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時に笑い、時に苦しみ、時に涙する。すべてはグランドへ。 ソフトボールを通して成長していく小学生とその保護者、スタッフの物語。
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準決勝、新鶴さんとの激闘を制したイーグルス。
体力的には、相当まいっていました。
一試合でしたが、内容が濃すぎる。
最初は、ボコボコにやられて、次第に盛り返して、最後はガチンコのかぶり四つをなんとか押し切る。
精神的には相当疲労がありました。
でもなぜか、すがすがしい。やりきった。

そんな後で、総体と同じようにほおのきさんを相手に決勝をむかえます。
競走馬であれば、絶対にかかってる状態。リベンジに燃えてるのかと思いきや、妙にチカラが抜けている。
激闘を切り抜けて、あとはやるだけだという達観にも似た気持ち。
ほおのきさんの強さは既にわかっています。
強大なエース、キャッチャーが君臨するバッテリーを中心とした小田原城のような堅い守りのチーム。
猪突猛進のイーグルスは、総体でこっぴどくやられています。
同じような戦い方ではまたしても返り討ち。
しかし、イーグルスも県大会にいってその猪突ぶりに磨きをかけてきました。
男子三日会わざれば、刮目して見よ!
あの頃のイーグルスではありません。
どうすれば、ほおのきさんに勝てるか?
その作戦成功のカギは、我らか総大将のユウキが握っていました。
ユウキは、本当に相手を見ています。
そしてよく分析している。
さらにそこから、どうやればいいかという対策も立てて、自ら実行する。
「監督、いけますよ!」
という、ふてぶてしい態度、ほんと味方で良かったです。
この決勝ほおのきさんで、イーグルスが放ったヒットは2本。
そのどちらもユウキが打っています。
当たりからすれば、ヒットというヒットではありません。
まねしろといってもあの打ち方はまねできないでしょう。ただ、ただ、アウトコースの強い球に食らいつく。
そして、根性でライト線に落とす。
ユウキはこれで、イーグルスの全てのヒットをたたき出しました。
新鶴さんとの1戦で疲労困憊のボロボロのイーグルスの中にあって、キラリと光る一個の剣。
ヤツの執念が見てとれます。

