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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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2021いわき新舞子で県下各地区の選抜チームを集めた大会が行われました。
わが会津選抜チームは、一回戦、田村選抜チームとあたりました。
試合前の練習をみるに、ピッチャーは3枚。
伸びのある快速球。
選抜チームのエースともなると、悪いピッチャーはいません。
それは、こちらも同じ。
こちらにはハルがいます!
少ないチャンスをどういかすか、ピンチになっても自分たちのプレーがいかにできるかが、勝負の分かれ目になると思います。

だんだん記憶も薄れてきました。
田村選抜チーム先攻で試合がはじまりました。
ファーボールか、ヒットだったか?忘れましたが、長身で足の速そうな先頭バッターを出してしまいます。
なんだかんだで、このランナーが先制の1点になります。
長年、こういうハイレベルの戦いをやっていくと、この何気ない1点の重みがよくわかります。
この1点で何回もやられてきました。
大丈夫、すぐに追いつける!そう思う気持ちも、この時点では必要です。
しかし、試合が終わって振り返ったときに、こんなに簡単に相手に1点を献上してはいけないと私はいいます。
しかし、過去にはもどれない。 
であれば、どうしたら1点をやらずにすんだかの検証が必要です。
これが次に活かすということです。
初回の1点は重いが、試合中は大丈夫、なんとかなるの精神でいいと思います。反省は後でいい。
ここでやっていけないことは我々指導陣が、あたふたしないことです。
焦らないこと。
焦りやあきらめ、マイナスの精神は恐ろしく繁殖力が高いんです。あっという間にチーム全体に伝染していまいます。
そうならないためには、指揮官があたふたしてはいけません。
そして、なるべく早い段階で反撃すること。
「やられはしたけど、俺たちはやれる!」と思わせなければなません。
といいつつも、内心は、やべえ、やべえぞ、こりゃと思っています。
それを打ち消すように、「大丈夫!ひとつずつやれば大丈夫!」と選手たちにいいます、がそれは、自分自身にも大いに言っていることです。
そして、選手たちひとりひとりの顔を見る。
こいつらなら、大丈夫!ひとつひとつ、積み上げていこう!とチームの立ち位置を確認します。
あのグランドでプレーが始まったなら、私たちにできることは、彼らを信じるのみです。
大丈夫、おめぇらなら、やれる!
どれだけ、信じれるか?
あとは、選手たちが迷いなくチャレンジしたプレーができるように環境を整えてやること。
大きくは、この二つがあげられます。

選手たちも決して、折れてはいません。
どうすれば逆転できるか? 
そのためにはどうやって塁に出るか?
ここにいままでやってきた練習と、我々指導陣と培ってきた信頼関係がいきてきます。
これを活かさないとチームにしっかりとした「芯」が現れてくれません。
バントが得意な選手、打撃に特化した選手、どちらかというと守備向き、足の速い選手、声がでるタイプ、気が利くタイプなどその選手たちの特長や個性をいかにして、つないでいくか?
その選手の得意な分野をチャレンジできるようする。
選手も自分の得意分野ならば思い切ってチャレンジできます。
これが私たちの信頼関係の構築。
得点やピンチ脱出は、これをどれだけおおく積み上げてきたかということの結果だと私は思っています。
いままで練習してきた、小さいことをチーム一丸となってつなげていく、まさにそれは「波」ようにどんどん大きくなってきます。

そして、ようやく会津選抜チームに、いわき新舞子のその「波」がやってきます。ビックウェーブが!

