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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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最後まであきらめない。
それを子供たちから、改めて教わった試合でした。
人が成長していく様を見ることは、なぜこうも人を感動させるのでしょうか?
二十年以上、毎年毎年見てきていますが、今年もこの子たちの成長を感じる瞬間がありました。
できなかったことができるようになる。
心が折れそうになる場面で、必死にチャレンジして、可能性の薄いところを果敢に引っ張ってくる。
そして、それが繋がっていく様を見せつけられた時、どうしようもなく心が動かされます。
何回も涙で前が見えなくなりました。
それほど、心が動かされた試合。
そういうプレーが、この子たちもできるようになった。
昨日は、そう思えた1日でした。

アユキ世代の県大会へ通じる最後の大会。
白獅子への挑戦が昨日行われました。
結果は、一回戦で湯川さんを倒しましたが、二回戦敗退、またしても猪苗代さんに5:6で敗れました。
我々の挑戦は潰えました。

試合前、できるかぎりの準備をして臨んだつもりでした。
先攻後攻は、キャプテンであるアユキに任せました。
彼がどういう思考で、後攻をとったのか?
おそらく、アユキの頭の中には、ロースコアで後半に持ち込み、プレッシャーを与えるのには、後攻が有利という心情が働いたと思います。
勝負は後半、私もそう思っていました。
そのためには、この初回をきっちり押さえてくること、守備でリズムをもってくること、そこが大事だと言い聞かせて、彼らをグランドに送り出しました。

猪苗代さんの打線のキーマンは何人かいます。
そのキーマンのひとり、先頭の1番を一球で仕留め、2番も討ち取る。
早くも二死として、チーム全体に、いいぞ!いいぞの雰囲気が漂い始めます。
そして、敵軍の最強バッターを迎えます。
ランナーがいない、二死。
状況としては、整えられる最高の状況となりました。
そして、早い段階で追い込んだ。
我々コーチ陣も、バッテリー、特にキャッチャーのトウマに、ゾーンで勝負する必要は無いことを確認しました。
バットの届かないところ、そして長打になりにくいところ、そこを要求してくれるだろうと思っていました。
ここで、最初の歯車が狂います。
トウマ、確かに外に構えていました。
しかし、少しの欲があったと思います。
あわよくばストライクになりそうな、ギリギリのアウトコース低めに構えました。
その前段として、バッター、カゲヤマ君を追い込んだ、前の二球の残像が、彼をして勝負を急がせたか?
確かに、追い込んだ二球目は、球威もコースも良かった。
これならばイケるとふんだのかもしれません。
二人が考えた結果の選択です。
彼を責めることは誰もできません。
我々大人でもそう思うでしょう。
バッター、カゲヤマ君は牙を研いで待っていました。
コースよりもタイミングを合わせることのみに集中していたはずです。
そして、ドンピシャのタイミングで、ボールがきた。
ややインコースのかなりの高め、完全にボールです。
しかし、これをタイミングよく捉えた打球は、恐ろしく飛距離の出るライナーの放物線となり、イーグルスの外野を粉砕しました。
下げておいたライト、ゼンジのはるか頭上を越えていった。
打った瞬間に、ホームランだと分かる打球音と角度でした。

簡単には、終わらせてくれない。
そう思いましたが、我々の大部分は、ソロで良かったと思っていたはずです。
しかし、そう思わない人がマウンドに君臨しています。
あーもぅ、打たれたぁ~、悔しい。
目に怒りと不信感を宿らせ、カッカ、カッカしているエースがいました。
ここは、初回だけど、一旦落ち着かせようと思いタイムをかけ、マウンドに向かいます。
頭に血が上っているエース、ミソラ。
沸点の低いやつだなぁと思いますが、我がチームの大黒柱をまずは冷静に冷やさなくてはなりません。
でないと、初回で崩れてしまう。
マウンドに行って、内野を集めて、間をとります。
まだ初回であること、ツーアウトであること、とられた得点も1点であり、まだまだ取り返せること、イーグルスにとって有利な情報を提示して、落ち着かせようとしました。
その間に、トウマの配球が甘かったんだよ~、ちゃんと捕ってよね!と檄を飛ばし続けるミソラ。
黙って聞いているトウマ。
まぁ、外に悪態を出しただけ、少しはガス抜きになっただろうと判断して、ベンチに戻りました。

