんど出塁している。速球に対する反応はピカイチ。投手よりも打者として非凡な才能があると思います。反応で打つタイプ。それで間に合うんですからすごい。
ただし、世の中、上には上がいます。最後の選抜大会、大東さんクラスの球はやはりダイトでも打つのは難しいようでした。
この先いろんな強敵とあたることになるでしょう。ですが、もうダイトは泣くことはないと思います。ビビってるかもしれないけど、涼しい顔で打席に入り、かっとばす。ホームインしてベンチで手荒い祝福を受けるときにニヤッと微笑む。その姿が想像できます。
ソフトのユニホームを脱いだダイト。お疲れさん!