1点を先制されて、試合が膠着するかにみえた三回裏、下位打線からの攻撃でした。
打順は8番の打撃専門DPで入っているタツキ。
(ちなみに彼の表裏一体の裏は、守備専門で入っているシラコです。2人で1人のフュージョン。)
彼は、この大会に至る最後の週に体調を崩して、大会参加も危ぶまれていました。
しかし、なんとか間に合った。
打撃専門であれば、普通は打撃力、長打の選手が多いと思われがちですが、会津選抜にセオリーは通用しません。
ここに俊足好打のタツキをもってきたのには訳がありました。
その訳、タツキは監督から指示があったかねてからの作戦通りに、スラップバントを決めます。
決して簡単なコースではありません。
しかも、相手は田村選抜チームのエース。
実際よく決めたと思います。
後から思えば、これがこの試合の分水嶺となったと私は思います。
そして、ラストバッターのオウガがさらにバントで送りますが、このバントが絶妙なコースに転がります。
オウガも生きました。
結果、願ったり叶ったりの波状攻撃になりました。
そして、1番からの上位打線に回ります。
逆転するならここしかありません。
私はサードコーチャーボックスから、ビックウェーブを感じていました。
レンはヒットを打てないまでも逆方向に進塁打。
1死二三塁、ユウキ。 
ゴロゴー、タッチアップなどが想定されます。
ユウキは三塁ゴロ。このゴロではバックに突っ込めない、と私は判断しました。
いくな、もどれとランナーに指示。
サードはランナーも見ずにファースト送球。
その瞬間、サードコーチャーの私、迷いました。
セオリーどおりならば、ここはホームに突入させていい場面です。
しかし、このサード、ファーストのリターンでの速さでは、突入できないと判断し、タツキをサードに止めました。
これで、2死二三塁。
セオリー通りにしなかった。
これに対して、激怒の監督。
「サードコーチャー、頼むよー!(ちゃんと判断して、突っ込ませてよ~!の意味)」と怒気を含んだ温かい支持が矢のように飛んできました。
ぁあ~、やっちまったかもと思いながら、実は私もここは、賭けていたんです。いのちとまではいかないまでも、ものすごく大事なものを。

この逆転がかかった大事な場面で、もしサードランナーの俊足のタツキを突っ込ませて、ゲッツーアウトになったら反撃の芽をつんでしまうことになる。
よしんば、成功したとしてもここは同点になる1点しか取れない。ここは一気に逆転を狙うべき!
なぜなら、次の打順はチームの最強のバッターのケイシン。
ツーアウトになっとしても、ランナーを残した方がいい。なにも反撃の芽を摘むことはないと最前線のサードコーチャーは判断したんです。

この判断が吉と出るか?凶と出るか?
結果はご承知の通りケイシンが逆転タイムリーを打ちます。そして、もう一点を追加して一挙に3点。鮮やかに逆転に成功しました。

これ、ケイシンがちゃんと打ったからいいものの、打たなかったら、私が戦犯になっていたことは想像に難くありません。

これは、高田イーグルスの最終戦の下郷戦のタッチアップ失敗が活きています。
ホームにいかせるか、いかせないか、
ここで得点できるか、できないか、が試合の結果を大きく左右します。
結果論なんです。上手くいけば官軍。いかなければ賊軍。
どっちにしても確固たる信念をもって指示を出すことが大事だと私は思っています。
終わってみて、迷いがあったことがわかる、
これが1番後悔します。
であっても、人はどうやっても迷うもの。
しかし、今回はいい方向に作用してくれました。
これも、ケイシンなら打つという、根拠のない絶対的自信、信頼関係がなせる業だと思います。
1点をとりにいくなら、突っ込ませました。
今回はリスクをとって、あえてランナーを突入させず、その次のバッターに賭けた。
2点を取りに行くことをサードコーチャーの私は選んだんです。
結果、3点をとることにつながりました。
ここでケイシンが打たなかったら、ゼロ。
この点数をとるべき場面で得点できなかったとしたら、もしかしたら負けていたのは会津選抜チームだったかもしれません。