仕切り直しです。
二死でランナーなし、守備側としては守りやすい。
後はバッテリーがテンポ良く追い込んでいくだけですが、ミソラはまだ引きずっているようです。
追い込んではいくんですが、三振を取りに行く球をファールにされてしまう。
下位打線も渋とい。
簡単には、討ち取らせてはくれません。
コーチ陣とも確認しましたが、このカットの仕方はバッティングマシーンのおかげだと判断しました。
同じスピードに対する耐性ができている。
目がついていっている、
タイミングの合わせ方が一定。
ここに気づいて、バッテリーがタイミングをずらす組立に変えることができるか?
そうも思いましたが、ミソラの球威であれば粉砕できると判断して、彼らに任せました。
いつもならば、討ち取れるところで、ファールで粘られる。
ここに、ミソラのフラストレーションが蓄積されていったのかもしれません。
コントロールが狂い始めます。
スリーボールツーストライクから、最後を決めきれない。
二人出して、左の女の子にも追い込みながらも、デッドボール。これで満塁。
普通に投げれば、討ち取れる下位打線なのに、コントロールができない。
コースに入っているボールをキャッチャーがポロポロを連発して、リズムに乗せきれない。
二人の呼吸が合わなくなってきました。

んー、ここはタイムかぁ?と思いましたが、タイムは2回まで。
初回に既に1回使っています。
後半のことも考えて、とっておくことに決めて、バッテリーに任せることにしました。
2点、3点までならばなんとかなる。
打順は、7,8,9番長打はない。
7番にスリーツーから四球で押し出しを献上。
ミソラとトウマのバッテリー、立て直すことができません。
しかし、ここは彼らを鼓舞する以外にありません。
打たせてとった方がいい。
どうせ、長打はないという判断が油断だったのでしょうか?
抑え気味に投げた球は、甘く入りました。
8番のフルスイングのちょうど1番強く、1番飛ぶところで捉えられました。
右中間をまっぷたつ。むなしく転がっていく打球を見ることしかできませんでした。
満塁ホームラン。
バッテリーは、肩を落とし、チームもため息混じりの意気消沈。
この時点で、0:6。
初回に、二発のアッパーカットを食らい、グロッキーとなりました。
後半に勝機を持ってくることなど、夢のまた夢。
そしてまだまだ終わらない。
9番で終わらせなければ、また1番に回ってきます。
敗北の大合唱が連呼しています。
その波に絡め捕られようとしている。
猪苗代さんの9番も渋とい。
ヒット性で捉えられ、センター前に抜けていきます。
難しいインコースだったのに、きちと振り切っている。
下位打線まで、闘う意志の血が流れているのを感じました。
簡単に終わらせてくれない。
泥沼にどっぷりはまっていき、どうしようないバッテリーがいました。
冷静な1番、ここからまたランナーをためることの優位を分かっています。
なので、早打ちしません。
早打ちは、ピッチャーを助けると言うことを分かっている。
いい1番です。
そして、また好機を作る。
2番を出せば、3番のカゲヤマ君にまた回ってきます。
ここはなんとしても、抑えて後続を断ち切りたい。
ここで、もう一発食らえば……
悪夢が現実になります。
ミソラ、踏ん張ってくれ!
打たれすぎて、逆に冷静さを取り戻したのかもしれません。一周回った。
小さめの2番を二球で追い込みます。
指先に感覚と闘志が宿ってきたようです。
最後は見逃しで三振に切って取ります。
一同、ずっと呼吸を止めていましたが、ここで大きく息をついたことでしょう。
ふぅ~、やっと終わったぁ~。
やっと終わってくれた。
長い長い初回の表を終えました。
おそらく20分ぐらいのサンドバック状態。
泣く寸前、というか、ミソラは泣いていたと思います。
立ち尽くす、高田イーグルス。
そうであっても、まだ試合は終わっていません。
時間は戻らない。戻せない。
選手たちの中にも、目が死んでない奴らがいます。
我々も諦めてはいけない。
どんなに逆境であっても、途中で投げ出すことはしない。
奈落の滝に、諦めて落ちていく仲間の手を取って、奮い立たせてもう一度立ち向かう勇気を植え付けなくていけない。
それを言い続けなくてはいけません。
そうはいっても、このお通夜のようなベンチ。
どう立て直すか?
過去にもこういう戦いはありました。
あの時も6点差。
一気には無理。
幸いまだ初回。
小さい成功を積み上げていくしかありません。
諦めかけた心を、あれっ、もしかしてイケるんじゃねえと全員に思わせる。
この時点で、可能性は限りなく低い。
10%ない。
1点ずついく。
剥がされた自信という鎧を再び、取り戻していくしかない。
誰もがイーグルスの逆転など無理だと思っている。
おそらく、味方であるお母さんお父さんでさえもそう思っている。
できなくて当たり前。
そこを、なんとかする。面白いじぁありませんか!
さて、どうするかね~と舌なめずりをしながら、ベンチの選手たちひとりひとりの顔を見ます。
アオト、ハルト、ゼンジなど、活きのいいやつもいます。
なかなか表情に出さないアユキにも青い炎が宿っています。
まだ、死んでない。終わっていない。

高田イーグルス、反撃です。






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