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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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深夜三時に会津を自転車で出発し、長駆130km。
中学3年生の七騎は、18:00に目的地、新潟の海、角田浜に到着します。

精も根も尽き果てたうえ、ケツも限界を迎える。
これからキャンプ場でのメインイベント、アウトドアでのディナーとなりますが…
疲れ切った七人は、何もしたくない。
しかし、腹は減っている、ものすごく減っている。
そんな私たちの状態を察して、親父が寺泊に飯を食いにいこうといいました。
またまた渡りに舟。 
買ったばかりのデリカは、ちょうど八人乗り。
腹が減って、海に入ってべたべた、疲れきっていている、まさに餓鬼の集団。
車に入るなり全員が爆睡こきます。
しかし、新潟の海岸線の上下起伏のあるクネクネ道路が私たちを寝せません。
そんでなんだかよく知りませんが、サスが固い?
車高も高い上に、よく揺れます。
いつしかみんな起きて、遠くに見える佐渡島をぼーっとみている。
寺泊までは30分くらいだと聞いていました。
あーだんだんつくなあ、と思っていたら、コウジが
おい、やべえぞ、車止めてくれとのお願い。
ミッチャンが気持ち悪そうだぞ、止めろって、まじだって。
私はもう少しでつくから大丈夫だ、我慢しろ!と言ったそばから、
ミッチャン、レロレロレローと嘔吐。
車内にゲロと胃液の匂いがたちこめます。
ミッチャンが空腹に耐えきれずさっき食ったカップヌカレーの匂い、それと胃液のにおい。
その隣にいた、わんぼ。
彼の顔も蒼白になっている。
ワナワナワナワナ~、嗚咽にも似た震え。
彼も彼方にいってしまった、こらえきれずもらいゲロ。
うぁー、きったねぇー、うぁー!
ミッチャンが~、ミッチャンが~
わんぼぅが~、わんぼぅが~…
車内は阿鼻叫喚の地獄と化しました。
たまらず、車を止める親父。
みんな我先にと急いで車内にでます。
申し訳なさそうにしてるミッチャン、ワンボ。
だから、やべーっていったべやーとコウジ。
うぷ、うぷ、うぷ……
私もしのぶもけんちゃん、マサヨシも寸でのところでもらいゲロを止めています。
なんか違ういいことを考えて、もちこたえていますが、眼前にあの物体。
あの匂いとレロレロの風景は人を連鎖させます。
悪寒が首根っこをつかんで地獄に引き込もうとします。現にわんぼはもってかれました。
我が娘が燃えさかるさまをみて、嘆くどころか、絵師として筆をとったという芥川の「地獄変」を連想させる地獄絵図。
私はあーやっちまったなぁと思いつつ、あー本当にもらいゲロっていう現象、ドリフのコントでしか見たことがないあの現象がこの世にあるんだなあと感心しました。
そういやこの場面、スタンドバイミーの映画にもあった。あの復讐チェリーパイ大食い大会。
ここでもスタンドバイミーとの共通点。
その意味でも、この旅は俺たちのスタンドバイミーでした。

ここで距離感の異なるひとりが……
親父は新車のデリカがわずか数周間でカレーヌードルまみれのゲロを喰らうとは思わなかったでしょう。
平静を装いつつもかなり怒っている。
そんで、帰ったらきっちり洗っとけ!と俺にひと言。

そこから、そのまま寺泊までいったのか、行かなかったのかの記憶はありません。
ゲロの原因を考察します。
コウジも言ってました。
そういやあの安田の郵便局で昼メシをくったとき
、ミッチャンが「あっ、このおにぎり、なんか糸ひいてる~、まぁでもいいか!」と言って全部食った、とコウジが言ってました。
おいおいおいおい、おにぎりが糸をひくのはやべぇべや、と突っ込みを入れます。
わんぼも、あれはヤバいと思ったんだよなぁと後付けの意見。
なら、食うの止めろってとみんなで突っ込む。
三列目に隣り合ったこのふたりが犠牲になったこともなんとなく、みんな納得します。
こんな布石があったんですね~。
体力が弱り切っているところに、軽い食中毒?
そして、海岸線の上下と左右のゆれ。
ここに起きている惨事は起こるべくして起こったのかもしれません。

