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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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甲子園には魔物がいます。
なにを芝居じみたこといってんだといわれますが、
それをまざまざと見せつける死闘。
八戸学院光星VS東邦。
凄まじい展開。一寸先は闇。相手にとっては、希望の光。
負けそうな時、あふれる涙をこらえる。
声にならない応援。
必死の仲間の奮起。
奇跡がつながる奇跡。
絶体絶命の窮地から三連打のサヨナラヒット。
涙が歓喜の涙に変わる。
無慈悲なまで残酷な勝者と敗者の入れ替わり。
これも野球。交錯する無情と歓喜。
果たしてイーグルスが最後に立っているのはどっちなんでしょう。

ここ最近のイーグルスの上昇ムード。
県大会に出場したり、会津ではなく白河の大会で優勝してみたり、
まさに破竹の勢い。
この勢いはどこから来ているのでしょう?
それを考えてみる。
みんながよくやっているのはわかります。
実力以上をだしている。その点が線としてつながり、円になる。
円は図形の中でもっともの強い形。
打撃にしろ、守備にしろ、バッテリーにしろ、歯車がかみ合っているこの感じ。
どこからでしょうか?
私が思う限り、その分岐点。
それは、白獅子の1回戦の磐梯スポ少戦でした。

あの試合、確かに勝ちはしました。ぎりぎり、薄氷の勝利。
はっきりいって勝った気がしなかった。
傲慢からくるミスの連続、怠慢のカバー放棄、チャレンジしない守備。最悪のムード。
油断をよんだ守備交代の采配。
今思えば、ここがどん底でした。
歯車がかみ合うどころの話でもない。悪いところが全部出た。
試合後のミーティング「馬鹿だ、あほだ、クソだ。」と罵倒しながら、自分の采配の迷いも悔やむ。
しかし、思い直します。
終わってしまったことを悔やんでも仕方ない。
今この時から、どうすればいいか最善をとろうとする。
下なんか見てる暇はない。
三振してもスキップで帰ってきて怒られていた中学時代を思い出します。
この切り替えができるのが、自分のいいところだと思います。
幸いにもこの苦い勝利の後に1試合開きます。
心を整理する時間がもらえる。
「お前たちのプレーはなんだ。自分で最大の準備をしてあのプレーか?自分たちの傲慢さ、怠慢さがあのミスの連鎖を生んだ。お前たちは、そこまでのチームか?
幸い、ここで1試合時間が開く。この時間で自分のこころを整理しろ。」

この試合、一番大きなミスをしたショート、マナヤ。
カバーを怠った、レフト、コウセイ、センター、ユウヘイ。
捕れるフライを積極的にとりにいかなかったライト、ヒカル。
そのほか、小さいミス。
どれもプレー前の心がけ次第で防ぐことができるミス。
どれも自分自身のおごり、怠慢、油断が生み出すミス。


ここでは、イーグルスの守備の要、ショートのマナヤに注目します。

ひめさゆり大会、一回戦で本郷さんにボロクソに負けました。
その後にお誘いいただいた関柴さんとの練習試合。
試行錯誤をしていた時代。
マナヤをショートしないでピッチャーにした時、
イーグルスの守備は崩壊しました。
あんときは、ぼっきり背骨が折れた音がした。
遊撃手マナヤの代わりができるヤツがいない。
現時点でイーグルスの最高の守りにするには、屋台骨となるべきショートにマナヤをおいておかないとイーグルスは落ち着かない。崩壊する。ささえられない。
そう確信しました。

マナヤ本人も守備に自信を持ち始めていました。練習でも試合でも数々の難しい球をさばけるようになった実績がある。
自信を持つことはいいんですが、一方で天狗になる傾向が今年の春先からあった。
逆シングルのショートバウンド。
わざわざそう捕らなくてもいいボールを、それがやりたいがためにわざとスタートを切らない。
サードのカバーにいかないことが目に付き始めました。
自信が傲慢に変わっていく瞬間。
少々のはねっかりは大丈夫だろうと私もそれを野放しにしておいた。
チームの中心選手になってくると、プライドも高いので、なかなかいさめるのも遠慮がちになってくる。
選手たちが増長していく原因の一翼になった私。