あ~良かった。
ケイシンを信じて良かった。
ケイシンが打ってくれて良かった。
右方向の意識で打てるケイシンがこの打順にいて良かったと思いました。

歯車が、カチッとかみ合う音が聞こえました。
ここから会津選抜チームの投打がきちんとかみ合います。
逆転タイムリーのケイシンは、この後大会第1号ホームランを放ちます。
その堂々たる低い弾道の打球、打撃音は後からやってきます。
私はそれをサードコーチャーボックスから見ていました。
田村選抜チームの目の前にも関わらず、絶叫していました。
「いっけぇー!入れーぇっ!」
ケイシンのレーザーが右中間スタンドをとらえたと分かった瞬間に、飛び上がって両手でガッツポーズ。
45過ぎたおっさんが日常的にやる、ポーズではありません。
両足ジャンプの両手ガッツポーズって……
それに気づいて、恥ずかしいのと、相手ベンチへのリスペクトから、すぐにやめました。
逆の立場に立って自分を見てみる。
あれを目の前で、自チームがやられているときに、目の前でやられたら、殺意さえわくかもしれません。
静かに喜びます。
次第に相手チームのベンチからの元気がなくなっていくのが分かりました。

しかし、そんな中でもひときわ元気に声出す少年がいました。
背番号7番、サードの男の子です。
声変わりしていないので、かん高い声。
ワンサイドゲームになりつつある中、彼はチームを鼓舞し続けます。
つられて、まわりも再び顔を上げます。
たとえ敵チームだとしても、彼の行動にはたいしたもんだと思いました。

こちらのタツキのバントがうまくて、サードである彼も目一杯の守備をしますが、アウトにできない。
いったん彼もうつむいて、下を見てしまいます。
しかし、彼はふたたび、前を向きます。上を向きます。
7番サード、ガクくんの心は折れません。
さらに、声を張り上げる。そして、それはショートに伝わり、チーム全体に広がっていく。
彼もまた、激流に抗い、ビックウェーブに呑まれそうなチームを救う男だったんです。
そんな彼の姿勢に、尊敬の念を抱きます。
名前まで覚えてしまいました。
私たち会津選抜チームの敵である田村選抜チームもいいチームです。

田村選抜のエースもアウトコースにきちんとコントロールされた、球威のある球がきていました。
ウィニングショットでくるんですが、少し外れています。ほんの少しなんです。
そのへんの草大会であれば、入っているでしょう。
でも、今回の審判は正確でした。
アウトコースがきつめの判定。
我々会津選抜チームのエース、ハルにも同じ判定をしていました。
ハルとコタローのバッテリーは、そのあたりを素早く修正できたと思いますが、田村選抜チームのバッテリーは微妙な調整ができなかった。
決めにきたウィニングショットがボールの判定。
それが、要所要所で出ていました。
何回も、あっやばい、入ったと思った場面がありました。でも、ボール。
そのあたりも勝敗を分けたひとつの要因だと思います。

会津選抜チームは、繰り出す作戦がことごとく成功します。なかなか、高度な作戦なんです。
それを、決めていく選手たちはすごい。
かなり薄い可能性であっても成功させてしまう。
序盤の危ない場面では、ライトの守備専門のシラコがファインプレーでチームを救います。
シラコの反応の良さがココで生きました。
これは、シラコのファインプレーですが、ここに配置した監督の目利きのファインプレーでもあります。
選手をよく見ている。
こちらが、こうして欲しいと思ったとおりにことが運ぶ。
監督冥利に尽きるでしょう。
私もサードコーチャーボックスから笑いが止まりませんでした。
相手チームの手前なのでガッツポーズはしないで、ニヤッとニヒルに笑う程度です。
チームとしてまとまってきたなという、実感をこの大会でさせてくれます。
選手ひとりひとりが、その持ち味をいかんなく発揮してくれている。
それを、試合にでていない選手たちもベンチからのサポートしている。
会津選抜チームの集大成がここにあります。
チーム全員が、きちんと機能していた。
チーム全員、18人が機能していた。
ここに勝因となったいろんな事が含まれていると私は思います。
あんなに急造チームだったこのチームが相手を圧倒しています。
この瞬間、間違いなく彼らは会津選抜チームというひとつのチームになったと思います。

田村選抜チームをコールドで下しました。
さて、次はここ最近なし得なかった、二日目への生き残りを賭けて、以前対戦した、全南選抜チームとベスト8を戦います。

さて、次の波はどちらにいくのか?
それは、ここ、いわき新舞子の海と空だけがわかっていました。







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