このあたりからあんまり記憶がないんですよね。
疲れて寝てたんでしょうかね。
あるのは角田浜にもどり、テントの中に横たわる七人。白黒の映像。
余りの暑さに耐えきれず、涼しいところを求めてみんな砂浜の上で寝てました。
テントで寝てたのはけんちゃんくらいか。
遠くに見える佐渡の明かり。
砂の上に死んだように眠る。
私の隣は、この悪夢に参加すること直前の昨日に決めたマサヨシでした。
ぁあ布団で寝てぇなあとみんな思ったことでしょう。
この一日、いろんなことがありましたが、思い出す気力も、それを話し合う元気もなく、ただ闇に眠ります。
呼応した新潟の海もそれを良しとして静寂を保ってくれます。


真夏の朝の強烈な日差し。
なんか暑いなぁと、思って目が覚めました。
ああ今日も海が青い!

さぁて朝メシなににすっかなぁ、
今日は何をやるかなあと考えていると、
弟のヒトシがいました。
けんちゃんたちと話している。

えっ?なんで?
なんでここにいるの?
ヒトシもコウジやけんちゃん、しのぶたちいつものメンバーを見つけて安心した様子。
そして、親父の姿を見つけます。
そして、母ちゃんをつれてくる。
あぁ、これは何かあったなとみんなも察します。

親父と母ちゃんが話しているのを聞くと近所の人が亡くなって葬式の準備をやらなくてはいけない。連絡もつかないので角田浜という地名をたよりに軽トラで迎えに来たということです。
しばしのシンキングタイム。
ということは、親父は今すぐにかえらなければなりません。
我々はもう一泊する予定でした。
が、親父は俺らは疲れきっていて帰りの自転車130キロは危ないと判断。
母ちゃんが乗ってきた軽トラにチャリンコ7台を積んで全員でした引き上げることを決断します。

我々は遊び足りなかった気分半分、帰りにチャリをこぐことがなくなった安堵感半分で複雑な気持ちです。
どちらかというと、あぁもうチャリに乗ることがない、良かった~のほうがみんな勝っていたと思います。

帰りは、またあのカレーヌードルゲロくさいデリカに揺られます。
においも慣れてきたのか、帰路は爆睡の嵐。
その辺から余り記憶がありません。
ただ、帰ってきて、きっちり車を洗いました。
そして、カレーヌードルのゲロ、黄色は中々落ちないということを発見します。
ママレモンで何回洗っても落ちない。
おかげで、私の家族はしばらくその黄色いカーペットと歴史を一緒にします。その度に親父に怒られる。
そのデリカが他の人の手に渡る10数年間、後部座席に乗るとそれを思い出します。
あの忌まわしいカレーヌードル(ゲロ)事件と我我のアイダには刻まれて、よく酒の肴にのぼります。
近所の亡くなったおっちゃんは、私たちを助けてくれたんだと今でも感謝しています。
そんな話を今でも集まるとたまにします。

そして、この話には後日談も。
帰りは車で帰ってきましたが、思った以上に体は疲れていました。
なので、当時義務の駅伝練習をみんなでサボろうと画策しました。
いいべ、いかなくても。
みんないくなよ。
あぁわかったといいながら、分かれましたが…
駅伝練習当日、駅伝の先生から電話がかかってきました。
おい、なんでこねえんだ?コウジはきてるぞ。
あぁこの先生は新潟の事情をわかって電話してる、腹痛ぇとか逃げれねぇぞ。いくしかねぇな。
あんにゃろー、あのええかっこしぃが!くそ!

気持ち良く寝てたのは布団を飛び出し、まだ痛いケツを友とし、遅れながらも駅伝練習にいきます。
130キロは走破した。やればできるもんだという変な自信を身につけました。
そしてまた日常がやってくる。
おそらく、コウジ以外のみんなもあのクソ野郎と呪いながらも、またみんなに会えるという期待を持って愛機のチャリンコをこいだはずです。
あーコウジのクソ野郎ー、あーケツ痛ぇといいながら。


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