それが、あの磐梯戦で噴出した。
ショート、自信を持っていた守備でトンネルし、その後ろにいるべきセンターのカバーもない。
ホームラン。あのプレーはあほの極みだった。ため息しか出ない。
壊れたプライドへ襲い掛かるシュートゴロ。連続ミス。
負の連鎖。
負けたとしてもおかしくない展開。
マナヤのプライドはズタズタだったでしょう。顔を上げられない。
涙の顔をみんなに見せたくない。うずくまっている。
ただし、立ち直ってもらわねばならない。たった1試合の時間しかありません。
マナヤの横に寄り添うのは私の役目ではありません。ここはお父さんに任せましょう。
私は辛抱して待つのみ。立ち直るのを信じるしかない。

その間、指導者でミーティング。
磐梯戦での、私の迷いを吐き出してもう一回戦う意思をつくるための確認です。
あの試合、大量リードになった時点で勝ちを確信し、迷いましたが、試合経験を積ませるために次の世代を担う選手を送り出しました。
育成に切り替えてしまった。
ここに私のおごりがありました。そこを野球の神様は見逃してくれなかった。
交代した選手のエラーが呼び水になった。ここから悪い流れになった。
今思えば、勝負に徹する覚悟がなかった。
次の世代にも経験をと欲張ってしまった。負けたら終わりの一発トーナメント。
そこに育成の余地なし。その選手を育成のために出すことで6年生が錯覚してしまいます。
「んっ?あいつを出せる余裕があるってことか、楽勝だな。」
油断が生まれる。これがいけなかったと自分で振り返ります。
「俺が甘かった。今後は育成に走らない。」
これを斎藤、小島両コーチにだめだししてもらって、自分に渇を入れる。
背水の陣、勝負に徹することを指導陣で確認しました。


今後の展開はご承知の通り。勝ち進んで準優勝で県大会初出場を勝ち取りました。
マナヤ、ユウヘイをはじめ、私自信も自分の中の甘さ、おごりに気づいた。
この間、マナヤがどんなふうに心をおさめたのかはわかりません。
それはあいつにしかわからない。
となりにいてくれる家族に感謝せねゃいかん。
ただ、マナヤは戻ってきた。
それで十分です。しかも、自分のおごりに気づいて、自らの行動を正してきた。
野球の面白さに気づく前に、くさって、自暴自棄になってもおかしくなかった。
どんな化学反応があったのか聞いてみたい。
もう一回前を向くことを決心したマナヤ。
とんでもなく多くの人に支えられてることを忘れんな。
一番近くで応援してる人に感謝しろ。
俺もなかなかその感謝を表現できなかった者のひとりなんです。
あれで、間違いなく一回り大きくなった。
自分の小ささに気づいたとき、本当に大きくなる試みが始まる。
ソフトボールが気づかせてくれたもの。
それはイーグルスにいい相乗効果をもたらしました。

その後の試合、磐梯戦では見せなかったサードのバックアップにマナヤが入るようになりました。たとえ、サードのフミヤが確実に捕る事がわかっていてもバックアップに入る。
こころを入れ換えた。
さらに相乗効果。
ユウヘイもヒカルもコウセイも内野が捕ると分かっていてもカバーに入るようになりました。
いい連鎖です。

無駄なバックアップ、カバーかもしれないけれど全力でやる。
こういう姿勢が大事だと思います。
何事もおろそかにしない。それを心がける。
こういう姿勢が他の練習全般にも活きてくる。
小さな心がけひとつが物事に取り組む姿勢を作る。
たとえそれは小さくとも毎日の積み重ねで、最後には大きな財産になる。
いい結果を導いてくるようになった今、イーグルスはそれを経験しています。

守備の奥の深さ、難しさに気づいたマナヤは慎重さが備わりました。
あの時に、「なにやってんだ俺、かっこわるい。みんなに見せる顔がない。」と落ち込んで泣いたこと。失敗してはじめてわかる「こわさ」を経験したことで一回り大きく成長した。

そう考えるとこの磐梯戦のあの最悪のムードはイーグルスにとって、いい結果をもたらしたことになります。
災い転じて福となす。

優勝したあの大会も、マナヤは全力でバックアップに入っていました。
ユウヘイは全力でカバーに入っていました。

物事に対する謙虚さ。
私も時として忘れそうになる時もありますが、彼らのプレーがそれを教えてくれます。

謙虚さを取り戻した。
大丈夫、この謙虚さがあるうちはまだまだ伸びます。まだまだ上手くなる。
イーグルスはまだまだ強くなります。

ただ、安心するとすぐに気をぬくので、今後もがっとばしながらいきます!





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