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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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表面張力。ひょうめんちょうりょく。
コップに水を入れて、コインを入れていき、先にこぼした方が負けというゲーム。
ジョジョの奇妙な冒険やカイジなど、たびたび出てきます。
水の表面張力とコインの体積が押し上げられるアルキメデスの原理のせめぎ合い。
いつ、水があふれ出すのかわからない。
自分や仲間の運命をそこに賭けている、手に汗握るギリギリの展開。
単純なんだけど、面白い。ドラマティックに場面が描写できるから、選ばれるのだと思います。
野球やソフトボールの世界でも同じような状況に陥った時、私はこの「表面張力」を思い出します。

この前も次男の高校野球春季予選。
会津工業と会津学鳳の代表決定戦でもそうでした。両チーム、最終回まで負うか追われるかのシーソーゲーム。まさに、ルーズベルトゲームの展開で見ている方は面白い。
しかし、やってるとうの選手たちは気が気ではなかったでしょう。
両チームの気迫がまさに均衡している場面。
しかし、その均衡は最終回に破られます。
そこまで抑えてきた4番打者をはじめてヒットで許してしまいます。
ここから、プレッシャーが守る学鳳ナインに襲いかかります。
最終回表、ノーアウトランナー。
この1点は大きい。どちらがとるかで勝敗を左右する1点になるでしょう。
それはお互いにわかっている。
工業は、送りたい。
学鳳は、なんとか阻止したい。
こういう場面で、これまでやってきた練習を当たり前にできるか、どうか?まさにここにかかってきます。
それは、攻撃する工業も守る学鳳のどちらにも言えることです。
きちんとバントができるか?
きちんとシフトを敷いて、最低でもアウトひとつがとれるか?
何回も練習してきたはずです。
監督ならば、「普通にやれば大丈夫!」と思ってる場面。
後は、お互いの覚悟と準備と練習の再生能力と応用力、そして運にかかっています。
しかし、運命は残酷です。
何回もやってきたバントシフト。
投げるコースで、バントの方向をある程度コントロールしたうえで対応する。
打球の勢いやランナーのスタートで、二塁で刺せるかどうかを判断し、だめなら最低でも一塁でアウトにする。
最終回のこの場面での二塁にランナーを置くことは避けたい。
しかも、ランナーは4番でそんなに足は速くない。
早めにチャージすれば、二塁はアウトになるはず……そんな思惑でピッチャーはバント処理に向かったはずです。
しかし、思いのほか打球の飛んだ方向が良かった。
バッターもピッチャー、サードの正面は避けたい。なるべく間をぬって、打球の勢いを殺したいという意図がありました。それが功を奏しました。
ルーズベルトゲームとなり、とったりとられたりの展開は、ピッチャーの体力筋力を奪っていきます。
知らない間に足にきていた。
ピッチャー、バント処理で、つまずいてしまった。
アウトをとれる計算が狂いました。
均衡が大きく動こうとする場面。
舞台は整いました。
会津球場の観客も会津工業の得点を期待してしまう状況ができあがりました。
大きく会津工業に針が振れています。
ここで、会津工業は打たなければいけない。
きれいなヒットではなくてもいいので、なんとかして点数をとらなければいけません。
反対に会津学鳳は、なんとかして、ゼロに抑えなければならない。
ここにも、意地と意地のぶつかり合いがあります。
ただ、この場面、工業に勢いのアドバンテージ、行け行けどんどんです。
いつもの倍以上の実力が出てしまう。
学鳳は、ここをなんとかして抑えなければならない。
ここに、野球の、ソフトボールの、チームスポーツの面白さが凝縮されています。
攻める方も守る方も選手だけでなく、お母さんお父さん、弟妹、ばあちゃんじいさん、家族、育ててきた指導者などとりまく人々の思いが詰まっています。
どちらも勝ってほしい。
しかし、勝つのはどちらか片方。
みんなの思いを感じつつも、選手は目の前のプレーをこなすことに集中しますが、思い通りにならないこともある。
ここぞ!の場面を制する。
これを多く積み上げていった方が勝者となります。
あの場面から、集中打で工業が学鳳を退けました。
終わってみれば、大差。
最終回まで、均衡していた両チームだったのに、なぜこんなにも差がついたのか?
私は、自分のチームにもそうですが、この「なぜ?」「なぜ、そうなったのか?」が1番気になります。
ここに、負けた原因があるからです。
そこを解決しないと、また失敗していまいます。
そうならないようにするには、どうしたらいいか?
常にその自問と分析、そして対策は継続しています。

ただ、選手たちは一生懸命にプレーしています。
当たり前ですが、エラーしようと思ってプレーしている選手などひとりもいません。
上手くやりたい、チームに貢献したい、自分がいい結果を残したい。
そのひとりひとりの思いがチームとして結集してぶつかり合う。
お互いに、上手くやらせたいところですが、そうはいきません。上手くいくのは、片方のみ。
勝つのは、ひとり。

そこを分ける分水嶺はどこなんだろうかと、20数年前考えていますが、答えは見つかりません。
思いの強さか?万全の準備対策か?選手の巧さか?そして、「運」か?
おそらく、その全てだと思います。
そして、その全てを達成するのは、およそ人間には無理だと思われます。
100%の対策などできない。
私はそう思ってます。
しかし、そうだとしてもそこに近づけようとする努力と行動は必須だと思います。
最初から、諦めている者に運命の女神は微笑んでくれません。
高みにいこうとする、努力と行動。
求めなければ、与えられない。
信じなければ、キセキはおきないし、訪れないし、手に入らない。

そのギリギリの場面で、野球の神様はどちらに微笑んでくれるのか?
表面張力は、どちらに味方してくれるのか?
味方してくれるためには、何をしたらいいのか?

実力ご拮抗した両チームを、残酷にも勝者と敗者に分けたバックスリーンを背に、「ふたちを分けた原因は何か?高田イーグルスには何が必要か?」、私は自問して帰途につきます。
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