今回のイーグルスは、準決勝で新鶴さんに勝って、県大会を決めてもハイタッチを封印していました。
私はやったほうがいいよ、といいましたが小島コーチがかたくなに拒む。
そして、選手たちもやろうとしない。
もしかして、保護者もそうだったかもしれません。
みんな監督の意向に背く。
いい度胸です。
しかし、今回はそれで良かった。
勝ちはしましたが、その差はわずか数ミリ。
そんな状況で、新鶴さんの目の前でハイタッチをやる気には、私もなれませんでした。
それよりかは、その体力、精神力を決勝のほおのきさんにぶつける。
ノーハイタッチでいい。
やるのはほおのきさんに勝ってから、選手たち、保護者たちはそう決めました。
そこに決意があった。
その決意があったからか、イーグルスは思わぬかたちで先取点をもぎ取ります。
どんないいピッチャーでも、ファーボールは出してしまう。
しかし、こんなにいいピッチャーの球を見極めてファーボールを選ぶのは至難の業です。
まして、私はイチかバチかでいい、三振してもいいから全て振れというガンガンいこうぜの作戦。
その中で、ボールとストライクを見極めるのは、むしろ私の作戦を無視している。
それでも、悪い気はしません。
むしろ、その成長におどろいている。
奴らは奴らで考えて行動している。
県大会の長沼戦、中山戦を戦い抜いてきたイーグルスは、「速球の見極め」というスキルを習得しつつありました。
彼らは、見えてきた。
ほおのきさんのエースの球に、手を出さないではなく、ストライクとボールを見極めて、見逃している。
そして、選んだテンカイのファーボール。
これがこの試合の天下分け目になります。
テンカイは、5番。
ここから下位の打順になります。
得点力は落ちる。
普通に打たせてもまともに打たせてもらえるピッチャーではありません。
それでもなんとか当ててくれれば進塁打にはなる。
三振ではなく、ゴロを打ってくれ。
また見極めのスキルを発動しないレン、ソウゴ、三振で倒れます。
しかし、その間にパスボールで二塁に進んだテンカイ。
二死二塁で8番のユウゴ。彼はトップを早めにとろうという姿勢、彼なりの作戦が見てとれます。速球対策を自分であみ出している。
見極めスキルも開花しつつあります。
「見えてるのか?」とバッターボックスのユウゴに声をかけると、
「見えてます!」との回答。
その言葉通り、追い込まれながらもファーボールを選ぶ。ヒットと同じかそれ以上の価値があります。
下位打線でここまでしぶとくできれば御の字でしょう。
二死二塁一塁。打順は、新鶴戦のヒーローのユリア。
しかし、その彼をもってしても打てる気がしません。
さて、どうしたものか?
ん?あれ?ノー警戒だ。
二死で9番バッター、だから安心してるバッテリー。
悪いけど今回のユリアは打てる気がしない。
ここは、仕掛けるしかない。
と思った瞬間、テンカイと目が合いました。
目が合ったというか、彼は私をみてサインを確認していました。
ここだ!
すぅーっと出すサイン。
「いけるか、テンカイ!」
「監督!いけます!」
目で会話ができるまでになりました。
拈華微笑(「ねんげみしょう」、保護者に教えてもらいました。仏教用語ですね。しかし、これはいいすぎかも)。
以前はサインも見ず、ここでなぜ、このサインが出るのかの意図もわかっていなかった。
塁上で余裕がなかった。
そのテンカイも勝負の機微がわかるようになってきました。
静かなる忍者のようにすすすーとスタートを切るテンカイ。
十分な奇襲になりました。
キャッチャー、サードへ悪送球。
ボールが転がっている間にテンカイはホームイン。
貴重な、貴重な先取点をもぎ取りました。
しかも、下位打線でもぎ取った1点。
ツーアウトから奪った1点。
イーグルス全員を勇気づける大きな1点となりました。
この1点は大きかった。
相手ピッチャーが偉大であれば偉大であるほど、先制点がどちらに入るかが重要になります。
堅牢な城壁がさらに高くなるか、低くなるかが決まってくる。
この決勝の場面でのイーグルスの先制点。
ほおのきさんの牙城にたしかなくさびを入れました。
ここしかないという場面で、きちんと私を見て、私のサインを信頼して走ったテンカイ。
たいしたやつです。
こういうたいしたやつらの積み重ねがチームに勝利を持ってきます。
失敗を恐れたら何もできない。
だったら、可能性は薄いかもしれないけれど、その可能性に賭ける。
この決勝のほおのき戦では、その薄いところを何度も引いてきます。
これは、準決勝の勢いがイーグルスの背中を押してくれました。
勢いをくれた新鶴さんが押してくれた。
いい風が吹いてくれた。
ソウゴのサード強襲ライナーを横っ飛びのファンプレー。
センター、ユリアの下がり気味な絶妙なポジショニング。
いままでの、やらかした経験を次のプレーに活かしています。
あの失敗したプレーがあったからこそ、今のファンプレーがある。
それをこの決勝戦でやるあたり、やはりこいつらはたいしたもんです。

イーグルスは2:1でほおのきさんを破り、創部以来の初優勝。
ここで、ハイタッチを解放。
歓喜の渦。
まったく喜んでいい。
長い長い列のハイタッチでした。
それほどイーグルスを応援してくれている保護者、兄弟姉妹、祖父母、ライバルチームの高田スポ少さん、たくさんの応援があったことがここでわかりました。

うれし涙。
エース、レント号泣。打たれたら負け、緊迫した場面、苦しい戦いの連続。
大事なときにケガもあった。痛い背中。
それでもレントはよく投げきりました。
肩の荷が下りたことからくる安堵感。
家族の支えもあった。
ここは泣いていい。
私は、もらい泣きしてしまいました。
レントの苦労が報われた。
レントだけでなく、ユウキ、タイセイ、テンカイの6年生をはじめ全員の苦労が報われた。
よかった。

満身創痍ながら、イーグルスはやりきった。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。
身を捨てはしませんが、狙ってとりにいった優勝。
八月のいわき新舞子での県大会をたぐり寄せました。
このほおのきさんとの決勝戦もいい試合だった。
一戦一戦、間違いなく強くなっています。
やつらがどこまでいけるのか?
これは見届けなければいけない。

今シーズンも中盤にさしかかりました。
あと何回、ゾクゾクするような場面で、選手たちと目で会話ができるでしょうか?
毎晩、選手ひとりひとりのプレーを思い出しては晩酌の友としながら、美酒に杯を傾けます。

選手、保護者、ライバルチーム、審判団、大会関係者の皆様に感謝です。
ありがとうございました。


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